FXシリーズの電力爆喰の謎を解明する。 (続・FX-8350とSABERTOOTH 990FX R2.0で組んでみた。)

 AMD FX Logoさて、取り敢えず使ってみたレポートの後は。
 FXシリーズ発売当初からの謎を解いてみることにする。

 それは・・・

 「125W TDPって割にFXって電気爆喰いっぽいんだけど、なんで?」

 ◇

 前回も触れたように、換装前後でCPUとマザー以外全く一緒なので比較してみる。
 例によってワットメーターを挟み込んで、と。

 電源投入後Max → 120/185
 Windows 7 Idle → 88/ 95
 OCCT 負荷中 → 144/275
 動画鑑賞中 → 92/100

 890GX+PhenomII X4 910e/990FX+FX-8350ね。

 ・・・ってちょっと待て。OCCT負荷中の275Wって何だコレ。
 というか125WCPUを回しているのに何なのさその消費電力。
 取り敢えず、考える前に一通りの消費電力チェックをして。

 アイドル時@3GHz → 120W (Cl’q無効)
 OCCT負荷中@3GHz → 240W(対4GHzで-35W)

 アイドル時@1.4GHz → 110W (Cl’q無効)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 125W (Cl’q有効時と同一周波数・同一VCore=0.9v)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 175W (VCoreデフォルト=1.35v)

 うん、仕込めた。次から考察。

 ◇

 さて、まず上記値はワットメーターなので、電源自体の効率を考慮して実使用電力を求めることにする。
 使用しているのは玄人志向/EnhanceのEnhance ENP-5140GH、80Plus Bronzeなので、ワーストケースの効率82%と仮定する。(実際はもう少し良いっぽいけど)
 上記に出した数字をこの効率を使って全て「ケース内使用電力」に変換する。

 OCCT負荷中@4GHz → 225W

 アイドル時@3GHz → 98W
 OCCT負荷中@3GHz → 197W

 アイドル時@1.4GHz → 78W (Cl’q有効)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 103W (Cl’q有効時と同一周波数・同一VCore=0.9v)

 アイドル時@1.4GHz → 90W (Cl’q無効)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 144W (VCoreデフォルト=1.35v)

 次に、CPU以外の消費電力を排除する。

 まず、VCoreが0.9Vの場合とVCoreが1.35Vの場合「漏れ電流が無い理想的な半導体で」消費電力は0.81/1.82、つまり45%となり、差分は55%となる。
 次に、漏れ電流は一定であり電力は電圧にのみ比例するので、以下の式が成り立つ。
 最後に、アイドル時は漏れ電流のみが流れるものと仮定して、以下の式を解く。

 144W=漏れ電流×1.35v+クロック比例消費電力+CPU以外の消費電力
  90W=漏れ電流×1.35v+CPU以外の消費電力

 103W=漏れ電流×0.9v+クロック比例消費電力×0.45+CPU以外の消費電力
  78W=漏れ電流×0.9v+CPU以外の消費電力

 結果クロック比例消費電力は55W@1.4GHz@1.35Vとなるので、漏れ電流はは27A、CPU以外の消費電力は54Wとなる。
 この数字を使って「答え合わせ」をする。

 36W(漏れ電流@1.35v)+157W(クロック比例消費電力@4GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 246W 実測+21W
 36W(漏れ電流@1.35v)+118W(クロック比例消費電力@3GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 207W 実測+11W

 少々誤差が出ているので微妙に修正かけるとどうなるか確認。上記式だけを解くと49W@1.4GHz@1.35Vとなるが、それもアレなので中間取って。

 36W(漏れ電流@1.35v)+148W(クロック比例消費電力@4GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 238W 実測+13W
 36W(漏れ電流@1.35v)+111W(クロック比例消費電力@3GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 201W 実測+4W
 36W(漏れ電流@1.35v)+ 52W(クロック比例消費電力@1.4GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 142W 実測値-2W。

 ・・・この辺りかな。
 まあ真面目に計算するとアイドル時に漏れ電流以上のものが流れているとか電源効率の改善分とかイロイロ計算に入れる必要があるので、これで良しとしましょ。傾向的には間違っていないことが証明出来ました、と。

 で、ここで既に明らかになっているように、CPUは既に125W以上に電力を喰っている。
 といっても、CPU自体がこれだけ喰っているワケがない。そんなに喰われたら即炎上してしまう。
 つまり・・・

 CPU自体に125W喰わせるのにVRMに最低でも173W、ヘタしたら190W近くを突っ込んでいる

 ということになる。ナンですかこの驚異の変換効率。173Wでも効率72%、48Wも熱になってまっせ。

 #仮に190Wなんて言ったら効率65%、65Wも熱・・・65WCPU1コ分ですがな。

 ◇

 以上、うだうだと書いてきたが、自分の中ではこういう結論。

 ・Socket AM3+のVRMはStarsでは高効率で稼働するがBulldozerでは変換効率が相当落ちてしまう。
 ・VRMの変換効率の低下+素の消費電力の高さで、Phenomに比べて消費電力が爆伸び。

 上記使用電力周りを計算すると、Phenom装着時はVRMは効率90%以上で動いていたことになる。
 そもそもそのCPUの特性に合わせて設計されていればこれぐらいの効率は叩き出せるので、特別不自然な数字でもない。

 結局、FXがAM3プラットフォームを引き継いでしまった「負の遺産」は思った以上に大きい模様。
 AM3+のマザーのVRM周りが妙にゴツいのも、それなりの理由がある模様。

 そしてこの数字を見ると、TrinityでFM2に変更せざるを得なかった理由も激しく納得が出来る。
 恐らくAMDも当初はFM1流用を考えていただろう。が、そうした場合VRMの負担が大きく、FXと同じ電力爆喰状態になるか、VRMが激速昇天するか、或いは両方か、というトンでもない事態になったに違いない。
 なので最低限VRMを変更せざるを得ず、そこから「どうせVRMが変更になるならソケット変更しても誰も困らないよね」→「ついでにイロイロ新機軸盛り込みましょ、あぁ互換性考えないってラクで幸せ」ってなノリでFM2になったのではないかと。

 逆に言うと、FXシリーズに特化して従来Starsコアを非対応としてしまえば、実はAM3+でも「AC側のピーク値で従来より50W近く消費電力の低い」マザーを作れる可能性はあるということ。勿論誰もこんなモノ誰も作りはしないだろうけど・・・ね。

 まあ・・・互換性ってのはいろんな意味で大変なもの、というのは業界問わずいろんな場面である話だろうが、何だかなぁ・・・としみじみしてしまいました、とさ。

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FX-8350とSABERTOOTH 990FX R2.0で組んでみた。

 AMD FX Logoさて、前回「イベント行ってきました」レポートに続いて、今回は「FX-8350」+「SABERTOOTH 990FX R2.0」で組んでみました、ということで。
 第一回は「雑感とか」ということで。

 ◇

 取り敢えず、当方の場合、メインPCをCPU+マザーだけ、「お土産」とごっそり入れ替え。

 旧)PhenomX4 II 910e + Asus M4A89GTD PRO/USB3
  ↓
 新)FX-8350 + Asus SABERTOOTH 990FX R2.0

 メモリ(Kingston KVR1333D3E9S/2G ×4)やHDD(HGST DeskStar 7K3000 2TB×2 Mirror)、VGA(Radeon 6450)にNIC(Intel Gigabit CT)は流用。
 ケースもAntec P183 V3なので空間に余裕もあり取り回しもラク。電源はEnhance ENP-5140GH(注:ややくたびれ気味)、CPUクーラーは冷却性能抜群ながら死ぬほど装着しにくいScytheの兜(初代)。
 但しCPUクーラーのファンだけはいい加減ヘタっていたので、安売りしていたGELID Silent12 PWMに交換。

 というワケで、非常に簡単に「載せ替え」は完了。
 電源ON・・・速攻でBIOS画面へ。わお、UEFI。
 昔と比べると随分とグラフィカルな画面で、SATAポートの設定をRAIDに変更。
 SB850→SB950では何も考えずに(このBIOS設定だけで)RAIDがそのまま移行可能なので、ラクなもの。

 そして上がってきたWindows 7 Ultimate SP1は・・・起動直後にがんがんドライバの入れ替えが走り(といってもほぼ全更新になるので時間はかかる)、見事に「使い慣れたデスクトップ」が戻ってきましたとさ。

 実にあっけないというかラクというか、これだけで「CPUパワーが約2.5倍」にパワーアップしましたとさ。

 ◇

 さて、パワーアップして気づいたこと、感じたこと。
 思いつくままつらつらと書いてみますか。

 1)レスポンスが良くなった。

 この辺りが実は一番数値化しにくい部分なのだが、X4の頃と比べると確実に変化した部分。
 まあ単純にCPU力が上がるとこの辺りが変わるよね、ということなのだが、レスポンスが良くなったことについては正直「体感出来る差が出た」ということでびっくり。
 まあ元々Starsコアの中ではかなり低速な2.6GHzなんてブツを使っていたせいもあるかも知れないが、それにしてもだいぶ違う。
 これが世代の差、ってヤツなのかね。

 #以前Trinityの時にもネタにした、Bulldozer系コアの省電力管理の上手さも理由の一つ、なのかも。

 2)マルチタスクに強くなった。

 コア数がモノを言う用途、プログラム(=プロセス)を多数起動する場面では、8コアの威力が炸裂する。
 表で触っているモノの他に裏でイロイロ動いていても、体感速度がなかなか落ちないのがその証拠。
 当方のようにデスクトップは(ウィンドウで)散らかるもの、タスクバーが溢れるのは当たり前、なんて使い方だと、これは結構イイですよ、はい。プロセス数は最低でも3桁が当然だし。

 とまぁ、ここまで書くと「メニィコア万歳」と取られそうだが、オチが付くのであり。

 3)やっぱりWindows7では8コアは・・・。

 以前もネタにしたが、Windows7のカーネルでは「日常では」8コアは持て余していて、4コア分にしかタスクを割り振れない。
 これはタスクマネージャでグラフを見ていればすぐ判る。
 当方のようにプログラムを起動しまくるとか、余程高度にマルチコア最適化プログラムを使用しない限り、8コアの威力を「即」実感するのは難しいな・・・というのが偽らざる感想。

 実際に負荷をかけて実験してみると、Window7(NT6.1)カーネルの挙動として、当初から使用している4コアへの負荷が一定レベル(大体50%~60%程度)を越えるor越えそうになったところで、初めてそれ以外のコアに負荷を割り振る模様。

 #「裏でイロイロ起動していても重くならない」って体感と挙動は理論的に一致しますな。

 逆に言うと、FXの8コアがフルで回らないということは、そもそもそれだけのCPUパワーを必要としていないか、メニィコア非最適化のプログラムだけを起動しているか、というパターンですな。
 まぁ殆どのゲームとベンチが後者のパターンに合致するのだが。

 4)起動が速くなった(笑。

 これは管理人の環境に固有のオチ。
 Win7のx64になってメモリ制限が緩くなったこともあり、管理人のようにイロイロと常駐させている方が悪いのだが、SSD化させなくとも起動が速くなったのでした、ちゃんちゃん。

 ・・・とまぁ、こんな感じか。
 取り敢えず「パワーはあるけど癖もある」というのが換装して数日経った時点の正直な感想。

 ◇

 最後に、SABERTOOTH FX990 R2.0の感想を少し。

 ASUSのセールス担当がウリだと言っていた「TUF Thermal Radar」は確かに嬉しいかも。
 当方のような非OC+窒息系ケース+ファン回転数絞りで静音化、という使い方だと、実際に温度を確認しつつ、ファン速度も連動させれられるのでこれは相当使いでがある。
 実際、ちょっと設定詰めただけで(追加コストゼロで)PCを静音化させることに成功。ファンコンを追加購入せずにここまで出来るのは嬉しいですな。ファン端子の数も揃っているし。

 次に、UEFIのBIOSも一通り揃っていて不便は無さそう・・・だが、ECC関連の項目が有効無効以外ばっさり削られてしまったのは何故。

 その次、USB3.0が多数乗っているのは嬉しいがASmedia(ASUSの関連会社)チップってのは評価が分かれるか。
 ストレージ系では今のところ相性は少ないが、これは単純に低価格USB3.0ケースの殆どがASMedia製変換チップを採用しているからで、VIAやJMicron辺りがもっと多くなってきたらどうなるのかとか、ストレージ以外どうなんだとか、まだまだ未知数な感じがあるのが正直なところ。
 まぁとはいえEtronよりは素直と言われているし、PCIeに余裕があるから問題が起こった時点で「事実上のレファレンス」なRenesasを載せれば良いだけ。

 あとまぁ、ギ蟹は取り敢えず乗っているだけね。PCIeに余裕があるからIntelかBroadcom挿しましょ。

 とまぁここまでは普通に来たのに、最後の最後で首を傾げる展開になってしまった。
 このマザー、PCIeのレーン数割り振りどうなってるの??

 これは当方の中でも未だ整理中というか謎状態なので、もう少し後に気が向いたら別記事に切り出します。
 AsusのGlobalサポートに訊いてみようかしらん。

 ◇

 最後におまけ。
 FX-8350とRadeon 6450の組み合わせは激しくバランスが悪い。
 ゲームをやらなくとも最低でも6670クラスは必須、だと思う。

 #ファンレス7750でも買ってこようか・・・でも8000シリーズ目前という噂もあるし・・・う~ん。

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NUCとLGA廃止の噂から見る、Intelの描く「PC」の姿。

 今回は世間から聞こえてきた噂の軽い話でも。
 それは「2014年自作PC終焉」との話。

 さすがにこの噂のインパクトは大きいようで、世界中のPC系サイトで話題になっている模様。
 国内ではImpressの記事があるが・・・ん~コレちょっと煽り入ってるような?

 で、この話の本質は別にそんなことにあるワケではなく。
 自作も再びマニアの世界に戻るだろうが、別に終焉したりすることもなく。
 Intelが思い描く近未来の「PC」の姿が見えてきた、ということ。
 そしてそれは現在の「PC」の姿からは少し違うものかもしれない、ということ。

 ちょっとこの辺りを今回は語ってみようかと。
 なお、予め断っておくが、当然ながら以下は当方個人の予想が入っているので、念のため。

 ◇

 まず、ソケットが消える?という件について。

 答えはYesでもありNoでもある。

 Noの部分:Workstation向け、Server向けがBGAパッケージになることは当分あり得ない。

 高価格で高発熱なCPUをBGAにする理由は何もないし、誰も得しない。
 当然この価格帯のマザーボードは発売され続ける。Supermicro・Tyanは専業だし、サーバ事業セグメントを持つASUS・MSI・Gigabyteも当然商売を継続するだろう。
 エントリサーバ向けに低価格のソケットCeleronやソケットPentiumが「数種類だけ」残るのも確実だと思っている。

 #但しこの辺りはヘタするとBGAパッケージを変換基板に載せたものになるかも。

 そして、現在の「ハイエンド自作」はこの製品ラインに吸収される。
 このクラスに限れば、マザー・CPU・クーラー・メモリ・VGA・ストレージと選んでいくスタイルは当分変わりそうにない、変わる理由も無い。

 Yesの部分:低価格CPUは全てBGAパッケージに移行していく。

 一方、Intel製CPUの低価格~ミドルレンジまでは基板直付のマザーばかりになっていく。
 マザーメーカは減少し、マザーのラインナップもがっつり整理されてしまう。搭載CPUを選べばマザーの装備もほぼ決まる、というような状況になると思われる。
 これは「自作の楽しみ」が減るということでもあるし、もう一つ、実は大きな変化の要素を持っている。
 それは「フォームファクタのスタンダードが変わる」ということ。

 ◇

 ということで、次に話はフォームファクタへ。

 現在、PC自作といえばATXが主流。拡張スロット7本のの規格。
 この規格が制定された当時にはUSBなんて影も形もなく、爆熱CPUもGPUも存在しなかった。
 何かしようと思えば拡張カードを挿す以外の選択肢は無く、だからこそこのスロット数が歓迎された。

 ♯ちなみに丁度ATX移行期に一大ヒットとなったCeleron 300Aは素の状態でTDP 19W、一世を風靡した450MHz駆動でもTDP26W。
  現在そこらのA4ノートのCPUがTDP45Wとか35Wだったりするので、隔世の感が…。

 ところが時代は流れ、今やオンボードとUSBで大抵のものは何とかなってしまう。
 こうなってくると「そもそもこんなに大きい必要ないし」なるのは自明の理。

 こんなに時代に花開きつつあるのが、VIAが提案し育ててきたMini-ITXというフォームファクタ。
 拡張スロットが1本だけ(というか製品によっては存在しない)という、昔なら冗談でしかなかったような構成だが、実際問題として大多数はその1本のスロットすら空きのままで使用されている。ATXと比べ物理的にコンパクトで取り回しも良く、価格も既にこなれてきている。

 そしてこのMini-ITXこそが、現在の流れのまま「自作向け」オンボードCPUマザーのスタンダードになると個人的には思っている。
 このクラスのCPU処理能力を求める人の大多数は、大量の拡張スロットやメモリスロットも必要としていない。
 だったらコンパクトなこのサイズで十分。マザーメーカも作り慣れてるし。

 ♯極一部、比較的高価格帯の中にはCPUオンボードのMicroATXサイズのマザーも出てくるのでは。

 ◇

 ところでこのMini-ITX、一つ特徴がありまして。
 それはATXとの物理的にも思想的にも互換性を保っていること。

 物理的に言えば、殆どのATXケースに取り付け可能だし、電源もATX電源のまま。
 そしてさらに思想的面では、HDDは3.5インチのドライブベイに取り付けるもの、CPUには大きなヒートシンクが付くもの、なんてのも。

 ♯この辺りの互換性こそが、Mini-ITXが自作市場で受け入れられた大きな要素だと個人的には思うけれど。

 ところが時代は既に色々と変わってきている。
 個人使いに十分な容量のSSDは小っちゃな基板の上に収まるし、電源だってACアダプタで十分、CPUのヒートシンクだって小型のものがある。

 こうなってくると、Mini-ITXに込められた「互換性」こそが「足かせ」になっている、とIntelは言いたいのかも知れない。
 「今こそATXの呪縛から解き放たれる時だ」と。
 Intelは昔からこのテの「レガシーを切り捨てる」ネタが大好きなのは有名な話だし、また出てきたその病気?思想?が具体的に形になったのがNUCなのかな・・・なんて。

 ♯結構爆死もしてるしね。IA64とか、BTXとか…。

 ◇

 何れにしろ少なくとも国内においては、机の上や机の横で存在感を主張するPCは、既にマニアと特定業務従事者だけのものになりつつある。
 一般の人が買う「デスクトップ」PCはAIO(ディスプレイ一体型)か、それこそNUCやMacMiniのような小型なものに限られていく。

 そんな時代の流れと「PC」の変化を再認識することになったのが、今回の噂でしたとさ。

 とはいえ、個人的には低価格なソケットCPUや関連パーツが2014年に消えて無くなるとは思っていない。
 Intelと台所事情が違うAMDはx86を続ける限り低価格ソケットCPUは捨てられないだろうし、何だかんだでIntelもラインナップは大幅に整理しつつも結局ソケットCPUを出し続ける可能性は高いのではないかと思っていたりする。

 ま、結局何が言いたいかというと、やっぱPCは自作がイイね、ということでしたとさ(何だそれ。

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続続・再びAMDの「ブロガー勉強会」行ってきて、技術話に萌えてきた件。

 AMD FX Logoさて、余りにも長過ぎたので3本目になってしまいましたが。
 前々回「個々の内容は次エントリに持ち越します」と書いたネタ、後編。
 ASUSセールスのセッションと、最後のゲストトークについて。

 ◇

 三番目、ASUSのセールス担当によるアピールタイム。

 まずは「少ないけども明確な方向性を打ち出したマザーを取りそろえてます」というラインナップの話は横に置いといて、ASUS製品独自の機能「USB BIOS Flashback」について。
 いやね。この機能の説明を初めてWebで見た時、ホントに思ったんですよ。「これが欲しかった」そして「何で今まで無かった」。

 当方はOCマニアではないのでOCでBIOSを吹っ飛ばすことはまあ無いのだが、困るのがCPUアーキテクチャやリビジョンが変わった時。必要な時に必要なCPUと必要な環境が手元にあると思うなよ・・・というのは、ある程度濃い自作erでは分かるのではないかと。

 そんな中、正に「究極のBIOS復旧機能」なのがコレ。CPU不要、メモリも不要。電源とUSBメモリがあればBIOS強制上書きが出来る。ステキ過ぎる。
 勿論、OCでBIOS吹っ飛ばしたような場合でも復旧出来る。

 仕組み的にはオンボードに載せているシステム管理用のマイコンにBIOS Writerの機能も持たせてみました、というところ。
 濃い自作er以外にもWhiteBoxを出しているSIerには相当ウケると思うんだが、世間の評判はどうなんだろうね。自分的には感涙モノなのだけど。

 そしてこの後は今回の「お土産」、SABERTOOTHシリーズのアピールとか。

 まずは部品にも品質チェックにも良いモノを使っています、という話。品質チェックにサーバ用コンポーネントと同一基準を使っているというのは、サーバ用でもOEM/自社ブランド含めて実績のあるASUSだからといったところか。
 次、セラミックコーティングで表面積を稼いでいるヒートシンクは実際冷えまっせ、というのは「へー」としか。セラミックコーティングと言われるとフライパンしか思い浮かばないのだが、実際効果があるなら面白いですなコレ。

 最後に、オンボードに多数の温度センサを配置してあって、それがWindows上から監視出来ます&ファン制御と連動出来ますという「TUF Thermal Rader」機能。システム温度の監視が出来れば最適なクーリングも出来るということで、これは中々面白いかと。着想自体はサーバでは当たり前のコンポーネント温度監視辺りからかね。

 とまぁここまで製品のアピールをやって、最後にASUSブランドとしてのセールスアピール。
 「ASUSはTCOを推進しています」

 法人相手にこの話をしても「何を今更」という感じでウケないそうだが、DIY市場に向けてもアピールしています、とのこと。
 とはいってもDIY市場に向かってTCOといってもキーワードとして通じにくいだろうなぁ、と思う正直。余りにもビジネス臭いし。
 ということで、もう少し簡単に言ってしまうのはどうだろう。要するに

 「安物買いの銭失いをする前に、ちょっと高いけど高品質で安心のASUS製品を買ってね。後々のことまで考えたら結局お買い得だから」

 こんな感じ?。
 まあ「安かろう悪かろう」を選べるのも自作の楽しさの一つではあるのだが、そっち方向は現状でも選びたい放題なので(ぉぃ)、ASUSには是非カタい商売を続けていただきたいところ。

 まあこんな感じで、セッションが終わって質疑応答になったので、以前から思っていた件を一つ要望として出させて貰いましたよ。
 それは「説明書にブロックダイアグラムを入れて」ということ。

 昔はASUSも含めて殆どの会社のマニュアルには必ずブロックダイアグラムが載っていたのだが、最近では逆に載せている方が少数派。
 主としてオンボードデバイスやスロットの「ぶら下がり方」を確認するのが目的で、購入前にはこれを見てマザーの選択したり、購入後はどのスロットに拡張カードを挿すか検討するしたり、場合によっては拡張カードの種類や採用チップを検討するのにも必須なのだが。

 #勿論、購入後にWindows等のOSを入れてしまえば接続方法は調査可能だけど。

 この件についてのセールス担当者の回答がはっちゃけまくっていたのでその部分は飛ばすが、要するに大人の事情ってヤツで意図的に載せてない、今後も載せるのは相当難しいとのこと。なんでこんなことになってしまっているかというと、ユーザが確認したい「オンボードデバイスやスロットのぶら下がり方」そのものがメーカのノウハウとなってしまってるから、だそうな。

 確かに言われてみれば、IntelのメインストリームCPUは直結PCIeが16レーンしか無い、しかも分割は2本のみにも関わらず、何故かオンボードデバイスてんこ盛りなマザーの多いこと。あの帯域のキツさで大量のオンボードデバイスをどうやって振り回すか、についてはノウハウ必要だよね・・・確かに。

 #普段自分がチェックする範囲とは完全に反対方向なので気づかなかったよ。
  スループット・コンピューティング信者には広帯域バスは必須でございます。

 勿論要望としては伝えていただけるそうなので、まあそういうユーザの声もあるということだけでも知って貰えれば。

 ◇

 最後、TGNのMatsujun氏による酷使PCあるある話。

 そもそもeSportsになんて言っている時点で既にPCは全力でブン回しているのだろうなとしか思えないが、ゲームをプレイしている裏で(動画保存用の)録画して(放送用の)エンコード回して・・・なんてのはもう完全に「酷使」の状態。
 しかもこの上、LANPartyやったり、或いはスタジオにPCを持ち込んだりするとなると、スポットライトがガンガン当たって温度急上昇、なんて状況にもなっていたりするそうで。

 で、まあ当然といえば当然な気がするが、こんなことやってると大体1年でマシンが不調になるそうで。
 そりゃそうだわなぁ・・・メーカにしても想定外だろそんな状況でブン回されるのは、とか思いつつ。
 「ASUSのセッションの中で(セールス担当者が)『普通のマザーは3年ぐらいで不具合が出始める』とか言っていましたが、正直絶対そんなに持たね~とか思ってます」なんて発言が飛び出して笑いが起こったり。

 そんなゆる~い雰囲気のトークでしたとさ。

 #つかホントにそんな条件で日常的にPCを振り回しているなら、ASUSは是非TUFマザーを提供して「ホントに丈夫で長持ちします」ってのをフィールド実証して貰えば良いと思った、うん。

 ◇

 ま、今回のイベントレポートはこの辺りで。

 「豪華なお土産」でPCを組んでみたレポートについては、また後で。

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続・再びAMDの「ブロガー勉強会」行ってきて、技術話に萌えてきた件。

 AMD FX Logoこのエントリは前回の続き。「個々の内容は次エントリに持ち越します」と書いたネタですよ。
 ということで、テクニカルに濃いところ、がっつり行きましょう。

 ◇

 二番目はAMD Japanで普段はOEM(=PCメーカね)のテクニカルサポートをやっているという方が登場。
 PiledriverがBulldozerに比べてどう改良されたか、という話を中心に、AMDのアーキテクチャの変遷なんかも交えた話をしてくれました。

 まずは軽く、AMDのコアアーキテクチャの変遷について。
 AMDの屋台骨を長く支えたのはK7から始まるアーキテクチャの流れ。K7(Athlon)をベースに64bit拡張とメモコン統合化したのがK8(=Hammer)(Athlon 64)、それを更にブロック化して各所に改良をかけたのがGreyhound(Athlon X2~Phenom)。ここまでは基本的には「改良」ということで血統が繋がっていたのだが、ここで打ち止め。「革命的」デザイン変更が行われたのがBulldozerアーキテクチャ。

 #ちなみに世間では良くGrayhoundアーキテクチャを「K10」と呼んでいるが、AMD社内ではK10とは言わないとのこと。
  一方、BobcatはNexGenのNx686に発端を持つK6アーキテクチャに近い、と。

 Bulldozerの設計上の特徴は電力効率とダイ面積使用効率を追求し、使用率の低いユニットを2コアで共有すること。
 ・・・まあその初代実装であるZambeziについては(以下略。

 で、Zambeziをベースに細かい改良を積み重ね、IPCで10%改善という数字をたたき出したのがPiledriver。
 この「細かな改良」は具体的に何なのか、という話が本題ですよ。
 さすがにここで全部は書けないが、通しで聞いての正直な感想は「思ったより小規模だな」といったところ。「アンコア」部分(メモコン等)については全く変更ないし。
 だからこそAMDとしては異例の速度でZambeziからPiledriverへ移行出来たのだろうが、逆に言うとこれだけで10%もIPCが改善されるとは、Zambeziって・・・。

 #同一アーキテクチャで実IPC 10%改善ってかなり凄いことなのですよ。

 ◇

 そして一通りの話の後に、質問コーナー。
 ここぞとばかり訊いてみました、はい。

 Q:ボトルネックになっている命令デコーダについてZambeziから改良されているのか?
 A:追加命令対応のみで速度改善は無い。ボトルネックになっていることは把握しているが、ここに手を入れるとマイナーチェンジでは済まないので今回は見送っている。

 AMDの答えはSteamroller(=次世代Bulldozer)でデコーダを演算コア毎に分離するということ、な模様。

 Q:PiledriverコアはOCでの性能伸びが非常にリニアで、当初の設計ターゲット周波数は現行製品より高いと思われるが、ボトルネックはプロセスか。
 A:その通り。

 結局、GF 32n SOIではこの辺りが限界で、GFもAMDも苦労しているらしい。
 OCで性能がリニアに伸びるということはクロックを上げても足を引っ張る部分が内部に無いということで、これはアーキテクチャとしては非常に優秀だということなのだが、高クロックで回すと加速度的に消費電力が上がる特性のプロセスに実装されると(以下略。
 この辺りはAMDも相当シリアスに考えているようなので・・・まあ色々とウワサも出てくるんですな。

 Q:これだけの処理性能だとメモリがボトルネックになる場面が少なくないと思われるが。
 A:本音を言うと帯域はもっと欲しいが、チャンネル数を増やすのはコスト的に無理なのでハイクロックへ引っ張ってる。ハイクロックメモリの規格策定のためにパートナー企業との協力やJEDECへの積極的な働きかけ等を行っている。

 Q:DDR4への移行は。
 A:トレンドに遅れることはない、状況次第では他社に先駆ける。

 メモリ周りの話。本音はやっぱり帯域欲しいそうです。
 そしてDDR4の話で「先駆ける」というのは、現在のTrinityで既にメモリ帯域が限界になっていることを念頭に置いているのかな、と。ソケットFM3?ではDDR4なんて話が見えてくるのかも。

 ◇

 とまあこんな感じで、とっても濃ゆい時間は終了。

 あと、ちょっと面白い話を一つ。

 前回ネタにしたTrinityの省電力管理が非常に優秀だという件。
 これは「省電力はモバイル用CPUの生命線」ということで、AMD Japanの技術スタッフの頑張り分が相当入ってるそうな。
 成る程、Trinityが神経質と言ってもいいぐらい細かく電力管理していた裏には、日本人の芸の細かさというかコダワリというか、そういうものが入っていたのね。

 ◇

 ・・・って、ここまで長くなってしまったので、ASUSのセールスセッションとゲストトークについては次項目へ。

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