本日はHDDのSMARTについてちょっとネタにしてみようかと。
たまに「HDDのSMARTってどれぐらい役に立つの」ということを訊かれたりするのだが、こういう時当方はざっくりこんな感じで答えています。
「まぁ無いよりはマシ程度ですか」
というのも、コンシューマー向けモデルではSMARTの値なんてホント超適当なので。
エンタープライズ向けでは多少は詳しい値が取れるものも多いが、それでも「この数字をどういう風に解釈すれば良いか」ということは、メーカやモデル毎の癖を把握していないと中々難しいことです、はい。
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例えば、一番気になるであろう「不良セクタ数」(0x05)についてだけ見ても、当方が知っているだけで以下のような癖があったり。
あ、当方の経験則というかそんなモノでしかないですよ、念のため。
「意見には個人差があります」ってことで。
#以降「読み取り」「書き込み」と書く際については、発生原因はI/O命令(要するに普通の読み書き)によるものか、ファームウェアが持っている自己検査・修復ルーチンに依るものかと2通りあるのだが、処理そのものについてはどちらでも同一のように見えるので、そういう風に解釈されたし。
◆SMARTの数字の意味が分かり易い例
HGST全般・東芝全般・Seagateエンタープライズ・Samsungのモデルがおおよそこの傾向。
ポイントは0xC5が減るのと0x05が増加するのが同期する点と、実際に訂正不能になる前にカウントされる点で、これを見ていれば劣化の進行具合が確認し易い。
「代替待ちセクタ」(0xC5)増加条件
→読み取り時にエラー訂正の範囲内でも、内部的にエラーレートが一定を超えた場合
→読み取り時に訂正不能なエラー(IOエラー)が発生した場合
「代替待ちセクタ」(0xC5)減少条件
→不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合
「不良セクタ数」(0x05)増加条件
→不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合
◆SMARTの数字の意味が分かりにくい例
Seagateコンシューマ・WD全般がおおよそこの傾向。
ポイントはSMART上から劣化セクタ数が「消えて」しまう可能性がある(というか実感ではほぼ「消える」)こと、実際に訂正不能にならないとカウントされないことで、これでは傾向把握に役に立たない。
「代替待ちセクタ」(0xC5)増加条件
→読み取り時に訂正不能なエラー(IOエラー)が発生した場合
「代替待ちセクタ」(0xC5)減少条件
→不良セクタに対して書き込みが発行された場合、代替セクタが割り当てられるかどうかは不問
「不良セクタ数」(0x05)増加条件
→不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合
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個人的にはこの分かりにくいSMARTの値もWDを敬遠する理由の一つだったり。
要するに不良セクタで大量にマークされている筈なのに、完全初期化(いわゆる「ゼロフィル」)すると全部「無かったこと」になってしまう可能性があるという。
とはいえ、一昔前のWDはもっと素直に0x05が増えていたと思うのだが。ここ数年のモデルでは明らかにSMARTの扱いがテキトーにしか見えないですわね。
とまぁ以上、こんなこともありますよということで。