カセットで曲を聴いていたあの頃を思い出してみる。

 ふと思いついたので、さくっと組んでみたら再現性の高さに思わず聴き入ってしまったという話。

 さて、時代は良くなったモノで、そこそこメジャーであれば古い曲でも簡単にデジタル音源が手に入る時代になりました。が、同じ曲を聴いても何か物足りない気がすることもあったり無かったり。

 きっとコレは音が妙にキレイ過ぎるからに違いない、ということで一念発起(言葉の使い方が違います)、取り敢えずそれっぽい構成を組んで聴いてみたところ、思った以上に懐かしい感じになったので思わずメモ。

 ・・・あ、レコード世代よりは若いです、自分。お気に入りのMix Tapeを作って聴いていた世代なので。

 ◇

 1)準備するもの

 ・WinAMP
 ・ASIO OUT Plug-in
 ・VST Host DSP Plug-in
 ・Acon EffectChainer
 ・ToneBooster TB Reelbus v3
 ・D82 Sonic Maximizer (Nomad Factory BBE SonicSweet)
 ・Voxengo Tube Amp
 ・Sleepy-Time Records Stereo Channel

 上記のうちBBE SonicSweet以外は全てFree又はDonation Ware。個人的にはBBEこそがキモだったりするのだが、自分のようにBBEに思い入れがある人は珍しいと思うので、そうでない人はテープシミュ+真空管シミュだけでも十分効くかと。更に色々いじりたい人はTube PEQのVSTでも追加でどうぞ。

 ♯取り敢えずFreeでTube PEQなVSTってならVariety Of SoundのBootEQ mkIIはどうでしょう。

 2)セットアップ

 ・VST Host DSP for WinAMPを使ってAcon EffectChainerをロードします。
 ・Acon EffectChainerを使ってTB Reelbus以下の4つのVSTを直列に繋ぎます。
 ・TB ReelbusはプリセットNo.9のCompact Casette、BBEはプリセットの04-VocalsからVox-brightnessをロードします。
 ・Voxengo Tube Ampは初期状態でOK、Stereo Channelは初期状態だとメータが上限に張り付いてしまうのでNormal Levelを下げてみましょう。

 以上で完了です。WinAMPの再生ボタンを押して、懐かしい感じの音をお楽しみ下さい。

 3)解説

 上記で準備したものを上から順番に。

 ・WinAMP

 何がともあれ標準プレイヤーです、はい。

 ・ASIO OUT Plug-in

 WinAMP使いの必需品。Bit-Perfectに拘る気はないが、やっぱりいい音で聴きたければASIOでないと不便。

 ・VST Host DSP Plug-in

 WinAMP使いの必需品2。コレがあればVSTを使って色々遊べるので。

 ・Acon EffectChainer

 WinAMP使いの必需品その3。開発元のサイトからはとっくの昔に消されているが、あちこちにアーカイブされているので入手は可能。
 コレはVSTとDXiを複数接続出来る簡単なVST Plug-inで、WinAMPのVST Host DSP Plug-inにコレを指定することで、複数のVSTだけでなくDXiも経由させることが出来る他、VST Host DSP Plug-inには画面の再描画機能が無いという強烈な欠点を補ってくれる一品。

 ・ToneBooster TB Reelbus v3

 個人的にはテープシミュレータの傑作の1つだと思っている、ToneBoosterのTB Reelbus。もうこのテープ臭さがたまりません、はい。
 しかもこれ、Demo版でもパラメータの保存が出来ないだけで使い放題という。本格的に曲作りにでも使わない限りはDemo版で十分だが、気に入ったらDonation代わりにレジストしましょう。
 取り敢えずのお薦めプリセットは最初に書いたNo.9のCompact Casette。角の取れた音と曲頭の無音部分で聞こえるヒスノイズが郷愁を誘うが、ヒスノイズは要らないというならそれだけOFFにすることも出来まっせ。

 ・D82 Sonic Maximizer (Nomad Factory BBE SonicSweet)

 BBEです、BBE。一時期AIWAがヘッドホンステレオやら激安ミニコンポにやらに搭載しまくったので音楽制作をやっていない人にも非常に微妙な知名度があり、知っている人は知っているかと。実際カセットでは結構効果あったしねアレ。
 勿論現在でも単品のBBEプロセッサは存在するが(中の回路はびっくりするぐらい簡単だったりしますコレ)、ソレのVST Plug-in版はNomad Factoryから発売されています。

 なのだが、実際コレはあのアナログな箱のBBEプロセッサと同じ音を期待するとガッカリする一品なんですわ。確かにBBE効果は出ているのだが、音が妙にデジタル臭いというか角張っているというか。お陰でPROCESSパラメータ(=効き具合)を半分より上には上げられません、自分は。ケバさが勝って聴くに堪えなくなる。

 しかも$高いしライセンス管理も五月蠅いし・・・それでも使っているのはBBEがそれだけOnly Oneということではあるのだけど。それと、つい最近バージョンアップ版が出たのだが、アレどうなんだろ。
 とはいえこの強烈なケバさ、実はTube Amp(エミュレータ)系とは意外と相性が良いので、そのテのと絡めて積極的な音作りにはアリです。個人的には滅多にやらないけど。

 ・Voxengo Tube Amp

 癖が無く使い易い、あっさり風味のFreeなTube Ampエミュレータ。とはいえ真空管の味付けはきちっと出ているので、今回のように最終段にブチ込むのには丁度良い感じ。

 まぁトラックインサート等で強烈な真空管サチが恋しい人は、Freeでなら12AX7エミュを自称するXenium Audio Tube Saturator辺りを試していただければと。これは兎に角色付け強烈過ぎてリスニングには有り得ないと思うが、音作りならばこれぐらいの効き方がキモチイイことも多い筈。

 ・Sleepy-Time Records Stereo Channel

 アナログなVUメータが表示されるFreeのPlug-in。え、アナログメータ欲しいじゃないですか。
 自分の場合WinAMPの視覚エフェクトにClassic Spectrum Analyzerを入れているので、この派手なスペアナとVUメータの組み合わせ見てると幸せになれます。
 更にこれはMSメータとしても使えるので、2つ挿してVU+MSで見てると針がいっぱいで更に幸せになれたりします。

 ♯今回の構成だとTB ReelbusにもアナログVU付いてますが、画面上にアレを占有されると邪魔なので。

 ◇

 どうでしょうか、アナロギ~な音は。自分はコレで数時間ぼ~っと聴き入ってしまいました、はい。

 極個人的には、音圧馬鹿なMixをまろやかに聴くのにテープシミュがここまで効くというのが最大の発見。大抵そういう録音は高音もイヤという程出ているので、テープシミュで多少落ちたとこで全く問題ないし。それでも耳障りなら真空管エミュも挟めばまぁ大抵は大人しくなるし。

 そいや音圧といえば、最近流行の2496なソース売り、全然構わないというかそれ自体は大歓迎なのだが、2496になってまで音圧馬鹿なMixは聴きたくないんですが・・・。
 まぁね、ジャンル的にはPOPSとかその辺りの、所詮は大衆音楽に、ダイナミックレンジを活かした伸びやかなMixってを期待している自分が阿呆なのは分かっちゃいるんですが、それでも、ねぇ。そりゃ全員では無いかも知れないが、そういうMixに堪えうるだけの歌い手なんてそこまでレアでもないと思うのだが。

 ♯勿論フロア向けMixなんかはヘッドルーム限界に迫る音圧GoGo大歓迎ですよ、念のため。

 ・・・おっとっと、話が変な方向に行き始めたので今回ははここまでということで。

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久々に動きのあったクライアントHDD。

 さて、WDから1.2TBプラッタ5枚構成で5TB・6TBというWD緑と赤、更に5年保証のRed Proなんてのが出てきましたよ。
 これでクライアントHDD市場がまた面白い展開になってきたので、ちょっと書いてみます。

 ◇

 まず、5TB・6TBモデルについて。
 カタログ見る限りメカは同一、プラッタ選別で6TBの選別落ち品が5TBの模様。つまり後者は実質的に1TBプラッタだが、4TBモデルより公称速度が1割程伸びているので、トラックの横幅(縦=進行方向=回転方向)を広げて磁力を確保したという方向性か。
 そしてこのモデル、ケースが通称「黒蓋」だというとこで「あぁ無理してるなぁ」と分かる人には分かるかと。これWD流の軸ブレ防止機構で、コストがかかる為にWDが頑張って外してきたという代物。過去には4プラッタ2TBモデル辺りまではWD Greenでも採用されていたが、コストカットで外され、ここにきて復活ときましたよ。

 #某所では音のもじりでこの黒蓋付のケースは「黒豚」とか「豚」なんて呼ばれているらしい。

 そして予価はというと、緑の5TBで¥22K、6TBで¥27K。既に東芝の7200rpm 5TBがアキバでは¥22Kということを考えると、初物プレミアが終われば5TBモデルが¥20K切り、6TBモデルが¥25K切りは目前といったところか。Redのプレミアは1割ぐらいかね(値段の話は全て税別)。
 にしても、このRedプレミアって当初はGreenとの値段差で2割以上あったと思うのだが、現状WDとしてはこれでいいのかしらん。今回Red Proなんて妙ちくりんなモノを出してきたが、これって要するにBlackの選別品だし。

 さて、ここまではWDの話。この後は他メーカの話。

 ◇

 まずは6TBモデルの発表がいつになるのか、なのが東芝。
 現状でラインナップに6TBが存在しない唯一の会社なので。

 まぁ6TBってのがクライアント向だけしか出回っていないならもう少し様子見というのもアリかも知れないが、いかんせん既にヘリウムなHGSTと力業Seagateというニアライン向けの6TB製品が既に出回っている以上、東芝がこの容量重視市場を取りに行かないとは考え難い。

 従って、何らかの手法での6TB超製品は企画している筈だし、その選別落ちや血統ということでクライアント向け6TBモデルも出てくる筈。
 或いはDT01の時と同じように、プラッタを安定させる為にクライアント向けの大量生産を先行させるか。個人的にはコレは結構ありそうだとは思っている。
 まさか6枚ケースを東芝が作るとは思えないし。

 #1TBプラッタがこれだけ安定している以上、実は1.2TBプラッタも量産目前ぐらいにはなっていてもおかしくないとは思うのだが、全く根拠のない妄想なので念のため。

 ◇

 さて、もう一方のSeagateは更にややこしいことに。

 このところSeagateはカタログに載せていない製品を大量に出荷していたりする。
 分かり易いところだと、国内にも来た6TBのデスクトップHDDなんてのもカタログには無いし、LaCie印のストレージ箱には1TBの5枚プラッタ、7200回転なんていう「Desktop HDD」が搭載されていたりする。

 #どちらも「Enterprise Capacity 3.5 HDD」では該当スペック品があるので、選別落ち品だろうとは思うのだが。

 一方で、噂では8TBドライブのアーリーテスタ(=人柱企業)向け出荷を既に始めたとか(恐らく1.33TBプラッタの6枚構成)、今年中に10TBドライブを出すと吠えているとか。前者は兎も角、後者は普通に考えると1.66TBプラッタとなってしまうのでSMRだと思われる。
 何故って、仮に熱アシスト記録だったら多分プレス発表すると思われるし、Seagateの第一世代SMRドライブでは記録密度25%向上を謳っているので1.33TBプラッタを基準にすると計算が合うので。

 #個人的にはSMRに良い印象は全くないのだが。これは後日ネタ。

 一方で、(一般向けでは)世界初のSMR採用ドライブという噂のあるST5000DM000はカタログ上に登場はしたものの現物は未登場という状態で、しかも発売時期のアナウンスすら出ていない。
 だというのに片や1.33TBプラッタのエンタープライズ向け品が出てきてしまうというのは、何だかなぁと。
 普通に考えると、エンタープライズ向け1.33TBが作れるなら、ソレの選別落ち品を1.25TBプラッタにして4枚束ねるだけで、SMRなんか使わない普通の5TBドライブが作れてしまうのだし。更にコレにSMRを適用すれば、6TBドライブも作れてしまうような。

 まぁSMRの件は横に置いておいても、Seagateは大容量クライアントHDDというネタを仕込み終えてて、後は発表するタイミングを待っているのではないか、というのが個人的な印象。

 ◇

 兎にも角にも、いよいよ3.5インチでも理論的記録密度限界に到達してしまったワケで。
 この上の記録密度を目指すなら、恐らく直近では熱アシストを使うしかない。

 そういう意味でも、この後の展開は(今までよりは)面白くなりそうな気がしますよ、はい。

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