RMEがAVBをメインに据えるらしいので、AVB/TSNについてちょっと書いてみる。

 さて、先日国内で行われたRMEのイベントで、これからはAVBに注力するという発言があったとのこと。Music Messe 2018でDigiface AVBとDigiface Danteの両方が発表されたので平行で扱うのかと思ったら、基本AVB注力なのね。

 ある意味非常に理屈臭い会社なので個人的には「やっぱり」という感じなのだが、これでAudio-Over-NetworkはAVBが本命となったと個人的には思われるので、ここでAVB/TSNについてちょっと書いてみますかね、と。

 ♯Digiface Danteは「既存の(「純正品」の)PCIeカードが色々酷いので自分達でもっとマシなもの作った」とかいういろんな意味でアレな発言がRMEの幹部からあったとか無かったとか。

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 まず、AVBとはAVBとは Audio/Video Bridging、TSNとはTime Sensitve Networkの略。

 で、TSNというのは別のオーディオやビデオに限らず名前通り「遅延時間が短く、且つ一定内に保障されないと困る」用途向けの規格。なのでこの上で運ぶものは別にオーディオとかビデオに限られず何でも良いワケなのだが、この仕組みの上でオーディオ・ビデオを乗せる標準規格をAVBという。
 なので、AVB/TSNというのが本来的には正しいと思われるのだが、長ったらしいので最近ではAVBとだけ言う人が多いですな。AVB/TSNの旗手であったMOTUですら最近はAVBとしか書いていないし(初期は、AVB/TSNと書いていた)、ここでも以降AVBと書いたらAVB/TSNの略、ということにします。

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 で、次はTSNの仕組みについて。
 この仕組み、詳しく見ると結構複雑なので、色々すっ飛ばして簡略化して説明しまっせ。

 通常使われるイーサネットは「送ったもの勝ち、早く辿り着いたもの勝ち」という設計なので、ネットワーク全体がガラ空きならまぁ特に問題にならない一方で、混雑してきたら帯域の取り合いになるのであっという間に流れ方がガタガタになります。余程のことがない限り「届かない」ということにはならないのですが、不均一な遅延が発生することは間違いない。
 一方でオーディオストリームのようなものは、常に均等に流れ続けてもらわないと困るワケです。音が飛んでしまいますわな。それなら対策として(ASIOのバッファサイズを増やすように)大容量のキャッシュバッファを付けてやればというと、取り敢えず音飛びにはかなり耐性はつきますが、今度はキャッシュバッファに貯める分の遅延が問題になる。ネットワーク経由だからって10秒前の音しか聞けません、では使い物にならないワケです。

 それではTSNではどうするか。
 ものすごく簡単に言ってしまうと、TSNではネットワーク全体が時刻同期して、周期的に特定の予約された機器間でのデータ通信のみを行うことによって、データが最低の遅延時間で間違いなく到達することを保証しています。

 要するに、ネットワーク全体を時分割多重して使うワケです。ケータイなんかと一緒、みんなで一緒に使っているつもりが、細かい時間単位で見るともの凄い勢いで切り替わりまくっているという。速いもの・強いもの勝ちで弱者は遅れるor潰されるだけだったイーサネットの世界に、革命的変化ですよコレ。

 それでは従来のイーサネットとの互換性はどうやって取っているのかというと、答えは簡単で、「周期的」な時間以外は従来通りの速いもの・強いもの勝ちで転送しているだけ。
 つまり、TSNネットワーク上で普通のデータ転送をやると、周期的に転送が一時停止するワケですな。なので、TSNネットワークで経路予約しまくると相対的に普通のデータ転送がどんどん遅くなるんですな。

 ちなみに技術的に見ると、TSNネットワークではその中のどれかの機器が「ネットワーク構成コントローラー」として指示を出し、他の機器がそいつの言う通りにしてみんなで協調して動く、的な実装になっています。

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 さて、そんな「イーサネットの常識」を覆したTSNなんですが。
 問題はこの「ネットワーク全体の時刻同期」「特定の経路の予約」「周期的にデータ転送」といった諸々の実装はなかなかに面倒臭い&難しいこと。
 この難しさはそのまま価格に跳ね返るワケで、現状では対応ハードウェアのお値段がイマイチお高いトコで止まってしまっているのも、数が出ていないということだけでなくこういう理由もあるんですわ。

 とはいえ、元々このTSNという仕組み、インダストリアル用途や車内通信(CANなんて言う)を睨んで開発された、オープン且つ標準化された規格。上手いこと波に乗れれば乗用車という音楽制作業界とはケタ違いのパイの大きさを持つ商品の構成部品の一部となるため、大量生産によるコスト低下が十分に見込める・・・だろうと。

 更に、実はTSNというのはTCP/IPでなくても使えたり。上記した通り、TSNが保証するのは「エンドポイント(=機器)間で確実にデータ転送を行う」だけなので、別にIPプロトコルでデータ流さなくてもいいのよね、と。
 なので、必要に応じてIPより簡単だったりお好みの手法でデータを送ることも出来るんですわ。要するに、ネットワーク側で面倒なことを全部背負い込んだ代わりに、データを送受信する側から見るとその分ラクが出来る規格なのね。

 実際、先ほど書いた「インダストリアル用途」だとTCP/IPじゃないデータ転送が主流になるという見方もあったりするワケでして。この辺りの(データを送受信したいだけの側から見た場合の)使い勝手の良さも、よく考えられているんですな。

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 以上、確かに現時点ではちょいとお高いし、且つRMEは結局ソフトウェアスタック部分をほぼ手組みする羽目になったなんて噂もあるが、将来性はバッチリ、な筈、のAVB。
 MOTU、Presonusに続いてRMEと強力なプレイヤーが参入し、これからも要注目ですよ、という話でした。

 それでは、本日はこの辺りで。

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結局一般向けRyzen APUはECCサポート無ですか・・・。

 ということですな。
 発売当初から色んな話が飛び交っていたが、結局PRO版以外はECCを殺して出荷しているというのがFinal Answerな模様。

 まぁこうなった以上、当方としてはRyzen PRO 2400Gまたは2400GEがバルクで良いので適正価格で入手可能になることを祈るのみ。1割~2割程度のプレミア&バルク扱は仕方ない、販売店限定でも構わないので、一般ユーザーにも入手可能になってくれないかねぇ。

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 にしても、Pinnacle RidgeではECC殺してはいないし、PRO版ではサポートするという以上、チップ機能上の制約ということではない筈。
 そうなると他に考えられる理由は・・・以下、個人的な推測ですよ、念のため。

 自分的に唯一考え付いたのは、ECC有効化した時のレイテンシ増加を嫌って有効化出来ないようにした、ということ。
 そもそもZenはメモリとコア間ファブリックが同期するアーキテクチャである以上、メモリクロックだけでなくメモリレイテンシも性能に直結する。クロックを上げればバースト転送速度が上がるかも知れないが、伴いレイテンシが縮まなければランダムアクセス性能はそこまで伸びない。この辺りは既に多数で回っているOCベンチマークの結果を見ても明らか。

 で、ですよ。ECCメモリを使っている人ならフツー理解していると思うのだが、ECCを有効にするとエラー検出のためほんの僅かではあるがレイテンシは伸びます。要するにあるブロックのデータが整合取れていることをハードウェアで検出するためには、ブロック内全データがレジスタに入りきるまで待つ必要があるので。全データが揃っていないとエラーかどうか計算出来ないでしょ、と。

 ♯もう一つオマケ、サーバーでお馴染みReg.ECCメモリは更にレジスタが挟まる分レイテンシが伸びます。そういう意味でRyzen ThreadripperでReg非対応にしたのはある意味正解だった思うのであり。

 んで、んでですよ。Raven RidgeはAPUの伝統に則り、メモリ性能が物凄くベンチ値に影響を与えることは
既に多数のベンチで判明しているんですが。
 これがもし、ECC有効にするとそれだけで数パーセント程度でもベンチマーク値に影響が出ることが判明している、或いはRaven Ridgeでは内部構造的にレイテンシ増加の影響が特にGPU側で大きい、なんて構造だったりしたら。
 ライバルのIntelではECCはXeonのプレミア機能、だとしたらこっちだって・・・。

 ♯CPUと違ってGPUの方にはメモリキャッシュが無いか、あっても物凄く小さいことが普通なので、レイテンシ増加のペナルティの影響がデカいという話は「筋としては」おかしくない。

 以上、個人の妄想でした。
 万が一どっかの部分だけでも掠っていたら中々愉快ですな。

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 にしても、最近のIntelの「才能の集めっぷり」が凄い。金満企業だから出来る「力技」ではあるのだが、こういうのって余程のヘマしない限り数年後には物凄い成果が出て来るのが普通なので、ある意味「コスパが非常に良い投資」なんですな。
 ・・・あ、こと買収企業のIP活用の下手クソ具合には定評あるIntelだが、有能な技術者に仕事させるのは決して下手じゃないですよあの会社は。文句言ったらカネで引っ叩いて黙らせるし。

 だから頭抱えてるんですわ、人材活用もヘッドハンティングも下手クソ、そもそもカネもない、大した製品力も営業力も無い癖に偶にプチヒット商品が出ただけで浮かれまくって、気付いた時には既にどん底に落ちている、そんなあの会社の生存可能性がどんどん狭まっているので。
 え、何処のことかって?AMDのことですよ。自分はAMD派であるが、いろんな意味でAMDって駄目だということは言われなくとも骨の髄まで理解してまっせ、えぇ。

♯THIS IS EPYCなんて浮かれまくった動画作っているし・・・あの会社があぁいうことやる時って大体爆死の前兆なんだよなぁ、というのは流石にひねくれ過ぎか?デモデモダッテ、過去実績が・・・(ぉ

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ついに飛んだ、Gibson。

 まぁChapter11なので日本で言うトコの民事再生なのだが。以前ネタにした「8月まで」もたなかったか、と。

 個人的には面白いな~と思って見ているのが、揃いも揃って「ギターが売れなくなった」とかそういう話は飛び交っているのに、こと国内では多角化に手を出して失敗したということがあまりというかほぼ語られていないこと。
 まぁ本業のギターがアレだったのは確かで、巷で言われている「製品が粗悪になったこと」「そもそもギター産業自体がシュリンクしている」という話は排他ではなく相乗だと思いまっせ。とはいえ今回のChapter11の原因は多角化失敗だろと。ギター一本槍でもいずれ撃沈していただろうが、ここまで急激に財務が悪化しなかったでしょうと。

 で、気になるのはやっぱり本体なんかどうでも良くて、巻き込まれていた各社ですよ。

 まず、Onkyoについては既にいろんな意味で関係を断ち切っていたいたのでセーフ、と。持たれている株も比率で言えば現在は限りなくゼロだし、提携も打ち切っているし。

 次にこっちが心配、TEAC。こちらは100%Gibson傘下、とはいえ「直近では」特に何かは無さそう。
 とはいえChapter11ということは「事業の整理・売却も視野」なので、業績が悪くなくても「現金化」されてしまう可能性は十分にある。
 こちらは引き続きWatchしろ、ということですかね。

 ♯まぁ今更TEACを買おうなんて会社は・・・(TASCAM目当てで)inMusic辺りならやりかねんか?

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 最後に、Gibsonが潰しBandLabが拾ったCakewalkについて。

 つい先日「Cakewalk by BandLab 正式リリース」が出ましたよ、と。

 プラグイン系と連携系についてはほぼ全滅(同梱されない)なものの、本体の機能についてはSONAR Platinum相当。EarlyAccess版で問題になっていた日本語表示系のバグも含め、本体のバグ修正も入り、往時の月次リリースを彷彿とさせますな。

 あ、もちろんプラグインは過去に導入済であればGibson傘下時代、Roland傘下時代(さすがにこれは古過ぎてもう無いかな)、のモノがそのまま使えまっせ。
 そういう意味では、SONAR時代からのユーザーから見れば「Cakewalk is Back」かな、と。

 ♯但し一部ではプラグイン導入先フォルダの設定が初期化されてしまい起動時のプラグインスキャンから漏れてしまっている模様。一度手動でフォルダ設定を追加してあげれば問題なし。
  あと、ダウンロードサーバが混んでいるようでダウンロードが途中で途切れてしまうためBandLab Assistantからのアップデートがいつまで経っても終わらないことも。この場合はBandLab Assistantを一旦終了させて再起動、と。

 あとはまぁ、名前が変わっても所詮SONARなんで、そういうことです。

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 とはいえ、現時点ではプログラムのリリースに力点が置かていて、Webサイトを含めてアナウンス等の体裁がきちっと出来ていないことは事実。
 Gibsonから引き継いだCakewalkのWeb Forumのオフィシャルスレッドにはリリースノートや機能比較表があったり、実は「改善要望受け付けます」なんてスレッドも立っていたりするのだが、現状だとForumを覗いているSONARの既存のパワーユーザーにしかこのメッセージは伝わっていない。
 まぁ昨今のWeb企業がアナウンスメントやらの重要性を理解していないワケがない(と思っている)ので単純に手が回っていないだけだと思うが、正直この辺りは早く修正して欲しいところ。

 あと、SONAR本体はこれでどうにかなったものの、プラグインの音源とエフェクトの扱いはこれからどうするか、についてもそろそろアナウンスが欲しいところ。
 一応、VST系については有料で復活させる的なことを匂わせる書き込みもあったりしたが、オフィシャルなステートメントは未だ出ていない。

 以下、個人的な要望。過去のもの全て復活させるのも流石に色々と厳しいと思うので、以下な感じでどうでしょ。

 VST音源:
 ・Z3TA IIとRapture Proを単品売りのVST音源として復活させ、既存ユーザーのライセンスは引き継ぎ。Rapture Sessionは・・・取り敢えず後回しで。
 ・その他のシンセはいい加減古いので捨てる。超個人的には実はRoland Groove Synthの90年代まんまな(「チープな」)音は好物なのだが、多分こういうのは全世界規模で超少数派なので。コレDXiだしね・・・って(Cakewalk by BandLabに付いてくる)TTS-1もDXiなんだよなぁ。

 VSTエフェクト:
 ・Engineering SuiteのCakewalk社製品についてはCakewalk by BandLabの付属品として復活させる。但し付属品は「プロテクト」付で、SONARまたはCakewalk以外からは使用不可。他から使用可能なものは・・・単品売りしてもいいかも?
 ・Boutique Suite、Classic Creative Suite、その他は古いので捨てる。

 あ、当方がRapture Proをこれだけ推すのは「特色あるシンセ」だからであって、正直他のマルチ音源VSTiと真っ向勝負出来るような製品ではありません。念のため。
 いやね、90~00年代のハードシンセに近い(感じだと思う)の何か背伸びした音出してる感がタマラナイんですよ、個人的に。・・・やっぱ伝わらないかなぁ、コレ。

 ♯真っ当なマルチ音源としてはSampleTank3激推ししときます、えぇ。

 逆に、Engineering Suiteは正直モノが悪くないので、このまま無くすのは惜しいなと。コード自体も(比較的)新しい筈だし。
 Boutique Suiteについては64bitなのでまぁあっても無くてもとは思うが、個人的には積極的に推す程の理由は見当たらないなぁと。

 ◇

 まぁ、本日はこんなところで。

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Windows10 UpgradeするとDiskが見えなくなる件について。

 さて、そろそろWindows10 1607(Anniversary Update)についてもサポートが切られるようで。
 忙しいなぁとは思いつつ、基本タダでアップグレードしているんでまぁアリっちゃアリか、というのが当方の感想なのですよ。

 なのだ、が。
 手元にある1607の環境(メインPC!)が、どう頑張ってもUpgrade出来ないという事態に嵌ってしまっているんですな。

 で・・・例の「Upgrade Assistant」がデスクトップに出現してからも、初期の頃はそもそも「インストール完了」まで辿り着かなかったのでエラーが出る度放っておいたのだが。
 先月ついに普通のWindows Updateまで挙動がおかしくなってきたので、キャッシュの削除やらchkdskやらdismやsfcやら特定KBの手導入やらと色々「フルセット」をやったところ、Windows Update自体が正常に完了すると共に「インストール完了、再起動します」まで無事辿り着くように。

 なのだ、が。
 これで再起動すると見えるのは「キーボードレイアウトの選択」画面。
 そう、フツーに回復環境に落ちちゃうんですよ。
 で、ここで何も出来ないので、諦めてリブートすると、Upgrade前のWindows 10に戻れるという。

 ♯これでもこの状態で(USB接続の)マウスとキーボードが動くだけFall Creators Updateはマシで、Anniversary Updateの回復環境だとこのマシンだとマウスもキーボードも動かずこの時点で積みます、えぇ。これって、地味に回復環境もドライバの互換性とか改善しているってことかな?

 で・・・最初の1回は「まぁどっか不具合あったのかな」だったが、その後何度やっても全く同じ状況で進歩せず。そのうち「今すぐUpgradeしろ」の表示がどんどんしつこい&ウザい感じになってきて「いやこっちだってアップグレードしたいのにさせないのあんただろ」的なUpgrade→失敗を何度か繰り返し。
 いい加減付き合うのに疲れてきたんですな。

 で、一体何が起こっているんだ・・・と回復環境でコマンドプロンプト起動してみたところ。

 「あの、プライマリディスクが見えませんが」

 Adaptec配下のWindows10の入ったHDDが見えていないんですわ。AHCI配下の作業場ディスク(非RAID)しか見えてない。
 つまりこれ、起動時にLegacy Adaptec用のドライバが読み込まれていない。これじゃ起動出来るワケがない。

 ・・・そこですか。
 Fall Creators UpdateではLegacy Adaptecドライバが入っていないのか?って、既に手元にある他のFall Creators Update当たってる環境見てもドライバ入っているし、バージョンも同じやん。
 つまりこれ、Updaterのバグだよね。必要なドライバを導入しないという。
 ディスクドライバを直指定して無理矢理読み込ませる方法とか、リブート直前に何か仕込むとか、何か回避法ないんかこれ。

 ということで、未だにFall Creators Updateが当たっていない当方のメインPC。
 いい加減パッチ来なくなるし、さてどうしたものか・・・。

 ♯にしても、普段特に何もしていないつもりなのに、ふと思い出してチェックしてみるとsfcではエラー出ないのにdismで修正が走ること多いなぁ。これウチの環境固有の問題・・・ではないと思うんだけどねぇ。

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RATOCのREX-SATA3シリーズHDDリムーバブルケースをお薦め出来ない理由。

 さて、昨晩、PCパーツの一つが寿命を迎えました、と。
 そのブツはRATOCのREX-SATAシリーズのHDDケージ。以前からシリンダー鍵の調子が悪かったのだが、ついに壊れて回らなくなってしまったのであり。

 それでは交換用のパーツを買って来るか・・・というところで、ふと思ってしまったのですよ。

 「あ~、正直買いたくない」

 いやね、現在のREX-SATA3シリーズって、はっきり言って他人にお薦め出来ない製品なんですよ。
 というかむしろ、自分のように「過去の遺産」として既にHDDケースを所有してしまっている以外ならば本気で「やめとけ」とユーザーの自分をして言わざるを得ないという代物なので。

 ということで、今回は実際にREX-DOCK~REX-SATAの全世代の製品を複数使い続けてきた身として、このシリーズがどれだけ駄目な製品かということをつらつら書いてみる。

 ◇REX-DOCK

 シリーズ第一作、未だIDEの頃。HDDケースもPC側に装着するケージも全てプラ製だったのが特徴。
 アクセスランプ付(全プラ製)のもの、ケースとケージの一部がアルミ製で且つアクセスランプ付のバリエーションモデル(後追いでラインナップ追加)あり。

 当時国内で「安定して供給されていた」HDDリムーバブルケースというとこの他にはOwltechが扱っていた「モービルラック」ぐらいしか無く(輸入モノは単発で入ってくるものもあったが殆どがすぐに店頭から消えてしまうという有様だった)、ある意味ニッチだが確実に需要のあるところを抑えたという感じで、地味にヒット商品に。ぶっちゃけこちらが良かったというよりはOwltechの製品がショボかった(廃熱がロクに考えられていないとか)というのが理由。

 そんなこの製品、実際買ってみたところ以下のような欠点があったのですよ。

 1.全プラ製のケージがヤワく、普通に金属製のケースにねじ止めするとケースの歪に合わせケージ自体が歪んでしまい、肝心のHDDケース(こちらも全プラ製)がうまく入らなくなる。
 ちなみにこの問題、一部アルミ製のケージではアルミ部が固いため歪は少ないもののゼロとはいかず。

 この問題には結局購入者側で対応するしかなく、結局ケースへのネジ固定を3点や2点に減らしてケースの歪から影響を受けないようにしたり、上下のドライブベイに光学ドライブのような丈夫で歪の少ないものを入れてケースの歪を打ち消したりと、設置の工夫が必要に。

 2.ケージとHDDケースの間の「遊び」が結構あってガタつく。一方でSATAコネクタ自体の場所は固定(当たり前だ)なので、HDDケースをケージに入れる時にまっすぐ入れないとSATAコネクタが上手く嵌らないこともある。
 この問題はSATA 6Gbps対応の時にケース側の構造が変わり、結果的に解消されることに。逆に言うとそれまで全く解消せず。

 3.冷却ファンの品質が激安品。これに限らず基本的にこのシリーズは部品の品質がよろしくないのだが、シリーズ最初の製品から一括して激安品質なのがこのファン。
 そもそも40mmファンというブツ自体、ある程度おカネをかけてSanAce等の有名メーカー品を買っても割と簡単に壊れてしまうのに、そこに激安品突っ込んだら・・・まぁそういうこと。当たりハズレが激しくて、当たりだとまぁそこそこ動いてくれるのだが、ハズレだとあっという間に壊れて騒音&ノイズ源に。

 なので、壊れたものは自前で交換していたり。ファン自体は汎用品で問題無いのだが、電源コネクタが通常使われない小型品なので、電源コネクタだけ旧ファンから切り取って再利用が必要。
 それと、実はこの安物ファン、壊れてなくとも電源ラインに漏れて来るノイズが地味に凄かったのよ。これに関しては自分は気休め程度にコンデンサ(=ノイズフィルター)を電源ラインに追加して対応。

 4.シリンダー鍵を押さえ部分が構造的にヤワい。プラのパーツに穴を開けて金属の塊なシリンダー鍵を取り付けていて、シリンダー鍵に回転方向の力がかかり続ける、という構造上、シリンダー鍵の押さえ部分のプラにより硬い金属が力をかけ続ける=プラが削れ&歪んでしまい、そのうち押さえが効かなくなってシリンダー鍵自体が回転してしまうようになる、ということ。

 とはいえ実はこの問題、当時の製品のシリンダー鍵が(現在の製品から比べると)随分と真っ当なものだったので、キー自体が壊れてまともに回らなくなるまではそもそもキーを回すのにそこまで力をかける必要がなく、特に問題にならなかったんですな。
 構造がそのまんまシリンダー鍵が超絶劣化した現在ではこのヤワさが大問題なのだけど。

 5.実はシリンダー鍵のキーは消耗品。使っているとだんだん板厚が減ってきて、更に削れてくると元々平らだったところが凸凹になり、こうなるとキーとして使えなくなるという。
 なので、ケージを複数買ったらキーが何個も手元に残るが、これは捨てちゃ駄目なヤツ、ということで。

 まぁこんなことで製品としてとても「完成していた」とは言えないが、Owltechの製品は更に完成度が低かったりしたので、まぁまぁ悪くないかなとか思ったりしていたワケですよ。

 ◇REX-SATA

 REX-DOCKをPATAケーブルをそのまんまSATAケーブルに付け替えたようなもの。同じく、HDDケースもPC側に装着するケージも全てプラ製。
 そしてバリエーションモデルとして、アクセスランプ付(全プラ製)のもの、ケースとケージの一部がアルミ製で且つアクセスランプ付のものに加え、ケースとケージの一部がアルミ製だがアクセスランプ無のものも登場。
 ちなみにこのアクセスランプ、SATA信号線から取れず、別途マザーボードやSATAカードのピンヘッダに配線が必要だったというなかなかアレな仕様。

 この世代はカタログ上3Gbps対応を謳っていたものの、実際には接点部の信号品質がイマイチだったようで初期の3Gbps対応HDD等では相性問題という名前の「要するに信号劣化でCRCエラー多発」が出まくったという。なので自分はこの時代はマザーボード側でSATA速度を1.5Gbpsの制限して使っていましたな。
 あ、今では3Gbpsで安定して使えまっせ。でもこれ明らかにHDDが新モデルになってHDD側が信号処理が上手くなかったからだわね。

 まぁとはいえこの世代では特に「劣化」は進んでおらず、プラ製で歪みまくるケージも一部アルミ製の製品だとかなり抑えられている(歪まない訳ではない)のも一緒、おかげで一部は手元で未だに現役という。但し冷却ファンについては自分(勝手に=非純正品)に交換しているものもあり。
 後述するようにこの後世代がどんどん新しくなる度に致命的な欠点が増えていくため、ある意味一番マシだった世代とも言える。

 ◇REX-SATA3(初代)

 全プラ製品は無くなり、アルミとプラの組み合わせ構造のみに。そして待望のアクセスランプが標準装備となったものの、冷却ファンの位置が移動してしまったため、初代REX-SATAのプラケースでは実質的に冷却不能になるというかなりアレな事態に。
 またアクセスランプもSATA信号線から取るようになったが、信号線をHDD側のSATA15ピンから取っているため、同じく初代REX-SATAのプラ&アルミケース(=現行製品の「6Gbps対応」アルミ製ケース以外)ではアクセスランプが点きっぱなしになってしまうことに。
 あと、6Gbps対応を謳うも一部のデバイスで6GbpsではSATAリンクが不安定になるという症状も発生。但しこの症状が出る原因はこの製品固有の問題ではなく、単にSATAケーブル上に接点が増えて信号品質が劣化するからであり。そういうデバイスでは安物SATAケーブルや長尺SATAケーブルでも同じ症状が出ていたので割と症状が分かり易かったですな。

 この世代で良かったのはモデルチェンジしたHDDケース。それまでのものより構造が単純化された「ただの箱」に近い形になった分、ケージに入れた時に「ガタつき」が殆ど無くなり、しっかりした装着感と安定感が。最初からこうしとけば良かったのに。
 ・・・なのだが、コレもまた加工精度が悪く、モノによって本体とフタがギチギチだったり緩々だったりというとこがね、もぅ・・・。

 一方でこの世代でそれ以前と比べて一気に劣化したのが「シリンダー鍵」。何を変えたのか知らないが、初代REX-SATA世代に比べて「圧倒的に回しづらい」モノに。ある意味この製品シリーズの生命線とも言える重要なパーツなのだが、あっさり駄目なことに。

 こんな有様なので、シリンダー鍵を押さえている「このシリーズ伝統的な構造上の弱点」部分にモロに力がかかるようになってしまい、初代の頃のような「シリンダー鍵自体が壊れて回らなくなる」よりもずっと早く、シリンダー鍵の押さえ部分のプラが削れ&歪んでしまい押さえが効かなくなるので「シリンダー鍵自体が回ってしまい鍵が出来なくなる」という壊れ方が続発するようになってしまったという。
 同時に、冷却ファンが逝ってしまう前にシリンダー鍵の押さえ部分が壊れてしまうので、冷却ファンが壊れてしまうことを逆説的に考慮しなくとも良くなりました、えぇ(ぉぃ。

 ・・・この時点で自分の感覚値としては「あかんコレ」。

 ◇REX-SATA3(現行)

 初代から構造や部品構成等は変わらない(シリンダー鍵の周りのヤワい構造は勿論そのまま)。但しケージ側の信号線にバッファが入るようになり、一部のデバイスで6GbpsでSATAリンクが不安定になる問題が解決。
 ・・・ここまでやるならそのバッファからアクセス信号貰えば良いのに、アクセスランプの信号線は相変わらずHDDから引っ張っているという。

 で、「構造や部品構成」は変わらないたのが、更に酷くなったのがまたしても「シリンダー鍵」。ある意味この製品シリーズの生命線とも言える重要なパーツ(繰り返し)の筈なのだが、「ほぼ全てが新品の時からまともに回らない」という更に凄まじい品質劣化っぷり。シリンダー鍵部分だけなら「歴代最低記録更新」と言ってしまって全く過言ではない。

 それでは「まともに回らない」の意味はというと、「何か引っかかっているようなトコを力で無理やり回すしかない」ということ。初代REX-SATAの頃のようにキーを差し込んだらするっと回る、というものは見たことが無く、品質のバラつきで「カチャッと妙な引っかかりがある」程度のものから「ぐいっと力入れて押し込まないと鍵が回らない」、更に酷いものになると「キーをまっすぐ差し込んでも動かないので斜めに力がかるようにしないと鍵が回らない」なんてものまで。

 また、恐らくこれはキーの造りが雑なのと関係すると思われるが、キーが少し消耗して薄い部分が出てきたりした途端に全く回せなくなるシリンダー鍵が続発する。消耗しかけた同じ鍵でREX-SATAのケージは全て鍵回せるのにREX-SATA3のケージはほぼ回せないって、これどう考えたって後者の方が「劣化」しているでしょ。しかもケージ自体REX-SATAの方が使用期間が長いので、メカ的なダメージという意味ではREX-SATAの方が行っている筈なのに。

 で、こんな部品の品質なので、前モデルより更に「このシリーズ伝統的な構造上の弱点」部分に力がかかるようになってしまい、結果的にシリンダー鍵自体が回ってしまうまでの時間=製品寿命が更に短くなっているという。

 ◇

 以上、こんな感じ。
 今回ついに壊れたREX-SATAのケージは、そもそも同時期導入製品の半分は既に壊れて引退しているんで、まぁ文句は言いませんわ。

 ・・・でもなぁ。REX-SATA3のケージ買うのはなぁ。
 こんなエントリ書いてしまうぐらいには、嬉しくないんだよなぁ。すぐ壊れるだろうし。

 とはいえ直近では無いと不便で仕方がないので、実際問題として買うしかない。のだけど。
 この「次」はどうするかな・・・やっぱりUSB3.0なHDDケースまとめ買いして入れ替えるかなぁ。

 とまぁ、今回はこんなところで。

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