XTS-AESが漸く使えるようになったのでBitLockerについておさらいしてみた。

 さて、本日はBitLockerのお話でも。

 Windows10 1511では結構あちこちに手が入っているのは周知の事実。
 その中でも、個人的にはかなりの注目ポイントだと思われるのに、世間では全く取り上げられていないネタが一つ。

 「Windows10 1511からBitLockerでXTS-AESがサポートされた」

 漸くというか何で最初から無かったのといか、そういうレベルではあるが。

 これでBitLockerも漸く「世間並の暗号化強度」と胸を張って言えるようになりました・・・のだが。
 これが世間で全く注目されないということは、やっぱりストレージ暗号化なんて世間では全く流行っていないってことよね、コレ。

 一方で、従来Windows8から使われてきたAES-CBCについて、何だか微妙に誤解されているような雰囲気も。

 ということで、今回はBitLockerの歴史と暗号強度の話でもしてようかと。

 ◆

 まず、暗号化ってのは当然ながら強度が高い方がいい。
 但し実際には互換性や処理能力からどこかで「妥協」が発生するので、実際にはこの「妥協」点が適切か、という話になるのですよ。

 ◇

 ということで、まずは初代BitLockerから。
 いわゆるNT6カーネル→Windows Vista~7、2008~2008R2にて実装。

 暗号化モードはAES-CBCで128bit(こちらが標準)または256bit、更にElephant Diffuserが標準で付いてくるが、使用しない設定も可能。

 最大の特徴はElephant Diffuserという難読化(というか掻き混ぜというか)アルゴリズムを使っていることで、AES-CBCにおける攻撃耐性の弱さをこれでカバーしている。
 一方で欠点もElephant Diffuserに存在し、何しろコレはAESのような標準化された手法ではないのでハードウェアアクセラレーションが効かず、結果としてBitLockerの重さの主原因となってしまったと言われている。

 ちなみにこの初代BitLockerの詳細についてはMITのサイトに公開されているMSの論文(https://css.csail.mit.edu/6.858/2013/readings/bitlocker.pdf)にかなり詳しく書かれているので興味ある方は一読を。

 ◇

 次は2代目BitLockerから。
 いわゆるNT6.1カーネル→Windows 8~8.1、2012~2008R2にて実装。

 暗号化モードはAES-CBCで128bit(こちらが標準)または256bitのみ。
 恐らく速度を優先するために、Elephant Diffuserのサポートをしれっと切ってしまったというのが最大のポイント。標準として使用しないとしても選択肢として残すぐらいしておけば良かったのに、サポート切りってどうよ、と。

 さてそれではAES-CBCの何がそんなにマズいのか。

 先程も「攻撃耐性の弱さ」と書いたが、「特定の状況」では簡単に突破して解読出来てしまうのですよ、AES-CBCって。
 しかもこの「特定の状況」、攻撃者は暗号化キーを知る必要が無いという。

 これだけ訊くと「それじゃ暗号の意味ないじゃん」という方、ちょっと待った。
 この「特定の状況」って、攻撃者は暗号化キーこそ知る必要はないものの、それ以外の状況は結構特殊なんですよ。

 その特殊な状況というのは、攻撃者は暗号化キーは知らないが、最低限復号されたデータにはアクセス可能、というもの。
 個人ベースで一つの環境を占有していればこういう状況には遭遇しようがないが、一方でエンタープライズ系で集中鍵管理やっていたり、家族みんなで同じ環境使ってますなんて環境だと想定しうる事態なんですな。
 そのような状況では、例えば権限管理が甘いor突破されてしまうと、本来読めてはいけない筈のデータが読めたり書き換えできてしまったりする可能性があるんですわ。

 これがAES-CBCの攻撃耐性の弱さなんですな。
 エンタープライズでは複数のユーザーが権限を使い分けるなんて当たり前なので、こんな調子じゃとても許容し辛い。
 なので実際に(ディスクの暗号化が必要な)大多数の企業では、サードパーティ製でXTS-AES等の強度の高い暗号化が出来る専用ツールが導入されていたりするんですな。

 逆に言えば、個人が自分専用で使うUSBメモリのようなメディアなら、AES-CBCでも事実上十分な暗号化強度を持っていまっせ。そういう使い方ならアルゴリズムよりもキーの方の強度を心配しましょう、はい。

 ♯いくらAESが突破不能でも、辞書攻撃や総当たり攻撃で暗号化キーがあっさりヒットするようでは元も子もない。

 ◇

 そして3代目BitLocker。
 実装はWindows10 1511以降。WindowsServer 2016でも標準サポートしていると思われるが未確認。

 最大の特徴はXTS-AESを採用したこと。
 IEEEで標準化された暗号化アルゴリズムを採用することで、最近のCPUが備えるハードウェアアクセラレーションを活用してElephant Diffuser以上の難読化を高速に処理することが可能となった上、FIPS等の他の規格にも準拠し易くなったという良いことづくめ。
 勿論、エンタープライズの世界でも使い物になる。

 欠点はというと単純に昔の環境では見えないということぐらい。

 ちなみにWindows10 1511以降でしか使用しない前提ならば、XTS-AESを使用した方がAES-CBCより処理速度が速い上、強度も高いので選択しない理由は無い。
 ついでに言うとデフォルトはAES128のままだが、ハードウェアアクセラレーションが効いている環境ならAES256にしても誤差程度しか処理速度に差が出ないので、そちらに変更することをおススメ。

 ◆

 最後に、実際の設定方法。ポリシーで設定すること可能だが、個人的にはレジストリで。

 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\FVE

 EncryptionMethodWithXtsFdv [DWORD] ←固定ドライブ
 EncryptionMethodWithXtsOS [DWORD] ←OS起動ドライブ
 EncryptionMethodWithXtsRdv [DWORD] ←リムーバブルドライブ

 1 →AES-CBC 128 /w Elephant Diffuser (Vista/7 Only)
 2 →AES-CBC 256 /w Elephant Diffuser (Vista/7 Only)
 3 →AES-CBC 128
 4 →AES-CBC 256
 5 →XTS-AES 128 (W10 1511~)
 5 →XTS-AES 256 (W10 1511~)

 ということになっております。
 ちなみにポリシーで設定する場合の場所はここ。

 グループポリシーエディタ(gpedit.msc)起動
 コンピューターの構成→管理用テンプレート→Windowsコンポーネント→BitLockerドライブ暗号化

 ・ドライブの暗号化方法と暗号強度を選択する(Windows8、Windows Server2012、Windows8.1、Windows Server2012 R2、Windows 10 [Version 1507])
 ・ドライブの暗号化方法と暗号強度を選択してください(Windows 10 [Version 1511] 以降)
 ・ドライブの暗号化方法と暗号強度を選択する(Windows Vista、Windows Server2008、Windows7、Windows Server2008 R2)

 ・・・この翻訳の揺れは何。

 ◆

 以上、本日はこんな感じで。

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勢い余ってAIEP3COMPLETE買ってしまった(後半)。

 さて、先日のXpand!2の¥100ぐらいセールに続き、勢い余ってAIEP3(AIR Instrument Expansion Pack 3 Complete)アップグレードまで¥9Kセールで買ってしまっていたので、レビューという程丁寧ではないが、ざっくり感想をば、その2。

 全体の感想とかは前回を見てもらうとして、以下続き。
 個別タイトルを、独断と偏見に基づき、☆の数で3段階評価。

 ◆

 ・Transfuser – ☆

 Webの説明読んでも意味さっぱり、実際触ってみると「あぁこういうことか」と分かるものの、んじゃそれを説明出来るかと言われるとまた困ってしまうというという、兎にも角にも実に説明し辛いソフト。

 説明っぽく言うと、短いフレーズやループパターンのシーケンサと音源が一体になっていて、キーボード等のMIDIコントローラを使ってリアルタイムにそのパターンや音を抜き差しして「演奏」するというもの。
 一昔前からシンセとか触っている人だと「RolandのMCシリーズGrooveBoxをAIRが解釈しなおしてソフトウェアにした感じ」というと伝わるかも知れない。

 なので、ライブパフォーマンスソフトの一種といった感じ。
 音出していると楽しいのは良いのだが、それ以外の使いどころが見当たらなくて。

 若しくは何となく「それっぽい感じ」を思い出したい時に使うとか。
 プリセットパターンは各種一通り揃ってはいるものの、逆に言うと一通り程度しかなくバラエティに乏しいので、伴奏自動生成ソフトのような使い方には苦しい。
 勿論自分で一つ一つのフレーズやパターンをコツコツ作りこんでいくことも出来るが、一通り組み上げるのはかなりの手間なので、ここにバラエティ豊かな各種音楽ジャンル向けのパターン拡張パックとかが揃っていたりしたら、もう少し違う展開もあったのかなぁとか思いつつ。

 ・THE RISER – ☆☆

 いわゆるシュワーンな音専用の音源。何でこんなもの作ってしまったのか分からんが、音出していると楽しいのよこれが。
 UIも視覚的に分かり易いし、音色の幅もこれが意外と広かったりする。キュルキュルキュルだとか。

 但し、実際問題トラックの中でこの音を使おうとするとEDM以外では相当難しく、個人的には飛び道具として紛れ込ませる程度しか思いつかない。要するに大多数には使いどころが無いという。
 なので、EDMとかでこういう音を多用する人以外は、敢えて狙って買うようなものでもない。

 とはいえ、あったらあったでシュワーン楽しいので、評価やや甘。

 ・DB-33 – ☆☆

 またしてもWizooお得意の、出音の割に軽いというトーンホイール(ハモンド)オルガン音源。

 トーンホイールオルガンの音自体は珍しくはなく、特にハモンドのサンプリングなんて何処にでもあると思うが、一方でドローバーで音作り出来るサンプリングではないオルガン専用音源って本格的なのはそう多くない気が。
 その点、コレはハモンド実機にあったパラメータを一通り備え、ドローバーで音作りも楽しめる。
 個人的にはオルガンの「実機の音」には特に拘りはないので、もうこれで十分な感じ。

 もちろん「物量作戦サンプリング音源」と比較したら「実機っぽさ」では勝負にならないので、念のため。

 ・MINI GRAND – ☆

 またまたWizooお得意の、出音の割に・・・というパターンなのだ、が。これはちょっと。Strike2と同じで「ソツない音」の傾向が明らかに裏目に出ている。

 価格やサンプル容量を考えれば相対的には頑張ってると言えなくもない気もするが、専用音源では2桁GBのライブラリ容量なんて珍しくもない時代。パッキングに混ぜるなら兎も角、メロディ張ろうとすると音の平坦さが気になってしまう筈。

 個人的にピアノの音には結構拘りがあるので辛口評価かも知れないが、傾向的にはWizoo=AIRの生音は全てこんな感じなので、ドラム音の空気を震わす感が好きな人にとってはStrike2なんぞ存在しない扱いなのかも知れないし、オルガン実機の音に拘りがある人だとDB-33が「Hammond B3っぽいの」と名乗っていることすら許せないかもしれない。

 兎にも角にも、他にピアノの音源が無ければ使ってもいいかも知れないが、積極的に選ぶ理由は特に無いかと。

 ・AIR Creative FX Collection PLUS – ☆☆

 最近のDAWって低価格品でも付属のエフェクトが充実してきているのと、フリーでも優秀なエフェクトも結構あったりするので、敢えてここでエフェクト詰め合わせが何で必要なの、とか言われると難しいところもあるが。

 ポイントは、一定品質のエフェクトを一通り揃えられる、というコトかなと。間違いが無いというか。
 悪く言えば無難とも言うが、出自と実績からして相当カタい無難でっせ。

 あるいは「出発点」として丁度良いのではないかと。
 スタートラインに立ったので、後は特に気になるエフェクトだけ単品で仕込んでいくとか。

 ◆

 ・・・後半は何だか全体的に評価低めのものが集まってしまったような。

 以上、こんな感じで。
 次はBlack Friday・・・ぃゃぃゃぃゃ。

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勢い余ってAIEP3complete買ってしまった(前半)。

 さて、先日のXpand!2の¥100ぐらいセールに続き、勢い余ってAIEP3(AIR Instrument Expansion Pack 3 Complete)アップグレードまで¥9Kセールで買ってしまっていたので、レビューという程丁寧ではないが、ざっくり感想をば。

 まずは全体の傾向として。一言だと「あぁWizooだな」と。

 ・物量勝負ではなく出音勝負
 ・シンセの出音が良い割にCPU負荷が軽い
 ・生音もソツなくこなし破綻は無い

 最近の高音質且つリソースバカ喰いなソフトシンセやサンプラーと真っ向勝負ということにはならないが、小回りきいてコスパ優秀といった感じ。
 但しここで言うコスパの前提は完全新規購入の$499ではなく、AIR製ソフトシンセの正規品を1本でも持っていたら使えるアップグレード価格の$149ということにはご留意。

 AIRはアップグレード価格の値付けがおかしいので、最初に何か1本を正規で買って、そこからアップグレードした方が完全新規購入よりトータルでも安くなる。
 例えばDB-33(オルガン音源)辺りだと定価$79なので、これを最初に購入して次に$149でアップグレードすると合計支払額は$239と、完全新規の半額以下で全く同じものが手に入る。
 しかもPlugin boutique辺りではしょっちゅう値引やオマケ付のセールをしているので、それを上手く使えばもっと安く買えることも珍しくない。

 ♯例えばこの記事を書いている時点(2016/10/13)ではAIEP3 Completeのアップグレードを定価の半額セール中で、¥8K以下。自分が買ったときより安いし。
  これだけ先には買えないのでアップグレードの元になる1本を探すと、丁度DB-33が7割引セール中で、¥2.5K。両方買って合計で¥11K以下。ほらコスパ優秀。
  勿論、以前ネタにしたXpand!2も付いて来まっせ。
  一方で例えばXpand!2だけ「単品で」買うと・・・只今定価販売中なので¥11Kぐらいですな。ね、値付けおかしいでしょ。

 或いは、M-AudioやAKAI Pro等のハードウェアにバンドルされたタイトルからも割引価格でアップグレードが出来・・・た筈、確か。自分はそういうハードウェアを持っていないので詳細は不明なのだが。
 但し最近のソフト盛り盛りバンドルなハードウェアだと、アップグレードしてもコスパ微妙になってしまう可能性もあるので、欲しいタイトルがどれだけあるか指折り数えていただければと。

 閑話休題。
 以下、個別タイトルをば。独断と偏見に基づき、☆の数で3段階評価。

 ◆

 ・Hybrid 3 – ☆☆☆

 音の太さ、音色の幅広さ、操作の分かり易さ、処理の軽さ、全てが高度にバランスしているWavetableシンセ音源。
 これは良いですよ。他人にもお薦め出来る。

 Wavetableシンセとして見てみれば、各モジュールの機能が特に凝っているということもなく、モジュール数が多いとかいうことも無い。が、そこは組み合わせの妙というヤツなんでしょう。
 分かり易いパラメータと操作が視覚的に確認出来るGUIの組み合わせで、プリセットから引っ張り出した音の調整も、自分で最初からの音作りも、どちらも捗りまっせ。

 ということで、お気に入りのシンセ音源が未だ見つかってない、手持ちのシンセ音源にピンと来ないなら、是非お試しあれ、と。

 ♯個人的にはここまでいい感じの音源だとは思っていなかったので嬉しい誤算。

 ・Loom – ☆☆

 Additive音源の扱いにくさをどうにかしようとして明後日の方向に走ってしまった感が・・・どうしてこうなった。

 確かにAdditiveならではのキラキラした音が出せるし、独特のモジュール構造で色々な処理が出来るので音作りの幅も広いのだが、引き換えに失ったのは音作りの分かり易さ。狙った音を出すどころか、どういう風に音が変化するのかすら追いかけるのは相当難しい。
 一応パラメータマクロ等でユーザビリティを高めようとしてはいるものの、これまた中途半端な出来で、プリセット音の調整程度にしか使えないなぁという感じ。

 要するに、トラックメイク向きではなく、音作りに凝れる、シンセと戯れてると幸せな人向けの音源。
 個人的にはこういうのも嫌いではないのだが、他人に勧められるかと言われるとムリとしか。

 ・Vacuum Pro – ☆☆☆

 シンプルな造りのアナログエミュシンセだが、その分見た目も出音も分かり易い。その上音も太いので十分使い物になる、触っていて楽しい音源。
 この「触っていて楽しい」ってのは結構重要な要素だと思うんですよ。

 ちなみに真空管全力推しみたいな製品紹介だったりUIだったりするが、基本音はクリーンで、目いっぱいドライブしてもそこまでサチらないのが唯一の不満といえば不満。
 もっとヴンヴンしてくれて良かったんだがなぁ。

 ・Structure – ☆

 Wizooが珍しく物量作戦を繰り出してきたフル機能のサンプラー。
 いわゆるサンプラーに必要な機能一式は漏れなく装備している一方で、37GBもある肝心のサンプルの方に悪い意味でWizooの「ソツない音」力が発揮されてしまっており、これがどうにも。
 悪い言い方すると「つまらない音」なんですわ。

 某社の看板商品のように得意不得意が強烈ということもなく、破綻していることもないのだが、かといって得意な音があったりもしない模様。
 サンプラーに初めて触るとか、音ネタだけは既に大量に持っているというならアリだと思うが、他にお気に入りや馴染みのサンプラーがあるなら乗り換える必要性は感じませんな。

 ・Strike2 – ☆☆

 これまた物量作戦を繰り出してきたサンプリングドラムマシン。
 リズムパターンが一通り入っており、調整出来るパラメータもあるのは良いのだが、19GBもある肝心のドラム音の方がこれまた「ソツない音」力が悪い方向に発揮されてしまっているという。
 最近のドラム音は一昔前の感覚よりもライブ寄りになってきている気がするが、コレは一昔前の感覚のものなので、余計そう感じるというのはあるかも知れない。ポジティブな表現をしても「大人しい」音、ということで。

 まぁこういうものなので過剰な期待は禁物だが、BFDとかADとかの本格的なドラム音源を持っていなければ取り敢えず悪く無いのではないかと。
 ・・・つかStructureもコレもって、要するにWizooってサンプルの扱いは下手ってことだよね。

 ・Velvet – ☆☆

 この出音がこの軽さ、Wizooの持ち味が良い方向に存分に出ているエレピ音源。
 個人的にはエレピの音にはあまり拘りが無いので、もうこれで十分としか思えないという。
 というか、個人的にはコレのおかげで以前から持っていた(有償だがお手軽級の)他のエレピ音源が引退することになりそうなぐらい。だってこっちの音の方が好みなんだもの。

 但しいわゆる「物量作戦サンプリング音源」と比べるとやっぱりというレベルなので、エレピの実機の音に拘りのある人は他を当たって下さいな、と。

 ◆

 ・・・とここまで書いたところで思ったより長くなってしまったので一旦切り。
 続きは次のpostで。

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さよならCloudFogger、こんにちはBoxCryptor。

 さて、以前から「まだ死なずに済んでいましたか」という感じだったローカル暗号化ソフトCloudFogger、3月にいよいよ命運尽きていたんですな。
 とはいえローカルで使っている分には特に困っていなかったものの、いい加減メンテナンスもされていないソフトウェアを使うのも厳しい。

 ということで、乗り換え先を探した結果、結局BoxCryptorに乗り換えました、という話。
 以下いつものようにぐだぐたと。

 ◆

 ぶっちゃけこのテのソフトは今整理統合の真っ最中というか続々と力尽きているというかそんな感じなのだが、選んだ理由は以下の通り。

 ・まともに会社としてやっていく気がある
 ・ローカル専用暗号化が使える

 こういう言い方はアレだが、CloudFoggerの最大の失敗は「まともに会社としてやっていく気が無かった」ということではないかと。
 純粋にプロダクトがどうかと言われると、そんなに悪く無かったと思うのよね。

 一方で、そこらのサービスで暗号化は出来ていても、当方が大好きな「ZKE」ことZero Knowledge encryptionが本当に実装出来ているかと言われるとこれが実は非常にレアだという。
 理由は簡単で、本気でZKEを実装すると結構手間な上、ユーザーから見ると不便になるという。
 なので大概のこのテのサービスではこの辺りはゴニョゴニョと誤魔化しているんですな。
 この辺りを一番簡単に解決する方法は、そもそも暗号化キーを外に出さないこと。
 ローカル専用で(正しい強度を持つ)暗号化を使えれば、クラウドサービス側から見れば完全なZero Knowledgeになるので、突破は事実上不可能になる。

 ということで、上記要件を満たしたソフトの中でたまたま目についたのが、BoxCryptorだったという。

 このソフト、ZKEを標榜していて暗号化の仕組みも結構詳しくWebサイトに載せており、この通りの実装がなされていればオンラインアカウントを使ってもそれなりの強度は持つものと思われる。
 とはいえ折角ローカル専用暗号化が使えるので、ソレを使います、と。

 UIは仮想ドライブを作成するという、古典的で分かり易い方式。
 キーファイルを予めローカルでコピーすれば使いまわせるので、自分専用の特定デバイスでのみファイル共有が出来ればいいのであればこれで十分。

 一方で、フリーで使える機能は意外と限られており、Dropbox・Box・OnDrive・Google Drive等の中から、特定のクラウドサービス1つだけ。
 複数のサービスを使いたければ年39$払いなさいな、というビジネスモデル。
 CloudFoggerは基本的に個人使用は無制限でタダだったので、複数のクラウドサービスで使いまわしている人では直接的な代替ソフトウェアにはならないのかも知れないが、自分的にはこれで十分だったので問題無し、と。

 ♯この値付けがまた高過ぎないが安くもないという、実に微妙な感じだったりするのだけど。

 ◆

 とまぁ、こんなところで。

 ♯ZKEといえば、Wualaは撃沈したけどTresoritはフリーミアムモデルで生き残ってるよね、そいえば。SpiderOakは微妙に看板架け替えて完全有料サービス化したけれど。

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いろいろとおあずけが続くHDD。

 さて、久しぶりにHDDの話でも。
 といっても最近新展開もなく、正直全然面白くないんですが、まぁ定期ネタということで。

 ♯Seagateが10TBをいきなりあの値段で出すとは正直思っていなかった、ぐらいか。

 ということで、最近ではSSDに押されまくって全く面白い展開の無いHDDの、ここ数年の展開見込みを見てみましょうか。
 勿論当方の予想が多分に入っているので、その辺りはご理解下さいな。

 1◆容量単価はもう(暫くは)下がらない

 理由はというと、垂直磁気記録の限界だからです、はい。
 今までの容量単価の低下は、極論言えば物理的な構造をそれ程変えずに詰め込めるデータ量が増えていたことによって実現されていたもの。
 もうこれが限界なんですわ。
 これ以上容量を増やそうとしたら、物量で行くしかないんですよ。つまり原価が下がらない=価格も下がらない。

 後継と目されていた熱アシスト記録については、テストプロダクトとしては完成しているものの、製品として売り物になるレベルに達しているかと言われると、という状況のようで。
 長時間動作時のメカの安定性、加熱冷却を繰り返すことによるプラッタの耐久性、部品のコストとクリアすべき問題は未だ多く、揚げ句には現在のところ垂直磁気記録に比べてそこまで高い記録密度が実現出来ていないという話まで。

 こんな状況なので、仮に熱アシスト記録の製品が出てきたとしてもそう簡単に容量単価が下がることになるとは思えない。

 結果として、当分は容量単価の低下は見込めないということです。

 2◆3.5′ HDDの容量は12TB~15TB程度で一度頭打ちになる 

 これまた理由はというと、またしても垂直磁気記録の限界だからです、はい。
 ヘリウム詰めでプラッタを増やすことに成功して容量を増加させたHDD業界なのだが、もう記録密度は限界。

 とはいえ実際問題として高密度化の要求は強く、それに対するHDD業界の答えは「プラッタを増やす」。
 既に9枚プラッタ量産の方向性は示唆されており、技術的なハードルはほぼクリア済な模様。
 つまり、あとはいつ量産開始するだけの根性があるか。
 恐らく来年には9枚プラッタ品のアナウンスはあるかなぁと個人的には思っているのだが、さてどうなる。

 ♯現在の7枚プラッタですら正直詰め過ぎな気がするので「うへぇ」という気もするが、他に選択肢が無いんだから仕方ない。

 一方で、それ以上のプラッタ枚数はと言われると、現在のところ目途が立っているという話は無い。
 物理的にもいい加減厳しいと思われるので、そう簡単には9枚以上に増えることにはならないと思われる。

 以上を総合すると、9枚プラッタ×1.43TB=12.8TB、SMR使って色々頑張っても15TB、この辺りで「頭打ち」が来るのではないかと。

 この頭打ちを解消出来るのが熱アシスト記録なのだが、前述したように技術開発が遅れている上、なまじ従来型記録の容量が上がってきてしまったので余計ハードルが上がってしまっている。
 結果的に「9枚プラッタ発売後、熱アシストが出るまで」は容量頭打ちになるのでは、と。

 3◆そもそもHDDの将来が怪しくなってきた

 HDDって所詮精密メカなんで、開発費も生産ライン構築費も馬鹿にならんのです。ドカンと投資してコツコツ回収、このビジネスモデルは正直しんどい。
 だから各社が撤退して今残っているのが3社だけという状況なんですわ。

 一方で、SSDの方が予想を上回る速度で密度を上げてきており、既に単純な記録密度ではHDDを上回るところまで来ている。
 勿論フラッシュメモリの方の開発費も生産ライン構築費もバカにならないというか、正直トンでもないカネがかかっているのだが、こちらの方が何しろ量が出るのと、「半導体」という大きな括りの中の製品の一種ということで、相対的に見れば各社の費用持ち分がうまい具合に按分されていて、結果的には潤沢な投資がされている。

 そして今、HDD生き残りの頼みの綱のエンタープライズコールドデータ用途まで、このままSSDの値段が下がればテープ+フラッシュのハイブリッドか、それとも単純にSSDか、みたいな未来が見えてきてしまったんですわ。
 QLCのような多値セルは価格と引換に速度も耐久性も落ちるが、コールドデータ用途なら信頼性さえ確保出来れば他は問題にならず、ストレージとしての信頼性ならメモリチップより上位のレイヤで担保する方法はいくらでもある。更にランダムアクセスでも速度がそこまで落ちないSSDを前提とした重複排除やデータ圧縮技術も日々進歩してきている。これらは全てSSDの容量単価を下げる方向に働いているので。

 勿論、フラッシュに関しても既に記録密度の問題にブチ当たっていて、3D化というのは言うなれば容量拡張の最後の手段。容量無限Upみたいな話はフラッシュ見てても何処にも無い。
 が、いかんせん物理的なサイズが全く違うことと生産量の桁が違うことで、量産効果による価格低下がハンパないことに加え、世間ではデータ記録の需要が減少するどころか拡大する一方。特定のモデルがニーズにハマるかとうかは横に置いといて、全体としてのフラッシュの需要が萎むなんてことは考えにくい。

 こうなってくると、そもそも高いカネかけて高密度なHDDを開発してソレ元が取れるの、という根本的な問いが、いよいよもって現実味を帯びてきてしまったのですよ。
 さて、HDD生産3社はこれからどうしますか、ね。

 ♯熱アシスト記録の製品化が遅れている理由の一つとして「そこまで開発にカネかけてない」なんて話すら出てくるぐらいなので。

 ◆

 以上、こんな感じで。
 自分で書いていても何だかなぁという感じですが、大きく外してはいない筈。

 一昔前には「2020年には3.5’HDDの容量は40TB」なんて話もあったんですが、まぁ無理だろうなぁ、せいぜい半分あれば御の字でないの、というのが個人的な意見です、はい。

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