Llanoで再び表面化した、統合グラフィックスの決定的弱点。

 一言でまとめ:メモリ帯域が圧倒的に足りない。

 さて、漸く正式発表されたFusion AシリーズことLlano。
 とはいえ、肝心の採用製品のアナウンスが全然出てこないトコと、あちこちに撒かれた評価キットの評価結果を見る限り、未だドライバやBIOSといった部分については製品の「レベルに達していない」様子が見え隠れ。

 #つかデスクトップ版のLlanoの発表が後ろに倒れた理由ってのも、本音はこっちだったりして。AMD曰く供給キャパ不足、世間の噂ではクロックが上がらなくて、ということになってはいるけど。

 しかし、そんな状態のベンチマークでも、どう頑張っても隠し切れない現実が、ついに白日の下に。

 ・・・圧倒的にメモリ帯域が足りてないやん。

 CPUコア側についてはいわゆるStars=K10.5コア(Athlon III X4とでも言いますかね)なので、数字は大方想像通りというか。このコアとこのメモリ帯域不足な状態で、しかも電力も絞っておいてここまで頑張ったんだからそんなに悪くはないのでは。

 #一部ではボロクソ言っている連中も居るようだが、Starsコアの最終完成形って言っていいと思うよ、これは。

 一方、大問題はGPU側。従来型Radeonのアーキテクチャそのまま(Redwood)なので、これまたある程度は性能予想が付くのだが。
 これがどう考えても実効性能が圧倒的に低いんですな。明らかにボトルネックが存在する。そしてそれは間違いなくメモリ。

 そもそもLlanoに統合されているRedwoodコアは、単品(HD5670)では128bit/GDDR5@1GHz、若しくは(HD5570)128bit/DDR3@1GHzのメモリを使っている。GDDR5ってのはバースト転送時にDDR3の倍の転送速度が稼げるので、PC風に言うとHD5670のメモリはGDDR5-4000、HD5570の方はDDR3-2000。

 そんでもって、既にベンチ等でお馴染みの通り、GPUを振り回す3Dゲーム等を起動した場合、5670と55570ではコアクロック差以上に明確に性能差が現れる。特に高負荷時は性能差1.5倍などという強烈な差が出るのだが、この差を生み出したのが正にこのメモリ帯域差、だったワケで。

 #これだけの性能差があるのに値段差は少ないので、結果的には自作市場では5570は割といらない子扱いだった訳で。
  性能見る人は5670、値段見る人は5450買ってたからね・・・。

 ・・・で、LlanoではこのGPUコアにDDR3-1333、しかもCPUと共有、なんてメモリを繋いでしまっているワケで。
 なんというか、ある意味GPUが不憫というか、そもそもCPUもGPUも不幸というか。

 というか、AMD的には790GXの時には既に「GPUとCPUのメモリ帯域が」というのは見えていたのであり。780Gから採用されたSidePortなんてのはこの帯域不足に対応する、正に「力技」だったワケで。

 ところが今回はGPU側が圧倒的にリッチになってしまったため、もう既に打つ手無しといったところ。
 今のところPC用で真っ当な品が手に入るのはデスクトップ用でもDDR3-1600、ノートではDDR3-1333が上限なんですから。

 ◇

 とまあここまで言っておいて。

 逆に言うと、デスクトップ版Llanoでは、メモリ帯域さえ確保してあげればもう少し性能向上が見込めるのではないかと。
 今のところOCメモリしか無いとはいえDDR3-1866程度ならそんなに入手性も悪くないし、DDR3-1333なんかと比べればGPU性能にそれなりの差が出る筈。更に超OCメモリで良ければ、DDR3-2133なんてのも売ってはいるし。
 そういう意味では、メモリOCが露骨に常用パフォーマンスに効いてくる初めてのプロセッサ、かも。

 #メモリモジュール屋さん、商売のチャンスでっせ。

 デスクトップ版Llanoの発表日は6/27~7/3というのが最近の噂。
 さて、どうなることですかね。

 #でも65W版が遅れそうってのは・・・う~ん・・・。

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