PiledriverなFXの立ち位置は。(続続・FX-8350とSABERTOOTH 990FX R2.0で組んでみた。)

 AMD FX Logoさて、前回の記事でFXシリーズの電力爆喰いの謎はほぼ解けたと思っている。
 それでは最後に、事実を踏まえて「PiledriverなFXシリーズの立ち位置」ということを考えてみますか。

 ◇

 まず、実際にFX-8350というCPUを使っていて思うこと。
 世間で言われている程悪いものではないよ、コレは。

 8コア構成はベンチ数値より体感が優秀だし、多数の一般ユーザには十分なパワーとレスポンスがある。同価格帯のIntel Coreと比べても総合性能で遜色はない。
 そして全力で振り回すと電力爆喰ってのも事実だが、省電力管理のお陰で平均消費電力はだいぶ抑え込まれているのもまた事実。デスクトップユーザが8コアを全力で振り回す時間が果たしてどれだけかと。

 #そもそも当方は元々910eなんて「低消費電力版」CPUを使っていた人間なので消費電力と騒音には結構うるさい方だと思うが、それでも「125Wって額面の割には普段は大人しいもんだ」ってのが正直な感想だし。「普段は」ね。

 とはいえ、24時間365日全力駆動なバッチメディア変換系や演算サーバのようなものには、FX向の最適化でもされていない限りは向いていないですな。要するに消費電力・発熱量・絶対性能って辺りがクリティカルな問題になるケースね。
 まあでも・・・そもそもそういう用途には最初から選ばれないよね、実際問題として。

 ◇

 とまあここで、ちょいと視点を変えまして。
 同じPiledriverコアを採用しているTrinityが、世間で好評価を得ているのは何故だろうと考えてみる。

 ・高性能なVGAと統合することで圧倒的なコストパフォーマンス=おトク感を演出
 ・電源周りも新設計とすることで電力爆喰い状態を回避
 ・K型と65W版との2系列、更に超低価格版も揃えて幅広い層にアピール
 ・プラットフォーム刷新で過去の評価を引き継がず、イーブンからスタート

 この4つがキーとなり、Piledriverコアを採用することも大きなハンデとはなっていない。
 ここで重要なのは最初の「おトク感を演出」と3番目の「幅広い層」の部分だと思われる。

 同じ着目点でFX-8350を捉えてみると。

 ・8コアというお得感を打ち出すも従来形ベンチの数字が伸びないためヲタ層に響かず
 ・電源周りが旧設計のプラットフォームを引き継いだため電力爆喰い状態
 ・FX-8350以外は実質的に空気で選べる選択肢が無い
 ・プラットフォームと一緒に初代Bulldozerの低評価まで引き継いでしまい、マイナスからのスタート

 あっちゃ~、な感じですな。
 このうち最初と最後の項目については半ば風評被害的な側面もあるのだが、真ん中2つは事実そのまんまなので。
 兎にも角にも、実際の製品の出来以上にマイナスに取られている面は大きいと思われる。

 漸くというか、FX-8350になってAMDも「おトク感」をアピールする戦略に切り替えてきた。
 既にこれ以外にAMDに道は残っていないと言ってはアレだが、やっと現実路線に戻ってきたという気がする。
 選択肢についても、漸く8コア95Wという「実質的に選択肢になり得る」SKUが出てくるようだが、値付け次第では速攻で空気化しかねないというのもまた事実なので、そこは頑張って貰わないと。

 とはいえ、Trinityと比べるとPiledriverは圧倒的に「差を付けにくい」商材。
 つまりは非常に「売りにくい」というのが本音な気がする。

 ◇

 結局、FXの立ち位置はこんなところではなかろうか。

 「Intelより安くて、性能も程々に十分で、しかもで遊べる」=「3点揃っておトクな感じ」

 3つの項目は全て重要。
 金銭的なおトク感、日常使いでのおトク感、倍率フリーというプラスアルファのおトク感。
 個々の項目が強力なアピールポイントにならない以上、全てが揃って、総合力で、初めて売上に結びつく。
 そんな気がする。

 #AMDのセールス担当は苦労する日々が続きそうですな…。

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FXシリーズの電力爆喰の謎を解明する。 (続・FX-8350とSABERTOOTH 990FX R2.0で組んでみた。)

 AMD FX Logoさて、取り敢えず使ってみたレポートの後は。
 FXシリーズ発売当初からの謎を解いてみることにする。

 それは・・・

 「125W TDPって割にFXって電気爆喰いっぽいんだけど、なんで?」

 ◇

 前回も触れたように、換装前後でCPUとマザー以外全く一緒なので比較してみる。
 例によってワットメーターを挟み込んで、と。

 電源投入後Max → 120/185
 Windows 7 Idle → 88/ 95
 OCCT 負荷中 → 144/275
 動画鑑賞中 → 92/100

 890GX+PhenomII X4 910e/990FX+FX-8350ね。

 ・・・ってちょっと待て。OCCT負荷中の275Wって何だコレ。
 というか125WCPUを回しているのに何なのさその消費電力。
 取り敢えず、考える前に一通りの消費電力チェックをして。

 アイドル時@3GHz → 120W (Cl’q無効)
 OCCT負荷中@3GHz → 240W(対4GHzで-35W)

 アイドル時@1.4GHz → 110W (Cl’q無効)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 125W (Cl’q有効時と同一周波数・同一VCore=0.9v)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 175W (VCoreデフォルト=1.35v)

 うん、仕込めた。次から考察。

 ◇

 さて、まず上記値はワットメーターなので、電源自体の効率を考慮して実使用電力を求めることにする。
 使用しているのは玄人志向/EnhanceのEnhance ENP-5140GH、80Plus Bronzeなので、ワーストケースの効率82%と仮定する。(実際はもう少し良いっぽいけど)
 上記に出した数字をこの効率を使って全て「ケース内使用電力」に変換する。

 OCCT負荷中@4GHz → 225W

 アイドル時@3GHz → 98W
 OCCT負荷中@3GHz → 197W

 アイドル時@1.4GHz → 78W (Cl’q有効)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 103W (Cl’q有効時と同一周波数・同一VCore=0.9v)

 アイドル時@1.4GHz → 90W (Cl’q無効)
 OCCT負荷中@1.4GHz → 144W (VCoreデフォルト=1.35v)

 次に、CPU以外の消費電力を排除する。

 まず、VCoreが0.9Vの場合とVCoreが1.35Vの場合「漏れ電流が無い理想的な半導体で」消費電力は0.81/1.82、つまり45%となり、差分は55%となる。
 次に、漏れ電流は一定であり電力は電圧にのみ比例するので、以下の式が成り立つ。
 最後に、アイドル時は漏れ電流のみが流れるものと仮定して、以下の式を解く。

 144W=漏れ電流×1.35v+クロック比例消費電力+CPU以外の消費電力
  90W=漏れ電流×1.35v+CPU以外の消費電力

 103W=漏れ電流×0.9v+クロック比例消費電力×0.45+CPU以外の消費電力
  78W=漏れ電流×0.9v+CPU以外の消費電力

 結果クロック比例消費電力は55W@1.4GHz@1.35Vとなるので、漏れ電流はは27A、CPU以外の消費電力は54Wとなる。
 この数字を使って「答え合わせ」をする。

 36W(漏れ電流@1.35v)+157W(クロック比例消費電力@4GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 246W 実測+21W
 36W(漏れ電流@1.35v)+118W(クロック比例消費電力@3GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 207W 実測+11W

 少々誤差が出ているので微妙に修正かけるとどうなるか確認。上記式だけを解くと49W@1.4GHz@1.35Vとなるが、それもアレなので中間取って。

 36W(漏れ電流@1.35v)+148W(クロック比例消費電力@4GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 238W 実測+13W
 36W(漏れ電流@1.35v)+111W(クロック比例消費電力@3GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 201W 実測+4W
 36W(漏れ電流@1.35v)+ 52W(クロック比例消費電力@1.4GHz)+54W(CPU以外の消費電力)= 142W 実測値-2W。

 ・・・この辺りかな。
 まあ真面目に計算するとアイドル時に漏れ電流以上のものが流れているとか電源効率の改善分とかイロイロ計算に入れる必要があるので、これで良しとしましょ。傾向的には間違っていないことが証明出来ました、と。

 で、ここで既に明らかになっているように、CPUは既に125W以上に電力を喰っている。
 といっても、CPU自体がこれだけ喰っているワケがない。そんなに喰われたら即炎上してしまう。
 つまり・・・

 CPU自体に125W喰わせるのにVRMに最低でも173W、ヘタしたら190W近くを突っ込んでいる

 ということになる。ナンですかこの驚異の変換効率。173Wでも効率72%、48Wも熱になってまっせ。

 #仮に190Wなんて言ったら効率65%、65Wも熱・・・65WCPU1コ分ですがな。

 ◇

 以上、うだうだと書いてきたが、自分の中ではこういう結論。

 ・Socket AM3+のVRMはStarsでは高効率で稼働するがBulldozerでは変換効率が相当落ちてしまう。
 ・VRMの変換効率の低下+素の消費電力の高さで、Phenomに比べて消費電力が爆伸び。

 上記使用電力周りを計算すると、Phenom装着時はVRMは効率90%以上で動いていたことになる。
 そもそもそのCPUの特性に合わせて設計されていればこれぐらいの効率は叩き出せるので、特別不自然な数字でもない。

 結局、FXがAM3プラットフォームを引き継いでしまった「負の遺産」は思った以上に大きい模様。
 AM3+のマザーのVRM周りが妙にゴツいのも、それなりの理由がある模様。

 そしてこの数字を見ると、TrinityでFM2に変更せざるを得なかった理由も激しく納得が出来る。
 恐らくAMDも当初はFM1流用を考えていただろう。が、そうした場合VRMの負担が大きく、FXと同じ電力爆喰状態になるか、VRMが激速昇天するか、或いは両方か、というトンでもない事態になったに違いない。
 なので最低限VRMを変更せざるを得ず、そこから「どうせVRMが変更になるならソケット変更しても誰も困らないよね」→「ついでにイロイロ新機軸盛り込みましょ、あぁ互換性考えないってラクで幸せ」ってなノリでFM2になったのではないかと。

 逆に言うと、FXシリーズに特化して従来Starsコアを非対応としてしまえば、実はAM3+でも「AC側のピーク値で従来より50W近く消費電力の低い」マザーを作れる可能性はあるということ。勿論誰もこんなモノ誰も作りはしないだろうけど・・・ね。

 まあ・・・互換性ってのはいろんな意味で大変なもの、というのは業界問わずいろんな場面である話だろうが、何だかなぁ・・・としみじみしてしまいました、とさ。

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FX-8350とSABERTOOTH 990FX R2.0で組んでみた。

 AMD FX Logoさて、前回「イベント行ってきました」レポートに続いて、今回は「FX-8350」+「SABERTOOTH 990FX R2.0」で組んでみました、ということで。
 第一回は「雑感とか」ということで。

 ◇

 取り敢えず、当方の場合、メインPCをCPU+マザーだけ、「お土産」とごっそり入れ替え。

 旧)PhenomX4 II 910e + Asus M4A89GTD PRO/USB3
  ↓
 新)FX-8350 + Asus SABERTOOTH 990FX R2.0

 メモリ(Kingston KVR1333D3E9S/2G ×4)やHDD(HGST DeskStar 7K3000 2TB×2 Mirror)、VGA(Radeon 6450)にNIC(Intel Gigabit CT)は流用。
 ケースもAntec P183 V3なので空間に余裕もあり取り回しもラク。電源はEnhance ENP-5140GH(注:ややくたびれ気味)、CPUクーラーは冷却性能抜群ながら死ぬほど装着しにくいScytheの兜(初代)。
 但しCPUクーラーのファンだけはいい加減ヘタっていたので、安売りしていたGELID Silent12 PWMに交換。

 というワケで、非常に簡単に「載せ替え」は完了。
 電源ON・・・速攻でBIOS画面へ。わお、UEFI。
 昔と比べると随分とグラフィカルな画面で、SATAポートの設定をRAIDに変更。
 SB850→SB950では何も考えずに(このBIOS設定だけで)RAIDがそのまま移行可能なので、ラクなもの。

 そして上がってきたWindows 7 Ultimate SP1は・・・起動直後にがんがんドライバの入れ替えが走り(といってもほぼ全更新になるので時間はかかる)、見事に「使い慣れたデスクトップ」が戻ってきましたとさ。

 実にあっけないというかラクというか、これだけで「CPUパワーが約2.5倍」にパワーアップしましたとさ。

 ◇

 さて、パワーアップして気づいたこと、感じたこと。
 思いつくままつらつらと書いてみますか。

 1)レスポンスが良くなった。

 この辺りが実は一番数値化しにくい部分なのだが、X4の頃と比べると確実に変化した部分。
 まあ単純にCPU力が上がるとこの辺りが変わるよね、ということなのだが、レスポンスが良くなったことについては正直「体感出来る差が出た」ということでびっくり。
 まあ元々Starsコアの中ではかなり低速な2.6GHzなんてブツを使っていたせいもあるかも知れないが、それにしてもだいぶ違う。
 これが世代の差、ってヤツなのかね。

 #以前Trinityの時にもネタにした、Bulldozer系コアの省電力管理の上手さも理由の一つ、なのかも。

 2)マルチタスクに強くなった。

 コア数がモノを言う用途、プログラム(=プロセス)を多数起動する場面では、8コアの威力が炸裂する。
 表で触っているモノの他に裏でイロイロ動いていても、体感速度がなかなか落ちないのがその証拠。
 当方のようにデスクトップは(ウィンドウで)散らかるもの、タスクバーが溢れるのは当たり前、なんて使い方だと、これは結構イイですよ、はい。プロセス数は最低でも3桁が当然だし。

 とまぁ、ここまで書くと「メニィコア万歳」と取られそうだが、オチが付くのであり。

 3)やっぱりWindows7では8コアは・・・。

 以前もネタにしたが、Windows7のカーネルでは「日常では」8コアは持て余していて、4コア分にしかタスクを割り振れない。
 これはタスクマネージャでグラフを見ていればすぐ判る。
 当方のようにプログラムを起動しまくるとか、余程高度にマルチコア最適化プログラムを使用しない限り、8コアの威力を「即」実感するのは難しいな・・・というのが偽らざる感想。

 実際に負荷をかけて実験してみると、Window7(NT6.1)カーネルの挙動として、当初から使用している4コアへの負荷が一定レベル(大体50%~60%程度)を越えるor越えそうになったところで、初めてそれ以外のコアに負荷を割り振る模様。

 #「裏でイロイロ起動していても重くならない」って体感と挙動は理論的に一致しますな。

 逆に言うと、FXの8コアがフルで回らないということは、そもそもそれだけのCPUパワーを必要としていないか、メニィコア非最適化のプログラムだけを起動しているか、というパターンですな。
 まぁ殆どのゲームとベンチが後者のパターンに合致するのだが。

 4)起動が速くなった(笑。

 これは管理人の環境に固有のオチ。
 Win7のx64になってメモリ制限が緩くなったこともあり、管理人のようにイロイロと常駐させている方が悪いのだが、SSD化させなくとも起動が速くなったのでした、ちゃんちゃん。

 ・・・とまぁ、こんな感じか。
 取り敢えず「パワーはあるけど癖もある」というのが換装して数日経った時点の正直な感想。

 ◇

 最後に、SABERTOOTH FX990 R2.0の感想を少し。

 ASUSのセールス担当がウリだと言っていた「TUF Thermal Radar」は確かに嬉しいかも。
 当方のような非OC+窒息系ケース+ファン回転数絞りで静音化、という使い方だと、実際に温度を確認しつつ、ファン速度も連動させれられるのでこれは相当使いでがある。
 実際、ちょっと設定詰めただけで(追加コストゼロで)PCを静音化させることに成功。ファンコンを追加購入せずにここまで出来るのは嬉しいですな。ファン端子の数も揃っているし。

 次に、UEFIのBIOSも一通り揃っていて不便は無さそう・・・だが、ECC関連の項目が有効無効以外ばっさり削られてしまったのは何故。

 その次、USB3.0が多数乗っているのは嬉しいがASmedia(ASUSの関連会社)チップってのは評価が分かれるか。
 ストレージ系では今のところ相性は少ないが、これは単純に低価格USB3.0ケースの殆どがASMedia製変換チップを採用しているからで、VIAやJMicron辺りがもっと多くなってきたらどうなるのかとか、ストレージ以外どうなんだとか、まだまだ未知数な感じがあるのが正直なところ。
 まぁとはいえEtronよりは素直と言われているし、PCIeに余裕があるから問題が起こった時点で「事実上のレファレンス」なRenesasを載せれば良いだけ。

 あとまぁ、ギ蟹は取り敢えず乗っているだけね。PCIeに余裕があるからIntelかBroadcom挿しましょ。

 とまぁここまでは普通に来たのに、最後の最後で首を傾げる展開になってしまった。
 このマザー、PCIeのレーン数割り振りどうなってるの??

 これは当方の中でも未だ整理中というか謎状態なので、もう少し後に気が向いたら別記事に切り出します。
 AsusのGlobalサポートに訊いてみようかしらん。

 ◇

 最後におまけ。
 FX-8350とRadeon 6450の組み合わせは激しくバランスが悪い。
 ゲームをやらなくとも最低でも6670クラスは必須、だと思う。

 #ファンレス7750でも買ってこようか・・・でも8000シリーズ目前という噂もあるし・・・う~ん。

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