Intelの描く「新戦略」と、自作PCの行方と。

 さて、年頭の当方の予想は物凄い勢いで駄目喰らいまくりなのですが、今年のIntelは攻めてますな。トップが変わった勢いの余韻なのか、それともこれが新トップの方針なのか。
 兎にも角にも、競合他社からすると大変やりづらい状況になっているかと思われます。

 さてそんなIntelですが、今回はGDC辺りでぽろぽろと出てきた情報をちょっと整理してみようかと。

 1◇ロードマップの話。

 Haswell-RefreshをXeonに持ち込むということはBroadwellが多少遅れるリスクがあるということでしょうな。
 その他は新ネタは無いですね。Haswell-Eの投入も予定通りかと。

 ♯但しDDR4が1DIMM/CHというのは「まさかホントにその仕様で製品出すとは」だったけど。

 あ、Broadwell-KがLGA1150に来るというのは以前から言われていたので新ネタでもなんでもないんよ>某誌。

 ということで、ロードマップ的には新味が特にないので、次。

 2◇Intelが叫ぶ「デスクトップ復権」とは。

 取り敢えず当方の最初の感想は「別に今まで通りじゃね?」でしたが、世間的にはどうなんでしょ。

 皆様既にお気づきの通り、Intelが現在のビジネスモデルを維持するにはこれ以外の選択肢が無いし、既にその為の布石もさんざん打っているワケです。それを今更言われても、と。

 何しろ、Ultrabookには散々カネをつぎ込んだというのに、モバイル部門は売上下降線なワケです。
 理由は簡単、タブレット&スマホに居場所を取られているから。
 仕方ないのでIntelもそちらに向けた製品を用意したりしてはいますが、このセグメントではIntelは挑戦者という訳で数は出てないし、何より単価が低いせいで、多少数を出したところで売上も伸びなけりゃ利益も出ないというのが悲しい現実なワケです。

 一方でデスクトップは堅調どころか売上アップ中だそうで。
 しかもAIOやUSFFといった「地味にIntelが育ててきた」セクタが急成長中、と。これらはIntelにとっては「希望の星」なんです。
 何故って、このままいけば下手すりゃARM系デバイスに乗っ取られかねない「家庭のメディアハブ」という立ち位置を、これらの製品ならx86に引き留めておくことが出来る(可能性がある)ので。そりゃまぁ推したくもなりますわね。

 ということで、今まで「地味に」育ててきたのを「結構頑張って」育てますよ、というのが今回の発表ですな。

 そういう意味では「デスクトップ」C7ステートはまぁ来るべくして来たという感じではあるのだが、実際問題として「待機電力」10Wというのは個人的には「電気喰い過ぎ」としか思えないし、どうなんだろうねコレは。

 3◇で、自作PCへの影響は?

 ・・・まぁ特に何もないんじゃね?としか。
 繰り返しだが結局今回の「新戦略」は実は新戦略でもなんでもないので。
 新ネタ「C7ステート対応」も少し時間が経てば自作でも選択肢に登場するでしょうし。

 ということで、これからの自作PC市場の流れは以前にも書いた通りかと。

 ・オンボードCPUでコンパクトなマザーが増加、特に低価格品では選択肢が充実する
 ・低価格でソケットという選択肢は多少減るものの無くなることはない
 ・ミッドレンジより上位/高価な製品群については現在のような状況のまま

 こんな感じですか。
 全体としてラインナップの整理は進むでしょうが、それでも自作趣味人が選択肢の少なさに頭を抱えてしまうような事態にはならないと思っていますよ。
 というかもっと言ってしまうと、取り敢えずDDR4への移行となるSkylakeが出てくる迄は上記のような変化すら殆ど見えてこないのではないかと。

 ・・・とま、今回はこんなところで。

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独断と偏見のNIC選びをしてみる。

 前回からのNIC話の続き。
 当方の独断と偏見で、各社製品を見てみましょうか。

 ◇エンタープライズ向けNIC

 ・Broadcom NextremeII(サーバ)

  単純な速度ベンチマークだとIntelの後塵を拝することもあるが、負荷の低さや安定度では群を抜いている。
  但し価格が高く、またOEM製品しか無い為入手性や保守性に難あり。
  その辺りの問題がクリア出来る(ベンダ保守前提等)ならば文句なしの一品。

 ・Intel ServerAdapter(サーバ)

  Broadcomより性能や安定度でやや劣るも、エンタープライズ向けとして十分な品質を持ち、しかも比較的低価格。
  アキバでも買える入手性の良さ、ドライバが一般公開されており保守性の良さも魅力的。
  総合評価ではBroadcomとIntelでは一長一短だと思う。後は活用シーンや好みの問題で。

 ☆Intel DesktopAdapter(エンタープライズ・デスクトップ)

  エンタープライズと言ってもWorkstationとかその辺り向けで、勿論普通のデスクトップPC向けでもある。
  サーバでしか必要とされていない機能をばっさり削ることで値段を下げており、品質の割にはお買い得価格。
  デスクトップで使用する限りはシステム負荷もServerAdapterと大差ないという優秀な一品。

 ◇一般向けNIC

 ・Ateros Qualcomm KILLER(デスクトップ)

  ゲーミング用という一点突破型、ちょっと特殊な立ち位置な製品。
  実はこれ、エンタープライズ向けNICと同じようにシステム負荷を軽減する仕組みが入っているのだが、それがゲーミング用途に特化して構成されているという代物。
  但し問題はドライバ品質がアレなことで、個人的にはお薦めしない。

  #実はAterosは以前にL1という「そもそもまともに繋がりすらしない」NICの形をしたナニカを出荷していたという輝かしい実績があるので、通信出来ているだけ以前より進歩したとも言えるのだけど。

 ・Realtek 8111/8168(デスクトップ)

  俗に言うギ蟹。安かろう悪かろうの典型。
  価格の安さ故にオンボードNICの定番となっているが、CPU負荷についてはその高さは折り紙付き。
  とはいえ昨今のデスクトップ用途ではあまり問題にならないというのは以前書いた通り。
 
  また、やったら数は出ているだけあり、希に出る地雷さえ踏まなければドライバの安定度もそう悪くない上、大抵のOSでドライバが存在するので「取り敢えず」使う程度ならまず困らない。
  総合的に見れば意外とポイントは高いかも。

  ♯但しまぁ、個人的にはサーバ用にはちょっと。
   激安組込品や簡易サーバの類でも実際採用されたりしてはいますけどね・・・。

・AX88179/AX88178A(USB3.0/2.0)

  ちょっと毛色が違うが、国内で普通に入手出来るUSB接続のLANアダプタの採用チップは殆どコレ。
  USB接続なのでデスクトップ用途以外有り得ないが、そのデスクトップ用途では特に困らない程度のドライバ品質は確保されているように見える。

  一方、NICとしての安定性以前に、USB接続の相性や安定性の問題、またUSBでの連続データ転送時のシステム負荷の高さという問題があり、他の選択肢が無い場合以外は出来るだけ避けたいところ。
  実際、このNICでトラブってるいう話を聞くと、結構な確率で「それ本体のUSBポートかUSBドライバの問題でしょ」という結論になってしまうのだが、実際問題としてこの辺りはユーザが簡単にどうにかするのも難しく、結局どうしようもないという話になりがちではある。

 ♯特にUSB3.0だとね・・・。あと、希にノートPCのLANポートが内部でUSB接続だったりもする。

 ◇

 取り敢えずメジャーな製品を列挙してみた。
 以上の中で、デスクトップユーザへのお薦めを選んでみると。

 ・特に困っていないなら、オンボードのギ蟹のままで
 ・オンボードでトラブってたり、ちょっとコダワリたいなら、Intel Desktop Adapter

 こういうことではないかと。
 兎に角CPUパワーが有り余っている昨今だと、殆どの場合オンボードのギ蟹で困らないんですよね、実際に。
 なまじドライバ品質が悪くないだけに、余計に。
 なので、明らかにNICが原因でトラブってしまっているとか、余程NICにコダワってみたいとか、そんな時に初めてIndel Desktop Adapter辺りを挿してあげれば良いと思いますよ。
  
 ♯ちなみに当方も使用しています>Intel Desktop Adapter。

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激安NICとお高いNICの違いについて、ちょっと書いてみる。

 コメント欄でちょいと訊かれたので、ちょっとだけ。

 ◇

 まず、NICには大きく分けて2種類のカテゴリがあります。

 1・お安い、一般向け
 2・お高い、エンタープライズ向け

 カテゴリの違いがそのまんまお値段の違いになっている分かり易さ。
 ちなみに最近ではKiller NICとかGaming NICとか呼ばれる代物がちらほら見かけられますが、コレは「一般向け」カテゴリですな。

 で、この2種類のカテゴリの違いを大雑把且つ乱暴に言ってしまうと、こんな感じになります。

 1・エンタープライズ向けNICは、通信時にシステム負荷が少ない
 2・エンタープライズ向けNICは、サーバで必要とされる機能が搭載されている
 3・エンタープライズ向けNICは、ドライバ品質が検証されている

 逆も又真なりということで、お安い一般向けNICは以下の通りなんですな。

 1・一般向けNICは、通信時にシステム負荷が高い
 2・一般向けNICは、サーバでしか必要でない機能は省かれている
 3・一般向けNICは、ドライバ品質にバラツキがある可能性がある

 でも、実はこれは以下のようにも言えます。

 1・一般向けNICは、通信時にシステム負荷が多少高いが、そこまで気にするレベルではない
 2・一般向けNICは、余計なものが付いていないので低価格である
 3・一般向けNICは、ドライバが腐っていることがあるので、その時は諦めて別のドライバを試してみる
 4・一般向けNICは、エンタープライズ向けNICと速度面で大差ない

 あれ、こう書くと特に問題無くね?と思った方、それ正解です。

 今時デスクトップユーザが一般向けNICで困ることはまず無い

 んです。自宅サーバを抱えているとか、特殊な環境だという理由でもない限りは。
 また、上でさらっと書いてしまいましたが、速度面でもエンタープライズ向けと一般向けで現在では大差ありません。
 確かに一昔前には結構差があったのですが、その後世間一般のCPUパワーがどんどん強化された結果、現在ではほぼタメになってしまいました。

 ♯なので極端に省電力優先等でCPUパワーが不足するような「特殊な環境」では、現在でもエンタープライズ向けNICの効果テキメンな場面があったり。

 まずここまで大前提です。
 とはいえ、これで終わってしまうと簡単過ぎるので、もう少しだけ詳しく触れてみましょうか。

 その1◇「通信時のシステム負荷が低い」って?

 ネットワーク通信というのはリアルタイムの処理が連続するため、CPUやシステムに結構負荷がかかるんですな。

 なので、エンタープライズ用NICでは、ネットワーク通信処理専用の回路を組み込み、CPUやシステムへの負荷を軽減する仕組み(オフロードと言います)になっています。
 エンタープライズの世界では兎に角CPUパワーが一番貴重なので、CPUの負荷をNICで肩代わり出来るならどんどんやりまっせ、となる訳です。
 またエンタープライズの世界では10Gb等の高速なネットワークが使用されるため、これをCPUで処理するとなると相当な負荷となってしまうのです。

 一方で、一般向けNICでは、ぶっちゃけ値段が正義なので、こんな無駄なことはしません。
 要するに、通信出来ればそれでいいんです。
 なので全部CPUに頑張って貰うことにすれば、NIC自体はシンプルで低価格に出来ます。

 それでは負荷はどうなるんだという話ですが、家庭にあるギガビット程度なら昨今のCPU性能を以てすれば「まあどうにか」なってしまうのです。
 勿論負荷ゼロではないですが、一般的なデスクトップ機ではCPU性能なんて余りまくってますし、気にしない気にしない、と。
 え、CPU性能余って無いって?それじゃネットワーク通信の処理が遅くなっても遅れても仕方ないよね、お値段安いんだからそこは割り切って貰わないと。

 その2◇「サーバで必要とされる機能が搭載されている」って?

 エンタープライズの領域では、仮想化やiSCSI等のデスクトップでは普通使わない技術が普通に活用されています。
 なので、そういうモノに対してNICが対応する必要がある訳です。
 もちろんこれもタダでは出来ないので、その分のお値段がエンタープライズNICには上乗せされるという訳です。

 一般向けNICは・・・そんなモノ要りません。
 要らないモノにカネを払う必要はないと。

 その3◇「ドライバ品質が検証されている」って?

 高負荷で24時間ぶっ通し、下手すりゃ年単位で稼働しっぱなしなんて羽目にもなるのがエンタープライズ向けNICの宿命です。
 そこでNICが原因の障害多発、なんてことになったら最後、あっという間に客は離れていくしブランドイメージにも大打撃。
 なので、ドライバ品質には気を使っていますし、MSやVMwareといったベンダの認証も多少カネがかかっても積極的に取りに行くんですよ。
 ・・・でもこの「品質担保」って、ホントにカネがかかるんですよ。その割に成果は見えにくい。

 一方、デスクトップ用なんてそんなぶっ通しで動かすこともないし、希にコケたところで大して問題にもならんし。
 そんなにカネがかかる品質担保なんてやりません。
 確率論的には「デスクトップユーザの使い方だと1年に1度コケるかどうか」なんてレベルの話にカネをかけて品質担保するより、その分低価格で売った方がウケるに決まってます。

 但しその弊害として、時々とてつもなく品質の悪いドライバが出てきてしまうことがあります。俗に言う「地雷」。
 でもデスクトップユースなら、気がついたらドライバを入れ替えればいいだけ。多少手間はかかりますが、その程度の話です。

 ♯これがエンタープライズだとドライバひとつ入れ替えるだけでも大騒ぎになります。

 更に言ってしまうと、デスクトップ用には希に永遠に安定しないというゴミ製品が出てくることすらあったりするのですが、その場合でも別のNICに交換するのにそこまで大金を準備する必要も無いし、システム上の大問題が発生することもないワケです。

 ♯エンタープライズでは後からNICの交換なんて有り得ないのです。

 ◇

 以上、こんな感じですか。
 微妙に長くなってしまったのでここで切って、この後で具体的な製品名等を書いてみましょうか。

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MD03ACA300買ってみた。

 ・・・やっぱコレMG03ACAの選別落ちかラベル貼替品だろ。

 ということで、何故かBUY MORE 秋葉原の店頭以外では見たことがない(UNITCOM系でも通販に出してないし)東芝印の謎HDD、MD03ACAシリーズの3TB品が先日特価品になっていので、ついうっかり買ってみた。
 ちょっと触ってみたところで、感想を数行でまとめてみる。

 ・恐らく800GBプラッタ5枚の構成の4TBモデルと同一メカ。つまり実質的には600GBプラッタ程度。
 ・最外周で160MB/S程度。7200rpmということで、ちょっと回した感じだと旧日立の7K3000(600GBプラッタ5枚)と性能面であまり違いは無さそう。
 ・発熱多め、騒音大きめ。この辺りはニアライン系の構成そのままっぽい。
 ・512bytes Native。大容量デスクトップ製品では既にレアかと。
 ・2013年12月製。デッドストックという訳では無いですな。

 まぁ要するに、「普通には」敢えて買う必要ないんでない?というところ。
 言ってしまえば1世代前のHDDなワケで、現行世代で安定&高速=鉄板な「東芝」DT01ACA300と比べると「遅い」「うるさい」「熱い」の3拍子が揃ってまっせ。

 ♯DT01ACA300=7K3000.Bだし。そしてコレは前世代の7K3000とタメ性能。

 まぁそれは兎も角、取り敢えず24H回しっぱなしのサーバで物置にでもしてみますか。
 現物置の5K3000に特に不満は無いのだけど、ホントに安定し過ぎていて全く面白くないので。

 #あそういえば、6Gbpsで使うとIFがノイズに弱いってのはあったね>5K3000。

 P.S.
 全然関係無いが、Supermicroが日本事務所を開設するとのこと。
 納品リードタイム短縮と国内取扱品数増加、してくれるかな・・・。

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たかがファン、されどファン。

 最近立て続けにアレな状況に遭ったので、こんなこともあるんだよ的雑談投下。
 一言でまとめると

 「安物ファンと故障ファンは即交換で」

 ・・・いやぁホントに。

 ◇

 事例1:故障ファン、HDDを死の一歩手前まで追い込む。

 犯人 :故障したHDD冷却ファン(40mm)、リムーバブルケージ付属
 被害者:HDD
 被害 :I/O停止、HDD内容不整合に伴うデータ損失

 リムーバブルHDDケージに付いている冷却ファンが逝ってノイズ源と化し、電源ラインを辿って悪さをした例。
 HDDはI/Oがハングした上、大人しく停止しているかと思いきや何故か一定間隔でシーク音がするという謎挙動に陥り、電源OFFまでずっとそれが続くハメに。
 そして問題のファンを取り外し、再度電源投入してみたところ、HDDは復活したものの、SMART値がとんでもないことに。

 ◇

 事例2:経年劣化ファン、システムを落とす。

 犯人 :経年劣化したシステム冷却ファン(120mm)
 被害者:チップセット(Intel X3420)、HDD
 被害 :稼働中のフリーズ、BSOD、HDD内容不整合に伴うデータ損失

 マザー上のファン端子に接続されていたファンが逝ってノイズ源と化し、電源ラインを辿って悪さをした例。
 CPUはVRMの向こう側なのでまだマシなのだが、チップセットとHDDはモロに攻撃を喰らってしまった。
 Windowsサーバとはいえ最近は滅多に青画面なんて出ないからね・・・久々に見たよコレ。

 しかもHDD側のSATA IFがハング状態で、単なるRebootをしたところ肝心のデータ用HDDがBIOSからも見えないという非常に心臓に悪い事態に。
 幸い物理電源OFF→ONで復活というパターンだったが、これホントにビビりましたで。

 ちなみに取り外した劣化ファン、指で軽く弾く程度ではフィンが全く動かないというレベルまで悪化してましたとさ。
 それでも電源繋ぐと一応(規格より大幅に遅いが)回りはした(カクカクだけど)のだから・・・そらねぇ。

 ◇

 事例3:安物ファン、RAIDを瀬戸際に追い込む。

 犯人 :安物ファン(92mm)
 被害者:HDD、RAIDコントローラ
 被害 :精神的苦痛

 HDD冷却の為に「良かれと思って」追加されたファンが悪さした例。
 これも電源ノイズだが、特に劣化した訳ではないというのがタチが悪い。

 実際、アキバ等で普通に売られているファンの中にも、新品購入直後からかなりのノイズ源である商品が存在する。
 言ってしまえば「安物」なのだが、残念ながら普通に名が通っているブランドのあまり安くない製品でも酷いモノが存在するのは事実。
 そして、こういうファンがあまり電源ノイズに配慮されていなかったり、既に色々と厳しい状態にある環境に接続されたりしてしまうと、「一線を越える最後の一押し」になってしまうことがある。

 ちなみに今回は何が起こったかというと、

 1・RAIDで冗長性検査が走る
 2・不整合が発見されリビルド開始
 3・リビルドが妙に遅い、しかも時々止まっているように見える
 4・通常(過去実績)の3倍以上の時間がかかってリビルド完了

 ということで。
 念のためHDDのSMARTをチェックしたところCRC Errorの数字がトンでもないことになっていた上に、RAIDコントローラ側のログにもIO Timeoutが多数出ていたので、コントローラのIOリカバリが踏ん張ってくれなかったらアレイ崩壊もあり得たという状況。

 ◇

 以上3例、何れもたかが(高くとも)¥2,000程度のファンのせいで心臓に悪かったという実話。
 ブラシレスとはいえモータをナメるな、ということで。

 今回最後の「特に劣化していないファンでも障害の原因になる」というのはケースとしては結構レアな話ではあるが、ゼロではないのもまた事実。
 こういう場合、勿論最良なのはSANYO等の「ノイズにも配慮された一流メーカ品」ファンに交換することなのだが、応急処置としてはファン電源を取るコネクタを変えてみるというのも結構アリだったりする。同一電源ラインに接続されてる構成部品がたまたま「ノイズの影響を受け易い」ものだとアウトだが、他のコネクタだとギリギリセーフとか。

 とはいえまぁ新品状態で「結構酷い」ものも、大抵の環境ではあまり問題なく動いているというのが実際なので、神経質になり過ぎる必要も無いとは思いますよ。
 そりゃまぁ最初っからあちこちで問題起こすようだとさすがに商品として厳しいしね。

 ♯電源が弱ってたり激安品だったり、はたまたマザーが激安だったりするとリスクは上がるでしょうな。

 ◇

 一方、最初の例ではちっちゃなファンが強烈ノイズ源になってしまったという話。
 最近ではあまり見ないがチップセット冷却用ファンなんかも劣化すると相当なことになることが多い。

 そして、今回発生したリムーバブルなHDDケージのファンについては、少なくとも40mmについては当方が普段使っているRATOC製を含めてまともな品質のファンが付いている製品を見たことはない上に、HDDの直近に接続されていることもあり、非常に「危険」な部類。
 少しでも動作音が大きくなったり、何か妙な音がするようになったら速攻でメンテか交換が必要です、はい。

 ♯ブラシレスファンで異音の出始めぐらいだと単なる「油ぎれ」のことが多いので、オイルと注入テクを持っているなら注油だけで復活することが多い。

 ◇

 最後に、半田ごてを握れる人向けの話。
 ファンと並列に、出来ればファンの直近に0.1μ程度のセラコンと100~470μ程度の無極性電界コンを接続してやると電源ラインへのノイズ流出をかなり抑えることが出来る。
 当方は別にHTPC指向でもなんでもないが、誤動作する程のノイズを喰らってはたまらないので。

 ♯安物マザー&ヘタレ電源の場合、同じくノイズ絡みの話でUSB電源ラインに同様の小細工をするとUSB接続が安定するなんてことも。

 ちなみに、このテのノイズ対策として希に1000μF超の無極性電界コンを接続するなんて話を見かけるが、これにはちょっと注意が必要。
 大容量がノイズ抑制に効くこともある一方で、あまり大きいとスイッチング電源に対する容量性負荷がどうとかいう話も出てくるので。
 その辺りの話が分からない人は470μFぐらいに抑えておくのが平和ですよ。

 ♯ニチコンMUSE・ESで25V470μFだと単価¥70程度、お手頃価格でも効果はそれなりに期待出来ます。

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