HP製サーバのサポートの、ちょっとした変化について。

 これ、ごく限られた人の間でしか話題になっていませんが、特に日本では殆ど誰も気にしていないようですが、個人的にはそれなりにインパクトある話だと思うのですよ。
 ということでちょっとメモ。

 事象:
 2月から、HPのサーバのFirmware(BIOS) Updateは保守契約が無いと入手出来なくなりました。

 影響:
 保守契約を結ぶ気がないならHPの箱は買っちゃダメです。

 ・・・HPは何を狙って引っ込めたんだろ。今までずっと公開してたのに。

 HPのサーバはよく投げ売りをやっているのと、筐体に関しては非常に設計が良い(Dellのように拡張しようすると専用のマウンタやブラケットの類を探す必要が無いとか)ので、小規模事業所でも導入しているトコ多いんですよね。

 ♯あと個人(ぇー)。

 一方でBIOSやハードウェア周りにはクセがあることが多く、伴い不具合もそれなりに起こっていて、初期BIOSでは使い物にならないって箱も結構量産しています、あの会社。

 ♯酷い時にはOSのインストールすら出来ないってレベルの不具合抱えてたりするし。
  しかも出荷時のBIOSは結構古いことが多い。

 で、そんな箱にも関わらずBIOS Updateが事実上出来ないって話だと・・・おっかなくて買えませんがな。
 まぁ個人なんてのはどうでもいいんですが、小規模事業所には結構厳しくないですかコレ。

 あと、一番エラい迷惑なのは中古屋さんでしょう。中古筐体の取引価格は下げざるを得ないのでは。
 もしかしてコレ(中古流通に対する嫌がらせ)が狙いとか?

 ・・・まぁ最後のはネタというレベルの話だと思いますが。
 以上、こんなこともありました、というお話でした。
 個人的には特にどうってことはないのですけどね。

 ♯以前blogのネタにしたMicroServerは既に手放し済みだし、時折NTTXStoreで投げ売りされる低価格サーバにも手を出してないし。
  まぁこの状態では未来永劫個人でHPサーバを買うこともないだろうし、周りにもお薦めすることも無いでしょうな。

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Windows Server 2012「記憶域」のGUIが全く使い物にならない件について。

 さて、当方も最近関わることも多くなってきたWindows Server 2012。
 Windows Core(Kernelとその周辺)の出来は悪くない、Hyper-Vも使い物になるようになってきた、けどまぁ兎に角UIについてはいつまで経っても慣れない、ホント最低ですわ。

 そんなWindows 2012だが、目玉機能の一つとして「記憶域」というヤツがあったのを覚えている方はどれくらい居ますかね。
 正確にはWindows 8にもあります、機能制限されていますが。

 で、この「記憶域」、確かMicrosoftはそれなりに推していた記憶があるし、お題目だけ見ると結構魅力的なんで、ストレージ絡みの話が出てくると思い出したかのように、或いはホントにふと思い出して、「どうなの」的な話が出ることがあるのですが。

 「オモチャですが」

 現時点ではこれが答えです、本当に。
 アイデアは他のブロックストレージと同じなのに、何でここまで駄目な実装なんだろうかと。

 とはいえ、腐ってますが一応ブロックストレージな訳でして。
 コア部分の出来もイマイチながら、それに輪をかけて酷いのがGUI。
 おかげで、実際にディスクが故障した際にGUIからは修復もままらないという、トンでもない事態になっています。

 #前ネタでも書いたが、Windows8/Windows Server 2012シリーズの共通コンセプトは「クソGUI」だと本気で信じてます。

 とはいえ、実はPowerShellを使えば多少は何とかなることはあんまり知られていない模様。
 他にも、「故障したディスクを交換するには同一容量以上のディスクでなければならない」という言い方がよくされますが、これも正確な表現じゃないですよ。
 正確には

 「故障したディスクに格納されていた論理領域+α以上の容量が物理冗長性が損なわれない複数ディスクの合計であれば良い」

 ということです。

 ということで、以下に「運用上最低限必要なのに何故かPowerShellが必須な操作」について、少しメモっておきます。
 どうしても「記憶域」を使わないといけないという事態に陥った場合にでも参照して下さい。

 1◆論理ディスクの修復

 GUIからだと何故か全く動かずエラーが消えないことが往々にしてある。あと、自動修復が発動しないことも。
 そういう時は、PowerShellから

 Repair-VirtualDisk -FriendlyName “論理ディスク名”

 で既存の論理ディスクを直ちに修復開始します。
 ちなみに、これでも駄目な時は基本的にその論理ディスクは壊れてます。

 2◆故障ディスクの削除

 何とびっくり、故障したディスクの取り外しすらGUIからだとまともに出来ないのがMicrosoft Quality。
 延々とエラー表示が残ってしまい、GUIからは復旧出来なくなることも。

 以下、その時の対処法。

 a) 既に見えなくなっている幻のディスクに対して、Set-PhysicalDiskで取外フラグを立てる。

 Set-Physicaldisk -FriendlyName “物理ディスク名” -Usage Retired

 b) Repair-VirtualDisk で既存の論理ディスクを修復する。(1と一緒)
 c) 幻のディスクを記憶域から削除する。

 もっと詳細に手順を見たい方は「もっと読む」以下に画像付で貼っておきます。
 あと、c)は基本的にGUIで出来ます。駄目な時はPowerShellのRemove-Physicaldiskで。

 3◆縮小再構成

 論理ディスク容量が当初予定より小さくなってしまった等で、物理ディスクを減らしたい時に。
 世間ではこれが出来ないと思われているフシがあるが、GUIからは出来ないだけでPowerShell使えば出来まっせ。

 a) 取り外したいディスクに対して、Set-PhysicalDiskで取外フラグを立てる。
 b) Repair-VirtualDisk で既存の論理ディスクを修復する。
 c) GUIを使用し、物理ディスクを記憶域から削除する。

 手順は故障時と同一で、違いは実在するディスク相手に操作することだけです。

 ちなみに物理ディスク容量が不足しているとa)かb)で失敗するので諦めて増やしましょう。
 記憶域の容量の割り当て方には意外と無駄が多いようで、そんなにガリガリには削れないです。

 ◇

 とまぁ、今回はこんな感じで。

Continue reading “Windows Server 2012「記憶域」のGUIが全く使い物にならない件について。”

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Windows 8.1でのネットワークの場所(「プライベートネットワーク」等)の切替方

 さてさて。
 Windows 8/2012シリーズのコンセプトテーマは「クソGUI」だと信じて疑わない今日この頃ですが、今回はこのblogで極希に出てくる、訊かれたので答えるネタ。

 Q:Windows 8.1だと「プライベート ネットワーク」「パブリック ネットワーク」の切り替えはどうやるの?
 A:PowerShellで、但し要管理者権限。若しくはレジストリ書き換え。

 GUIにはそもそもこれをサクっと切り替えられる場所が無い気がする。これ酷くね?
 まぁ合わせ技というかあちこち設定を変えると連動して切り替わるようだが、この項目だけ設定変更したい場合には手が無いってことだよねコレ。

 ということで、管理者権限のPowerShellで切り替えるコマンドは以下の通り。

 Set-NetConnectionProfile -InterfaceAlias “名前” -NetworkCategory Private
 Set-NetConnectionProfile -InterfaceAlias “名前” -NetworkCategory Public

 名前ってのはコレね。面倒なので画面ショットで。
 Windows8.1 Control Panel Network Property

 なのでこの環境で「プライベート ネットワーク」に切り替える場合はこうする。

 Set-NetConnectionProfile -InterfaceAlias “vEthernet (Realtek VNIC)” -NetworkCategory Private

 そして現在の設定を確認するにはこんなコマンドもありますよ。

 Get-NetConnectionProfile

 実際に打つとこんな風に出てきます。「NetworkCategory」項目に注目。
 ———————-

 Name : ネットワーク 2
 InterfaceAlias : vEthernet (Realtek VNIC)
 InterfaceIndex : 14
 NetworkCategory : Private
 IPv4Connectivity : Internet
 IPv6Connectivity : LocalNetwork

 ———————-
 コレは「プライベート ネットワーク」ですな。

 ちなみに、もし管理者権限のPowerShellの起動方法が分からない場合は、画面左下のスタートボタンを右クリック→「コマンドプロンプト(管理者)」を起動し、プロンプトで「Powershell」と打ち込むと起動出来ます、はい。

 #タイトルバーに「管理者:PowerShell」と表示されれば起動しています。

 以上、今回はこんな感じで。

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敢えて今SSDの欠点を見直してみる、という話。(3)性能の不安定性

 というワケで続きネタになってしまった第三弾。
 最終回は性能面について。

 3◇性能が不確実&未知数。

 端的に言ってしまうと、SSDの性能は誰にも分からない。
 新品ですらそう。更に使い込まれると不確定要素は増すという。

 この「性能が読めない」って話、エンタープライズの世界だと結構問題なんです。
 投資対効果をシビアに見るのがエンタープライズの世界なので、「わーい速い速い」で済むコンシューマとは違うんですよ。

 それではこれがHDDだとどうかと言われると、これがある程度は性能の見積もりが出来たりするんです。
 物理的に動くメカがある以上どう頑張っても一定以上の性能にはならないし、逆にどういう使い方しても一定以下にもならないので、メーカや世代が違ってもカタログスペックから推測出来るんですよ。

 つまり、HDDには性能見積もりに使えるだけの実績が既にあるが、SSDの実績はまだこれから作っていくというレベルなので。

 ちなみに、なんでこんなことになるかというと。
 SSDは同一コントローラを積んでる製品でもメーカが違うと性能傾向がバラバラだし、同一製品でもアクセスパターン次第でまた挙動が全然変わってしまうため、新品の状態ですら、実際に動かしてみないと「そのシステムでの」性能が未知数だったりするんですよ。
 更に、稼働を開始しても突然性能が落ちたり、また突然回復したり。
 一般論としてデータが埋まってくれば性能は落ちるのだが、そんな一般論で済む世界じゃないのですよ、エンタープライズは。

 ♯こういうことを言うと信用してくれない人も居るのだが、ファームが糞なSSDを使い込んでいくとHDD以下の性能になることすらあるんですよ、いやマジで。

 とはいえ、絶対値は兎も角相対的には値段が下がってきたのと、各社が実績を積んできた(=失敗しまくった)ことで製品の完成度が上がってきたことで、採用事例は増えてきてはいるんですよ。
 ブレイク目の前とは言い難いが、着実に勢力を伸ばしてはいる。
 エンタープライズSSDの現在はそんな状況です、はい。

 ◇

 エンタープライズといえば、FUSION-IOに代表されるエンタープライズPCI-Express SSDは相変わらず値段が高いですが。
 エンタープライズ向けを名乗る以上、どれだけ負荷が高くとも一定性能を確保する必要があるワケで、この最低性能の確保ってのはピーク性能と違って誤魔化しが効かない以上、どうしてもコストをかけざるを得ないワケです。
 コンシューマー向けでは殆どネタのような実装で見かけ上の性能を稼ぐのが流行ってますが、コレが出来ない世界なのですよ。

 ♯たまに本当にボッタクリな製品が出たりするが、そういうモノは割とあっさり消えまっせ。

 ◇

 以上、気の向くままに3項目書いてみましたが。
 取り敢えずコンシューマではどうでもいいかも知れないが、エンタープライズの世界ではこんなこともありますよ、という話でしたとさ。

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敢えて今SSDの欠点を見直してみる、という話。(2)データ信頼性

 というワケで続きネタになってしまったので第二弾。
 SSDの欠点も押さえつつ正しく活用した方が幸せだと思いますよ、という話。

 ◇

 前回は寿命ネタだが、今回はデータ信頼性ということで。 

 「SSDは動作中停電で保存済データが崩壊または消滅する可能性がある」

 これ意外と知られていない気がするが事実だし、個人的には(寿命より重い)最大の欠点だと思っている。

 ♯この話をすると必ず「フラッシュメモリの信頼性は・・・」ということを言い出す輩が出てくるのだが、メモリチップレベルの話なんかどうでも良くて。ここではSSDという製品の話をしているのですよ、念のため。

 で、何でこんなことが起こるのかといいますと。
 大雑把に言うと、SSDってPCからアクセスしていない間にも内部で勝手にデータを書き換えてたりするのですよ。
 この書換中に電源断を喰らうとデータが吹っ飛ぶ危険性があります。
 では何でそんなことしているのかって?
 そうしないとあっという間に性能がガタ落ちしてしまうから。

 物理的移動距離に制約されるHDDと違い、SSDではメモリチップ内にデータが綺麗に並んでいないと原理的に性能が落ちてしまう。
 読出はあまり気にならないのレベルなのだが、書込ではその構造上かなりトンでもないことになってしまう。

 で、何の工夫もなく書込で固まっていた=プチフリしていたのがいわゆる「第一世代」SSD。
 最近のSSDではファームウェアの工夫とDRAMキャッシュ搭載で、外部から書き込んでいる時でも急激に性能が落ちないようになっているワケです。

 その「ファームウェアの工夫」の一つが、PCからアクセスされていない間に内部でデータを整理=書き換えること。
 最近のSSDでは「使い込んでも性能が落ちない」という売り文句が良く見られるが、これはつまりそういうこと。
 これ逆に言うと、いつ書き込みしているのか外部から分からない、いつ電源OFFしていいのか分からない、ということです、はい。

 ♯ついでに言うとどの製品が実際にコレ(バックグラウンドメンテナンス)をやっているかも分からないという。

 勿論通常の使い方をしていれば、実際に電源が切れる前にOSからSSDにキャッシュフラッシュやスピンダウンのコマンドが飛んでくるので、これを見たSSDが動作を停止して、その後に実際に電源が切れるので、データ壊れることはない。
 が、HDDと同じノリで電プチをやってしまうと、運が悪けりゃデータを吹っ飛ばしかねないということ。

 ♯緊急時には電源OFFでなく再起動で。

 ちなみにエンタープライズ製品ではこの辺りどうなっているかというと。
 SSDの中に大きなキャパシタが入っていて、書換中に電源が吹っ飛んでも「その書き換えだけは最後まで完了する」だけの電力を確保しているのが普通。
 また、データ整理にしても、パフォーマンスやフラッシュメモリの寿命を犠牲にする代わりに「突然電源が落ちてもデータ不整合を起こさない」処理になっているのが普通。
 この2つの組み合わせ技で、

 ・普通にホストから書込中の停電なら書込完了までは何とかキャパシタの電力で持たせる
 ・データ整理中に停電してもフラッシュメモリ書込中でなければデータ不整合にならないのでセーフ
 ・運悪くデータ整理でフラッシュメモリに書込中でも書込完了まではキャパシタの電力で持たせる

 こんな風にデータを保護する構造になっている。
 で、最近ちらほら見かける「エンタープライズ品質を名乗って価格が高いクセにベンチマークでは書込が遅いSSD」の理由もこれ。
 結局このデータ保護の仕組みを作り込むのにカネがかかるし、パフォーマンスを上げようとすると更にデータ保護部分にカネがかかってしまうので、価格を抑えるためにパフォーマンスを妥協しているんですな。

 #Intel DC S3500なんて分かり易い例だと思う。

 ◇

 ・・・当方はECCメモリ信者でもあるぐらい「データそのものの信頼性」を重視しているので、多少表現がオーバーになっている(そして一般的にはコンシューマでは過剰レベルである)ことは重々承知ですが、でも実際そういう可能性があるからこそエンタープライズ品は対策がされているんですよ、と。

 さて、次は最終ネタ、性能の不安定性です。

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