仲間増えてますとか、ぬるぬるするのも大変だったとか、そんな話。(続・AMDのブロガー勉強会に出て、ぬるぬるしたり懐かしんだりしてきた件。)

 さて、前回の続き。
 NDAに触れない範囲で書けることは今のうちに出しておきましょう、ということで。

 さて、今回のイベントで取り上げられたネタは、要するに「AMDのGPUに対する取り組みの紹介」。
 APU=CPU+GPUなので当然GPU要素もある、というかGPUがむしろウリではあるのだが、今回については完全にCPU要素は無し、そして実際にGPUを使うエンドユーザーが使う際のメリットアピールが中心。
 そういう意味では、ある意味アキバのイベントに近いような、分かり易い内容ではありました。

 ♯個人的には技術話も大好物なので、CarizzoのExcavatorコアのこともHSA1.0「完全準拠」のことも色々訊きたいのだが、今回は完全にOut of Range・・・というかCarizzo自体「まぁだだよ」状態。

 ◇

 その1。Min Hyuk IMM氏によるAMD GAMING EVOLVEDについてのアピール。

 そいえば少し前(9月)のアキバのイベントでもこの人が似たようなこと説明してたような。というか、その時のアップデート版って感じですかね、内容は。
 ちなみにこの人、肩書きはAPAC&JapanのGaming Alliance Managerということで、正にGAMING EVOLVEDプログラムのAPAC(Asia PACific)のキーパーソン。そういう人が頻繁に出てくる=AMDとしては日本のマーケットに力を入れている、ということでしょうな。

 ということで、スライドが次々と出てきたのだが、大雑把に言うと

 「AMDは今ゲーム市場に注力している、自社でも色々やってるし、ゲームメーカーとの協業も拡大している」
 「その成果として、Never Settle Buldleのタイトルもどんどん充実している」
 「MANTLEも対応タイトルが続々と出てきているし、新タイトルも続々と現在20以上が開発中」
 「MANTLE使うと画面が綺麗になったりfps稼げたりいいことがいっぱい」
 「日本でもスクエニとの協業でドラクエのバンドルキャンペーンをやっているし、CAPCOMもMANTLEに興味を持ってレビュー中」

 こんな流れ。大雑把だが流れは間違ってていない筈。
 まぁ中身としては「おさらい」かと。とはいえ、先日シンガポールでやっていた発表会から日本関連のネタはしっかり引っ張ってきてありましたな。

 #あと結構説明自体が早足だったので。

 にしても、MANTLEのクローズドベータって100社以上が参加してるんでっか。
 まぁ下請け開発屋も含めれば会社数なんていっぱいあるし、今ではPCゲーム開発最大のガンは古くて効率の悪いDirectXだなんて言われているし、次世代DirectXであるDX12はMANTLEと命令構造の親和性が非常に高いという公然の秘密な話もあるし、興味を持っている会社はいっぱいあるってことでしょうな。

 ◇

 その2・・・はNDAにガチ触れなので後回し。

 ◇

 その3。CyberLink 相蘇(あいぞ)和貴氏によるFluid Motionの話。

 さて、ここで突然CyberLinkの広報担当者が・・・え、何で?
 あぁそっか、今のところCyberLinkのPowerDVDしかFluid Motion対応のPlayerが出ていないから、仲良くしてくれているベンダ製品のアピール枠ということで参加したのか・・・と思ったんですよ、最初はね。

 ところがこの直後、実態は全然違うという衝撃の発言が。
 何とこのFluid Motionの開発にはCyberLinkが全面的に関わっていたんだとか。

 このブツ、所謂API叩けば完了の「ハードウェア再生支援」の類(GPUによるMP4デコードは既に常識だし)という程簡単なモノではないそうで、実際にいろんなBDタイトルを見まくって開発・調整した代物で、しかも開発に1年以上かかっているとか。
 ・・・へぇ~っ。

 #しかもAMDから最初この話がCyberLinkに来た時、CyberLink開発陣は正直「信用していなかった」そうで、実際ブツもフレームがひっくり返ったり映像が破綻したりとかいうレベルだったそうな。

 でもまぁそれだけ頑張って開発したにも関わらずCyberLinkの名前が普段表に出てこないというのは、要するにそういう契約だからなのだろうが。
 CyberLink広報氏も「是非知って欲しい」と言っていたし、AMDもゲーム屋だけでなくこういうアプリ屋ももう少し「立てて」もいいんでないのかね。
 
 とまぁこんな話をしつつ、某アニメやデモ用映像を使った実働デモを使って、確かにFluid Motionが効いていると動きが違うね、ということを見せたりしつつ。

 最後に、「CyberLink製品にはこんなのもありますよという紹介」ということで、PhotoDirectorで「写真に入ってしまった別の家族を消す」というデモを実演して見せ、会場が「ぉぉぉー」となったりしたところで、相蘇氏のセッションは完了となりましたとさ。

 #いやぁ技術としてあるのは知っていたが、¥4桁のソフトでちょいちょいするだけであんなに精度高く写真を捏造出来る時代なのね。普通に見ただけじゃ絶対分からないよアレ。

 ところがこの後AMDの森本氏等も入ってきたQAコーナーでは、何だか微妙な話がぽろぽろと。
 まぁいちいち書いたりはしないが、またしてもAMDの悪い癖「詰めの甘さ」が炸裂してしまっているようで。

 それと、Fluid Motionの店頭デモは現在「店員が私物で」やっているアキバの2店舗ぐらいだが、やっとというか漸くというか「公式」店頭デモを代理店と組んで現在準備中で、年明け後に50箇所程度は展開しようとしているとのこと。
 やっと・・・ではあるが、正に「百聞は一見にしかず」、多くの人に目に触れさせるのは大事です、はい。

 ♯こういう店頭デモの類は予めさくっと準備しておいて、発表直後に大々的に展開するのが常套手段だし宣伝効果も高いと思うのだが、それが出来てないってのも一種の詰めの甘さだよね。

 ◇

 取り敢えず、NDAに全く触れずに紹介出来るのはこれぐらいですかね。

 それでは次のエントリはNDA部分の解禁日後ということで。

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AMDの2系統のCPUコアをおさらいしてみる。

 先日、Excavatorコアのベンチがこっそりリークしており、対Steamrollerでかなり改善された値が出ているので、ここらでちょっとAMDのCPUコアについておさらいしてみましょうか、というのが本日のエントリ。
 AMDファン以外お断り的内容になっているかも、とは予告しておきます。

 ◇

さて、現在AMDのx86コアにとって「不都合な真実」というと、個人的には

 CPUコアは2系統に分化したのに同一世代のコア(スレッド)あたり実効IPCは大差ない

 ということかと。アーキテクチャ上ハイクロックに対応して高速動作出来るのはパフォーマンスコア(Bulldozer系)であることは間違いないのだが、半導体製造技術の限界にブチ当たってクロックが上げられない以上、実製品のパフォーマンスで見るとまぁ実際大差ないんですわコレが。

 #ちなみにIntelはパフォーマンス系(Core)とローパワー系(Atom)ではIPCが倍近く違います。

 ぶっちゃけ、Zambezi(Bulldozer)はBobcat(Zacate)とほぼタメ、Piledriver(Trinity)はJaguar(Kabini)とほぼタメという。さすがにSteamroller(Kaveri)はJaguarよりは効率良いが、消費電力差を考えると何だかなぁと。

 そして、実はAMDのローパワー系はAtomを遙かにしのぐ実効IPCを持っているんですな。電力効率を純粋に突き詰めても対Intelでそこまで悪くない戦いが出来る、それがJaguarコアの実力。

 #なのに採用例が増えないのは、プラットフォームとしての弱さとセールスの下手さとの相乗効果。

 一方、上記でカンの良い方は気づかれたように、パフォーマンスコアはといいますと「Atomを遙かにしのぐ」が即ち、Coreとは勝負にならないワケなんですよ。処理内容(一番不得意な処理ルーチン)によっては倍近くの差がある。

 まぁ最近Zenコアの話が出てきて漸くこの「格差」をAMDが認めた形ではあるが、勿論AMDも何もしていないワケではなく。Bulldozer系も「マイナーチェンジ」で何とか改善しようとしてきてはいる。それが時々出てくる「Bulldozer系は世代間で10%~15%のIPC改善」という景気の良いセリフと右肩上がり矢印のついたスライドだが、まぁ実態はナカナカ、といたところで。
 こりゃもうBulldozer系の小手先改善も限界か、と思っていたところに飛び込んできたのが「Excavatorで20%近く改善するのに成功した」というベンチの値。

 普通に考えると、同一アーキテクチャで20%改善というのは「有り得ない」数字なのだが、それもアリかもと思わせてしまうのがAMDという会社。

 何しろ、折角の新世代コアだというのにZambeziで見切り発車、後継のPiledriverでちょいちょい手を入れただけでIPCを10%改善、という「初物のテキトーっぷり」を実証してしまった実績があるので。
 しかも、SteamrollerではPiledriverで最大のボトルネックだった命令デコーダを増設したにも関わらずIPC改善は10%ちょいという、普通に考えて手の入れ具合とIPC改善が見合わない状態になっていたので。
 あちこち手を入れたExcavatorで漸くデコーダ4本分本来の性能が出るようになりました、と言われてしまったら「あぁそうですか」としか言いようがない。

 #まぁ、言葉のアヤを駆使して好意的に解釈すれば「新アーキテクチャをいち早く市場に投入している」ということなのだが、とはいえZambeziのダメージは大きかったよマジで。

 とはいえ、Carizzoが今のところMobile Onlyになるという話も。デスクトップはKaveri Refreshで引っ張るとか。
 これ単純にCarizzoがSoCだからなのか、それとも数が揃えられる自信が無いからなのか。

 どちらにしろ、現状と比べてかなり改善が見込める以上、普通にデスクトップ版を売ればいいと思うし、そうしない理由も正直見当たらないと思うのだが。
 単純に優先順位の問題で、開発リソース不足につきモバイル優先、という話なら分かるのだが、かといってモバイル版が出来上がればデスクトップ版なんてそう大騒ぎせずに作れるだろうに・・・どしてんな、これ。

 ◇

 もし万が一AMDが「Kaveriで商品力十分だから」なんて勘違いしてたらこの会社いよいよオワッていますが。
 方やIntelは既に出来上がっているコアの量産を先送りするぐらい好き放題に余裕ブチかましているというのに。

 まぁ、取り敢えずZenコアが2016年頭に出てくることは間違いなさそうですな。
 それまでAMDのCPU部門は何とかAPUで食い繋ぐしかないのだが、さてさてどうなりますか。

#つ~かAPUがウケてるのはGPUのパワーであってCPUパワーで無い以上、既にCPU部門じゃないんでね、という話も・・・。

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個人的にSSDを信用していない理由、そしてSMRが好きではないという理由。

 さて、ついにアキバにSMR採用HDDの現物がでてきたが、そろそろSMR HDDについてつらつらと書いておきますか。
 以下に目を通していただければ、個人的にSMRが「スジが悪い」と言い続けているのも納得していただけるのではないかと。

 最初にネタばらしてしまうと、実は、SMR HDDとSSDとでは動作原理は結構似ていたりするんですな。
 そしてそれこそが個人的にSSDをあまり信用していない理由でもあったりするのだが、まぁどの辺りが似ているかについては後で。

 ◇

 まず、SMR HDDとは何ぞやということで。超粗っぽく言うと

 「読み込みは4KB単位だが、書き換えが原則256MB単位でしか出来ないHDD」

 ということで。さすがにこれだけ粗っぽ過ぎるんで、もう少し細かく言うと、以下のように。

 ・SMR HDDでは256MB=65,536セクタを1ブロックとして扱う。
 ・読み込みは従来と同じように1セクタ単位で可能。
 ・書き込む場合、書き込み対象のセクタだけでなく、それ以降の同一ブロック内最後のセクタまで全てにデータを書き込む必要がある。

 ということで、書き込みに結構とんでもない制限が付いているHDD、という解釈がで良いかと。

 何故こんな必要があるかというと、SMRではデータトラックを重ね書きしているため。
 故に、一箇所にデータを書き込むと、書き換え対象ではない隣のトラックのデータも巻き添えになって壊れてしまうんですな。
 仕方ないので、壊れたデータを修復する為に、ブロック終端まで書き込み直す必要があるというワケ。

 #ちなみにブロックとブロックの間には間が空いていて、データ書き込みが次のブロックに影響を与えないようになっているんですな。
  従って、1ブロックの終端までデータを書き込めばHDD上の全データは正常な状態になる、ということ。

 ◇

 さてこの方法の何が問題かというと・・・その前に。
 従来の、というか今現在のHDDには信頼性に関わる大きな特徴があることを、おさらいしておきましょ。

 現在のHDDの大きな特徴は、

 「データ書き換えが物理セクタ単位でアトミックである」

 ということ。
 これはどういう意味かというと、例えば急な停電等でデータ書き込みが途中で止まったとしても、データエラーを起こすのは物理1セクタの中に限られる、ということ。
 書き換え予定だった領域には古いデータがエラーなく残っており、書き換え済みの領域もまたエラーなく保持されていることが保証されている、とも言い換えることが出来る。

 何故こんなことが担保されるかというと、それはHDDのヘッドが1つだけで、且つ完全に独立した物理セクタ単位で書き換えているから。
 要するにHDDの動作原理そのものが担保になるんですわ。

 #ここで敢えて「物理セクタ」と書いたのは、現在のコンシューマー向けHDDはほぼ全てが512eで、論理セクタ8個分が物理セクタ1つに対応しているので。

 ところがこれが、SSDやSMR HDDでは、「データ書き換えはブロック単位でアトミックである」となる。
 即ち、「物理セクタ単位ではアトミックではない」んですな。

 これどういう意味かというと、例えば急な停電等でデータ書き込みが途中で止まった場合、同一ブロックにあった他のデータが吹っ飛ぶ可能性があるということ。
 SSDでは1ブロック1~数MB、SMR HDDでは最悪256MB分が危機に晒されるワケですよ。

 どうしてこんなことが起こるかというと、前述したようにSMRではトラックが重ね書きされている為、旧データが新データで破壊されてしまうんですな。で、それを修復する作業が必要になるので、修復作業の途中で書き込みが止まってしまうと大問題、と。

 #SSDでも、素子にはデータを追記するようなことは出来ないので、書き換え作業は「データ読み出し」と「別ブロックへのデータ書き込み」という2段階の作業の組み合わせになっているのがポイント。旧データが新データによって破壊されるという現象は一緒。

 書き込み中のデータがエラーになるのは仕方ないけれど、既に書き込み済みのデータが巻き込まれて吹っ飛ぶ可能性があるなんて。
 こんな特性を持つドライブって、普通に考えてスジが良いとは言えないと思いません?

 #まぁ勿論、エンタープライズSSDでは対策としてSSD内に大容量キャパシタを積んだり、書き込み済みのデータが吹っ飛びにくい書き込み方法を駆使したりして、実際にデータが壊れる確率をかなり抑え込んでいるのが普通。
  逆に言うと、ベンチで速いだけが命のコンシューマー向けSSDの信頼性なんてね・・・。

 ◇

 まぁそんなアレな感じのSMR HDDなのだが、ドライブとしてはこの特性はどうしょうもないので、ある程度信頼性を持たせようとしたら、後はOS側でどうにかするしかないんですな。

 幸い、HDDのセクタではなくセクタグループ=ブロック単位でボリュームを管理する、ブロックストレージ(この単語はこのblogでも以前何度か出てきましたな)という考え方は最近では広く採用されているし、その辺りでは後塵を拝しまくってきたWindowsにも、漸くReFSと記憶域ボリュームという形で(不十分な部分もあるが)実装がされてきている。

 なので、個人的妄想としては、次のWindows Server 2015(?)には仮に間に合わなくとも、その次辺りのWindows ServerではReFS限定ででもSMR HDDがOSレベルでサポートされるのではないかと思ったり。
 個人的な感想はともあれ、HDD業界に残された数少ない「容量増加の切り札」の一つなので、じわじわと広がっていくことは間違いないと思うんですよね。

 ・・・とはいえ、一般人にSMR HDDが広まるような時代は来るのか、ねぇ。

 #もう一つの切り札である多プラッタ化は既にSeagateが6枚プラッタで使ってしまったし、残る最後の切り札である熱アシスト記録の方も製品化スケジュールが遅れているという話がね・・・。

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カタログスペックは時に結構事実だったりする。

 訊かれたので答えるネタ。
 9月末にBackBlazeが恒例のHDDぶっ壊れ数レポートを出していたのだが、どうよという話。

 まぁいろんな人がいろんなコトを言っているので、総論的なことは置いといて。以下、個人的感想だけ。

 ◇

 ・HGSTは相変わらずの鉄板ぶり。電源にさえ気をつければ長持ちするのは間違いない。
  HGSTといえば東芝印DT01ACA300=Deskstar 7K3000.Bもかなりいい感じ。

 ・ST3000DM001、SAMSUNG血統品は壊れ過ぎ。当方の印象ではデスクトップ用途ではここまで壊れてない。
  とはいえこのドライブについては「メカがヤワ」「設計寿命4800時間は伊達じゃない」と感じることが最近ぽつぽつあるので、単純に(設計寿命に対する)長時間駆動と振動でメカがヘタって壊れているのではと推測。プラッタの方に問題があるとは思えない。

 ・ST33000651AS、製品の位置づけ的にはもう少し踏ん張って欲しかったが、こんなものか。

 ・駄目な方で伝説のST31500341AS、伝説持ちの割には意外と踏ん張ってる。

 ・WD RED 3TB壊れ過ぎ。つか所詮はGreenの選別品、やっぱりその程度だったということかね。

 ◇

 ま、ざっくりこんな感じですかね。
 ネタ的に古いし出涸らしだし、なのであっさり風味で。

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SMARTの値の読み方って意外と難しいよ、という話。

 本日はHDDのSMARTについてちょっとネタにしてみようかと。

 たまに「HDDのSMARTってどれぐらい役に立つの」ということを訊かれたりするのだが、こういう時当方はざっくりこんな感じで答えています。

 「まぁ無いよりはマシ程度ですか」

 というのも、コンシューマー向けモデルではSMARTの値なんてホント超適当なので。
 エンタープライズ向けでは多少は詳しい値が取れるものも多いが、それでも「この数字をどういう風に解釈すれば良いか」ということは、メーカやモデル毎の癖を把握していないと中々難しいことです、はい。

  ◇

 例えば、一番気になるであろう「不良セクタ数」(0x05)についてだけ見ても、当方が知っているだけで以下のような癖があったり。
 あ、当方の経験則というかそんなモノでしかないですよ、念のため。
 「意見には個人差があります」ってことで。

 #以降「読み取り」「書き込み」と書く際については、発生原因はI/O命令(要するに普通の読み書き)によるものか、ファームウェアが持っている自己検査・修復ルーチンに依るものかと2通りあるのだが、処理そのものについてはどちらでも同一のように見えるので、そういう風に解釈されたし。

 ◆SMARTの数字の意味が分かり易い例

 HGST全般・東芝全般・Seagateエンタープライズ・Samsungのモデルがおおよそこの傾向。
 ポイントは0xC5が減るのと0x05が増加するのが同期する点と、実際に訂正不能になる前にカウントされる点で、これを見ていれば劣化の進行具合が確認し易い。

 「代替待ちセクタ」(0xC5)増加条件
 →読み取り時にエラー訂正の範囲内でも、内部的にエラーレートが一定を超えた場合
 →読み取り時に訂正不能なエラー(IOエラー)が発生した場合

 「代替待ちセクタ」(0xC5)減少条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合

 「不良セクタ数」(0x05)増加条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合

 ◆SMARTの数字の意味が分かりにくい例

 Seagateコンシューマ・WD全般がおおよそこの傾向。
 ポイントはSMART上から劣化セクタ数が「消えて」しまう可能性がある(というか実感ではほぼ「消える」)こと、実際に訂正不能にならないとカウントされないことで、これでは傾向把握に役に立たない。

 「代替待ちセクタ」(0xC5)増加条件
 →読み取り時に訂正不能なエラー(IOエラー)が発生した場合

 「代替待ちセクタ」(0xC5)減少条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行された場合、代替セクタが割り当てられるかどうかは不問

 「不良セクタ数」(0x05)増加条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合

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 個人的にはこの分かりにくいSMARTの値もWDを敬遠する理由の一つだったり。
 要するに不良セクタで大量にマークされている筈なのに、完全初期化(いわゆる「ゼロフィル」)すると全部「無かったこと」になってしまう可能性があるという。

 とはいえ、一昔前のWDはもっと素直に0x05が増えていたと思うのだが。ここ数年のモデルでは明らかにSMARTの扱いがテキトーにしか見えないですわね。

 とまぁ以上、こんなこともありますよということで。

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