2014年のPC業界を個人的に振り返る。

 さて、年末恒例と・・・なっていない?
 今年も年初予想のチェックをしつつ、今年一年を振り返ってみましょうか。

 まずは年初の予想の答え合わせから。

 ハズレ:1◇CPUもついに命名規則がグチャグチャに。
 ハズレ:2◇Haswell Refresh、Corei 5000シリーズ登場。
 ハズレ:3◇Low Power向けとXeon E3-1200 v4向けにBroadwell登場、一部はデスクトップへ。

 →IntelCPU関連についてはもうボロボロもいいところ。
  理由は簡単、AMDがショボいんでパフォーマンス向けにBroadwell焦って出す必要が無いからですな、これ。
  その分のリソースをAtomというかCore Mというか(つかこのブランドも懐かしいよねぇ)の辺りに集中投入したのが今年。
  とはいえこの辺りは完全にARM系とのチキンレースなので、Intelの利幅も相当削られて・・・まぁこの辺りは別のエントリででも。

 やや当たり:4◇Haswell-E(Core i7 5900&Xeon E5-1600 v3)登場、Haswell-EN/EP(Xeon E5-2400/2600 v3)発表。

 →Haswell-EとHaswell-EPは予定通り出たのだが、結局2400シリーズは消滅へ。
  Intelもさすがラインナップを広げ過ぎて各々の位置づけが中途半端になっていたことに気付いてしまっていたようで、Xeonについては全面的にラインナップ大整理の真っ最中。

 当たり:5◇KaveriそしてBerlinが発売されるも、APUのポジションは現在と変わらず。
 当たり:6◇DDR3メモリは高速品の流量が増加するも容量単価は大して下がらず、DIMM容量も増えることもなく。
 当たり:7◇DDR4-2133メモリモジュール登場、でもかなり厳しい船出に。

 →正直嬉しくない項目は揃って正解。メモリに関しては国内では為替の影響でむしろ値上がりしたという。

 当たり?:8◇nVIDIAからMaxwellが発表されるも量産は年半ば以降に、そしてAMDは値下げで対抗するいつものパターンに突入。
 
 →GPU関連で最大のトピックはタイトル「だけ」見るとハズレていないが、コメントで書いた一言は見事にハズレ。
  結局Maxwellは28nmで登場し、このNVIDIAの判断は大正解、AMDのシェアががっつり削られる結果に。

 ハズレ:9◇1.33TBプラッタ3枚の4TB HDDと、4枚の5TB HDD登場。そして容量単価最安値がいよいよ4TBへ移行。

 →プラッタ4枚の5TBは登場したものの、1.33プラッタ3枚は結局登場せず、容量単価最安値も3TBに留まったまま。
  個人的には1.33TBプラッタが出てこなかったこと自体、現在のHDDとHDD業界をいろんな意味で象徴していると思われ。気が向いたらこの辺りはぼちぼち書きます。

 ハズレ:10◇SSDはM2が一通り出揃い、SATA-Expressもアーリーアダプタ向製品が登場、一方で容量あたり単価は大して下がらず。

 →M2はまぁ出てきたという感じだが、SATA-Expressはコネクタこそ付き始めたものの対応SSDはさっぱり。
  容量単価については一時期のような急降下は無くなったものの、下降傾向は続いているという感じですか。

 ◇◇

 以上、甘い判定を駆使しても正解率半分、5/10という酷い結果に。

 ここからは自由記述コーナー。今年は自作限定トピックは正直面白いモノが少な過ぎるので、もう少し広げて「PC関係」レベルで。

 ◇Microsoftの方針大転換で、ソフトの価格概念の変化の始まり。

 のっけからソレかよとか言われそうだが、個人的にこの1年のPC回りの最大のトピックはこれしか思いつきませんがな。

 Office365 Personalの国内導入、Windowsのタダでのばら撒きをはじめとして、兎に角「稼ぎ方」のスタンスを変えてきたMicrosoftが全力で暴れ始めたのが今年かと。

 まぁこれは個人ベースでも影響は少なくないが、エンタープライズでいうと正に激震。Cloud Computing回りは今までMSが軽視していた分野だからこそベンチャーが沢山育ったという面は大きいが、そこにMSが全力投球宣言したのだから、業界勢力図の書き換えは必至。
 更に来年は今年以上に色々と起こるでしょう、と。 

 ◇SMR記録HDDがついに登場、注意書きも特になく。

 ハードウェア絡みの個人的一番トピックはこれ、SMR HDDの登場。
 にしても、いくらDrive-Managedだからって何の注記もなくいきなりブツを出すのはさすがにやり過ぎだろ>Seagate。
 早速ベンチ結果なんかも出ていますが、まぁ実にキモチワルイというか怪しいというかそんな感じで。

 ♯Seagateの場合は結局キャッシュ領域(みたいなもの)をHDD上に確保してWriteのパフォーマンスを稼ぐという方法でDrive-Managedを実装してきたが、これってはっきり言ってSSDの挙動に瓜二つ。そいやSeagateって自社内にSSD開発チームあったよね・・・とか。

 とはいえ暫くはSMR以外に容量拡大の手法も無く、Seagateは来年早々に8TBモデルを投入予定、来年内に10TBモデルもアナウンス予定というのだから、SMR HDDはその価格を武器に一定の勢力を占めるようになると思うんですな。

 しかしこうなると、他社はどう出ますかね。
 HGSTのヘリウムはSMRに癖がある以上多少はプレミア取れるだろうが、いくら癖ありとはいえSMR大容量品が低価格で出回れば「多少」の値幅が問題になることは目に見えている。
 WDはSMRについてここまでSeagateがアグレッシヴに攻めてくると予想していたようには見えないが、価格というある意味今までWDが一番強かった部分を武器にして攻めてくる相手にどう戦うのか。
 東芝は・・・そもそも6TB品ですらまだ出荷していないんだし、最近の容量拡大競争には単純に後れを取っているように見える。

 まぁこんな感じで、HDD回りは来年が久しぶりに面白い年になりそう。・・・てかなってくれ。
 4K放送がどーのとか、エントリーデジカメでも20Mpxとかいう時代に、兎に角タイ洪水から続く「失われた4年」はそろそろ終わりにしてくれ、と。

 ◇微細化に悶え苦しむファウンダリ、各方面に影響出まくり。

 ハードウェア系列では今年かよと言われると返事に困る、このところの毎年恒例ネタは今年もということで。

 ある意味、このところのハードウェア近辺をつまらなくしている張本人がコレ。
 現在の状況はIntel以外総倒れと言ってもいい、正直言って酷い状況。

 ファウンダリ各社は当初は20nmプロセスに熱心だったが、ハイパフォーマンス向け20nmは結局ダメ(=実質的には開発失敗)ということで、現在は16nmの開発に全力投球中。この成果が早ければ来年には出てくるので、そういう意味では一つ見どころではある。

 ♯というかこれがコケたら14nmで先行するIntelにいよいよ「永遠に追いつけない」位置まで引き離されてしまうので、本気で上手くいって欲しいところなのだ、が。

 ◇激安Windowsタブが多数登場。

 今年のトピック、最後にはコレを。
 何とか動いていますレベルとはいえ、動いていることには間違いない低価格なWindowsタブレットが多数登場。

 ここら辺の製品については、市場を一定賑わす効果こそあるものの、当分ニッチを超えない、というのが自分の感想。
 理由はというと、商品としては中途半端過ぎて、個人で買うのはヲタクだけ、エンタープライズでもまずハマらないと思うので。

 世間ではiPadですら出荷数に急ブレーキがかかっているようだし、一方で激安Androidタブは激安Windowsタブの半額以下だし。Windowsが動くということだけで激安Androidを狙うユーザにこの価格差を納得させるのは厳しいでしょ、という考え方。

 え、Officeのフル版付けても正直無理だと思いますよ。
 Officeの機能限定版はAndroidでもタダで使える(ようになる)し、そもそも最初っからOfficeをがっつり使いたい人はこの価格帯のタブレットにはまず手を出さないでしょ。

 一方エンタープライズはというと、ADでポリシー制御が効くPro版でないと実質的に使い物にならんという場面も少なくないだろうし、それじゃAD不要ですとなった途端に「それってAndroidとかiPadじゃダメ?」という質問に耐えられる場面がどれだけあるかどうか。

 ♯逆にPro版に低価格でアップグレード出来るなら結構ハマる場面はありそう。
  もしかして当方が知らないだけで、実はAnytime Updateの仕組みを活かして・・・なんて話あったりするとか?

 まぁ、個人的にはヲタクのおもちゃが増えるのは大歓迎なので、無くなって欲しいとは思いませんが、所詮その程度の位置づけだろうと。

 ◇◇◇

 以上、いつもの調子のこんな記事で今年のblog更新は終了です。
 それでは皆様、よいお年を。

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どうせ買うなら楽しい方、は伝わっているか。(続続・A10-7800とA68HM-P33(MSI-7721)で組んでみた。)

 さて、レビュー〆のエントリでは、毎回恒例だがちょっと考察っぽいこと書いてみましょうか。

 ◇

 まず、個別要素について。

 Kaveri世代のAPUについては、現在の市販ラインナップは4種類(A10-7700Kは出荷完了済なので除外)ということで、クロック0.1GHz差でラインナップがずらっと並ぶIntelと比べると実にシンプル、若しくは素っ気ない感じではあるが、実際問題としてどの石も方向性がはっきりしていて、選択に困るという状況ではないと思う。

 #A10-7850K→パフォーマンス追求、A10-7800→省電力枠でのパフォーマンス追求、A8-7600→コスパ最強、A6-7400K→兎に角安く、って感じかね。

 そして今回実際手にしたマザー、MSIのA68HM-P33のチップセットであるA68Mについては、正直「やっとここに来たか」と。
 AMDの真髄は「低価格」よりも「コスパ」の筈なので、低価格マザー(このマザーについては¥5,000割れの価格も結構見るよね)でもUSB3.0は正直外せない。そういう意味で、低価格マザーに相応しいチップとしてA68Mが登場した意義は大きいと思われる。

 #もしA58を抱えちゃってるマザボメーカーがホントにあるならその手当もきちんとしてね>AMD。
  そういうトコでポイント稼いでおかないと次の世代のマザボに響くのよね。

 更に、Fluid Motion Videoについては、正直言って「これは良いモノだ」。
 アニメ見るなら、というキャッチは伊達ではない。チャンスがあれば是非店頭その他で確認すべし。

 が、現時点ではソースを選び過ぎるのが切ないところ。個人的には帯域節約の名の下に簡単にフレームを削られてしまうネット動画に是非使いたい。例えば当方の大好きな前面展望とか、YouTubeにあるのはFullHDでもうっかり15fpsだったりするので、これが30fpsとか60fpsにぬるぬる変換されたら、物凄く幸せなんだが・・・難しいのかねぇ。

 #イベントの時の話の感じだと、結局対応するfpsやビットレート、解像度が変わったりするとそのプロファイルに向けて最適化が必要・・・っぽい感じだったので、やっぱ難しいのかねぇ。

 ◇

 そして最後に、APU製品全体のポートフォリオについてぐだぐだと。

 現状は一言で「勿体ない」というのが個人的な印象。

 正直言って、私個人としてはAPUの商品力というのは価格相応分は確実にあると思っている。
 が、それを伝え切れていない。当方がTrinityの時に書いた「どうせ買うなら、楽しい方」という雰囲気が、ユーザーには殆ど伝わってないのが悲しいかなAMDの現実で、課題だろうと。

 そんな中、Fluid Motion Videoについてはこの「楽しさ」が「見え」て前面に押し出せる(数少ない)要素で、しかも日本市場の特性を考えて「アニメ見るなら」なんてキャッチを付けたというのに、これがまた全然店頭やら小売りチャンネルでプッシュされていない。これってどうなの、と。

 それに、これだけ映像面でインパクトがある機能なのだから、従来チャンネルを超えてのアピールも是非すべき。今のAMDは前例が無いとか業界が違うとかそういうコト言っている状況じゃないだろ、と。

 例えば、BDパッケージを買う層に向けて、映画屋・アニメ屋と組むのは物凄くアリだと思う。今時ネットレンタルで済まさずパッケージを買ってくれる人というのはそこそこ拘りがある筈なので、PCパーツ屋で闇雲にキャンペーン張るより効果があるんじゃないかと。
 一足飛びにそこまで行くのがハードルが高いってなら、例えばSofmapやヨドバシカメラといったPCパーツもBDパッケージも扱っている店でキャンペーンを仕掛けるとか、やり方はいくらでもある筈。兎に角、何としても「BDパッケージを買う層」に向けてのアピールは行うべきでしょう。他にもツクモなんてヤマダ系列だし。

 更に、PowerDVDのバンドル版を激安提供するとか、クーポン添付ってテもアリでしょう。Never Settle bundleはゲームをターゲットにしているが、同じようなスキームは取れないのかしらん。
 何しろ現実として世間の大多数はIntel CPUであり、しかも内蔵VGAで済ましている層がかなり居るということは、潜在顧客の絶対数はそれなりに居る筈。そういう層に「ゲームが速いです」以外の、文字通り目に見えるメリットを提供するというのは、是非やるべきことだと思うのだが。(まぁこれは単品GPUでの話だけど)

 直近でも例えば、現在限られた店舗ではバンドル扱いでPowerDVD Ultra(当方大感激のDTCP-IP対応MediaPlayer付)が激安で付けられるようになっているが、これをAMD&CyberLinkの公式キャンペーンとして全国津々浦々で使えるようにすればまただいぶ違うのでは。

 ◇

 まぁ兎にも角にも、Kaveriについても「やっぱり同一価格帯ならIntelを選ぶ理由無し」というのが当方の感想。

 皆様もコスパ高い「楽しい方」はお一ついかがですか、ということで。あとアニヲタにはぬるぬるで。

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Fluid Motion Video、ハマったらこれヤバい。(続・A10-7800とA68HM-P33(MSI-7721)で組んでみた。)

 さて、前回組み立てたPCを使って個人的にはkaveri一番の目玉機能だと思っているFluid Motionを検証してみましょうか。
 BD Playerは現在唯一の対応ソフト、CyberLink PowerDVDということで、このソフトのレビューも兼ねてということで。

 まぁ当方はアキバをしょっちゅうウロウロしているので某店とか某店の店頭でデモやっていたりするのは知っているが、自分は特にガッツリ見るなんてことはしていないので、そこまで違うのか分かっちゃいないんですな。
 そして前回のセッションでも デモでぬるぬる動いているトコを見たりしたし、CyberLinkの広報、相蘇(あいぞ)氏が熱弁振るったりしていたけど、やっぱりフルで映画を見ないと分からないよね、ということで。

 ♯ちなみにあのデモ、どうやら店員の自腹らしい。

 ということで、「アニメを見るなら」とのことでアニメのBDパッケージをいくつか用意しました。といっても当方所有でなくアレな知人レンタルですが。一応絵作りの方向性が違うものを選んだつもり。

 ・・・えっと、まぁどれも有名なタイトル(だと思う)だし、ここはアニメ紹介blogではないので詳細は省略。S.Kazの駄目クオリティ炸裂とだけ言っておきましょう。

 ◇

 結論。
 これは確かに凄いわ。

 個人的に「ぬるぬる動く」という表現はイマイチ好きでないのだが、世間的には「ぬるぬる」ってこういう状態のことを言うのだろう、と。
 初見では思わず変な笑いが飛びだすいうか、凝視していると何か3D酔いみたいな気分になってくるというか、それぐらい強烈。

 #3:2プルダウン+リミテッド動画の動きに脳の感覚が慣れてしまっているってことなんでしょうな。

 しかも当方、特に品質高くもない(極端に低くもないと思うが)23インチのTN液晶で画面を見ているので(一応Full HD)、これが大画面になったら更に威力炸裂なことは間違いない。

 但し一点だけ、ドライバはUp to dateにしないと駄目っぽい。
 というのは当方、最初に14.9ドライバで試して、その後Omegaに差し替えて再度試したのだが、Fluid Motionの効きは素人が目視で分かるぐらい後者の方が良い。

 #というか、14.9の方はシーンのえり好みが激しいようで、タイトルによっては「あれどうしてここで効かない」「ホントに効いてるんかコレ」みたいな場面が目立つので、仮に14.9で既に動いていてもこれはさっさとOmegaに差し替えましょう。

 まぁこんなこともあって、個人的には「アニメ見るなら」はとても納得。
 いやこれ凄いって(しつこい。
 シーンによっては口パクの動きですら違いが分かるぐらい。いやこれ誇張でないよ。

 とはいえ、この一点突破では顧客ターゲットを狭め過ぎやしないかということが心配。
 確かにアニメでハマった時の効果が強烈なのは事実だが、実写でも動きが大きいトコでは効き目ががっつり見えるぐらいだし、普通に「Blu-Ray見るなら」じゃダメなのかしらん。

 ◇

 とまぁ、ここまではFueled Motionの映像そのものについて。
 ここからは唯一のFueled Motion対応ソフト、CyberLink PowerDVD 14 Ultraについて。

 個人的に一番ヒットしたのはDTCP-IPでの再生に対応していること。当方所有の古い東芝VARDIAもDNLAサーバとして動作するので、これがあれば溜まったTVをPCで見れる。自分の環境では恐らくBD再生よりこちらの方が頻度高く使われる気がする。

 え~それ本筋じゃないだろとか言われそうだが、DTCP-IP対応MediaPlayerは選択肢多くない上に、この機能だけの単品を買っても結構高い(同じCyberLink製の製品であるSoftDMAも定価¥4,980)ので、これは結構アピールポイントなのでは。

 #最近時々見かけるセット値引きキャンペーンなんかだとPowerDVDは実質的に大幅値引きされているし。

 後は、細かいところで「レスポンスが良い」「画面が大人しい」ことも極個人的に好評価。
 前者は比較対象がアレ過ぎるのかも知れないが、(やや古い)某Playerが(別にPCスペック足りないワケでもないのに)妙にもっさりしているのと比べると体感での快適さに明らかな違いが。
 そして後者は、妙に画面がケバいというか自己主張し過ぎなUIのMedia Playerも巷にはあったりする中、この落ち着いたUIなら普通に使い続けられるわなぁ、と。

 まぁその他にも、まぁ色々と機能山盛りといいますか、これさえあればというか。
 ブラウザで他のことしてても心置きなくYouTubeの前面展望動画を流せるとか・・・これはさすがに超個人的過ぎるか。
 にしてもいい加減ソフト名と実態が乖離しまくっている気がするのだが、今更変えられないってことでしょうな。

 ◇

 取り敢えず、ここまでうだうだ書いてしまったが、CyberLinkのサイトからDL出来る体験版でもハードウェア要件が揃っていればFluid Motionは有効に出来るそうなので、もし環境を持っている人は是非お試しあれ。
 独特のぬるぬる感は、百聞は一見にしかず、でっせ。

 #その際はCatalyst Omegaへのアップデートもお忘れ無く。

 ちなみにハードウェア要件は以下の通り、らしいので。

 ・KaveriだとGPUが6CU以上=A8以上。
 ・GPUだとTrueAudio内蔵世代=R290(Hawaii)・R285(Tonga)・260(Bonaire)。

 ♯CyberLinkの方でFAQ準備中とのことだが、この記事を書いている時点では未掲載ですな。

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A10-7800とA68HM-P33(MSI-7721)で組んでみた。

 さて、それは先日のイベントで貰った豪華なおみやげを使って早速PCを1台組み上げましょうか。
 まずは以下を引っ張り出しまして。

 APU :A10-7800 (Kaveri)
 マザー:A68HM-P33 (MSI-7721)

 追加したパーツは以下の通り・・・まぁたほらそこ、全体的にパーツが古いとか言わない。

 HDD :DT01ACA300 (3TB 7200rpm)
 メモリ:Patoriot PV38G213C1K (4GB x2)
 Cooler:Scythe ANDY SAMURAI MASTER
 ケース:Antec NSK3480
 電源 :NSK3480付属 EarthWatts 380(一応80+Bronze)

 メモリに見覚えある人は正解。DDR3-1866対応のものが他に無かったので取り敢えずTrinity環境のものを引っぺがしました。
 とはいえこのままだとさすがに辛いので後ほど調達予定。・・・いやね、DDR3-1333ならあるんだけどさ。

 そして、ケースと電源もそろそろ骨董かね・・・いい加減古い電源だが通電時間が短いので未だに現役なのよ。
 あ、SAMURAI MASTERどんだけ持ってるんだよというツッコミは却下。モノが出た当時はコスパ良かったんで複数個買ってたんで。

 以上、例によってちょいちょい組み上げてWindows8.1のインストーラが回り始めたところで、このマザーのFirst Impressionでも。

 ◇見るからにお手軽な2DIMM構成のMicroATXマザー。いわゆる「激安マザー」の類。

  実は当方、いわゆる「激安マザー」を買ったことが無かったので、ある意味ここまでシンプルなマザーは初体験。
  とはいえ基板を見る限り、特に品質面に不安があるような要素は見当たりませんな。部品も露骨な安物は見当たらないし、半田付けもキレイに出来ている。
  その代わりというか、上位モデルと共通基板なので空きランドが目立つのは御約束。
  にしても、国内ではこういう激安マザーの市場がシェアってどんなもんなんだろう。

 #まぁMSIといえば国内メーカー印のPCやサーバも作っているし、品質管理という意味では慣れているのかも。

 ◇搭載チップのA68HはUSB3.0を2ポートA58に追加した形で、主に中国等の低価格マーケット向け製品。

  いくら低価格とはいえUSB3.0未対応は今時のマザーとしては厳し過ぎるのでA58からA68へのチップ切替は正解だとは思うが、マザーメーカにはA55やA58の在庫が溜まっているという噂もあったり。
  そしてコスト削減はAV出力系にも反映されており、ライセンス料のかかるHDMIは無し、そしてオーディオ出力も今時逆に珍しい2ch。なので、DVIからコネクタ変換をかけてもHDMIオーディオは無しということに。

  #このHDMI無しってのは国内市場では「惜しい」ポイントだと思う。
   ちなみに2chの音声出力は特にノイズも無く、十分使えるレベルでっせ。

 ◇この価格帯の低価格マザーだとPCIe x1スロット数も削ってあるものが多い中、何故か3スロットをフル装備。

  恐らくBTOマシン等への組込を意識した構成だと思われるが、ある意味拡張性は高いかも。
  あと、奥行きが小さいというのも使い方次第では結構役立つ。今回みたいにケースが窮屈だとか。

 ◇1W刻みのcTDP設定とRAIDCore血統のRAID BIOS搭載。

  もちろんUEFIだが、以前ネタにした現dothillのSoftware RAIDを搭載。伴い2TB超もサポートされている。
  そして、こんな激安マザーなのにカラフル&マウス操作が可能なUEFI BIOS、CPUファンの速度カーブも設定出来るので大型クーラーで静音化も簡単、そしてOCメニュー・・・はさすがに使う人居るんかコレ。
  更に、Configurable TDPは何と1W刻みで設定可能。・・・ここまで細かく設定出来ても45W(省電力重視)と65W(性能重視)以外の需要あるのかしらん。

 以上、ヲタがメインマシンにするには結構厳しいが、ライトユース向けの価格優先構成やサブ機なら選択肢に入るよね、という感じで。価格相応にコネクタ類は削られているが、だからこの価格なのだし、品質面でも心配は無さそうだし。
 紹介が終わったところで、インストールが完了しましたよ。

 #ちなみにECCメモリでも起動します(笑。

 結局、Windows8.1(non Update)のインストールでもRAIDについては追加ドライバが必要。rcraid.infって、RaidCoreRAIDって意味だよねやっぱり。しかしドライバの場所が深いというか分かりづらいというか。フォルダ名がboltonになっていたのはご愛敬か。
 その他については、インストール直後でデバイスマネージャに「?」が一つだけ残ってしまっていたが、これはチップセットドライバを当てれば解消(IOMMU)。LANもUSB3.0もインストール直後から使用可能というのは個人的には結構好評価(特にLANは)。

 #にしてもRAIDXpert2のドライバ&Windows用管理マネージャがAMDサイトに無いのは何故?

 まぁ、今回このマザーとこのAPUをAMDが用意したということは、「お手軽価格で楽しいPC」というAPUの利点が一番際立つ使い方をして下さいな、ということでしょうな。組み合わせのバランスとしても、ターゲットの狙い先としても、割と良いセンで来たのではないかと。

 #マザーとAPUのセットで¥2万円前半~運が良ければジャスト、更にパーツ追加でセット割引き狙い、の構成ですな。
  ただここまで激安マザーだと更に価格重視でA8-7600という選択肢もアリで、こちらなら更に低価格が狙えるので、おサイフと相談しつつ迷うトコでもある。

 ということで、一旦ここで区切って、次のエントリではKaveri世代の最大のウリ(だと思う)、AMD fluid motionを体感してみましょ。折角CyberLink PowerDVD 14 Ultraを貰ったのだし。

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まさかのCatalystMaker登場にぶったまげて、更に名前でぶったまげた、というお話。(続続・AMDのブロガー勉強会に出て、ぬるぬるしたり懐かしんだりしてきた件。)

 さて、NDA期間も満了(って言うのかね)したので、前回・前々回で後回しにした、今回の勉強会の一番のネタについて書いておきましょうか。

 ◇

 ところで、OMEGA DRIVERって覚えている人どれだけ居ますかね?
 ATIがまだRageシリーズで頑張っていた頃、Windows未だ98SEとかだった頃、有志が配布していた改造(パッチ当て)ドライバ。
 互換性向上・解像度追加・画質向上等の効能があり、ATIだけでなくnVIDIA、3dfxやS3用のモノもあったんですな。

 #設定ファイルで行けるものについてはそちらの書き換え、ドライバが持っている隠しパラメータについてはバイナリパッチで変更していた筈。

 まぁこの頃はドライバの出来が現在とは雲泥の差で、環境によるトラブルも多かったし、地雷バージョンも普通にリリースされたりしていたんですな。
 そのため、公式ドライバで問題が発生した際の回避手段として、或いは最初っから公式ドライバの代替として、濃い人の間では結構有名だったと思われ。

 #今でもggればWebページとかが引っかかる筈。

 さて、あの頃から10年経って。
 あの頃はAMDがATIを買収するなんて思いもしなかった。そして、まさか公式ドライバが・・・名乗るなんて。

 ◇

 というワケで、セッションその2。
 登壇したのはTerry Makedon氏。

 ・・・えっと、こんな大物が出てくるなら事前にアナウンスしてよ>AMD。。
 通称「CatalystMaker」ことATI時代からの生え抜き、RadeonのSoftware(ドライバとユーティリティ)を作り続けている大御所ですよ。びっくり。

 #そしてノリのいい人でした。英語も聞き易い発音で助かったし。

 更に、説明の箇所によってはAdam Kozak氏に交代しつつ、セッションは進められる形に。

 ・・・この人もさらっと出てきて特に何も説明も無かったのだが、AMD globalのSenior Product Marketing Managerということで、簡単に言ってしまえばAMD営業職の世界トップグループに居る人。この名前もggれば英語の記事やら動画がわんさと出てきますよ。

 さてこんな大物が出てきて何を話すのかいなと思いきや。

 「AMDはグラフィックプロダクトではなくソリューションを提供する。ソリューションが提供されるからこそユーザーは製品に満足してくれる」
 「そしてのソリューションにはソフトウェアが非常に重要であり、Catalystは2002年からソリューションを提供し続けてきた」
 「今年、新しいバージョンとしてCatalyst OMEGAを発表する」

 ということで、本日の目玉はこの新バージョンの発表でした。

 にしても、「OMEGA」の名前を公式ドライバが使う時代が来るとはね。
 それと、簡単に言ってしまえば「ドライバのバージョンアップ」で終わってしまうことをこれだけ宣伝するということは、AMDはこれを「反転のきっかけ」にしたいということなんでしょうな。何しろ一時期NVIDIAを押しまくっていたのに、直近ではまたNVIDIAにかなり押し返されてシェアを落としたという調査も出ているし。

 さて、ではその「OMEGA」の進化点は何かというと、要するに以下の3つだそうな。

 ・多数の新機能
 ・パフォーマンス改善
 ・多数のバグ修正

 まぁ、総花的な話はそこらに転がっていると思うので、以下では自分的に気になった点について、この流れで少し書いてみましょうか。

 ◇

 1.多数の新機能

 全体の傾向としてのキーワードは「高画質化」かな、と。

 そして3D描画ではなく映像再生支援絡みの内容が多いのも、伝統的にメディア系に強いRadeonの立ち位置を示しているってことでしょうな。

 ♯ブラウン管にアナログ接続が常識だった頃にはATIの発色の良さは定評があって、メディアクリエイション系ではATIが指名買いされていたし、AppleもずっとATIを使っていたのよね・・・って年寄ネタ多いなこのエントリ。

 ということで、例のFluid Motion Videoの他にも、ハードウェア再生支援機能の拡張、ブレ補正、画像圧縮ノイズの軽減機能、そしてここからは高性能単品GPU限定ながら4K対応の画像補完、その逆にsoftwareには実画面以上の解像度情報を渡しつつ画面では縮小して高画質化やマップ全体表示を行う「Virtual Super Resolution」等々の説明が。

 ・・・えっと、つまりますますAPUがHTPCに最適になっていきますと。

 そんな中で個人的に一番大きいトピックだったと思うのは、「FreeSync」正式対応の件かと。

 発表されてからぼちぼち1年、初登場時には「いろんなデバイスですぐに使えるようになる」的な話が各種Webに出ていた気がするも、続報無し。
 その後、VESA AdaptiveSyncとして規格化されたのが確か5月。その時も「もうすぐ対応デバイスが出ます」てきな話があった気がするが、またその後も音沙汰なし。
 黙殺というか総スルーされたんかコレは・・・なんて思ったことも無かったといえば嘘になる状況で。

 それが漸く、やっと、正式に実装されたんですな。
 対応ディスプレイ第一弾はSAMSUNGの4Kで、この後のSAMSUMGの4Kは全てFreeSync対応になるし、その後も別メーカが続いていくとのこと。
 ということで、発表から1年、漸く店頭に実物が来るようです、はい。

 ♯この他ディスプレイ関係だと5Kモニタ対応とか、Eyefinityの拡張とかも。
  つか24画面まで管理出来ます、といったところで、純粋なデモ以外で24画面なんてどっかで使っているのかね。

 ◇

 2.パフォーマンス改善

 よく「ドライバの熟成」とか言われているアレのことですな。
 ハードウェアに一切手を入れず、ドライバ側の最適化だけでパフォーマンスが改善するというのだから、誰も損しないし純粋に良いことでしょう。

 今回、汎用ベンチマークの一発ではなく複数のゲームの実タイトルベースで具体的なfps数字を出してきているのは、AMDがゲームの本気ですというアピールも兼ねているんでしょうな。

 にしても、タイトルによっては20%以上もfpsが改善されているとは、頑張って改善しましたというのが正しいのか、今までがちょっと酷過ぎましたというべきなのか迷うところではある。

 #にしても「メモリの使い方を工夫して」って台詞が入っていたのは、GPUにとってメモリ帯域がそんなにボトルネックになっているって解釈で正しいのかしらん・・・折角CatalystMakerが来ていたのにこれ訊きそびれたよ。

 ◇

 3.多数のバグ修正

 こう言ってはナンだが「品質」という言葉がAMD側から出てくることに安堵したというか。
 自動テストのケース数を増やしたり、有名サイトで「トラブル事例大募集」して上位から潰していったり(Top10は全てFIX出来たそうな)して、兎に角品質向上に向けて頑張っていますよ、というお話。

 いやね、昔のCatalystの酷さを知っている人間としては「だいぶ良くなったよねぇ」とかいう感覚も無くもないのだが、やはりまだまだ「並」であって「品質高い」というレベルには達していないと思うので、改善を頑張って貰うしか。

 ♯前述したTop10も結構致命的というか当たったらキツいものばっかりに見えるのよね。

 あと、AMDとしてエンドユーザが直接使えるバグ報告フォームを準備したとのことだが、現時点では英語版のみとのこと。日本人は兎に角英語がアレなので、鋭意準備中の日本語版が早急にローンチされることを期待しておきます、はい。

 ◇

 この後はQAコーナー。この時間がある意味一番このイベントのハイライトといいますか。
 そしてまた例によって遠慮ない発言が飛び出すワケで・・・まぁ会場内で一二を争う無遠慮なのが当方ではあるのは間違いないのだが(ぉぃ。

 Q・G-SYNCに対するFreeSyncのメリットは?
 A・追加ハードウェアが不要で低価格、VESA標準規格、DisplayPort以外でも技術的には対応可、広いリフレッシュレート可変幅

  まぁこの辺りは実物が出てこないと、消費者としては何とも言えないよね。
  でもNVIDIA製の追加ハードが不要でVESA標準規格である以上、FreeSync対応にしたところで製造コストという面では従来とほぼ差が無い筈なので、あとはディプレイメーカーのご機嫌をAMDが取れるかでしょう。

  ♯何ともアレだが、IntelがVESA標準リフレッシュレート可変技術を採用したらその時点でFreeSyncの勝利確定でしょうな。
   いくらIntelでも後追い採用ならG-SYNCよりVESA標準を使うだろうし、今更独自の作ったりはしないだろうし、どんな名前が付こうが要するに実体はFreeSyncと同じものになるんでないかね。

 Q・FreeSyncのNote PC対応はどうなったの?
 A・現在のところデスクトップで対応を拡大することが優先になっている

 Q・FreeSync対応製品がちっとも出てこないんだけど?
 A・これから多数出てくる筈なので期待してくれ、SAMSUNGの後もある

 Q・Catalyst UninstallerがWebから消えちゃって不便なんだけど?
 A・OMEGAではUninstallerも改善している。Webサイト再構築中で不便なところがあるのは順次直していて、必要なツールは提供する

 Q・直近でNVIDIAに結構負けてるんだけどコレの他にも何か方策無いの?
 A・自分はソフトウェアでRadeonの商品力を高めるのが仕事、販売戦略はセールスに訊いてくれ(by CatalystMaker)
   (方策は)いっぱいあるよ~(by 森本氏)

  最後の失礼極まりない質問したのは当方です。
  でその言葉、ホントにホントよね?>森本氏 (益々もって失礼)

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 以上、勉強会のレポートはここまで。個人的には十分楽しめましたよ。
 次のエントリでは「豪華なお土産」を組み立てます。

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