IK Multimedia iRig Keys 25を買ってみて、3オクターブの大事さを知った。

 さて、物凄く久しぶりにDTMっぽい話でも。
 先日からやっていたIK Multimediaの強烈な期間限定キャンペーン、簡単に言ってしまえば最安で¥8K(小売最安価格帯)からのミニキーボード(鍵盤の方ね)を買うと¥55K(定価)程度の音源ソフト、SampleTank3フル版を付けちゃうよ、というシロモノに、飛びついてしまった人間がここにも一人居たワケですよ。
 つか、いくら会社設立20周年キャンペーンだからって太っ腹にも程がある。

 ・・・ということで、全く予定していなかったのだが、シンプルな2オクターブのミニ鍵盤キーボードが手に入ってしまったので、軽く感想でも。

 ◇

 まず予め言っておくと、ぶっちゃけハードウェア単品の魅力というか商品力というか、そのレベルの話を始めるとKORGやALESIS、M-AUDIO、AKAI Professional等のライバルに正直太刀打ち出来ません、はい。モノが劣る訳ではないが単純に価格が高い。
 逆に、普段からバンドルされているSampleTank3 SEというソフト代込みだと考えると、これはこれでかなりアリではないかと。確かにタイトル数だけ見れば多数のバンドルソフトが付いている製品もあるが、内容を見ればもう全く問題ない。

 ♯という風に昔からSampleTankが好きだった自分は思うのだが、世間一般の人にはどう思われてるのかねぇ。

 という前提を置いておいて、実際にハードウェアを触ってみると。
 正直言ってしまうと「思っていたよりはしっかりしてる」。激安何とかトーン並のぺらぺら感を想定していたら、それよりはだいぶマシだった。
 何より、この小ささとキーの軽さでタッチセンスがそこそこ綺麗に入ったのが驚き。まぁこのタッチセンスの感度やらセンスカーブやらというのは個々人の演奏スタイルというかフィーリングに激しく依存するので、他の人からすればキモチワルくてツカエナイ、かも知れないが、自分的にはコレはもう十分にアリ。

 ・・・が、ここでタイトルに戻るんですな。
 実際触ってみたところ意外と弾けてしまったので、そうなると今度は2オクターブという音域がキツくてキツくて。せめてもう1オクターブ欲しい・・・とふと思ったら、世間で売られているミニシンセ、大体3オクターブはキーが付いているということ。
 そっか・・・そういうことか・・・小さくても「弾ける」の限界は3オクターブだったんだ、と身をもって実感してしまったワケですよ。

 ♯最近の機械でもKORG Minilogue、microKORG XL+、YAMAHA Refaceシリーズ、Roland JD-XI、Novation MININOVA、古いトコではKORG PROPHECY、MS-20、ARP ODYSSEY、その他色々。

 ん~これだったらもう少しカネ払って37鍵版のiRig Key 37買っておけば良かった。
 ブツ自体がアレということでは無いが、買うもの間違えたかも。

 ◇
 
 ちなみにキャンペーンで手に入れたSampleTank3のフル版は・・・さすがSampleTank、マルチティンバー音源だというのに生音系が中々いい感じですよ。楽器の種類のメジャー所は揃っているし、専門ソフトに比べれば少ないとはいえ奏法違いのバリエーションも入っている。まぁこれでも足りなければMiroslav Philharmonik 2を買えということよね。

 一方でこれまたさすが前評判通りだったというか何というか、エレクトリック&シンセ系の音は正直え゛~っと。どうしてこうなった。
 まぁこの辺りがST3の変わったところというか。一般的になマルチティンバー音源は音色数稼ぎが出来ることと音源自体がショボくてもまぁそこそこ聴ける音になることとで、シンセ系の音を充実させてくることが多いのだけど、ST3はそのテの音数稼ぎはやっていなんですな。

 まぁ兎に角、実質的に¥8Kで買えてしまったと考えたら超の付くお買い得品、フツーに買っても中々悪くない一品ではないかと。
 ・・・って、今回はキャンペーンでタダだったが、普段でもIK Muitimedia製のMIDIコントローラ買って、バンドル版のSEからフル版にアップグレードした方がフル版パッケージをいきなり買うより総額が低かったりするのよね。このテの話はソフトもハードもやってる会社ではあるあるだけど、IK Mutimediaも御多分に漏れず、と。
 しかもさっきWeb見たら期間台数限定だった筈のiRig Keys PRO+SampleTank 3フル版のバンドルパッケージが未だ残っているし。コレST3単品で買うよりかなり安い上に37フルサイズ鍵盤が付いて来るという一品で、特に告知も無く商品リストの隅っこにしれっと載っている辺り何だかなぁと。

 ♯ちなみにIK Muitimediaの製品はパッケージ版がほぼ価格固定なのに対してDL版は為替の影響で日本円にした時の金額が結構振れると、割と頻繁にDL版のセールをやっているので、欲しいと思ったら頻繁な価格チェックは必須です、はい。

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Steinberg印のUR12を買ってみた。

 さて、手元の環境のWin10化で泣く泣く捨てざるを得なかったのがサウンドカード。いい加減Vista用βドライバではWin10ではコケまくるというか青画面の原因になってしまうようで、まぁそんな代物が今更Win10用ドライバなんて出してくれる筈も無く。

 で・・・オンボードのサウンドも使ってはみたものの、筐体内の電源ノイズを拾ってしまって仕方ないのと(実はサウンドカード時代も拾っていたがオンボードの方が更に酷い)、そもそもやっぱりオンボードなので。

 ♯とは言っても昔に比べると随分良くなっているのは聴いてて分かったけど。

 そんなワケで、ASIOが使えてある程度しっかりしていて且つ低価格、という条件で探してみたところ、YAMAHA製なSteinberg印のUR12がヒット。既にコスパ高いという定評もあったので、何も考えずにぽちっと。

 ◇

 以上のような経緯で、手元に来たUR12。第一印象は「(物理的に)重い」だったというのは兎も角、ちょっと触ってみた感じ、確かにこれは「コスパ高い」わ。
 ラインナップ最上位しか真面目に作らないYAMAHAにしては珍しいことがあるもんだ、といったら怒られるかも知れないが、確かに色々価格相応にケチられているものの、しっかり作られている印象。

 Cubase AIも付いてくるし、この価格帯としては決定打と言ってもいいかも。
 正直言っていい買い物したと思っていますよ。

 ♯桁が違う純業務向けと比べると音の輪郭や解像度が、という話は確かにまぁなぁとは思うが、この値段でこれだけ出ていれば逆に御の字では。

 但し、それではコレもう完璧かと言われるとそうでもないね、と。
 大雑把に言っても4つも注意点があるので。
 以下、列挙。

 ◇その1:電源にシビア過ぎ。

 まぁこれはUSBバスパワー機あるあるではあるが、世間の口コミ以上に電源周りに余裕が無い。
 電圧が低いとしれっと電源が入らないし、何とか電源が入って認識されても今度は稼働中に突然音が途切れてしまう。更に、電源ラインからノイズが入ると音が途切れることも。

 最近では電気喰いデバイスが増えたせい(だと思う)でUSB電源周りは以前よりかなり強化された気がするが、一昔前のPCで少ないコネクタにUSBデバイスを複数繋いでいるような環境だとこれは厳しいかも。
 あとモバイルノート系は要注意。バッテリ節約の為にUSBの給電能力が低かったり、AC繋いでいると問題ないがバッテリ駆動にすると・・・なんて話は最近の機種でも時々聞く話なので。

 実際自分のPCのうち1台は構成そのものが古いこともありUSB周りがヨワヨワで、他のPCでは全く問題なく起動するバスパワーのUSB HDDが起動できないなんて事態になっていたりするのだが、素でこのPCに繋ぐと一応認識こそするものの、10分も持たないうちに音が途切れ(て数秒~十数秒後に復帰)、終いには認識されなくなってしまうという有様。

 ♯ちなみにこの「音が途切れ」ている状況ではUSB Link LEDが高速点滅する(電源ON時はホストに認識されるまでゆっくり点滅)。マニュアルにはこの高速点滅の意味が書かれていない気がするが、要するに取り敢えずエラー、ということでいいんか?

 とはいえこのUR12、この問題に対しては簡単に対処可能。
 やり方は簡単、PC接続時でも外部給電を使用すれば即解決。コネクタがUSB MicroBでスマホの充電用アダプタやケーブル、そしてモバイル環境ではスマホ用のモバイルバッテリがそのまま使える辺りは気が利いている。

 実際、当方の場合も、1.5A出せるモバイルバッテリ(普段持ち歩いているもの)から給電した状態で前述のUSB周りダメダメ環境に繋いでみたところ、取り敢えず7~8時間は全く音途切れが発生せず、極めて安定してしまいましたとさ。

 しかも、これは当方のようにPC電源がノイズだらけのような状況に限られるだろうが、外部給電した方が明らかに音が良いという。
 自分のような駄目耳と安物イヤホンですら気付くぐらいの差があるので、きちんとした耳とヘッドホンを持っている人なら雲泥の差ってやつでは。

 ちなみに、給電能力不足解消のド定番の手法である「セルフパワーUSB HUBを挟む」でも勿論問題は解決する。
 が、手元でで試してみたところ、確かに不安定さこそ解消されるものの、明らかに外部給電の方が音が良いのですよ。

 まぁこれは給電にどんな電源ソースを使うかにも依るとは思うので、当方の環境限定かも知れないが・・・既に手元にセルフパワーUSB HUBが余っているような状況でもない限りは、スマホ充電にも使えるACアダプタを外部給電用に買って来るのが正解かね。

 ♯ちなみに、手元に転がってたUSB HUBのうち1つはセルフパワーで5V2AのACアダプタからUR12だけ繋いで給電しているのにも関わらずイマイチ安定しなかったったりしたので、USB HUBを挟んでもダメな時はあるっぽい。ここまで来ると相性レベル。

 ◇その2:PCを省電力に使うのはかなり厳しい。

 元々DTMを本気でやるなら省電力モードなんて使わないだろうが(VSTがモタるので)、単なる低価格なDAC代わりにしようとするとこの欠点が目立つ。
 手元のPCでは、どれも「高パフォーマンス」モードにすれば問題は起こらないものの、「省電力」設定にすると全ての環境で音切れ多発、「バランス」モードでも音切れする環境がある始末。

 それと、どうやらデバイススリープ周りにも不具合がある模様。
 症状としては暫く使用していないといつの間にか切断されてOFF状態になっているというもので、この症状が出てしまうとケーブルを物理的に抜き差ししないと復帰しない。
 取り敢えずの対応としては、デバイスマネージャ上でUR12のぶら下がるUSBの接続ツリーを開き、途中に挟まる全てのHUBの電源管理でデバイススリープ(電源OFF)を不許可に(標準だと許可になっている)することで解決するように見える・・・が、短時間の確認なので完全かどうかは不明。結局すぐに外部電源繋いでしまったので。

 ◇その3:USBバスとの相性は確かにある。

 手元でこれヤバいと発覚したのはASMedia USB3.0。ここに繋ぐと兎に角安定しない。
 逆にUSB3.0でも旧NEC=Renesas USB3.0では特に問題は発生せず。
 ではUSB2.0の世界では無問題かというと、AMD SB850・950だと偶に音が飛ぶことが(1時間に1~2回程度)。Renesas USB3.0ではこんな症状出なかったので、これまたコントローラ若しくはドライバとの相性と思われる。

 ♯にしてもここまで分かり易くASMedia USB3.0で相性問題起こすデバイスは初めて見た。
  USB3.1登場で捨て値になってるRenesas 3.0チップ搭載PCIeカードでも買ってくること考えるかね。

 ◇その4:コネクタどうにかならんのか。

 そして最後の注意点。
 標準添付のUSBケーブルが悪いのかコネクタが悪いのか、それともハズレ引いたのか、Type-Bケーブルのガタが酷く、ガタガタしていると突然接触が切れることがある。

 一応モバイル用途も謳っている以上、これはどうにかならんのかいね。
 まぁType-Bコネクタ自体がアレだという話もあったりするのは分かっていってるけど。

 ◇

 ・・・まぁ色々言ってしまったが、基本出来が悪くないだけに欠点が余計に目立ってしまっているような。
 他人に薦められるかと言ったらおススメ出来ます、程度には満足してます。

 それでは、今回はこの辺りで。

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2016年PC業界の(個人的な)見所は。

 さて、2016年初と言いつつもう1月も終わりというエントリはこんな感じで。
 毎年恒例?PC業界ネタを書いてみますか。とはいっても今年も特に予想は無しで、個人的「今年の見所」的な感じで。

 まずはPC業界から。

 1◇PC離れの一段の加速、現業各社は踏み止まれるか。

 いやね、ホントにコレですよ。
 国内PCメーカーの大集約の噂は絶えないし、パーツ業界は兎も角パーツの元=デバイス業界では大激震が継続中。
 これは本当に今年(も)何があっても驚かないというか。

 ちなみにエンタープライズITの世界はコンシューマ以上に色々動きが激しいので、ここでは詳しくは書かないけれどもやっぱり見逃せないですよ。

 2◇アキバのPCパーツ屋はeスポーツの夢を見るか。

 少し前にも書いたが、昨年から急に「盛り上げてる」eスポーツことPCゲーム。
 自分はeスポーツ自体にもゲーミングPCにもケチを付ける気も否定する気もないが、ソレが今年一年で国内でそんなに広がるか、アキバ発のムーブメントと言われる程盛り上がるか、と言われると「そりゃないわ」としか思えないんですよ。

 そしてパーツ屋なんて元々薄利店舗、いくら先行投資だと頑張ってもムーブメントが来なければ息切れしてしまうのは目に見えている。
 ということで、「eスポーツショップ」が今年1年を乗り切れるのか、1年後のゲーミングPC市場はどうなっているのか、というのは結構注目して良いネタだと思いますよ。

 ここでもしS.Kazの予想が完全に明後日に外れてeスポーツ関連が大盛り上がりしようものなら、アキバのPCパーツ屋は暫くは安泰でしょう。
 でも当方の予想が的中してしまったらいよいよ、アキバのPCショップは電気&電子パーツ屋・アマ無線店・オーディオショップと同列の「あぁそういう店もあるよね」という一群に入っていくのでしょうな。

 ♯その時アキバは何の街と言われるようになるのでしょうかね。
  今まで通りの「ヲタクタウン」のままかしらん。

 3◇撃沈が先かZEN発売が先かのAMD。

 何度もネタにしているように自分はAMD派だが、その自分をしても正直こう思わざるを得ないぐらい本気で瀕死の状態のAMD。
 QualcommやらMSやらが買収に興味を持っているという噂が絶えない中、今年中ZENが出せなかったらいよいよ爆死しまっせ。

 取り敢えずAM3+のリフレッシュマザーが今更各社から出ていることを見ると、AM4のデビューは最短でも6月のCOMPUTEX TAIPEI、下手すると9月ぐらいになると思われるが、せめてアキバで財布握りしめて頭抱えられるぐらいにはなって欲しいのですよ、いやホントに。

 ♯その為にもAM4には是非ECCを。

 4◇NVMeブレイクなるか。

 Flash Memory Summitでの各社の製品の準備具合を見るに、今年は各社から一気にNVMeなSSDが登場する筈。
 フォームファクタもM2、M2にPCIe変換アダプタ、性能重視のPCIe形状のものと幅広く出揃い、R/W共に1GB/S超えが「フツー」に。

 それともう一つ、今年現物が出て来るかどうか見物なのが、性能はそこそこながら非常に低価格なNVMe SSD。
 俗に言うDRAM-Less SSDなのだが、NVMeでは最新のコントローラの仕様(1.2)としてホスト(PC)のメインメモリを作業領域として使う手法(HMB)が定義されているので、これを駆使することでSSDの部品を減らし価格を抑えるというシロモノ。
 ポイントはSATA版のDRAM-Lessと違い性能へのダメージがそこまで大きくないことで、PCIeバス速度も手伝って、実装次第では現在のSATA接続のSSDを上回る速度を出すことも難しくない。なので、これが出回り始めたら相当インパクトあるのではと。

 ちなみにSATA版のDRAM-Less SSDは現在進行形で勢力拡大の真っ最中。
 NVMeと違ってSATAではDRAM-Lessのハンデは大きいのだが、Windowsならメインメモリをキャッシュに使うソフト(RAPID CacheとかPlexTurboとかあるアレ)である程度カバー出来るし、いくら遅いとはいえHDDよりは速いし、何しろストレージに対するコスト圧力はハンパない。

 なので、このままNVMeが広がり高速SSDは順次移行し、SATAなSSDには最終的には低価格なTLC+DRAM-Lessしか残らないとも予想されていますが、さて実際はどうなりますかね。

 ♯にしてもこの勢いで行くと、SATA Expressは結局出番が無いままになるような。

 5◇Microsoftは何処へ行く。

 今年も一年、色々とトラブル起こしたりPC業界沈没に加担したりする予定のMicrosoftは目が離せません、いやマジで。

 年明け早々「SkylakeはWindows7サポートさっさと切るぜ」宣言をしてみたり、やりたい放題ですわ。
 そこまでしてWindows10に移行させたいMSの意思は理解は出来るが同意はしない、それは兎も角。

 自作PCユーザーの中でも一定数存在する、どころか大多数だという話すらある「Windows7で頑張ります」派。
 SkylakeではUSBドライバ絡みの話もありWindows7の導入がただでさえ面倒臭いことになっているところに、MSのこの発表。
 「んじゃHaswell RefreshやBroadwellで」となる群がどれだけ出るのか、エンタープライズの端末更新サイクルに影響が出るのか、はっきり言って自分には影響が全く読めません、はい。

 そいえば今年秋にRedstoneとかいう旧来表現で言うところの「R2」が出るらしいが、これもまた一悶着あるんでしょうな。

 ◇

 次、もう少し大きくIT業界で。

 6◇ファウンダリ各社は14nm量産開始出来るのか。

 Intelに突き放されまくっていたファウンダリ各社、大金を投資してきた14nmプロセス開発の成果がいよいよ今年から花開く予定ですよ。
 特にスマホ向けARMとGPUにはこの恩恵は大きく、20nmでは思った程消費電力の下がらなかったARMハイエンドプロセッサも14nmでは一段消費電力が下がる見込みだし、GPUに至っては現状の28nm比で「ワッパ」こと電力性能比が2倍程度まで上がる筈。

 ・・・というか、GFの14nmが即立ち上がってくれないとAMDの爆死が確定してしまうので、マジお願いします、はい。

 7◇IntelはIAスマホに固執するのか、IoTに賭けるのか。

 このところずっとスマホ業界に御執心なIntelだが、カネばかりかかって彼ら的に満足出来るマーケットシェアには到底達していないままズルズルと来ているのが現実。

 ♯業界標準のARMから今更x86に移行する積極的理由が無いんだもの、当たり前。

 一方でIoTという更にスモールファクタで且つ数だけは捌ける世界が一気に広がってきており、ここにIntelがどれだけ肩入れするかは正直まだ見えていない状態。
 勿論小さなSoCやらは提供しているものの、自分にはあくまでも様子見モードにしか見えない。

 とはいえもし本気でIntelがIoTにもx86を入れたいなら、もう時間的猶予はあまりない。
 遅くとも今年中には何等かのアクションを示さないと、現状のARM占有を引っくり返すことは永久に不可能になる、というのが自分の意見なのですよ。
 なので今年IntelがIoT関連でどういうアクションを取るか、個人的にちょっと興味があるのです。
 なんてったって金持ちなので、カネの力を発動させるという手もあるんだし(スマホ業界では不発続きだけど)。

 8◇今年こそ来るのかARMサーバ。

 実際の製品という意味ではもう数年前から出ていたりするのだが、昨年はARMが純正(と言うのかコレ)のサーバをお披露目したり、今年頭にOpteron A1100が漸く正式発表になったり(つかアナウンスから1年経っているし開発ボードはとっくに出回っているのだが)、少しずつ近づいてきたように錯覚してしまうのがARMサーバ。
 現実には未だ「モノはあるんだけどね」状態なのでブレイクとは程遠いという。

 そんなARMサーバ、今年その遅い歩みが一歩でも進むのか、或いはまったく進まないのか。
 生温い目で見守ってあげましょう、はい。

 9◇何度も「元年」のVR、今年こそブレイクするか。

 IT業界でこのところ毎年「元年」が繰り返されているもの何~んだ、と訊かれたら自分は間違いなく「ARとVR」って答えますよ。
 Google glassがビミョーなことになってしまった以降もHMDの類は各社から登場しているのに、特定業務で採用されたという話ぐらいしか出てこないのがAR。一方、2012年にOculus Riftが発表されて以降、こちらも掛け声ばかりで実態はヲタクのオモチャから一歩も踏み出せていないのがVR。

 そんなVRですが、今年はOculus Riftのような没入型(ゴーグル型)HMDが他の数社からも発売されて、nVIDIAもAMDもソレをターゲットにした準備をしている等、久々に大きく動きが出るのが今年。
 さて、HMDが出て来るのは良いのだが、果たして売れるのかどうか、お手並み拝見といったところ。

 ちなみに個人的な意見を言うと、自分は結局VRってコンテンツ勝負だと思います、はい。
 VHSがエロビデオで天下を取ったように、誰もが高いカネを払ってでも欲しくなるコンテンツを用意できない限り、業務用途は兎も角コンシューマ用途では広がらないのではないか、と。

 ♯そして今のところそんなコンテンツは無い。

 10◇人工知能、爆発的普及に向けて地均し拡大中。

 個人的にはそろそろ「そもそもAIの定義って何ですか」とか言いたい気分なのだが、それは兎も角。
 自動運転等、今まで絵空事だった技術がいよいよ現実になっていく中で、AIの出番はこれから爆発的に拡大する筈。

 そして現在、例えばWatsonで新しいレシピを考案してみたり、なんてのは正にAIが「あって当たり前」の世界へ地均しをしてる、と自分は解釈しているんですな。
 それはDeep Learning等の技術面と、自動運転車の為の法律等の社会面、両方の側面から。
 それらは昔のように「AI」を前面に押し出すことはせず、単なる便利なシステムの一部として、静かに勢力を広げていく、と。

 そんなワケで、AIを前提とした世の中の動きが今年は色々出て来るのではないかと。
 やや遠回りではあるがビッグデータ活用だってAIに喰わせる為の下準備という考え方もあるワケだし。

 ◇

 以上10コ程、今年ネタになりそうな代物を挙げてみましたよ。
 さてさてどうなることやら。

 ということで取り敢えず、今年もうだうだ書いていくらしいので、よろしくお願いいたします。

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2015年のPC業界を個人的に振り返る。

 さて、書いていたらまたしてもあまり面白くない感じになってしまったのが本人をしてイマイチなのだが、取り敢えず今年のPC周りを振り返ってみましょ。

 1◇Windows10の提供開始とゴタゴタ。

 今年のPC業界全体を見ると、落ち目のMicrosoftに振り回されて業界全体が更に弱った、というのが個人的印象。

 トップが変わってから色々頑張っているのは分かるのだが、多少頑張った程度でMS品質がどうにかなるワケもなく。
 しかも何故か当初予定より前倒しで展開した挙句、相変わらずのポンコツ状態で「正式」登場したWindows10。

 ♯もう少し品質を上げておけばもっとスタートダッシュが効いたと思うのだが、ここまで前倒しにした理由が個人的には全く思いつかないんよ。

 そして先日配信されたNovember Update=事実上のSP1でもバグ修正と仕様変更を一気出し、しかも配信できちんとトラブルを起こす、という相変わらずの展開。
 とはいえ漸く「SP1並」の品質になってきたので、EarlyBirdがぼちぼち移行し始めているといったところ、というのが2015年末ってトコですかね。
 次の大型アップデート=Redstoneではまた色々手を入れるという話もあるので、取り敢えずここで一旦、という人も居るのでは。

 とまぁここまでの展開が約半年。
 ユーザもPC業界もそろそろ学習しましたね。Windowsは未来永劫安定することはない、と。
 そしてトップが変わろうがアグレッシブになろうが、やはりMicrosoftは品質とタチが悪いと。

 変化することと安定しないことは違う筈なのだが、Microsoftにこの2つを区別出来るだけの能力があるワケもなく。
 Micfosoftが目指すと公言したモノと、現実とのギャップが激し過ぎて、でも業界としてはそれに付いていくしかない。

 しかも一蓮托生だと思っていたら、自社製ハードウェアのラインナップ拡張で競合範囲を広げてきたし。
 更にTH2の出来云々よりも強引なアップデート誘導という面で個人ユーザとベンダの余計な混乱と反発と顰蹙を現在進行形でかっているし。

 そんな姿勢そのものがPC業界を弱らせているということに、MSは気付いていなのでしょう、きっと。

 ちなみにWindows10 Mobileは・・・あ~そいやそんなのありましたね的な。
 個人的にはこのまま永遠の弱小勢力で終わる確率が非常に高いと思っています。
 OS提供も遅れ、Windows Bridgeも全然進んでいない、その間にもAndroidとiOSは拡大中、もうこの差はは取り返せないだろ、と。

 確かに最近のAndroidは肥大化というか品質低下が目立っているし、その辺りWindows10 Mobileと並べるとという話もあるが、OSとしてのプラットフォームが一度広まってしまったらソレがどれだけ強いかということは、Microsoft自身のWindowsが証明してきたトコなのでね。

 ♯ネタ商品的にはアリだと思う。

 2◇OneDriveを巡るゴタゴタ。

 Microsoftネタ連発だが、これも今年のデカい話として外せないと思うので。

 ミクロで見ればいつものMicrosoftというだけ。「新生」Microsoftは存在しなかった、ということを一番分かり易く知らしめたということで。
 マクロ的視点だと、クラウドサービスってこういうモノだよ、ということを広く再認識させた効能があったかと。
 一般PCユーザの視点で見てみると、Microsoft離れを加速させたとしか。

 個人的な意見だが、古臭いPCユーザといわゆるスマホネイティブユーザの大きな違いの一つに、サービスに対する忠誠度があると思っている。
 これはPC万能時代の「移行の面倒臭さ」の記憶と裏返しであり、一つのアプリなりサービスなりに腰を据えて使い続けるのがPCユーザの習性。良く言えばロイヤリティが高い。
 一方、スマホネイティブユーザはアプリを選んで入れて捨てて御仕舞が当たり前。大多数がコンテンツ消費者なので移行するデータも無く、データ移行作業なんて基本存在しないので、アプリを入れ替えても特に困らない。
 サービス提供側から見た場合、どちらを掴んでおいた方が幸せか、ということですよ。

 そんな時代に、コンテンツ消費者がPCを買ってくれるという幻想はもう通用しない。
 PCが掴んでおくべき顧客はひと昔前「プロシューマ」と呼ばれていたコンテンツ作成側のユーザであり、これは即ち古臭いPCユーザであり、取りも直さずWindowsユーザであり、Microsoft製品ユーザなのですよ。
 そんな彼らに「やっぱMicrosoftは信用ならんわ」と知らしめた今回のイベントは、確実にMSのコンシューマ向け戦略に未来永劫影響を与えると思うんですわ。Windows Mobileの展開も含めてね。

 3◇メインストリーム向けNVMe離陸開始。

 さて、いい加減MSネタばかりだと飽きるので、きちんとハードウェアの話しましょ。

 今年のハードウェア的トピックの中では、個人的にはNVMeがいよいよコンシューマ向けに来たことかと。
 OS側は実はWindows 8.1からフルサポートになっていたが、チップセット側の正式サポートが100シリーズからとなったので、DDR4移行と同時のタイミングで離陸開始と。

 そんなNVMeの価値は、世間で良く言われている「ベンチマーク値がSATAの理論速度超え」ではなく、プロトコル上のオーバーヘッドが少なくSATAよりレイテンシが低いこと。
 今は未だ出始めということでコストも拡張性も全くこなれていないが、現状CPUの足を引っ張りまくっている大容量記録装置周りが漸く一歩前進したワケで。

 個人的には是非早期の値崩れを期待したいところだが、同時にIntelにPCIeバス本数拡大も期待したいところ。
 NVMeだとPCIe x4を使ってしまうので、現行CPUのPCIe x16では拡張性が足りないよね、と。

 4◇HBMが実製品に。

 次に、今年HBM搭載製品が(ハイエンドとはいえ)一般向けに出回り始めたのは、あまり世間では話題になっていないが個人的にはポイントだと思うのですよ。

 着目点ととしてはNVMeと一緒で「高速な演算装置と、追い付いて来ない周辺回路」というPCの中の構図を一歩改善する為に、非常に広帯域なメモリが採用されたということ。
 勿論現時点では価格その他問題も色々あるが、AMDはAPUでもメモリ帯域不足で頭を抱えているということ、GPU ComputingにはPCI-Expressも相対的に低速でボトルネックとなっていること、その他諸々を考えると、まずは将来に向けての一歩を踏み出した、と言えるのでは。

 5◇HDDもSSDも揃って停滞中。

 続けて大容量記憶装置の方を見てみると、今年は正直停滞の年でした、と。

 まずSSDは順調に値下がりし、年初比で3割~4割安くなったが、正直それだけ。
 低価格品ではTLCの採用が拡大。TLC故の書込の遅さはキャッシュで誤魔化すしかなくその取り回し方法で多少個性が出るものの、基本的にはコントローラが一緒なら挙動も一緒という、正に「コモデティ」と化してきたというところ。

 HDDの方を見てみると、コンシューマ向けには年初に8TB品が出回り始め、年内で大体3割程値下がりしたものの、10TB品は未だに影も形も見えず。
 アキバの店頭では地味に4TB・5TBが下がったものの、今年1年ずっと3TBが主役のままで、このラインに至っては値動きもほぼ無し。

 以上、要するに全く面白くなかったですな。

 ちなみに、現時点でPMRの最高密度品は東芝の2.5′ 3TB HDDの750GBプラッタ。
 製品発表は年初、その時は5月出荷予定とアナウンスされ、アキバには9月に流れ始めましたな。これが最高密度。
 3.5’ではHGSTの10TB製品で、コレは1.43TBプラッタという密度。SMRでは去年この密度になっていたのだが、今年にはPMRでこの密度になりました、と。

 あとペーパーではSMRではSamsungが2.5’で1TBプラッタを開発したとPRを出ているが、現物はちっとも出てこないですな。

 6◇IntelがSkylakeでDDR4に移行開始。

 最後にIntelからSkylake登場、DDR4に移行を開始しました、と。
 ある意味定例アップデートで面白くもなんともないし、消費電力は減ってきているものの実処理性能ではあまり伸びてもいない。
 これは取りも直さず「アップデートのメリットが少ない」=「コストばかりかかる」=「コスパが悪い」ということで、こういう商法を続ければどうなるか・・・は自明の筈なんだがなぁ。

 但しプラットフォーム入れ替えというのはパーツ屋にとっては一大イベントで、これがあったからPCパーツ屋は今年が乗り切れたなんて話もあったり無かったり。

 ♯「DDR3が使えるSkylakeマザーが動かない(売れない)」なんて台詞をどっかで聞いたが、当然でしょうよ。

 ◇

 以上、今年のPC市場は自分から見たらこんな感じでした。
 今年のblog更新はこれで終了です。

 それでは皆様、良いお年を。

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もうゲームにしか頼れない、そんなアキバを見ながら。

 さて、勝手に恒例、今年1年をPCネタから振り返るとエントリ、懲りもせず今年もやりますよ。
 とはいえ今年の頭には何も予想していないのでマルバツはもう無しで、だらだら文だけ垂れ流してみますか。

 ◇

 さて、今年1年、個人的には自作PC業界的には「末期症状」が一気に広がったと思っていますよ。

 それがタイトルに書いてしまった「ゲーム」。
 象徴的なのはアキバのゲーム系PCショップの相次いだ開店/模様替えで

 ・DOSPARA系のGALLERIA Loungeはリニューアルした上にゲーミングデバイス特化店舗(秋葉原別館)を立ち上げ
 ・MCJ系Mouse ComputerのG-Tune:Garageは表通り移転
 ・更に何を思ったのか同じMCJ系UNITCOM傘下IIYAMAまでLEVEL∞ブランドをブチ上げてLEVEL∞HUBオープン

 この他ツクモでもゲーミングデバイスの取扱量と店舗面積占有率が一気に跳ね上がったり、Intelがゲーム中心のイベントを開いたり、正にアキバのPC界隈はゲーミング一色と言っても言い過ぎではないくらい。

 何でこんなに一気に広がったんでしょ?
 突然ブームが来たから?それが盛り上がっている?そんな話何処かに転がってましたっけ。
 違うよね、と。

 「盛り上げるしかない」んですよ。

 何でこうなった。

 ◇

 もうPC自体、目に見えて衰退ルートに入っています。
 無くなることはないですが、現在の規模と数の業者が生き残れるほどパイの大きな市場は残らない。
 HP分割やDELLのEMC買収等、グローバルでいろんな動きが既に出ている。
 東芝と富士通がVAIOにPC事業ブン投げるなんて噂が出るぐらい、国内も水面下では大荒れになっている。
 そしてアキバの店頭にもいよいよ目に見える動きが出てきたと。

 #余談だが東芝+富士通+VAIOが実現すると国内PC市場は事実上レノボとVAIOの2強、その他大勢という流れに。

 そもそも、自作PCは安くないし、手間かかるし、一般人が自作PCを手にする理由は何処にもない。
 昔多数あったPCパーツ専門店は既に消え、今残っている店は結局アキバの店舗以外で稼げるアテがあるから生き残れているだけ。極論言ってしまえばアキバの店舗は損しなければそれでいいレベルだったりするワケで。

 #特定分野で断トツ・垂直統合型グループ構成・規模の経済を駆使・法人需要を確保・・・とか。

 とまぁここまでは規模の話だが、ここからは単価の話。

 要するにPCは高性能になり過ぎてしまったんですな。主人公のパワーアップがインフレしてストーリー破綻寸前のバトル漫画的な。
 そうすると「普通の人がやむを得ず使うPC」は相対的に低価格になってしまい、平均単価の低下が超特急状態。

 頼みの綱のMicrosoftのクソ重いOSですら、最近はモバイルとの統合とか寝惚けて「新しくなったら軽快にになります」とか言い出す始末。
 今まで「こんなに新しいモノが必要です」と嘯いて高いモノを売りつけていたのに、その商法が完全に通らない時代になってしまいましたよ。

 こんな状況で、(無駄に)高く(少しだけ)高性能なパーツを買ってくれる客層を探したら。
 次々と重たいアプリを生み出してくれるソフトウェアベンダを探したら。

 PCゲーム市場しか残ってなかった、というワケです。

 幸い、高性能なパーツの組み合わせは国内大手コンシューマ向けPC屋では手を出していないし、小回りが必要で色々面倒なので多分手を出せない。
 そうなればBTOをやってきたPCパーツ屋の強みが活かせる上に、単価も高いので利幅も大きい。

 これ幸いと、一気に各社が飛び込んで来た、と。

 #というか大手だと海外でもDELLがALIEAN WAREで頑張ってるぐらいで、他にはHPはDELL対抗でENBYブランドを立ち上げたもののずっと迷走中だし。

 ◇

 でも、ね。
 個人的にはこれPCパーツショップが消える前の「最後のあだ花」に見えるんですよ。

 冷静に考えてみて下さい。
 e-SPORTSといったところで、所詮はゲームです。F-1というカーレースをMOTOR SPORTSと言うのと同じぐらい「言葉のあや」でしかない。
 しかもカネも暇もかかります。暇は兎も角カネの話は今の日本人にはなかなか厳しい。
 片やPCより圧倒的にハードルの低い据え置き型ゲーム機ですら、スマホに客を取られて苦しい状態なのが現実です。

 そんな状況の中で。
 ただでさえ減少傾向のPC人口の、いったいどれだけの割合が、そのゲーミングPCに興味を示すんですか?
 そしてそのPCにカネを払うんですか?
 そのカネだけで、業界支えられますか?

 ・・・こう書くと思いっきりゲーミングPCそのものを批判しているようにも見えますが、別にそういうワケではないのです。
 アレはアレで全然アリでしょう。オーバーパワーに夢と浪漫と正義が詰まっているのは間違いない。

 ただ、業界全体が極小パイの奪い合いに突撃していく今の状況がホントに必死過ぎて、引いているだけです。

 ◇

 えっと、このまま終わるとあまりにも切ないので、もう一回、今度こそPCパーツと業界全体の話をして、年内最後にします。
 今回はここまで。

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