HDDの保証期限が大幅に削られるという話。

 それは年末に降って沸いた話。
 こっそりと保証期間を短縮していたSeagateに続いて、WDも正式に、そしてSeagateも正式に保証期間を削るとのこと。
 
 まあぶっちゃけ、ついに来るべきものが来たかと。
 これだけの低価格で長持ちするモノを作れ、というのはどう考えても無茶だってのは分かっていたからねぇ。
 以下、メーカー別。
 
 ◇WD
 
 デスクトップ系では、今まで黙ってても3年だったRMA期間が2年に縮まるということ。
 う~ん・・・経験的に言うと、WDのHDDって初期不良を除くと最初の2年よりその次の1年の方が死亡率高い気がするんだよなぁ。
 とはいえ、WD GREENについてはプライスリーダーでもあるし、まあ2年ってのも仕方ないかな・・・。
 
 ちなみにBlackやraptor、あとEnterprise製品については5年保証を続けるとのこと。
 まあこっちをそのまま維持するならそれもアリでしょう、と。
 
 ◇Seagate
 
 WDに比べてガッカリ感が高いSeagate。
 既に今年の夏に3年保証をこっそり2年に減らしていたのに、この度正式に1年にまで短縮することのこと。
 デスクトップ製品とはいえ1年ってのはさすがに短くないかい、と思いきや、これだけで留まらないのがさすがのSeagate。
 なんと何と、エンタープライズ向のニアライン系まで5年の保証を3年に短縮とのこと。
 
 ・・・酷くね?
 まあBarracudaの不良騒ぎも含めて、色々やらかしてる、からなぁ。
 
 ◇
 
 しかしまあこうなってくると、HGSTには頑張っていて欲しかったなぁというか。
 
 そしていよいよ、HDDも使い捨ての時代に突入ですな。
 保証期間が短いということは設計上の製品寿命を縮められるということと同義なので、これ以降ますますHDDの寿命は縮んでいくでしょう。
 同時にどんどんヤワになって、デスクトップHDDをちょっとブン回せばすぐに吹っ飛ぶ、なんてことになるのかも知れない。
 個人的には、SSDとの棲み分けを考えても「大容量ストッカー」のHDDが今以上にヤワになるのはマズいと思うのだけど、経済原理には勝てないからねぇ。
 
 しかしこうなってくると、「持続可能なデータの保管場所」が欲しい場合、冗談でも何でもなく
 
 ・複数のオンラインストレージに金を払ってデータを置く(一つだといつサービス吹っ飛ぶか分らないので)
 ・毎年HDDを買い替えてデータを移し替え続ける、もちろん複数HDDにミラー保管(一台だといつ故障するかヒヤヒヤなので)
 
 この二択しか残らないのか。何だかねぇ。

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WD Greenに6Gbpsって…

 別に6Gbpsが欲しかったワケでなく・・・。

 先月末辺りからアキバ中のWD30EZRSがCFD扱品※になってしまい、「あれ~正規代理店品は無いの~?」なんておたおたしていたらEZRSはいつの間にか消滅。
 そして先週末、アキバで買えたのはWD30EZR「X」、6Gbps対応品でした、という話。

 ※基本的にCFD扱=メーカーRMAを切ってある、ということ。
   恐ろしかったのはWD30EZRS-DTL(カード付お買い得Ver)については外箱に「3years Warranty」と書かれた「メーカー純正箱」を使って「RMAの一切無い」モノを売っていたことで、これうっかり騙された人居るんじゃないか?

 で・・・6Gbpsになってどうなったか。
 結論、何も変わっちゃいない。

 EZRS(3Gbps)とEZRX(6Gbps)であまりにも代わり映えしない。軽くベンチも取ってみたが、誤差しか違わない。
 というか、メカ側が変わっていないのにIFだけ変わったところでそんなに劇的に差が出るワケがないんで、当たり前っちゃ当たり前だ。

 ◇

 最後に、前回ネタにしたRATOCのHDDカートリッジ外付けケース。
 2機種目の6Gbps HDDが来たので、早速試してみましょ・・・っと。

 EZRX、全く問題無いです。普通に認識、普通に使えます。

 ・・・ということで、前回の「相性問題」は、6Gbpsが原因なのではなく、純粋にHGST製品による相性でした、ということで。

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WDのHGST買収とSamsung 4TBに見る、HDD業界の未来。

 さて、まさかこのテに出てくるとは思いませんでしたよ。
 WDがHGSTを買収するとな。
 とはいえ、結果だけ見てしまうと極めて合理的な経営判断であり。

 何しろ、WDと言えば・・・

 コンシューマー向け大容量HDDの大量出荷で「低価格、中品質」と「利益の出し方」は極めたものの。
 「高価格、高品質」なエンタープライズ製品は最近始めたばかり、しかも未だ軌道に乗ってないどころか苦戦中。

 片や、HGSTというと・・・

 コンシューマー向け製品はぶっちゃけ得意じゃない上に、商売だってヘタクソもいいところ。
 但し「高価格、高品質」なエンタープライズ製品はお手の物で実績も相当あり、ぶっちゃけコレで喰い繋いで来ました、ハイ。

 両方が上手く組み合わされば・・・

 コンシューマー向け大容量HDDの大量出荷で「低価格、中品質」と「利益の出し方」を極めつつ。
 「高価格、高品質」なエンタープライズ製品もバッチリ売って更に利益上乗せ、儲けウハウハ。

 ・・・になるのかねぇ。
 少なくともWDの経営陣はこうなることを期待している筈。

 ◇

 さてこうなると、微妙に気になるのが他社への影響。
 順番に見ていきましょうか。

 ◇

 まず、Seagate。短期的にはプラスだが、長期的にはどうだか。

 理由はというと、まずWD+HGSTという形でHDD供給を受けていたメーカがWD&HGST+Seagate、という形に乗り換えてくるのが相当数見込めるため、短期的にはプラス。何だかんだで現時点ではSamsungよりは信頼されているし。

 一方で、長期的にはというと・・・ここ数年の品質&開発能力の低下からいつ復活出来るかにかかっていますな。個人的にはもう少し時間がかかると思うが。
 現状はというと、「カネはかかるがコレをやらないと生き残れない」という高密度プラッタ開発競争で既に最前線から脱落済の上、大騒ぎになったファームウェア問題も記憶に新しいところ。

 具体的な製品で見ていけば、低回転品のBarracuda LP(Green)で667GBプラッタを漸く採用するも、WDからは出遅れること半年以上。
 3TB HDDについてはBarracuda XTがアナウンスこそ早かったものの、600GBプラッタの安定に手こずり、大量生産の見込みが立ったのは本当に極最近という有様。
 というか・・・一昔前のSeagateの天下っぷりを見ていた身としては、なんだかなぁ・・・と。

 #HGSTですら7200rpm/667GBプラッタの大量生産がイケイケ状態なのに。

 ◇

 次、Samsung。こちらも短期的にプラスだが、長期的にもプラスの可能性が高いと思われる。

 理由は。短期的にはWD&HGSTに加えてSamsungを選んでくる会社も多くはないが少なくもないだろうという予想から。
 価格競争になると頑張ることが多いので、価格重視のベンダ系にはウケが悪くないのよね、Samsungって。
 昔に比べれば品質も接続性も安定してきたし。

 一方、長期的には。
 個人的にはデスクトップ分野では今後確実にシェアを上げて来ると思っている。理由は「ライバルのSeagateが自滅中」且つ「価格競争を諦めるつもりは無い模様」だからで、正直な話製品自体の競争力が強くなったとは思っていない。
 そして、Samsungの財力+日本のパーツメーカの技術力、という後ろ盾を最大限活用した結果、プラッタ密度競争でも現状悪くない立ち位置をキープしているのもポイント。
 特に先日の展示会に1TBプラッタの試作品を出してきたということは、製品化の目処も立っているという意味で、ヘタすると世界初の1TBプラッタ採用品出荷会社になる可能性も。

 #このプラッタは昭和電工製というウワサもあるが、未確認。
  同社のプラッタは密度競争ではWDと並んで世界の最先端を走っており、Samsung製HDDの多くで採用されているという事実がウワサに信憑性を与えている。
  ちなみに1TBプラッタはHGSTも既に試作品を完成させているという話もあるが、こちらもあくまで根拠無しのウワサだけ。

 ◇

 最後、東芝。・・・短期的には影響無し、長期的にはマイナスか。

 東芝はWDがメインにしていたデスクトップ分野には参戦していなかったんですな。ノート向け2.5インチと、富士通から引き継いだサーバ向けのみ。
 まぁノート向けではWD&HGSTからの乗り換え組が来る可能性はあるが、WDのノート向けは数量で見るとたいした数ではないので。
 そういう意味で、短期的に「おこぼれ」を授かるチャンスは無いと言っていいと思われる。

 そして長期的には・・・WDのカネとノウハウで旧HGSTのエンタープライズ部門は競争力を強化してくるだろうからその分不利になるのは確実。
 更に、もしSeagateが復活してくるとこれまた不利に。

 専業のWDやSeagate、国策Samsungと違って、他にもイロイロやっている東芝にはHDD事業を死ぬ気で維持する気合いも根性も無いだろうし。
 個人的にはSamsungと我慢比べ状態に突入した挙げ句、先に音を上げるんじゃないかと思っていたりする。
 その時の市況次第ではSamsungが買うかもね。

 ◇

 最後に、おまけ。
 実はWDとHGSTの3TB HDDを少し前に購入済みだったり。
 取り敢えず問題無さそうですが、詳細は次回の更新ででも。

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WestanDigital HDDをRMAしよう。

 さて、お次はSeagateに比べてハードルの高いWDのRMA。
 こちらはWebが全て英語になってしまうのと、シンガポールに国際便で送るしか無いというのがポイント。

 ポイントといえばもう一つ、WDの場合はプチプチを禁止していません。というか、梱包見本にプチプチの写真がある位なので、使うこと自体には全く問題ないでっせ。

 とはいえ、チェックポイントはSeagateの国内発送と変わらず。

 1・静電防止袋(買った時入っていた銀色の袋)に入れる。
 2・梱包段ボールの箱の中でHDDが動かないようにきっちり詰める。

 一般荷物の航空便というのは結構雑に扱われることもあるし、飛行機が揺れたりするとコンテナの中でシェイクされるのが当たり前なので、少なくともその程度では問題にならない程度にしっかりした梱包が必要。

 あとは、プリントアウトした宛先入の紙を箱に貼り、3方にバーコードも貼って。
 更に、CN22というラベルシールに記入して貼り付けることが必須。

 #ちなみにCN22はおよそ$300以下の物品までしか使ってはいけないので、それ以上の場合はCN23というもっと大きくて記入も面倒な紙になる。高いサーバ用HDDを複数まとめて送る、なんて場合には要注意。

 CN22については郵便局で「ちょ~だい」と言うと普通にくれる(薄黄緑色)ので、ソレに必要事項を記入して箱に貼っ付ける(シールになっている)。
 記入項目は

 「Other」←チェック
 (1) HDD [型番] In Warranty Replacement RMA#×××
 (2) [HDDの重さ]
 (3) [HDDのお値段]
 (4) 8471.70.4065 [HDD原産国]
 (8) [日付とサイン]

 (1)は要するに「保証期間内で交換するHDDが入ってます」と。

 (2)はWebサイト等で調べてね、小数点1桁でOK。ちなみにWD15EADSだと0.8Kg。

 (3)はプリントアウトした紙に記載されている筈。WD15EADSだと100$だった。

 (4)は何が入っているかで、この番号はコンピュータ関連電子機器のもの(プリントアウトした紙に記載されている)。あとのHDD原産国もシリアル番号で分かるよ、とプリントアウトした紙の後ろの方に記載されているのでチェック。当方の今回のブツはタイだったのでThailand、と。

 (6)と(7)は通常空欄でOK。

 (8)で「嘘じゃないです」とサイン。ここまで済んだら郵便局の窓口に持って行く。

 普通にEMSだと¥1,800、航空便に乗せると¥1,200とか取られるが、エコノミー航空便(SAL便、通称「サル」)を使うと¥880とかで発送できる筈。妙に高い値段を言われたら「小形包装物扱いで」と言うとこの値段になりまっせ。

 但し、SAL便は安い代わりに向こうに届く迄二週間~三週間ぐらい時間がかかるのと、追跡出来ないので運が悪いと無くなることがある。
 EMSだと数日で届いて追跡サービスと紛失時補償ありだが、補償上限が確か¥20,000ぐらい。
 もっと額の大きい保証が欲しければ追加保険をかけるか、UPSなりFedexを使って下さいな。って言っても、よっぽどの大量まとめ送付でなければEMS標準の補償額で十分だと思うけど。

 ・・・今回当方が送りつけたのはWD15EADSが1台。別に急いでもないし、万が一紛失しても1.5TB 新品HDDの値段を考えたらEMSの金額を払うのもちょっとね、というのが当方の判断なのだが。まあこの辺りは皆さんの御判断で。

 まあ送る方法は何であれ、向こうにブツが届けば「受け付けたよん」という英語のメールが来るので、その後は大体は一週間程度できちっとしたスポンジ箱に入ったHDDがシンガポールから送られて来る、と。

 #そして箱はキープ。

 Seagateの時も書いたが、向こうの状況次第では数週間単位で時間がかかることもあるので念の為。
 最短では物品到着確認メールが来たその日に既に発送済になっていることも。

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まさかの力技、WDの3TB。

 >【PC Watch】 Western Digital、3TBのCaviar Greenを出荷開始
 >http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20101020_401166.html

 さて、Seagateに続いていよいよ正式発表と出荷が開始されたWDの3TB Drive。3TBは世界初750GBプラッタ、2.5TBは667GBプラッタやね・・・という話は兎も角として、問題は2TBの壁。どうして来るかと思いきや、まさかの「SATA-I/F 同梱」と来たモンだ。

 ちなみにこのドライブもBigSectorの512b Emulationということなので、どうやらHDD業界はNatvie BigSectorより前に64bit Adressingを広める方向で行きたいらしい。
 まあどう考えても64bit Adressingへの移行が一番真っ当なので、Natvie BigSector先行でほんの一息(16TB迄の気休め)・・・ということをするよりは業界の流れとしては評価するが。

 しかしわざわざIF同梱で出荷って、要するにそこまでしないと普通に使えないPCが世間では多数ということで・・・何だかなぁ。
 当方の希望としては、SiI3124と3726/4726には是非にもFirmware Updateで64bit Adressingをサポートして欲しいのだが・・・どうなんだろ。
 この辺りのチップは今Mac環境でもぼちぼち使われているので、その辺りの絡みで何とか・・・ならないかねぇ。

 ♯Macの場合EFIなので2TB越えでも本体/OS側には全く問題は無く、コケるとしたら原因はサードパーティ製のハード・ソフトに起因するので。

 にしても、実際にEFIが使われている場面というと、Macを外すとIBMのSystem X、後はIA64ぐらいかね?
 パーツ方面ではMSIが昔EFI対応マザー出したけど、あれ殆どネタ扱いだったような。
 そういえばIntel純正マザーの中にはEFI対応のものもいくつかあるが、未だ妙な制限が残っていたりして完成品とは言えない程度の出来らしいし。

 それと、WDのHDDに同梱されるIFのチップが微妙に気になる。値段を考えるとJMicronが有力候補だろうが、出荷元がHDDメーカだからMarvellの可能性も多いにある筈。
 まあ他にもJMicronにはUSB変換チップ等で結構昔から64bit Adressing対応を謳ってきたということもあるし、片やMarvellはHDDの信号処理チップも手がける会社だからその辺りに抜かりは無いだろうし。

 さてさて、いつ実物が来ますかね。

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