HDDの不具合という前に、電源とノイズに留意。

 前回の補足というかそんな感じで。HDDを使う側の環境に本当に問題が無いか、ってのも確認してあげないと。
 個人的な印象として、WD Greenは特に「環境問題」に弱いので、HDD側の故障を疑う前にこっちも点検してね、ということでフォローに・・・なってない?

 ◇電源の5Vは大丈夫?

 最近の電源では12V重視のものが多いこともあり、電圧降下によるスピンアップ失敗という話はあまり聞かない気がする。
 というか、最近のHDDではスピンアップ失敗でリトライを繰り返すものが多く、初回スピンアップで規定回転数に届かなくとも既にプラッタが回転し始めてさえいれば、2回目のスピンアップで規定回転数に届くことが多く、12Vラインがちょっとフラフラしている程度では意外と問題にならなんですよ。

 #マザー側でもCPU等の大電力消費部分にはVRM経由で供給しているので、OCでもしてギリギリを攻めない限りは電源側がフラフラしてもこれまた意外と何とかなってしまう。

 ところがその陰で、軽視されているのが5V出力。最近ではこの出力がホントに少ないものが多い。
 まあ少ないだけで必要電力を満たしているなら別に良いのだが、問題は「少ない上にヘボい」ものが結構見られること。

 というのは、ヘッド周りには大抵のHDDで5Vラインが使用されていて、これが意外とノイズや電圧降下に弱いんですよ。
 WD Greenについては電圧降下は兎も角、ノイズには弱いという印象しかない。

 で、5Vがフラフラしていると、使っていると突然コケたりHDDが見えなくなったり、という症状が発生する。
 WD Greenの場合、低速病と似た症状が発生することも。

 #「ホンモノ」の低速病と違い、電源を交換するだけで即復活するので見分けるのは簡単。
  「ホンモノ」は電源を交換しても症状は改善しない。

 あと、コネクタが抜けかけている場合にも発生したりする。
 接触抵抗が高くなって電圧降下が起こったりノイズを拾ったりというパターン。
 怪しいコネクタは一度抜いて挿し直す、これだけで治まる不具合もあったりするので、怪しいと思ったら試してみるのが吉。材料費タダだし。

 あ、念のため。
 明らかに5Vラインに問題が無いのに上記のような症状が発生した場合、HDD側がトラブルを起こしている可能性が高いですよ。

 #ちなみにヘッド周りに問題のあるHDDでは5Vの消費電流が跳ね上がることが多いので、HDDに電流計を挟み込めるような環境を持っているテスターやHDDヲタクならこの辺りを測ってみると面白いかも。

 ◇ノイズは大丈夫?

 今ではすっかり当たり前になった6Gbps SATAだが、これが意外とノイズに弱い。
 高品質なケーブルを短く配線する、というのは常識だが、心配なのはケーブル品質だけではなかったり。

 まず、あんまりにも低価格なケーブルや素性不明なケーブルは使用しないこと。
 3Gbps時代のケーブルには6Gbpsでは使い物にならないモノが意外と多い。きちんと6Gbps対応を明示したケーブルを使用すべき。

 #サプライ品屋の某社はコレに引っかかって倉庫のSATAケーブルを捨て値処分、急遽新製品を用意したという話が。

 或いはHDDであれば3Gbpsでも6Gbpsでも体感は変わらないので、BIOSで6Gbpsを無効にする(3Gbps固定)のも意外と効果あり。
 ここまで来るとバッドノウハウだが、今時でも実際に効くことがあるんだから仕方ない。

 更に、ケーブルの取り回しにも気をつけたい。
 PCの中にはノイズ源はいっぱいあるが、SATA ケーブルはそれらのノイズ源からなるべく離して配線するのが理想。
 特に安物のSATAケーブルはノイズを拾いやすいので、1本だけで使っていれば問題無くとも、他のSATAケーブルやUSBケーブル(特に3.0)等のノイズ源と束ねるとそれだけでトラブったりも。
 「キレイな内部配線」をしたいならば、高品質なケーブルを使いましょう、ということですな。

 更にもう一つ、是非チェックして欲しいものが。
 それは「壊れかけのファン」。
 元々ファンというのはノイズ的には優しいアイテムではないのだが、これが壊れかけたりすると一気に凶暴化。
 電源ラインに強烈なノイズを投げ込むだけでは飽きたらず、うっかりケーブルが隣接してたりするとそちらにまでEMPを投げ込むという恐ろしいことに。

 壊れかけのファンは世間では大体「うるさい」ぐらいにしか認識されていないが、電源ラインを見るとトンでもなく凶悪なことになっていることが少なくない。
 そもそも「うるさい」だけでも十分に迷惑なので、さっさと交換しましょう、いやマジで。

 #HDDリムーバブルケースについているファンや、HDDに直接取り付けるタイプのクーラーに付いてるファンには特に要注意。

 ◇

 とまぁ、こんな感じで。
 所詮は低価格品、労って使いましょう・・・。

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WD製品の低速病について真面目に語ってみる(但し独自研究)。

 Wikipediaだとタグが貼られそうだけど。
 取り敢えず(本人の意志とはあまり関係なく)HDDの数は触っているので、経験則や実際に測ったみた結果等を書いてみる。

 その1◇低速病とは。

 低速病とは、プラッタ記録品質が損なわれうる事態が発生したり、あるいは既に損なわれた場合に、ソレでも記録と再生を続ける為にファームによって移行する「緊急事態」 である。

 但し、以下のようなケースも見られる。

 ・明らかに記録品質が劣化しているのに「低速病」が発動しないケース。
  この状態では短期間のうちにその個体は使用不能となる。

 ・誤動作で「低速病」が発動してしまったように見受けられるケース。
  この状態では後述するタイミングで「回復」出来れば、その後は通常使用可能である。

 その2◇低速病の症状とは。

 低速病には、少なくとも以下の2つの「段階」がある。

 Level 1:書き込み速度が劣化する。正常時の半分、又はそれ以下となる。
 Level 2:読み書き両方の速度が劣化し、2MB/S程度になる。

 それぞれを仮にLevel 1・2と呼ぶ。
 Level 1を経てからLevel 2に至るケース、突然Level 2に至るケース、両方が見られる。

 また、以下のような状況が発生するとファームウェア的にリセットがかかるようで、一時的に低速病が「回復」することがある。
 但し本質的な解決でないため、プラッタ劣化が発生している場合遠くない時間のうちに再び発動する。

 ・ディスクの全消去を行った場合
 ・I/Fを変えた場合(Intel ICHからAMD SBへの接続変更、USB 3.0変換での外付け化等)
 ・電源断のまま長時間放置した場合
 ・ファーム設定を変更するコマンドを外部から入力した場合(キャッシュ制御の有無、騒音制御等)

 その3◇低速病の判定は。

 Level 2の状態では通常使用で明らかな不具合が発生するた詳細は記載しない。
 Read/Writeの極端な速度低下、ATAコマンド応答遅延が発生する。

 Level 1の状態では、書き込み速度を監視することで判定可能である。
 以下はLevel 1の低速病を発症しているHDDに対し、HDDScanで全面書き込みベンチマークを行ったグラフである。
 グラフを見れば発症状況は一目瞭然であるが、一回もエラーは発生しておらず、時間はかかるものの正常完了となる。
 (書込速度の目盛は実際より大幅に速いがこれはHDDScanの誤差によるもの)

WD30EZRX write benchmark with damaged platter

 比較対象として、以下はある程度使用時間の経過した同形式HDDの、正常な状態での全面書き込みベンチマークのグラフである。
 ※購入直後の状態ではもっとなだらかでブレ幅の少ないグラフとなる。

WD30EZRX write benchmark with normal platter

 ※注:
 HDDScanは非常に環境の影響を受け易いソフトウェアのため、この方法で検証する際は他のソフトウェアを動作させない・物理メモリを十分に確保する・負荷の高い常駐ものを止める、等の配慮が必要である。
 また、環境を整備してあっても時折妙な挙動することがあるので(グラフのや数字が非常に不自然になるので数%進めば簡単に判別可能)、その際は一度HDDScanを終了し、システムの電源断→再投入してリトライすると良い。HDDScan.exeの再起動だけでは同一症状が再発することがある。

 その3◇低速病の対処は。

 要するに劣化なので、RMAで交換。

 ◇

 ・・・とまぁ、こんな感じで。
 言っちゃ悪いが、要するにWD Greenの低品質の象徴だよね、というお話でしたとさ。

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Seagate HDDの保証期間がWDと同等に。

 巷で全然話題になっていないようなので書いてみる。

 以前に「1年間」という驚異の保証短縮をかましてくれたSeagateだが、いつの間にか「WDとタメ」レベルに保証期間が戻っているという。

 で、この「保証期間が延びた」HDDが漸く国内でも出回り始めた模様。
 何しろ国内流通のHDDはヘタするとメーカ出荷から3ヶ月以上経っていたりするのだが、最近のアキバ店頭を見る限り、流通在庫の入れ替わりはほぼ完了した模様。

 ちなみに伸びたのはこんな感じ。
 メーカ出荷日が2012/6/30以降ね。

 ニアライン(Constellation) → 5年
 デスクトップ(Barracuda)→ 2年
 パフォーマンスデスクトップ・パフォーマンスノート(Barracuda XT・Momentus XT) → 3年
 ノート(Momentus)→ 2年
 組込用(Pipeline)→ 3年

 WD製の同等品とほぼ同じような感じですな。XTが5年ない(WDで対応するのはBlackシリーズなので)けども。
 ま、あの保証期間じゃWDに勝てないと漸く気づいたんでしょうな。

 というワケで、以前より少しは買い易くなった模様。
 値段もいい感じに崩れてきたし、そろそろ4TBモデルの噂もあっていいと思うんだけどね。

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HGST製1TBプラッタ初期ロット品に低品質疑惑発生。

 ・・・これもしかして、やっちっゃたか?

 さて、HGST初の1TBプラッタ採用モデル、1プラッタな7K1000.Dが登場してから暫く。
 少なくとも初期ロットのプラッタに、低品質疑惑が発生しましたよ。

 症状は、使用後しばらくしてからの不良セクタの多発。
 HGST製HDDの特性として代替処理が上手、というかデスクトップモデルでも他社のニアラインモデルと似たような代替処理メカニズム(この場合はルーチンか?)を持っているので、余程のことがないとユーザは気づかないことも多いのだが、気づいたらしっかり代替されまくっているという。
 1セクタ2セクタという少数代替まで含めると、既に相当数がキている模様。

 今のところ当方が状況を確認しているのはいわゆる「初期ロット」モノばかりなので、単純に「初物はハズレ率高し」の法則が発動したのか(今じゃ鉄板のSeagateの500GBプラッタも初期は酷かった)、それとも(WDの750GBプラッタよろしく)ずっとヤバいままで今日まで来ているかは不明。

 まあ兎にも角にも、7200rpm最速HDDとして導入した人も少なくないと思われるので、一度手元のHDDのコンディションをチェックするのをお薦めします、はい。

#パックアップは大事ですよ。

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14.7mm SAS規格2.5インチHDDがスタンダードに、と夢想してみる。

 さて、本日はHDDのフォームファクタの話でも。というかHDDネタ本当に多いねこのblog。

 以前にも「2.5インチHDDが主流に…」的なネタを書いている当方だが、HDDメーカからも2.5インチ主流時代の先駆け?のような製品が出始めましたな。
 それがWDのWD Green。いつの間にか2.5インチモデルが仲間入り。

 で、このHDDがステキなところ。2.5インチSAS HDDと同一の、14.7mm厚なんですわ。
 いよいよ以て14.7mm厚がコンシューマ向けにも進出開始、と。

 ◇

 今まで2.5インチHDDというとコンシューマー向ではノートPC用しか無かったので、9.5mm厚というのが標準で、7mmや12.5mmというのが例外的に存在したという状況。

 しかしこの状況は今や変わりつつあると思うんですな、自分は。

 ・薄型ノートの台頭
 ・組み込みの多様化
 ・「PC」の小型化

 個々のネタの詳細はまたいつか書くとして、以上の3つ全てが「物理的にデカいHDDは要らない」という方向に向かっていると思うんですよ、自分はね。
 かつて3.5インチHDDが5インチHDDを駆逐したように、2.5インチHDDが3.5インチHDDを駆逐する日がそう遠くないうちに来るのでは、とね。

 とはいえ、2.5インチが3.5インチを駆逐しようとすると、一部の市場では容量という問題が解消しきれていない。
 動画等を扱う際に欲しくなるTBクラスのストレージは、従来の2.5インチHDDではカバー出来ない。

 その問題への回答こそが、14.7mmフォームファクタの2.5インチHDDだと思うんですわ。
 2.5インチ14.7mm厚には既にSAS HDDも多数存在する。当然、ねじ穴位置は9mmや7mmのノート用と一緒。
 つまり、PCメーカは14.7mm厚 HDDが収まるスペースを確保しておけば、SSDを含めて多種多様なHDDを装着することが出来る。

 ◇

 こうして、メーカ製PCは筐体の小型化と共に3.5インチHDDから2.5インチに移行し、14.7mm厚がエンタープライズでもコンシューマでも基準となりましたとさ・・・

 ・・・となるか、ならないか。
 どんなもん、ですかね。

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