WD製品の低速病について真面目に語ってみる(但し独自研究)。

 Wikipediaだとタグが貼られそうだけど。
 取り敢えず(本人の意志とはあまり関係なく)HDDの数は触っているので、経験則や実際に測ったみた結果等を書いてみる。

 その1◇低速病とは。

 低速病とは、プラッタ記録品質が損なわれうる事態が発生したり、あるいは既に損なわれた場合に、ソレでも記録と再生を続ける為にファームによって移行する「緊急事態」 である。

 但し、以下のようなケースも見られる。

 ・明らかに記録品質が劣化しているのに「低速病」が発動しないケース。
  この状態では短期間のうちにその個体は使用不能となる。

 ・誤動作で「低速病」が発動してしまったように見受けられるケース。
  この状態では後述するタイミングで「回復」出来れば、その後は通常使用可能である。

 その2◇低速病の症状とは。

 低速病には、少なくとも以下の2つの「段階」がある。

 Level 1:書き込み速度が劣化する。正常時の半分、又はそれ以下となる。
 Level 2:読み書き両方の速度が劣化し、2MB/S程度になる。

 それぞれを仮にLevel 1・2と呼ぶ。
 Level 1を経てからLevel 2に至るケース、突然Level 2に至るケース、両方が見られる。

 また、以下のような状況が発生するとファームウェア的にリセットがかかるようで、一時的に低速病が「回復」することがある。
 但し本質的な解決でないため、プラッタ劣化が発生している場合遠くない時間のうちに再び発動する。

 ・ディスクの全消去を行った場合
 ・I/Fを変えた場合(Intel ICHからAMD SBへの接続変更、USB 3.0変換での外付け化等)
 ・電源断のまま長時間放置した場合
 ・ファーム設定を変更するコマンドを外部から入力した場合(キャッシュ制御の有無、騒音制御等)

 その3◇低速病の判定は。

 Level 2の状態では通常使用で明らかな不具合が発生するた詳細は記載しない。
 Read/Writeの極端な速度低下、ATAコマンド応答遅延が発生する。

 Level 1の状態では、書き込み速度を監視することで判定可能である。
 以下はLevel 1の低速病を発症しているHDDに対し、HDDScanで全面書き込みベンチマークを行ったグラフである。
 グラフを見れば発症状況は一目瞭然であるが、一回もエラーは発生しておらず、時間はかかるものの正常完了となる。
 (書込速度の目盛は実際より大幅に速いがこれはHDDScanの誤差によるもの)

WD30EZRX write benchmark with damaged platter

 比較対象として、以下はある程度使用時間の経過した同形式HDDの、正常な状態での全面書き込みベンチマークのグラフである。
 ※購入直後の状態ではもっとなだらかでブレ幅の少ないグラフとなる。

WD30EZRX write benchmark with normal platter

 ※注:
 HDDScanは非常に環境の影響を受け易いソフトウェアのため、この方法で検証する際は他のソフトウェアを動作させない・物理メモリを十分に確保する・負荷の高い常駐ものを止める、等の配慮が必要である。
 また、環境を整備してあっても時折妙な挙動することがあるので(グラフのや数字が非常に不自然になるので数%進めば簡単に判別可能)、その際は一度HDDScanを終了し、システムの電源断→再投入してリトライすると良い。HDDScan.exeの再起動だけでは同一症状が再発することがある。

 その3◇低速病の対処は。

 要するに劣化なので、RMAで交換。

 ◇

 ・・・とまぁ、こんな感じで。
 言っちゃ悪いが、要するにWD Greenの低品質の象徴だよね、というお話でしたとさ。

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