2014年のPC業界を個人的に振り返る。

 さて、年末恒例と・・・なっていない?
 今年も年初予想のチェックをしつつ、今年一年を振り返ってみましょうか。

 まずは年初の予想の答え合わせから。

 ハズレ:1◇CPUもついに命名規則がグチャグチャに。
 ハズレ:2◇Haswell Refresh、Corei 5000シリーズ登場。
 ハズレ:3◇Low Power向けとXeon E3-1200 v4向けにBroadwell登場、一部はデスクトップへ。

 →IntelCPU関連についてはもうボロボロもいいところ。
  理由は簡単、AMDがショボいんでパフォーマンス向けにBroadwell焦って出す必要が無いからですな、これ。
  その分のリソースをAtomというかCore Mというか(つかこのブランドも懐かしいよねぇ)の辺りに集中投入したのが今年。
  とはいえこの辺りは完全にARM系とのチキンレースなので、Intelの利幅も相当削られて・・・まぁこの辺りは別のエントリででも。

 やや当たり:4◇Haswell-E(Core i7 5900&Xeon E5-1600 v3)登場、Haswell-EN/EP(Xeon E5-2400/2600 v3)発表。

 →Haswell-EとHaswell-EPは予定通り出たのだが、結局2400シリーズは消滅へ。
  Intelもさすがラインナップを広げ過ぎて各々の位置づけが中途半端になっていたことに気付いてしまっていたようで、Xeonについては全面的にラインナップ大整理の真っ最中。

 当たり:5◇KaveriそしてBerlinが発売されるも、APUのポジションは現在と変わらず。
 当たり:6◇DDR3メモリは高速品の流量が増加するも容量単価は大して下がらず、DIMM容量も増えることもなく。
 当たり:7◇DDR4-2133メモリモジュール登場、でもかなり厳しい船出に。

 →正直嬉しくない項目は揃って正解。メモリに関しては国内では為替の影響でむしろ値上がりしたという。

 当たり?:8◇nVIDIAからMaxwellが発表されるも量産は年半ば以降に、そしてAMDは値下げで対抗するいつものパターンに突入。
 
 →GPU関連で最大のトピックはタイトル「だけ」見るとハズレていないが、コメントで書いた一言は見事にハズレ。
  結局Maxwellは28nmで登場し、このNVIDIAの判断は大正解、AMDのシェアががっつり削られる結果に。

 ハズレ:9◇1.33TBプラッタ3枚の4TB HDDと、4枚の5TB HDD登場。そして容量単価最安値がいよいよ4TBへ移行。

 →プラッタ4枚の5TBは登場したものの、1.33プラッタ3枚は結局登場せず、容量単価最安値も3TBに留まったまま。
  個人的には1.33TBプラッタが出てこなかったこと自体、現在のHDDとHDD業界をいろんな意味で象徴していると思われ。気が向いたらこの辺りはぼちぼち書きます。

 ハズレ:10◇SSDはM2が一通り出揃い、SATA-Expressもアーリーアダプタ向製品が登場、一方で容量あたり単価は大して下がらず。

 →M2はまぁ出てきたという感じだが、SATA-Expressはコネクタこそ付き始めたものの対応SSDはさっぱり。
  容量単価については一時期のような急降下は無くなったものの、下降傾向は続いているという感じですか。

 ◇◇

 以上、甘い判定を駆使しても正解率半分、5/10という酷い結果に。

 ここからは自由記述コーナー。今年は自作限定トピックは正直面白いモノが少な過ぎるので、もう少し広げて「PC関係」レベルで。

 ◇Microsoftの方針大転換で、ソフトの価格概念の変化の始まり。

 のっけからソレかよとか言われそうだが、個人的にこの1年のPC回りの最大のトピックはこれしか思いつきませんがな。

 Office365 Personalの国内導入、Windowsのタダでのばら撒きをはじめとして、兎に角「稼ぎ方」のスタンスを変えてきたMicrosoftが全力で暴れ始めたのが今年かと。

 まぁこれは個人ベースでも影響は少なくないが、エンタープライズでいうと正に激震。Cloud Computing回りは今までMSが軽視していた分野だからこそベンチャーが沢山育ったという面は大きいが、そこにMSが全力投球宣言したのだから、業界勢力図の書き換えは必至。
 更に来年は今年以上に色々と起こるでしょう、と。 

 ◇SMR記録HDDがついに登場、注意書きも特になく。

 ハードウェア絡みの個人的一番トピックはこれ、SMR HDDの登場。
 にしても、いくらDrive-Managedだからって何の注記もなくいきなりブツを出すのはさすがにやり過ぎだろ>Seagate。
 早速ベンチ結果なんかも出ていますが、まぁ実にキモチワルイというか怪しいというかそんな感じで。

 ♯Seagateの場合は結局キャッシュ領域(みたいなもの)をHDD上に確保してWriteのパフォーマンスを稼ぐという方法でDrive-Managedを実装してきたが、これってはっきり言ってSSDの挙動に瓜二つ。そいやSeagateって自社内にSSD開発チームあったよね・・・とか。

 とはいえ暫くはSMR以外に容量拡大の手法も無く、Seagateは来年早々に8TBモデルを投入予定、来年内に10TBモデルもアナウンス予定というのだから、SMR HDDはその価格を武器に一定の勢力を占めるようになると思うんですな。

 しかしこうなると、他社はどう出ますかね。
 HGSTのヘリウムはSMRに癖がある以上多少はプレミア取れるだろうが、いくら癖ありとはいえSMR大容量品が低価格で出回れば「多少」の値幅が問題になることは目に見えている。
 WDはSMRについてここまでSeagateがアグレッシヴに攻めてくると予想していたようには見えないが、価格というある意味今までWDが一番強かった部分を武器にして攻めてくる相手にどう戦うのか。
 東芝は・・・そもそも6TB品ですらまだ出荷していないんだし、最近の容量拡大競争には単純に後れを取っているように見える。

 まぁこんな感じで、HDD回りは来年が久しぶりに面白い年になりそう。・・・てかなってくれ。
 4K放送がどーのとか、エントリーデジカメでも20Mpxとかいう時代に、兎に角タイ洪水から続く「失われた4年」はそろそろ終わりにしてくれ、と。

 ◇微細化に悶え苦しむファウンダリ、各方面に影響出まくり。

 ハードウェア系列では今年かよと言われると返事に困る、このところの毎年恒例ネタは今年もということで。

 ある意味、このところのハードウェア近辺をつまらなくしている張本人がコレ。
 現在の状況はIntel以外総倒れと言ってもいい、正直言って酷い状況。

 ファウンダリ各社は当初は20nmプロセスに熱心だったが、ハイパフォーマンス向け20nmは結局ダメ(=実質的には開発失敗)ということで、現在は16nmの開発に全力投球中。この成果が早ければ来年には出てくるので、そういう意味では一つ見どころではある。

 ♯というかこれがコケたら14nmで先行するIntelにいよいよ「永遠に追いつけない」位置まで引き離されてしまうので、本気で上手くいって欲しいところなのだ、が。

 ◇激安Windowsタブが多数登場。

 今年のトピック、最後にはコレを。
 何とか動いていますレベルとはいえ、動いていることには間違いない低価格なWindowsタブレットが多数登場。

 ここら辺の製品については、市場を一定賑わす効果こそあるものの、当分ニッチを超えない、というのが自分の感想。
 理由はというと、商品としては中途半端過ぎて、個人で買うのはヲタクだけ、エンタープライズでもまずハマらないと思うので。

 世間ではiPadですら出荷数に急ブレーキがかかっているようだし、一方で激安Androidタブは激安Windowsタブの半額以下だし。Windowsが動くということだけで激安Androidを狙うユーザにこの価格差を納得させるのは厳しいでしょ、という考え方。

 え、Officeのフル版付けても正直無理だと思いますよ。
 Officeの機能限定版はAndroidでもタダで使える(ようになる)し、そもそも最初っからOfficeをがっつり使いたい人はこの価格帯のタブレットにはまず手を出さないでしょ。

 一方エンタープライズはというと、ADでポリシー制御が効くPro版でないと実質的に使い物にならんという場面も少なくないだろうし、それじゃAD不要ですとなった途端に「それってAndroidとかiPadじゃダメ?」という質問に耐えられる場面がどれだけあるかどうか。

 ♯逆にPro版に低価格でアップグレード出来るなら結構ハマる場面はありそう。
  もしかして当方が知らないだけで、実はAnytime Updateの仕組みを活かして・・・なんて話あったりするとか?

 まぁ、個人的にはヲタクのおもちゃが増えるのは大歓迎なので、無くなって欲しいとは思いませんが、所詮その程度の位置づけだろうと。

 ◇◇◇

 以上、いつもの調子のこんな記事で今年のblog更新は終了です。
 それでは皆様、よいお年を。

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