Intelの意地汚さがここまで露骨に出るとは、「Meltdown」はIntelにとって余程ヤバいものらしい。

 新年あけまして・・いきなり「Spectre」「Meltdown」脆弱性ネタで大騒ぎから始まったPC業界。何だかなぁ。

 いやね、Intelがアレなのは事実なのだが、普段なら「見掛けは」スマートに済ませるんですよ。実体は兎も角として。
 ところが今回は今まで見たことない程余りにも露骨に「オレだけじゃない」「(パッチ当てても)そんなに遅くならない」と言い訳しまくっているワケで。海外の辛口系メディアには早速ネタにされまくっているが、そこまで言い続けるということは実際には余程ヤバいんだろうなぁ~、と。

 ♯日本のPC業界は何故か病的にIntel信者が多いのでね・・・海外と日本のこの情報密度の違いよ。
  あ、ちなみに。少し前のEPYCをボロクソに言ってるスライドも(当時は)前代未聞・異例且つ中身がほぼ中傷というアレさで海外のtech系サイトの一部ではネタとして話題になったが、結局広がらなかったわね・・・中身が重箱の隅過ぎでしょアレ。

 ただでさえ、昨年末には「10nmプロセスが全然アカンのです」と自ら告白したも同然の14nmプロセスCPUコードネームの追加があったばかり。以前ネタにしたように、湯水のように現ナマを流し込むことで最先端プロセスをいち早く安定させてきたIntelをして、10nmが安定しないというのは・・・いよいよ「微細化の限界」ってヤツですな。

 あ、一部に「コストが合わないだけだ」という言い方をする人が居るんですが、半導体製造プロセスをある程度知っている人間から見ると「コストが合わない」=「プロセス開発失敗」なワケですよ。
 何故って、半導体の製造プロセスを設計する場合、一定の期間に一定のイールド(算出率・良品率)が取れることを前提にコスト構造を組み立てて「元が取れる」世界観を組み立てるんですわ。なのに「コストが合わない」=「生産した製品が想定した品質に届かない」=「作っても損しかしない」って、これ世間では「失敗」と言いますわね。
 で、Intelの場合は今まで製品をクソ高く売ることが出来たので、原価も他のファウンダリ(「ファウン『ド』リ」表記の方が一般的らしい)と比べて高く設定出来たワケですよ。そのIntelをして10nmが量産開始出来ないというのだから・・・どんだけハードル高いんだよと。

 ♯この「元が取れる」とこが見えなくてプロセス開発中止、なんてこと自体は最近では世界中のファウンダリでそう珍しいことではないんですが、昔は結構珍しかった。このこと自体開発コストが上がっていることの一つの証明ですな。

 まぁそんなこんなでIntelにとっては波乱の幕開けとなった今年。
 AMDやARMにとっては棚ぼたなのだが、皆様御存知の通りこういうチャンスをロクに活かせないのがAMDという会社だし、ARMはさすがに棚ぼたを受け止められるだけの器が未だ無い状態なので、結局Intelの絶対王政が変わることもないんでしょうな、としか。

 ♯自分はAMD派だが、AMDの商売センスの無さは伝統芸だということはきちっと認識してまっせ、えぇ。

 まぁ取り敢えず、現時点で技術的な脆弱性そのものの情報はほぼ出てきているように見えるので、後は影響範囲がどこまで広がるか観察してみましょうか、というとこですな。
 現時点の情報だと、クライアントPC系OSやアプリのようにパッチ当て易い範囲では影響は収まっていなさそうだし。

 もう一つ、これからパッチが全世界にバラ撒かれるそうなので各所から悲鳴が上がってくる様子も見てみることにしましょう。
 Linuxカーネルにパッチ当てるとWorkloadによってはパフォーマンス3割ダウンとか相当酷いことになるらしいし、既にAmazonではパッチ済みLinuxが稼働していてパッチ以前に比べてCPU負荷がガン上がりしてるとAWSの中の人が言っているし。

 あと・・・これ集団訴訟来るかね?
 主要な影響はサーバーと言いつつコンシューマーに影響が皆無というワケではない筈なので、その辺りを考えるとあの訴訟大国ならやりかねんな、と。

 とまぁこんな感じで、本日はここまで。

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混沌とし過ぎているNetwork Audioを自分なりに解釈してみた。

 さて、個人的には最近国内でもぼちぼち流行り始めたのかな~と思っているのがNetwork Audio。
 といってもNASにNetwork DACを繋ぐいわゆる「オーディオ」ではなく、音響/楽製作とかプリプロ~プロダクションの世界の話ね。

 まぁさすがにこの辺りが個人に落ちてくるまでには未だ時間がかかるというか、そもそも必要なのかという話があるのだが、ちょっと興味はあるのでうだうだと調べてみた。

 ◆Dante

 現時点では事実上の業界標準。
 今すぐNetwork Audioをプロジェクトの現場でフル活用しようと思ったらコレ一択。

 登場当時よりIP Networkの利便性をフル活用する仕様だったことに加え、登場時ライバル足り得る別規格が無かったので、現状はまぁ当然というか。

 メリットは、取り敢えず製品選びには困らないこと。国内でもDante登場時から積極的に採用しているFocusriteのRedNetシリーズの入手性は良好だし、何と言ってもLive Consoleで大きなシェアを持つYAMAHAがDanteに対応している。他にもおカネ持ちサマ向けにはLynx、SSLにStuder、リーズナブルなトコではPreSonusやBehringerなんかも。
 更に、そこらで売っているフツーのUTPケーブルとフツーのNetwork Switchでもネットワークを構成可能ということもポイントが高い。つまりこれ、既設のネットワーク設備があればかなりの確率でそのまま使える訳ですよ。

 デメリットは、敢えて挙げればパッチング設定がやや複雑なこと、一企業の独自規格であり業界団体等のオーサライズが無いことかね。
 でもこれ、正直どちらも「あんまり」デメリットではないんよね、少なくとも今のところは。

 現時点では明らかにメリット>デメリット。そりゃ定番になるわ。

 ◆AVB(IEEE802.1 TSN)

 非常にビミョーな状況。
 将来の標準・・・になれるか?現時点では敢えて選ぶのはやっぱり微妙。

 Danteに比べて7年も出遅れたのと、接続に「AVBが使えるEthernet Switchが必須」という分かり難さ&面倒臭さのせいでオーディオ界では弱小勢力。
 クルマの中の電気信号系(車載バスとか車内イーサとか言われるアレ)の方では次世代標準と言われているのだが。あと、個人的にはイチ推しなのだけど。

 メリットは、IEEEという巨大な業界団体がオーサライズしたオープン規格だということ、接続された機器の自動検出・設定がDanteより進化していること、実装次第でDanteより低遅延・広帯域が狙えること。基本的に技術寄りの自分的にはこの辺りは刺さりまくりなワケですよ。

 デメリットは、如何せん製品の数が少ないこと。これはオーディオ機材も「AVBが使えるEthernet Switch」も両方で、元々オーディオに特化したものではないため実装が大変=コストがかかることも大きく影響しているかと。
 まず、オーディオ機材として製品化しているのはProToolsでお馴染みAvid、Digital PerformerのMOTU、PreSonus、これぐらい?変わったトコではApple。Mac OSには標準でAVBの実装があるので、AvidやMOTUのIF、PreSonusのMixerやDigital Snake(商品名はNetwork Stage Box)をフツーにイーサネットケーブルでつないで使うことが出来たりする。
 そしてEthernet Switchの方は更に面倒。一応MOTUとPreSonusがAVBが使える小さなSwitchを売ってはいる(PreSonusのはPoE付XLRコネクタで現場では使い易そうなんだがちとお値段が高い)ものの、それ以外の選択肢となるとNETGEARやEXTREMEの特定モデルにライセンスを追加するかCiscoの特定モデルか、という有様で、こんな状態で「音屋さん」に使ってくれってのはさすがに苦しい。そういう話が通じるのはIT業界の人だけでっせ。

 現時点では殆どの人にとってはメリット<デメリット。
 なのだが、個人的に注目しているのは「RMEがAVBを選ぶかも」という話。音楽業界、特にWindows系では定番のRMEがAVBを選んで、デジタルスネークとしてド定番のMADIの後継に位置付けられたりしたら、もう少し勢力広がるのでは。そうなればいつの間にか立ち消えになっているDante I/FのAVBサポート計画も復活するだろうし。

◆AES67

 放送業務向け。
 まぁなんつ~か、自分には縁が無い。

 元々はRavennaと名乗っていたもの。
 最近になってAES標準となったことで、Danteの開発元であるAudinateがDante I/Fでのサポートを追加したが、これはあくまでもDante I/FがAES67も喋れるようにした(IT業界用語で言うところの「デュアルスタック」ですな)だけで、Danteの拡張ではない。

 メリット・デメリットと言われても、ぶっちゃけコレを採用する製品を検討することも無いだろうから、分かりませんとしか。きっとあっち業界的にはそれなりに流行っているんだろう、としか。

 ◆CobraNet/Ethersound

 どっちもまぁ過去の遺産。新規に採用することは無いので、取り敢えず放置。

 ◆DigiGrid/その他

 まぁベンダ固有のニッチですな。特別なメリットも無いし、放置。

 ◆

 ということで、映像プロダクションとかならAES67とかも視野に入ってくるのかも知れないが、自分の興味&検討範囲では現在のところ「今そこにあるDanteか、将来性に賭けるAVB」二択ということで。

 ・・・ん~、自分的にはきっとRMEがどちらに転ぶか、で決める気がする。それまでは取り敢えずADAT光で頑張るかAESをD-SUB25ピンの太ケーブルで束で取り廻すか、どうしても無理になったらMADIに転ぶか、という感じかな。現実問題として、自分のレベルだとこの辺りで困らないし。

 ♯ところでSuper Hi-Visionの22.2ch音声ってアレ、プロダクションレベルだとどうやって取り廻す&編集するんだろ?最終的にはエンコードかけて1.4Mbps(放送用帯域)に収めるとはいえ(というかこの圧縮率すげぇ)、素材としてはがっつり24chだよね?

 とまぁ、本日はこんなところで。

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gibsonはOpcodeに続いて結局Cakewalkも潰した。次はTEAC&TASCAMか、その次はOnkyoか。

 ・・・さすがOpcodeを潰した前科持ちはやることが違うわ。

 ということで、やらかしましたよgibson。4年前に買収したCakewalkを潰してしまいますとさ。しかもよりもにもよって30周年記念のこの年に、Black Friday Dealやっているこのタイミングで。
 実は当方のDTMは途中何度かブレそうになりつつも結局ずっとCakewalkで来ていたので、個人的なにもかなり衝撃なんですな。・・・どうしよ・・・。

 ちなみにタイトルの件ですが。
 「Philipsブランドに注力」という言い方だと、個人的に将来が非常に危ぶまれるのがTEAC&TASCAM。TASCAMについては基本的に業務用ブランドなのだが、実態としてはTEACとTASCAMは表裏なのでTEACが吹っ飛ぶ=TASCAMも危ない。
 そして、PhilipsブランドはTEACブランドと競合するし、現実問題として既にTEACブランドは全盛期(=カセットテープ全盛期)と比べると風前の灯火。更にCakewalkは位置づけ的にはTASCAM傘下だったワケでですよ。ほら、不吉でしょ。

 あと、現在gibsonはOnkyoとも資本・業務提携を行っているが、この資本・業務提携が発表されたのも2013年。実はこれ、Cakewalk買収とほぼ同時期なんですな。
 そしてPhilipsブランドはOnkyoとも競合します、はい。・・・この辺りも何か危なっかしさ感じません?勿論Onkyoはただの提携なので吹っ飛ぶことはあり得ないが、現状から何も動きが無いというのも考えにくい。

 ということで、本日は風雲急を告げるこの展開に思わずこんな何の中身もないエントリを書いてしまった次第。
 さてさて、次は何が起こるかね。

P.S.
 Cubaseは国内だとYAMAHAの対応が色んな意味で最悪だった思い出があるのと(実はこれが原因でCubaseに浮気しかけたのに色々無かったことにしてCakewalkに逆戻りしたという過去あり)、無駄に角を丸くしているUIデザインがイマイチ好みじゃないんのよ。
 逆にStudio OneはUIデザインは全然アリなのだが、MIDI打ち込みが多い自分にはアレの「雑な造りのMIDIトラック」は無理っぽい。昔から言われている話ではあるが現在でもロクに改善されていないし。
 ・・・結局、Cubaseに慣れるしかないのかねぇ。今更FL Studioに移行とかは無理だろうし(トラック組立ての考え方が違い過ぎる)、機能的な不満は多分出ないだろうし・・・。

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KabyLake-Gは兎も角、Raja Koduriの移籍は正直アカン・・・。

 KavyLake-Gの話の舌の根の乾かぬ内にこんなネタが出て来るなんて。
 うわぁ・・・Radeon大丈夫か?

 いやね、Raja Koduri氏は最近のRadeonの方向性というかそこら辺をがっつり引っ張て来た人物で、Radeonの良いトコも悪いトコも知り尽くしていると言っていい。
 つまり、Intelからしてみれば相当「いい買い物」。

 実際問題として、Intelが直近でAMDのIPを捨てられるとは思えないので、数年はAMDからVGAコアを購入し続けることになる筈。そして、個人的にはIntelは「VGAコア」はもう暫く買い続けることになると思っている。
 それは何故かというと、Intelが開発したいのは「VGAコア」ではなく「GPUのアーキテクチャを持つアクセラレータ」だと見ているので。具体的には機械学習等の並列演算に使うモノで、Xeon Phiの後継になるもの。まずはそちらの開発に全力を挙げて、余力でアーキテクチャを流用したVGAを作る、ぐらいの優先順位だと思っているので、VGAとしての製品が出て来るのは遅れるかと。

 もう一つ、VGAコアを製品として成立させるにはソフトウェア=ドライバが必要。御存知の通りこの開発にはカネも期間もかかり、Intelは兎に角ドライバの品質がアレというのか定番のお約束。NICのようなEnterpriseもの以外、Intelははっきり言って真面目にドライバを開発していない。そんな状態で、VGAコア用の「取り敢えずまともに動く」ドライバを開発するのにはそれなりに時間がかかるだろうと。

 ♯では何故PCのチップセットドライバが安定しているのかって?アレ実際はサーバのチップセットドライバと共通だからでっせ。

 そうなると、今はNVIDIAが天下を謳歌している機械学習分野に数年後にはIntelが本気で勝負を挑む・・・って、そうなったら機械学習分野におけるAMDの居場所なんて残りそうもなく。
 VGAとしてのGPUの出荷量なんてこれから減っていく一方なのだから、黙っていたらGPUの出荷量は先細りになるしかない。そうならない為には頑張ってGPGPUの方向性を伸ばしていくしかないのだが、一過性の暗号通貨マイニング需要でウハウハ言ってる今のAMDに、そういうことを真面目に考えるだけの頭脳は残っているのかしらん。

 ♯一過性ブームでウハウハ言っている間に、陰でこっそり力を溜めていたライバルにさくっと潰される、ってAMDのお約束の展開なので。

 ・・・いやね、少しは上向いてきたかと思ったRadeonの将来がまたしても方向性不明の大迷走になりかねない状態でっせ。
 いやホント、勘弁して・・・。

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祝:Radeon Express復活・・・ではないが、KabyLake-GがIntelだけでなくAMDにもメリット大、な話。

 いやぁ、ついに来ましたKabyLake-G。この細長いパッケージ、どう考えたって新MacBook&新Mac mini向けだろ・・・という話は兎も角。
 このMCM、ビジネス的に考えると実はIntel的にもAMD的にも実に理にかなっている、メリット大の話。一昔前のIntelだったら絶対に実現しなかっただろうが、市場の変化がIntelにこんなモノを作らせたワケですが、本日はそんな話でもしてみますか。

 ◇

 まず、こんな製品を作らせた「市場の変化」とは。一言で言うとNVIDIAが強くなり過ぎた、ことですな。
 特にHPC等の「美味しい」市場は現在NVIDIA一強とも言える状況で、IntelとしてはこのところRyzenで何とか死に損なったAMDなんかより、よっぽど「ウザったい」状況なんですわ。

 そんなIntelがこのタイミングでこのチップを投入した、Intel側の最大のメリットは。
 ひたすらショボいと言われ続けたIntel IGP以外の選択肢を提供出来ること。

 どう考えても1st Userは次期MacBook&次期Mac Mini。どちらも既にIntel IGPでは遅過ぎて以下略なので、普通なら外部GPUを追加するしかない。ところが、KabyLake-Gなら外部GPUを使わず、よりコンパクトで性能も出せる。必要に応じてGPUクロックを制限したりコア無効化したりHBM2メモリを増減したりすればいくつもグレードを作ることも出来る。

 あ、外部GPUより性能が出せるというのはこのチップがGPU専用メモリとして広帯域のHBM2を搭載しているから。ある程度性能の出るGPUにとっては現在のGDDRは明らかに「遅過ぎる」メモリで、メインメモリの共有なんて性能面だけ考えたら以ての外。
 一方でHBMは未だ出始めのニッチ品で、広帯域故にピン数が多く配線も伸ばせないため非常に扱いづらく、実際に使うにはMCMにするしかない。だがやたらピン数の多いMCMも未だ成熟技術とは言えない状態で、現にAMDはHBMを搭載したFijiで性能は悪くないものの商売的には大失敗している。
 そんな中、HBM2の高コストやパッケージングの難しさを覚悟しつつもIntelがHBM2をMCMで敢えて搭載してきたのは、どう考えてもVEGAの性能を活かしきるため。
 逆に言うと、仮に同じMobile VEGAのチップを搭載しても普通に基板実装可能なGDDRメモリだったら性能では追いつけない訳で、MXMやロジックボード直付けよりも確実に速いということになる。

 ◇

 一方で、AMDにもがっつりメリットはありますよ。
 最大のメリットは、単純にVEGAの出荷数が稼げること。

 物理コアの提供ということは単に完成品の提供なので技術が盗られる心配もなく、たまたま偶然大口のカスタムチップの注文元がIntelだったというだけの話。商売繁盛、何の問題もありません。
 AMDも当然Mobile VEGAを自社製品化するだろうが、その性能が仮に前評判通りだったとしても定評(否定的意図)ある販売力のおかげで出荷量は毎度お察しの通りになる未来しか見えない。だしたら、IntelにKabyLake-Gでセット売りして貰った方が数出るだろ、と。

 そして更に重要なポイントは、KabyLake-GがMobile Ryzenの直接競合とならないこと。
 これ世間ではあまり注目されていないようだが、Intelに「セミカスタムGPU」を供給するという今回のビジネス上の決定の際にはかなり重要視されていた筈。

 というのは、KabyLake-GがターゲットにするのはMobile Ryzenより性能的にも消費電力的にも1ランク上。Mobile RyzenのGPU性能がいくら優れているとはいえHBM2を占有可能な単品VEGAに敵うワケがなく、逆に消費電力ではMobile Ryzenに勝る(下回る)ワケがない。
 つまり、Mobile Ryzenの対抗品はあくまでも(Chips&Technologyの血統の)intel IGPが入った単なるKabyLakeなワケですな。KabyLake-Gに直接対応するレンジにはAMDの実製品どころかロードマップすら無いワケですよ、現状では。

 ♯敢えて捻り出すならMobile Ryzen+Mobile VEGA(with HBM2)となるだろうが、こんな組み合わせの製品なんて世界中のOEMの何処探しても企画検討すらしてくれないでしょう、少なくとも現状では。
 ・・・というかそもそも、Mobile VEGA(with HBM2)ってブツ自体出るのかしら。普通に考えてクソ高いだろうし。

 ◇

 以上のように、この製品が売れることはIntelにもAMDにもメリット大なのだが、最後にキーになるのは、このチップがApple以外にも供給されてるのか、ということ。

 NVIDIA憎しのIntelからすれば、MCM実装やチップ製造に多少コストがかかっても、ドライバ安定性(AMDだとやらかしかねない)やVEGAチップの価格(AMDだと以下略)といった部分で問題さえ出なければ出来るだけ多く出荷したい筈。

 そうして適正価格&潤沢にApple以外にも供給されるとなると、ミッドハイ~なんちゃってハイエンドなノートPCは現在のNVIDIA単品GPU搭載から一気にシフトしてくる筈。
 何故って、恐らくNVIDIA単品GPU搭載品と同程度かそれ以上の性能のものを、より安く作れるだろうから。

 というのも、Intelのことだからロジックボード=プリント基盤自体はKabyLakeでもKabyLake-Gでもどちらでも実装可能なように、CPUソケット(※基板直付けですよ念のため)は互換にしてくる筈なので。
 そうなると、OEMからするとロジックボードデザイン際にCPUの周りに(KabyLake-Gが収まるだけの)空間さえ空けておけば、ロジックボードそのもののバリエーションを増やさずにKabyLake-G搭載品とKabyLake搭載品の両方を作れるようになるんですな。
 勿論、今まででもMXMを使えば単品GPU搭載品と非搭載品で基板を共通化することは出来たし実装例もいくつもあるが、物理的な大きさや追加部品の分を考えると、CPU周りに空間さえ空けておけば良いKabyLake-Gの方が圧倒的に取り回し易く、また価格も下げられる。

 更に、一度このフットプリントをOEMに定着させてしまえば、将来CPUやGPUコアをアップデートすることで例えば「CoffeeLake-G」のようにシリーズ展開も可能になる。
 そうなると、
 ・Intelから見れば継続的に外付け単品GPUを排除し続けられる
 ・AMDからすればIntelがNVIDIAを追い払って自社GPUを代わりに置いてくれる
 というある意味妙ちくりんな共存関係が継続するかも知れない、というのもポイント。

 もし上記のことが現実になれば、現在の単品GPU搭載ノートの市場パワーバランスは確実に変化するだろうから、これは面白いことになりまっせ。

 ♯あ、CoffeeLakeの消費電力と発熱考えたらまぁそう簡単にはノートに来ないですよコレ。

 以上、本日はこんな感じで。

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