さて、書いていたらまたしてもあまり面白くない感じになってしまったのが本人をしてイマイチなのだが、取り敢えず今年のPC周りを振り返ってみましょ。
1◇Windows10の提供開始とゴタゴタ。
今年のPC業界全体を見ると、落ち目のMicrosoftに振り回されて業界全体が更に弱った、というのが個人的印象。
トップが変わってから色々頑張っているのは分かるのだが、多少頑張った程度でMS品質がどうにかなるワケもなく。
しかも何故か当初予定より前倒しで展開した挙句、相変わらずのポンコツ状態で「正式」登場したWindows10。
♯もう少し品質を上げておけばもっとスタートダッシュが効いたと思うのだが、ここまで前倒しにした理由が個人的には全く思いつかないんよ。
そして先日配信されたNovember Update=事実上のSP1でもバグ修正と仕様変更を一気出し、しかも配信できちんとトラブルを起こす、という相変わらずの展開。
とはいえ漸く「SP1並」の品質になってきたので、EarlyBirdがぼちぼち移行し始めているといったところ、というのが2015年末ってトコですかね。
次の大型アップデート=Redstoneではまた色々手を入れるという話もあるので、取り敢えずここで一旦、という人も居るのでは。
とまぁここまでの展開が約半年。
ユーザもPC業界もそろそろ学習しましたね。Windowsは未来永劫安定することはない、と。
そしてトップが変わろうがアグレッシブになろうが、やはりMicrosoftは品質とタチが悪いと。
変化することと安定しないことは違う筈なのだが、Microsoftにこの2つを区別出来るだけの能力があるワケもなく。
Micfosoftが目指すと公言したモノと、現実とのギャップが激し過ぎて、でも業界としてはそれに付いていくしかない。
しかも一蓮托生だと思っていたら、自社製ハードウェアのラインナップ拡張で競合範囲を広げてきたし。
更にTH2の出来云々よりも強引なアップデート誘導という面で個人ユーザとベンダの余計な混乱と反発と顰蹙を現在進行形でかっているし。
そんな姿勢そのものがPC業界を弱らせているということに、MSは気付いていなのでしょう、きっと。
ちなみにWindows10 Mobileは・・・あ~そいやそんなのありましたね的な。
個人的にはこのまま永遠の弱小勢力で終わる確率が非常に高いと思っています。
OS提供も遅れ、Windows Bridgeも全然進んでいない、その間にもAndroidとiOSは拡大中、もうこの差はは取り返せないだろ、と。
確かに最近のAndroidは肥大化というか品質低下が目立っているし、その辺りWindows10 Mobileと並べるとという話もあるが、OSとしてのプラットフォームが一度広まってしまったらソレがどれだけ強いかということは、Microsoft自身のWindowsが証明してきたトコなのでね。
♯ネタ商品的にはアリだと思う。
2◇OneDriveを巡るゴタゴタ。
Microsoftネタ連発だが、これも今年のデカい話として外せないと思うので。
ミクロで見ればいつものMicrosoftというだけ。「新生」Microsoftは存在しなかった、ということを一番分かり易く知らしめたということで。
マクロ的視点だと、クラウドサービスってこういうモノだよ、ということを広く再認識させた効能があったかと。
一般PCユーザの視点で見てみると、Microsoft離れを加速させたとしか。
個人的な意見だが、古臭いPCユーザといわゆるスマホネイティブユーザの大きな違いの一つに、サービスに対する忠誠度があると思っている。
これはPC万能時代の「移行の面倒臭さ」の記憶と裏返しであり、一つのアプリなりサービスなりに腰を据えて使い続けるのがPCユーザの習性。良く言えばロイヤリティが高い。
一方、スマホネイティブユーザはアプリを選んで入れて捨てて御仕舞が当たり前。大多数がコンテンツ消費者なので移行するデータも無く、データ移行作業なんて基本存在しないので、アプリを入れ替えても特に困らない。
サービス提供側から見た場合、どちらを掴んでおいた方が幸せか、ということですよ。
そんな時代に、コンテンツ消費者がPCを買ってくれるという幻想はもう通用しない。
PCが掴んでおくべき顧客はひと昔前「プロシューマ」と呼ばれていたコンテンツ作成側のユーザであり、これは即ち古臭いPCユーザであり、取りも直さずWindowsユーザであり、Microsoft製品ユーザなのですよ。
そんな彼らに「やっぱMicrosoftは信用ならんわ」と知らしめた今回のイベントは、確実にMSのコンシューマ向け戦略に未来永劫影響を与えると思うんですわ。Windows Mobileの展開も含めてね。
3◇メインストリーム向けNVMe離陸開始。
さて、いい加減MSネタばかりだと飽きるので、きちんとハードウェアの話しましょ。
今年のハードウェア的トピックの中では、個人的にはNVMeがいよいよコンシューマ向けに来たことかと。
OS側は実はWindows 8.1からフルサポートになっていたが、チップセット側の正式サポートが100シリーズからとなったので、DDR4移行と同時のタイミングで離陸開始と。
そんなNVMeの価値は、世間で良く言われている「ベンチマーク値がSATAの理論速度超え」ではなく、プロトコル上のオーバーヘッドが少なくSATAよりレイテンシが低いこと。
今は未だ出始めということでコストも拡張性も全くこなれていないが、現状CPUの足を引っ張りまくっている大容量記録装置周りが漸く一歩前進したワケで。
個人的には是非早期の値崩れを期待したいところだが、同時にIntelにPCIeバス本数拡大も期待したいところ。
NVMeだとPCIe x4を使ってしまうので、現行CPUのPCIe x16では拡張性が足りないよね、と。
4◇HBMが実製品に。
次に、今年HBM搭載製品が(ハイエンドとはいえ)一般向けに出回り始めたのは、あまり世間では話題になっていないが個人的にはポイントだと思うのですよ。
着目点ととしてはNVMeと一緒で「高速な演算装置と、追い付いて来ない周辺回路」というPCの中の構図を一歩改善する為に、非常に広帯域なメモリが採用されたということ。
勿論現時点では価格その他問題も色々あるが、AMDはAPUでもメモリ帯域不足で頭を抱えているということ、GPU ComputingにはPCI-Expressも相対的に低速でボトルネックとなっていること、その他諸々を考えると、まずは将来に向けての一歩を踏み出した、と言えるのでは。
5◇HDDもSSDも揃って停滞中。
続けて大容量記憶装置の方を見てみると、今年は正直停滞の年でした、と。
まずSSDは順調に値下がりし、年初比で3割~4割安くなったが、正直それだけ。
低価格品ではTLCの採用が拡大。TLC故の書込の遅さはキャッシュで誤魔化すしかなくその取り回し方法で多少個性が出るものの、基本的にはコントローラが一緒なら挙動も一緒という、正に「コモデティ」と化してきたというところ。
HDDの方を見てみると、コンシューマ向けには年初に8TB品が出回り始め、年内で大体3割程値下がりしたものの、10TB品は未だに影も形も見えず。
アキバの店頭では地味に4TB・5TBが下がったものの、今年1年ずっと3TBが主役のままで、このラインに至っては値動きもほぼ無し。
以上、要するに全く面白くなかったですな。
ちなみに、現時点でPMRの最高密度品は東芝の2.5′ 3TB HDDの750GBプラッタ。
製品発表は年初、その時は5月出荷予定とアナウンスされ、アキバには9月に流れ始めましたな。これが最高密度。
3.5’ではHGSTの10TB製品で、コレは1.43TBプラッタという密度。SMRでは去年この密度になっていたのだが、今年にはPMRでこの密度になりました、と。
あとペーパーではSMRではSamsungが2.5’で1TBプラッタを開発したとPRを出ているが、現物はちっとも出てこないですな。
6◇IntelがSkylakeでDDR4に移行開始。
最後にIntelからSkylake登場、DDR4に移行を開始しました、と。
ある意味定例アップデートで面白くもなんともないし、消費電力は減ってきているものの実処理性能ではあまり伸びてもいない。
これは取りも直さず「アップデートのメリットが少ない」=「コストばかりかかる」=「コスパが悪い」ということで、こういう商法を続ければどうなるか・・・は自明の筈なんだがなぁ。
但しプラットフォーム入れ替えというのはパーツ屋にとっては一大イベントで、これがあったからPCパーツ屋は今年が乗り切れたなんて話もあったり無かったり。
♯「DDR3が使えるSkylakeマザーが動かない(売れない)」なんて台詞をどっかで聞いたが、当然でしょうよ。
◇
以上、今年のPC市場は自分から見たらこんな感じでした。
今年のblog更新はこれで終了です。
それでは皆様、良いお年を。