カタログスペックは時に結構事実だったりする。

 訊かれたので答えるネタ。
 9月末にBackBlazeが恒例のHDDぶっ壊れ数レポートを出していたのだが、どうよという話。

 まぁいろんな人がいろんなコトを言っているので、総論的なことは置いといて。以下、個人的感想だけ。

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 ・HGSTは相変わらずの鉄板ぶり。電源にさえ気をつければ長持ちするのは間違いない。
  HGSTといえば東芝印DT01ACA300=Deskstar 7K3000.Bもかなりいい感じ。

 ・ST3000DM001、SAMSUNG血統品は壊れ過ぎ。当方の印象ではデスクトップ用途ではここまで壊れてない。
  とはいえこのドライブについては「メカがヤワ」「設計寿命4800時間は伊達じゃない」と感じることが最近ぽつぽつあるので、単純に(設計寿命に対する)長時間駆動と振動でメカがヘタって壊れているのではと推測。プラッタの方に問題があるとは思えない。

 ・ST33000651AS、製品の位置づけ的にはもう少し踏ん張って欲しかったが、こんなものか。

 ・駄目な方で伝説のST31500341AS、伝説持ちの割には意外と踏ん張ってる。

 ・WD RED 3TB壊れ過ぎ。つか所詮はGreenの選別品、やっぱりその程度だったということかね。

 ◇

 ま、ざっくりこんな感じですかね。
 ネタ的に古いし出涸らしだし、なのであっさり風味で。

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SMARTの値の読み方って意外と難しいよ、という話。

 本日はHDDのSMARTについてちょっとネタにしてみようかと。

 たまに「HDDのSMARTってどれぐらい役に立つの」ということを訊かれたりするのだが、こういう時当方はざっくりこんな感じで答えています。

 「まぁ無いよりはマシ程度ですか」

 というのも、コンシューマー向けモデルではSMARTの値なんてホント超適当なので。
 エンタープライズ向けでは多少は詳しい値が取れるものも多いが、それでも「この数字をどういう風に解釈すれば良いか」ということは、メーカやモデル毎の癖を把握していないと中々難しいことです、はい。

  ◇

 例えば、一番気になるであろう「不良セクタ数」(0x05)についてだけ見ても、当方が知っているだけで以下のような癖があったり。
 あ、当方の経験則というかそんなモノでしかないですよ、念のため。
 「意見には個人差があります」ってことで。

 #以降「読み取り」「書き込み」と書く際については、発生原因はI/O命令(要するに普通の読み書き)によるものか、ファームウェアが持っている自己検査・修復ルーチンに依るものかと2通りあるのだが、処理そのものについてはどちらでも同一のように見えるので、そういう風に解釈されたし。

 ◆SMARTの数字の意味が分かり易い例

 HGST全般・東芝全般・Seagateエンタープライズ・Samsungのモデルがおおよそこの傾向。
 ポイントは0xC5が減るのと0x05が増加するのが同期する点と、実際に訂正不能になる前にカウントされる点で、これを見ていれば劣化の進行具合が確認し易い。

 「代替待ちセクタ」(0xC5)増加条件
 →読み取り時にエラー訂正の範囲内でも、内部的にエラーレートが一定を超えた場合
 →読み取り時に訂正不能なエラー(IOエラー)が発生した場合

 「代替待ちセクタ」(0xC5)減少条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合

 「不良セクタ数」(0x05)増加条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合

 ◆SMARTの数字の意味が分かりにくい例

 Seagateコンシューマ・WD全般がおおよそこの傾向。
 ポイントはSMART上から劣化セクタ数が「消えて」しまう可能性がある(というか実感ではほぼ「消える」)こと、実際に訂正不能にならないとカウントされないことで、これでは傾向把握に役に立たない。

 「代替待ちセクタ」(0xC5)増加条件
 →読み取り時に訂正不能なエラー(IOエラー)が発生した場合

 「代替待ちセクタ」(0xC5)減少条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行された場合、代替セクタが割り当てられるかどうかは不問

 「不良セクタ数」(0x05)増加条件
 →不良セクタに対して書き込みが発行され、代替セクタが割り当てられた場合

 ◇

 個人的にはこの分かりにくいSMARTの値もWDを敬遠する理由の一つだったり。
 要するに不良セクタで大量にマークされている筈なのに、完全初期化(いわゆる「ゼロフィル」)すると全部「無かったこと」になってしまう可能性があるという。

 とはいえ、一昔前のWDはもっと素直に0x05が増えていたと思うのだが。ここ数年のモデルでは明らかにSMARTの扱いがテキトーにしか見えないですわね。

 とまぁ以上、こんなこともありますよということで。

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久々に動きのあったクライアントHDD。

 さて、WDから1.2TBプラッタ5枚構成で5TB・6TBというWD緑と赤、更に5年保証のRed Proなんてのが出てきましたよ。
 これでクライアントHDD市場がまた面白い展開になってきたので、ちょっと書いてみます。

 ◇

 まず、5TB・6TBモデルについて。
 カタログ見る限りメカは同一、プラッタ選別で6TBの選別落ち品が5TBの模様。つまり後者は実質的に1TBプラッタだが、4TBモデルより公称速度が1割程伸びているので、トラックの横幅(縦=進行方向=回転方向)を広げて磁力を確保したという方向性か。
 そしてこのモデル、ケースが通称「黒蓋」だというとこで「あぁ無理してるなぁ」と分かる人には分かるかと。これWD流の軸ブレ防止機構で、コストがかかる為にWDが頑張って外してきたという代物。過去には4プラッタ2TBモデル辺りまではWD Greenでも採用されていたが、コストカットで外され、ここにきて復活ときましたよ。

 #某所では音のもじりでこの黒蓋付のケースは「黒豚」とか「豚」なんて呼ばれているらしい。

 そして予価はというと、緑の5TBで¥22K、6TBで¥27K。既に東芝の7200rpm 5TBがアキバでは¥22Kということを考えると、初物プレミアが終われば5TBモデルが¥20K切り、6TBモデルが¥25K切りは目前といったところか。Redのプレミアは1割ぐらいかね(値段の話は全て税別)。
 にしても、このRedプレミアって当初はGreenとの値段差で2割以上あったと思うのだが、現状WDとしてはこれでいいのかしらん。今回Red Proなんて妙ちくりんなモノを出してきたが、これって要するにBlackの選別品だし。

 さて、ここまではWDの話。この後は他メーカの話。

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 まずは6TBモデルの発表がいつになるのか、なのが東芝。
 現状でラインナップに6TBが存在しない唯一の会社なので。

 まぁ6TBってのがクライアント向だけしか出回っていないならもう少し様子見というのもアリかも知れないが、いかんせん既にヘリウムなHGSTと力業Seagateというニアライン向けの6TB製品が既に出回っている以上、東芝がこの容量重視市場を取りに行かないとは考え難い。

 従って、何らかの手法での6TB超製品は企画している筈だし、その選別落ちや血統ということでクライアント向け6TBモデルも出てくる筈。
 或いはDT01の時と同じように、プラッタを安定させる為にクライアント向けの大量生産を先行させるか。個人的にはコレは結構ありそうだとは思っている。
 まさか6枚ケースを東芝が作るとは思えないし。

 #1TBプラッタがこれだけ安定している以上、実は1.2TBプラッタも量産目前ぐらいにはなっていてもおかしくないとは思うのだが、全く根拠のない妄想なので念のため。

 ◇

 さて、もう一方のSeagateは更にややこしいことに。

 このところSeagateはカタログに載せていない製品を大量に出荷していたりする。
 分かり易いところだと、国内にも来た6TBのデスクトップHDDなんてのもカタログには無いし、LaCie印のストレージ箱には1TBの5枚プラッタ、7200回転なんていう「Desktop HDD」が搭載されていたりする。

 #どちらも「Enterprise Capacity 3.5 HDD」では該当スペック品があるので、選別落ち品だろうとは思うのだが。

 一方で、噂では8TBドライブのアーリーテスタ(=人柱企業)向け出荷を既に始めたとか(恐らく1.33TBプラッタの6枚構成)、今年中に10TBドライブを出すと吠えているとか。前者は兎も角、後者は普通に考えると1.66TBプラッタとなってしまうのでSMRだと思われる。
 何故って、仮に熱アシスト記録だったら多分プレス発表すると思われるし、Seagateの第一世代SMRドライブでは記録密度25%向上を謳っているので1.33TBプラッタを基準にすると計算が合うので。

 #個人的にはSMRに良い印象は全くないのだが。これは後日ネタ。

 一方で、(一般向けでは)世界初のSMR採用ドライブという噂のあるST5000DM000はカタログ上に登場はしたものの現物は未登場という状態で、しかも発売時期のアナウンスすら出ていない。
 だというのに片や1.33TBプラッタのエンタープライズ向け品が出てきてしまうというのは、何だかなぁと。
 普通に考えると、エンタープライズ向け1.33TBが作れるなら、ソレの選別落ち品を1.25TBプラッタにして4枚束ねるだけで、SMRなんか使わない普通の5TBドライブが作れてしまうのだし。更にコレにSMRを適用すれば、6TBドライブも作れてしまうような。

 まぁSMRの件は横に置いておいても、Seagateは大容量クライアントHDDというネタを仕込み終えてて、後は発表するタイミングを待っているのではないか、というのが個人的な印象。

 ◇

 兎にも角にも、いよいよ3.5インチでも理論的記録密度限界に到達してしまったワケで。
 この上の記録密度を目指すなら、恐らく直近では熱アシストを使うしかない。

 そういう意味でも、この後の展開は(今までよりは)面白くなりそうな気がしますよ、はい。

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東芝な5TB HDDを手にして、容量と転送速度とのバランスを思ってみた。

 さて、諸事情あって東芝の5TB HDD、MD04ACA500を手にすることになったので、軽くFirst Impressionでも。

 取り敢えず、富士通~東芝のエンタープライズの血統で、カタログ的には前世代MG03のプラッタを1TB化して、バッファメモリを増設したような製品。実際ブツを手にしてみると、7200rpmの5枚プラッタにも関わらず、比較的騒音と振動が少ないというのが個人的には好評価。

 性能面はというと、1TBプラッタは伊達ではなく、最外周200MB/S超、最内周でも110MB/Sを確保しているのはさすが。直線でなくランダムでも7200rpmらしい値が出ているが、CDI等のベンチでNCQとキャッシュが上手くハマるとRandom Writeの計測値が妙に跳ね上がるのは東芝の伝統と言うべきか。キャッシュが128MBと大きいのでこの計測値の跳ね上がりは発生し易いが、実効でどこまで効くかは不明。

 一方、敢えてというか最大の問題はやはりこの転送速度だと思うんですわ。何故って、最外周200MB/Sという速度を以てしても、Readで全周を舐めきるのに実に500分(手元環境)も時間がかかるんです。まぁこれは多少環境による誤差はあると思うが、どれだけ速くとも8時間を切ることは無い筈。

 ♯ちなみに前モデルであるMG03は800GBプラッタ5枚で、コレんが4TBを全周舐めきる所要時間と比べるとほぼ互角。プラッタ密度の向上を殆ど速度に振り向けたのは歓迎すべきことなのたけど。

 転送容量と容量のバランスがことここまで来てしまうと、確かに大容量は嬉しいけれど、そろそろ冗談抜きに扱いに困るというもまた事実。
 当方のような所詮PCヲタならまだ割り切るから良いとして、普通に写真いっぱい溜めたいとか動画がっつり保存したいだけの人がついうっかり買ってしまって、ついうっかり全周初期化なんてし始めたら「いつまでたっても終わらない」とブチ切れたりしないですかね。

 ♯ちなみに、そう遠くない未来に登場予定のLTO-7では無圧縮でも315MB/S、6.4TBの容量を実現する予定。アーカイブ媒体としてのテープの優位は揺らぐどころかますます強固になっていきます、はい。
  ・・・と日本では超希少種らしいテープ好きが申しております。

 ◇

 色々無視して個人的な妄想を言ってしまえば、5TBならせめて5時間で駆け抜けて欲しいところ。ちなみにコレを実現するには最外周330MB/Sを実現する必要があり、7200rmで実現するにはプラッタ容量は3TBは無いと実現不能なんですわ。
 が、プラッタ3TBでも4枚載せで12TBにしてしまうと、この全周を駆け抜けるには12時間ということに。更に延びてしまう、と。
 そしてこの問題への解決策こそ、2.5’HDD化・・・というのは更に妄想ですか、そうですか。

 2.5’なら同一プラッタ密度でもプラッタ容量が3.5’の半分になるので、全周舐めきるのにかかる時間も半分。しかも小さく軽く振動にも強く、駆動時の消費電力も発熱も低い。
 更に、3.5’と同等容量が必要なら2台のドライブが必要になるので、逆に言うと2台同時アクセスで実効転送速度が稼げる。

 ・・・ということで、取り敢えず例によって管理人のテープ好きと2.5’信仰を表明してグデグデになったところで本日はおしまい、と。

 ♯今思い出したのだが、そいえば750GBプラッタ4枚で5,400rpmな一昔前のWD 3TBも全周舐めきるのに8時間かかりますな。え、どうでもいいって?

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MD03ACA300買ってみた。

 ・・・やっぱコレMG03ACAの選別落ちかラベル貼替品だろ。

 ということで、何故かBUY MORE 秋葉原の店頭以外では見たことがない(UNITCOM系でも通販に出してないし)東芝印の謎HDD、MD03ACAシリーズの3TB品が先日特価品になっていので、ついうっかり買ってみた。
 ちょっと触ってみたところで、感想を数行でまとめてみる。

 ・恐らく800GBプラッタ5枚の構成の4TBモデルと同一メカ。つまり実質的には600GBプラッタ程度。
 ・最外周で160MB/S程度。7200rpmということで、ちょっと回した感じだと旧日立の7K3000(600GBプラッタ5枚)と性能面であまり違いは無さそう。
 ・発熱多め、騒音大きめ。この辺りはニアライン系の構成そのままっぽい。
 ・512bytes Native。大容量デスクトップ製品では既にレアかと。
 ・2013年12月製。デッドストックという訳では無いですな。

 まぁ要するに、「普通には」敢えて買う必要ないんでない?というところ。
 言ってしまえば1世代前のHDDなワケで、現行世代で安定&高速=鉄板な「東芝」DT01ACA300と比べると「遅い」「うるさい」「熱い」の3拍子が揃ってまっせ。

 ♯DT01ACA300=7K3000.Bだし。そしてコレは前世代の7K3000とタメ性能。

 まぁそれは兎も角、取り敢えず24H回しっぱなしのサーバで物置にでもしてみますか。
 現物置の5K3000に特に不満は無いのだけど、ホントに安定し過ぎていて全く面白くないので。

 #あそういえば、6Gbpsで使うとIFがノイズに弱いってのはあったね>5K3000。

 P.S.
 全然関係無いが、Supermicroが日本事務所を開設するとのこと。
 納品リードタイム短縮と国内取扱品数増加、してくれるかな・・・。

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