さて、WDから1.2TBプラッタ5枚構成で5TB・6TBというWD緑と赤、更に5年保証のRed Proなんてのが出てきましたよ。
これでクライアントHDD市場がまた面白い展開になってきたので、ちょっと書いてみます。
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まず、5TB・6TBモデルについて。
カタログ見る限りメカは同一、プラッタ選別で6TBの選別落ち品が5TBの模様。つまり後者は実質的に1TBプラッタだが、4TBモデルより公称速度が1割程伸びているので、トラックの横幅(縦=進行方向=回転方向)を広げて磁力を確保したという方向性か。
そしてこのモデル、ケースが通称「黒蓋」だというとこで「あぁ無理してるなぁ」と分かる人には分かるかと。これWD流の軸ブレ防止機構で、コストがかかる為にWDが頑張って外してきたという代物。過去には4プラッタ2TBモデル辺りまではWD Greenでも採用されていたが、コストカットで外され、ここにきて復活ときましたよ。
#某所では音のもじりでこの黒蓋付のケースは「黒豚」とか「豚」なんて呼ばれているらしい。
そして予価はというと、緑の5TBで¥22K、6TBで¥27K。既に東芝の7200rpm 5TBがアキバでは¥22Kということを考えると、初物プレミアが終われば5TBモデルが¥20K切り、6TBモデルが¥25K切りは目前といったところか。Redのプレミアは1割ぐらいかね(値段の話は全て税別)。
にしても、このRedプレミアって当初はGreenとの値段差で2割以上あったと思うのだが、現状WDとしてはこれでいいのかしらん。今回Red Proなんて妙ちくりんなモノを出してきたが、これって要するにBlackの選別品だし。
さて、ここまではWDの話。この後は他メーカの話。
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まずは6TBモデルの発表がいつになるのか、なのが東芝。
現状でラインナップに6TBが存在しない唯一の会社なので。
まぁ6TBってのがクライアント向だけしか出回っていないならもう少し様子見というのもアリかも知れないが、いかんせん既にヘリウムなHGSTと力業Seagateというニアライン向けの6TB製品が既に出回っている以上、東芝がこの容量重視市場を取りに行かないとは考え難い。
従って、何らかの手法での6TB超製品は企画している筈だし、その選別落ちや血統ということでクライアント向け6TBモデルも出てくる筈。
或いはDT01の時と同じように、プラッタを安定させる為にクライアント向けの大量生産を先行させるか。個人的にはコレは結構ありそうだとは思っている。
まさか6枚ケースを東芝が作るとは思えないし。
#1TBプラッタがこれだけ安定している以上、実は1.2TBプラッタも量産目前ぐらいにはなっていてもおかしくないとは思うのだが、全く根拠のない妄想なので念のため。
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さて、もう一方のSeagateは更にややこしいことに。
このところSeagateはカタログに載せていない製品を大量に出荷していたりする。
分かり易いところだと、国内にも来た6TBのデスクトップHDDなんてのもカタログには無いし、LaCie印のストレージ箱には1TBの5枚プラッタ、7200回転なんていう「Desktop HDD」が搭載されていたりする。
#どちらも「Enterprise Capacity 3.5 HDD」では該当スペック品があるので、選別落ち品だろうとは思うのだが。
一方で、噂では8TBドライブのアーリーテスタ(=人柱企業)向け出荷を既に始めたとか(恐らく1.33TBプラッタの6枚構成)、今年中に10TBドライブを出すと吠えているとか。前者は兎も角、後者は普通に考えると1.66TBプラッタとなってしまうのでSMRだと思われる。
何故って、仮に熱アシスト記録だったら多分プレス発表すると思われるし、Seagateの第一世代SMRドライブでは記録密度25%向上を謳っているので1.33TBプラッタを基準にすると計算が合うので。
#個人的にはSMRに良い印象は全くないのだが。これは後日ネタ。
一方で、(一般向けでは)世界初のSMR採用ドライブという噂のあるST5000DM000はカタログ上に登場はしたものの現物は未登場という状態で、しかも発売時期のアナウンスすら出ていない。
だというのに片や1.33TBプラッタのエンタープライズ向け品が出てきてしまうというのは、何だかなぁと。
普通に考えると、エンタープライズ向け1.33TBが作れるなら、ソレの選別落ち品を1.25TBプラッタにして4枚束ねるだけで、SMRなんか使わない普通の5TBドライブが作れてしまうのだし。更にコレにSMRを適用すれば、6TBドライブも作れてしまうような。
まぁSMRの件は横に置いておいても、Seagateは大容量クライアントHDDというネタを仕込み終えてて、後は発表するタイミングを待っているのではないか、というのが個人的な印象。
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兎にも角にも、いよいよ3.5インチでも理論的記録密度限界に到達してしまったワケで。
この上の記録密度を目指すなら、恐らく直近では熱アシストを使うしかない。
そういう意味でも、この後の展開は(今までよりは)面白くなりそうな気がしますよ、はい。