どうせ買うなら楽しい方、は伝わっているか。(続続・A10-7800とA68HM-P33(MSI-7721)で組んでみた。)

 さて、レビュー〆のエントリでは、毎回恒例だがちょっと考察っぽいこと書いてみましょうか。

 ◇

 まず、個別要素について。

 Kaveri世代のAPUについては、現在の市販ラインナップは4種類(A10-7700Kは出荷完了済なので除外)ということで、クロック0.1GHz差でラインナップがずらっと並ぶIntelと比べると実にシンプル、若しくは素っ気ない感じではあるが、実際問題としてどの石も方向性がはっきりしていて、選択に困るという状況ではないと思う。

 #A10-7850K→パフォーマンス追求、A10-7800→省電力枠でのパフォーマンス追求、A8-7600→コスパ最強、A6-7400K→兎に角安く、って感じかね。

 そして今回実際手にしたマザー、MSIのA68HM-P33のチップセットであるA68Mについては、正直「やっとここに来たか」と。
 AMDの真髄は「低価格」よりも「コスパ」の筈なので、低価格マザー(このマザーについては¥5,000割れの価格も結構見るよね)でもUSB3.0は正直外せない。そういう意味で、低価格マザーに相応しいチップとしてA68Mが登場した意義は大きいと思われる。

 #もしA58を抱えちゃってるマザボメーカーがホントにあるならその手当もきちんとしてね>AMD。
  そういうトコでポイント稼いでおかないと次の世代のマザボに響くのよね。

 更に、Fluid Motion Videoについては、正直言って「これは良いモノだ」。
 アニメ見るなら、というキャッチは伊達ではない。チャンスがあれば是非店頭その他で確認すべし。

 が、現時点ではソースを選び過ぎるのが切ないところ。個人的には帯域節約の名の下に簡単にフレームを削られてしまうネット動画に是非使いたい。例えば当方の大好きな前面展望とか、YouTubeにあるのはFullHDでもうっかり15fpsだったりするので、これが30fpsとか60fpsにぬるぬる変換されたら、物凄く幸せなんだが・・・難しいのかねぇ。

 #イベントの時の話の感じだと、結局対応するfpsやビットレート、解像度が変わったりするとそのプロファイルに向けて最適化が必要・・・っぽい感じだったので、やっぱ難しいのかねぇ。

 ◇

 そして最後に、APU製品全体のポートフォリオについてぐだぐだと。

 現状は一言で「勿体ない」というのが個人的な印象。

 正直言って、私個人としてはAPUの商品力というのは価格相応分は確実にあると思っている。
 が、それを伝え切れていない。当方がTrinityの時に書いた「どうせ買うなら、楽しい方」という雰囲気が、ユーザーには殆ど伝わってないのが悲しいかなAMDの現実で、課題だろうと。

 そんな中、Fluid Motion Videoについてはこの「楽しさ」が「見え」て前面に押し出せる(数少ない)要素で、しかも日本市場の特性を考えて「アニメ見るなら」なんてキャッチを付けたというのに、これがまた全然店頭やら小売りチャンネルでプッシュされていない。これってどうなの、と。

 それに、これだけ映像面でインパクトがある機能なのだから、従来チャンネルを超えてのアピールも是非すべき。今のAMDは前例が無いとか業界が違うとかそういうコト言っている状況じゃないだろ、と。

 例えば、BDパッケージを買う層に向けて、映画屋・アニメ屋と組むのは物凄くアリだと思う。今時ネットレンタルで済まさずパッケージを買ってくれる人というのはそこそこ拘りがある筈なので、PCパーツ屋で闇雲にキャンペーン張るより効果があるんじゃないかと。
 一足飛びにそこまで行くのがハードルが高いってなら、例えばSofmapやヨドバシカメラといったPCパーツもBDパッケージも扱っている店でキャンペーンを仕掛けるとか、やり方はいくらでもある筈。兎に角、何としても「BDパッケージを買う層」に向けてのアピールは行うべきでしょう。他にもツクモなんてヤマダ系列だし。

 更に、PowerDVDのバンドル版を激安提供するとか、クーポン添付ってテもアリでしょう。Never Settle bundleはゲームをターゲットにしているが、同じようなスキームは取れないのかしらん。
 何しろ現実として世間の大多数はIntel CPUであり、しかも内蔵VGAで済ましている層がかなり居るということは、潜在顧客の絶対数はそれなりに居る筈。そういう層に「ゲームが速いです」以外の、文字通り目に見えるメリットを提供するというのは、是非やるべきことだと思うのだが。(まぁこれは単品GPUでの話だけど)

 直近でも例えば、現在限られた店舗ではバンドル扱いでPowerDVD Ultra(当方大感激のDTCP-IP対応MediaPlayer付)が激安で付けられるようになっているが、これをAMD&CyberLinkの公式キャンペーンとして全国津々浦々で使えるようにすればまただいぶ違うのでは。

 ◇

 まぁ兎にも角にも、Kaveriについても「やっぱり同一価格帯ならIntelを選ぶ理由無し」というのが当方の感想。

 皆様もコスパ高い「楽しい方」はお一ついかがですか、ということで。あとアニヲタにはぬるぬるで。

Share

Fluid Motion Video、ハマったらこれヤバい。(続・A10-7800とA68HM-P33(MSI-7721)で組んでみた。)

 さて、前回組み立てたPCを使って個人的にはkaveri一番の目玉機能だと思っているFluid Motionを検証してみましょうか。
 BD Playerは現在唯一の対応ソフト、CyberLink PowerDVDということで、このソフトのレビューも兼ねてということで。

 まぁ当方はアキバをしょっちゅうウロウロしているので某店とか某店の店頭でデモやっていたりするのは知っているが、自分は特にガッツリ見るなんてことはしていないので、そこまで違うのか分かっちゃいないんですな。
 そして前回のセッションでも デモでぬるぬる動いているトコを見たりしたし、CyberLinkの広報、相蘇(あいぞ)氏が熱弁振るったりしていたけど、やっぱりフルで映画を見ないと分からないよね、ということで。

 ♯ちなみにあのデモ、どうやら店員の自腹らしい。

 ということで、「アニメを見るなら」とのことでアニメのBDパッケージをいくつか用意しました。といっても当方所有でなくアレな知人レンタルですが。一応絵作りの方向性が違うものを選んだつもり。

 ・・・えっと、まぁどれも有名なタイトル(だと思う)だし、ここはアニメ紹介blogではないので詳細は省略。S.Kazの駄目クオリティ炸裂とだけ言っておきましょう。

 ◇

 結論。
 これは確かに凄いわ。

 個人的に「ぬるぬる動く」という表現はイマイチ好きでないのだが、世間的には「ぬるぬる」ってこういう状態のことを言うのだろう、と。
 初見では思わず変な笑いが飛びだすいうか、凝視していると何か3D酔いみたいな気分になってくるというか、それぐらい強烈。

 #3:2プルダウン+リミテッド動画の動きに脳の感覚が慣れてしまっているってことなんでしょうな。

 しかも当方、特に品質高くもない(極端に低くもないと思うが)23インチのTN液晶で画面を見ているので(一応Full HD)、これが大画面になったら更に威力炸裂なことは間違いない。

 但し一点だけ、ドライバはUp to dateにしないと駄目っぽい。
 というのは当方、最初に14.9ドライバで試して、その後Omegaに差し替えて再度試したのだが、Fluid Motionの効きは素人が目視で分かるぐらい後者の方が良い。

 #というか、14.9の方はシーンのえり好みが激しいようで、タイトルによっては「あれどうしてここで効かない」「ホントに効いてるんかコレ」みたいな場面が目立つので、仮に14.9で既に動いていてもこれはさっさとOmegaに差し替えましょう。

 まぁこんなこともあって、個人的には「アニメ見るなら」はとても納得。
 いやこれ凄いって(しつこい。
 シーンによっては口パクの動きですら違いが分かるぐらい。いやこれ誇張でないよ。

 とはいえ、この一点突破では顧客ターゲットを狭め過ぎやしないかということが心配。
 確かにアニメでハマった時の効果が強烈なのは事実だが、実写でも動きが大きいトコでは効き目ががっつり見えるぐらいだし、普通に「Blu-Ray見るなら」じゃダメなのかしらん。

 ◇

 とまぁ、ここまではFueled Motionの映像そのものについて。
 ここからは唯一のFueled Motion対応ソフト、CyberLink PowerDVD 14 Ultraについて。

 個人的に一番ヒットしたのはDTCP-IPでの再生に対応していること。当方所有の古い東芝VARDIAもDNLAサーバとして動作するので、これがあれば溜まったTVをPCで見れる。自分の環境では恐らくBD再生よりこちらの方が頻度高く使われる気がする。

 え~それ本筋じゃないだろとか言われそうだが、DTCP-IP対応MediaPlayerは選択肢多くない上に、この機能だけの単品を買っても結構高い(同じCyberLink製の製品であるSoftDMAも定価¥4,980)ので、これは結構アピールポイントなのでは。

 #最近時々見かけるセット値引きキャンペーンなんかだとPowerDVDは実質的に大幅値引きされているし。

 後は、細かいところで「レスポンスが良い」「画面が大人しい」ことも極個人的に好評価。
 前者は比較対象がアレ過ぎるのかも知れないが、(やや古い)某Playerが(別にPCスペック足りないワケでもないのに)妙にもっさりしているのと比べると体感での快適さに明らかな違いが。
 そして後者は、妙に画面がケバいというか自己主張し過ぎなUIのMedia Playerも巷にはあったりする中、この落ち着いたUIなら普通に使い続けられるわなぁ、と。

 まぁその他にも、まぁ色々と機能山盛りといいますか、これさえあればというか。
 ブラウザで他のことしてても心置きなくYouTubeの前面展望動画を流せるとか・・・これはさすがに超個人的過ぎるか。
 にしてもいい加減ソフト名と実態が乖離しまくっている気がするのだが、今更変えられないってことでしょうな。

 ◇

 取り敢えず、ここまでうだうだ書いてしまったが、CyberLinkのサイトからDL出来る体験版でもハードウェア要件が揃っていればFluid Motionは有効に出来るそうなので、もし環境を持っている人は是非お試しあれ。
 独特のぬるぬる感は、百聞は一見にしかず、でっせ。

 #その際はCatalyst Omegaへのアップデートもお忘れ無く。

 ちなみにハードウェア要件は以下の通り、らしいので。

 ・KaveriだとGPUが6CU以上=A8以上。
 ・GPUだとTrueAudio内蔵世代=R290(Hawaii)・R285(Tonga)・260(Bonaire)。

 ♯CyberLinkの方でFAQ準備中とのことだが、この記事を書いている時点では未掲載ですな。

Share

注意:12月月例アップデートに含まれるKB3004394 on Win7 x64 には重大バグあり、デバイスドライバがインストール不能に

やってくれるぜナデラのおっさん、ということで。

 症状:
 12月の定例アップデートを当てたWin7 x64環境でドライバのアップデートを行うと、インストールは完了するのに正常にドライバがロード出来ない。

 #管理人はCatalyst Omegaの導入で撃沈。

 問題:
 12月の月例アップデートに含まれるKB3004394に重大なバグがあり、新規に追加されるドライバの電子署名が正常に確認出来ない。
 その為、Windowsの保護機構が働きドライバがロードされず、問題が発生する。

 対策:
 KB3004394をアンインストールしてからドライバのアップデートを行う。

 どうしてもKB30004394の導入に拘りたい場合は、ドライバのアップデート後に再度導入すること。
 但しコレを導入すると、ドライバの問題の他にもUACに使われる証明書チェーンを破壊したと思われる症状が出たりするので、余程の物好きでもない限り

 KB3004394はスルー、無視しとくが吉

 です、はい。

 ♯ちくしょー睡眠時間返せ-(泣

Share

まさかのCatalystMaker登場にぶったまげて、更に名前でぶったまげた、というお話。(続続・AMDのブロガー勉強会に出て、ぬるぬるしたり懐かしんだりしてきた件。)

 さて、NDA期間も満了(って言うのかね)したので、前回・前々回で後回しにした、今回の勉強会の一番のネタについて書いておきましょうか。

 ◇

 ところで、OMEGA DRIVERって覚えている人どれだけ居ますかね?
 ATIがまだRageシリーズで頑張っていた頃、Windows未だ98SEとかだった頃、有志が配布していた改造(パッチ当て)ドライバ。
 互換性向上・解像度追加・画質向上等の効能があり、ATIだけでなくnVIDIA、3dfxやS3用のモノもあったんですな。

 #設定ファイルで行けるものについてはそちらの書き換え、ドライバが持っている隠しパラメータについてはバイナリパッチで変更していた筈。

 まぁこの頃はドライバの出来が現在とは雲泥の差で、環境によるトラブルも多かったし、地雷バージョンも普通にリリースされたりしていたんですな。
 そのため、公式ドライバで問題が発生した際の回避手段として、或いは最初っから公式ドライバの代替として、濃い人の間では結構有名だったと思われ。

 #今でもggればWebページとかが引っかかる筈。

 さて、あの頃から10年経って。
 あの頃はAMDがATIを買収するなんて思いもしなかった。そして、まさか公式ドライバが・・・名乗るなんて。

 ◇

 というワケで、セッションその2。
 登壇したのはTerry Makedon氏。

 ・・・えっと、こんな大物が出てくるなら事前にアナウンスしてよ>AMD。。
 通称「CatalystMaker」ことATI時代からの生え抜き、RadeonのSoftware(ドライバとユーティリティ)を作り続けている大御所ですよ。びっくり。

 #そしてノリのいい人でした。英語も聞き易い発音で助かったし。

 更に、説明の箇所によってはAdam Kozak氏に交代しつつ、セッションは進められる形に。

 ・・・この人もさらっと出てきて特に何も説明も無かったのだが、AMD globalのSenior Product Marketing Managerということで、簡単に言ってしまえばAMD営業職の世界トップグループに居る人。この名前もggれば英語の記事やら動画がわんさと出てきますよ。

 さてこんな大物が出てきて何を話すのかいなと思いきや。

 「AMDはグラフィックプロダクトではなくソリューションを提供する。ソリューションが提供されるからこそユーザーは製品に満足してくれる」
 「そしてのソリューションにはソフトウェアが非常に重要であり、Catalystは2002年からソリューションを提供し続けてきた」
 「今年、新しいバージョンとしてCatalyst OMEGAを発表する」

 ということで、本日の目玉はこの新バージョンの発表でした。

 にしても、「OMEGA」の名前を公式ドライバが使う時代が来るとはね。
 それと、簡単に言ってしまえば「ドライバのバージョンアップ」で終わってしまうことをこれだけ宣伝するということは、AMDはこれを「反転のきっかけ」にしたいということなんでしょうな。何しろ一時期NVIDIAを押しまくっていたのに、直近ではまたNVIDIAにかなり押し返されてシェアを落としたという調査も出ているし。

 さて、ではその「OMEGA」の進化点は何かというと、要するに以下の3つだそうな。

 ・多数の新機能
 ・パフォーマンス改善
 ・多数のバグ修正

 まぁ、総花的な話はそこらに転がっていると思うので、以下では自分的に気になった点について、この流れで少し書いてみましょうか。

 ◇

 1.多数の新機能

 全体の傾向としてのキーワードは「高画質化」かな、と。

 そして3D描画ではなく映像再生支援絡みの内容が多いのも、伝統的にメディア系に強いRadeonの立ち位置を示しているってことでしょうな。

 ♯ブラウン管にアナログ接続が常識だった頃にはATIの発色の良さは定評があって、メディアクリエイション系ではATIが指名買いされていたし、AppleもずっとATIを使っていたのよね・・・って年寄ネタ多いなこのエントリ。

 ということで、例のFluid Motion Videoの他にも、ハードウェア再生支援機能の拡張、ブレ補正、画像圧縮ノイズの軽減機能、そしてここからは高性能単品GPU限定ながら4K対応の画像補完、その逆にsoftwareには実画面以上の解像度情報を渡しつつ画面では縮小して高画質化やマップ全体表示を行う「Virtual Super Resolution」等々の説明が。

 ・・・えっと、つまりますますAPUがHTPCに最適になっていきますと。

 そんな中で個人的に一番大きいトピックだったと思うのは、「FreeSync」正式対応の件かと。

 発表されてからぼちぼち1年、初登場時には「いろんなデバイスですぐに使えるようになる」的な話が各種Webに出ていた気がするも、続報無し。
 その後、VESA AdaptiveSyncとして規格化されたのが確か5月。その時も「もうすぐ対応デバイスが出ます」てきな話があった気がするが、またその後も音沙汰なし。
 黙殺というか総スルーされたんかコレは・・・なんて思ったことも無かったといえば嘘になる状況で。

 それが漸く、やっと、正式に実装されたんですな。
 対応ディスプレイ第一弾はSAMSUNGの4Kで、この後のSAMSUMGの4Kは全てFreeSync対応になるし、その後も別メーカが続いていくとのこと。
 ということで、発表から1年、漸く店頭に実物が来るようです、はい。

 ♯この他ディスプレイ関係だと5Kモニタ対応とか、Eyefinityの拡張とかも。
  つか24画面まで管理出来ます、といったところで、純粋なデモ以外で24画面なんてどっかで使っているのかね。

 ◇

 2.パフォーマンス改善

 よく「ドライバの熟成」とか言われているアレのことですな。
 ハードウェアに一切手を入れず、ドライバ側の最適化だけでパフォーマンスが改善するというのだから、誰も損しないし純粋に良いことでしょう。

 今回、汎用ベンチマークの一発ではなく複数のゲームの実タイトルベースで具体的なfps数字を出してきているのは、AMDがゲームの本気ですというアピールも兼ねているんでしょうな。

 にしても、タイトルによっては20%以上もfpsが改善されているとは、頑張って改善しましたというのが正しいのか、今までがちょっと酷過ぎましたというべきなのか迷うところではある。

 #にしても「メモリの使い方を工夫して」って台詞が入っていたのは、GPUにとってメモリ帯域がそんなにボトルネックになっているって解釈で正しいのかしらん・・・折角CatalystMakerが来ていたのにこれ訊きそびれたよ。

 ◇

 3.多数のバグ修正

 こう言ってはナンだが「品質」という言葉がAMD側から出てくることに安堵したというか。
 自動テストのケース数を増やしたり、有名サイトで「トラブル事例大募集」して上位から潰していったり(Top10は全てFIX出来たそうな)して、兎に角品質向上に向けて頑張っていますよ、というお話。

 いやね、昔のCatalystの酷さを知っている人間としては「だいぶ良くなったよねぇ」とかいう感覚も無くもないのだが、やはりまだまだ「並」であって「品質高い」というレベルには達していないと思うので、改善を頑張って貰うしか。

 ♯前述したTop10も結構致命的というか当たったらキツいものばっかりに見えるのよね。

 あと、AMDとしてエンドユーザが直接使えるバグ報告フォームを準備したとのことだが、現時点では英語版のみとのこと。日本人は兎に角英語がアレなので、鋭意準備中の日本語版が早急にローンチされることを期待しておきます、はい。

 ◇

 この後はQAコーナー。この時間がある意味一番このイベントのハイライトといいますか。
 そしてまた例によって遠慮ない発言が飛び出すワケで・・・まぁ会場内で一二を争う無遠慮なのが当方ではあるのは間違いないのだが(ぉぃ。

 Q・G-SYNCに対するFreeSyncのメリットは?
 A・追加ハードウェアが不要で低価格、VESA標準規格、DisplayPort以外でも技術的には対応可、広いリフレッシュレート可変幅

  まぁこの辺りは実物が出てこないと、消費者としては何とも言えないよね。
  でもNVIDIA製の追加ハードが不要でVESA標準規格である以上、FreeSync対応にしたところで製造コストという面では従来とほぼ差が無い筈なので、あとはディプレイメーカーのご機嫌をAMDが取れるかでしょう。

  ♯何ともアレだが、IntelがVESA標準リフレッシュレート可変技術を採用したらその時点でFreeSyncの勝利確定でしょうな。
   いくらIntelでも後追い採用ならG-SYNCよりVESA標準を使うだろうし、今更独自の作ったりはしないだろうし、どんな名前が付こうが要するに実体はFreeSyncと同じものになるんでないかね。

 Q・FreeSyncのNote PC対応はどうなったの?
 A・現在のところデスクトップで対応を拡大することが優先になっている

 Q・FreeSync対応製品がちっとも出てこないんだけど?
 A・これから多数出てくる筈なので期待してくれ、SAMSUNGの後もある

 Q・Catalyst UninstallerがWebから消えちゃって不便なんだけど?
 A・OMEGAではUninstallerも改善している。Webサイト再構築中で不便なところがあるのは順次直していて、必要なツールは提供する

 Q・直近でNVIDIAに結構負けてるんだけどコレの他にも何か方策無いの?
 A・自分はソフトウェアでRadeonの商品力を高めるのが仕事、販売戦略はセールスに訊いてくれ(by CatalystMaker)
   (方策は)いっぱいあるよ~(by 森本氏)

  最後の失礼極まりない質問したのは当方です。
  でその言葉、ホントにホントよね?>森本氏 (益々もって失礼)

 ◇

 以上、勉強会のレポートはここまで。個人的には十分楽しめましたよ。
 次のエントリでは「豪華なお土産」を組み立てます。

Share

クラウドストレージを安心して使う為のローカル暗号化、という選択。

 オンラインストレージネタが最近多いが、今回もそのネタで。

 さて、当方の個人的な発想として、信用に足るクラウドストレージなんて代物は存在しない。
 いくら法律があろうが契約で縛ろうが、物理的にデータがそこに保存されている限り必ず自分以外の誰かにもアクセスが出来るし、そのことに自分が気づく手段は無い。

 ということで、当方はクラウドストレージには他人に覗かれてもあんまり困らないファイル以外、原則置いていない。

 ♯スマホの写真には時々個人情報が入っちゃっているのが何だかなぁだが、なるべく早く削除してます、はい。

 とはいえ、自動で複数端末で同期するという便利さは捨ておくには勿体ない。
 ということで、当方はCloudFoggerというソフトウェアを使っております。簡単に言うと、ローカルで暗号化してしまうことでクラウドストレージ上でのセキュリティを確保するという代物。
 登場当時は結構あちこちで取り上げられていたので、セキュリティとか気にする人種の間ではそこまでマイナーでは無いとは思うのだけど。

 ところがこのソフト、ベンチャーの製品ということもあるが、公式サイトのblogが2012年で更新が止まっていたり、そもそもベンチャーでは大事なマネタイズの手段が見えない等、継続使用にはかな~り不安感があるのも事実。

 とはいっても、正直このコンセプトは捨て難い。ということで、Alternativeは・・・というと、PKZIPのPKWareが出しているViivoというソフトがあるんですな。
 正直言って着想はCloudFoggerとそっくり、というかほぼパクリ(にしか思えない、こちらの方がだいぶ新しいし)。但しこちらはPKWareという現在進行形で商売しているソフトウェアベンダの製品だし、更にビジネス用途を最初から想定して有料版やFIPS準拠等のオプションがある辺り、CloudFoggerより長持ちしそうに見える。

 ということで、実際に試してみたが・・・結論は。

 「世間的にはOK、でも自分的にはビミョー」

 ・・・ということで、もっと具体的な不便や不具合が出る迄はCloudFoggerの使用継続ということで。
 以下、つらつらとどの辺りが「自分的にはビミョー」なのか書いていこうかと。

 ◇

 まず、当方はこのテの話をする時は「ゼロナレッジセキュリティ」という考え方をしている。

 SpiderOakやMozy(の高セキュリティオプション)等ではこれがベースになっている、というと偉そうだが、実際には別に難しいことは何もない、当たり前のことをカッコつけて言ってみただけ。

 1. データは脆弱性の無い手法によって暗号化されている
 2. 復号化鍵は手元以外には存在しない(=他人が知りようがない)
 3. よってデータは安全(=自分以外には復号不能)である

 たったこれだけ。ある意味暗号化の本質とも言う。

 これをWindows上で簡単に実現するのがCloudFoggerで、選択制でローカルアカウントを作成した時に暗号化鍵は手元にしか無く、正にこの状態になる。ローカルアカウント作成時は必要なのはパスワードのみ。

 さてそうなると次はこのCloudFoggerというソフト自体がどこまで信用出来るかという話になるが、以下が当方の解釈。やや面倒なので読み飛ばし可。

 1. 起動していると1時間に1回程度KeyServerに接続している。従ってKeyServerにローカルアカウントの情報をアップロードすることはいつでも可能。
 2. KeyServerでユーザ特定に使えるのはメアドのみ。他の情報はアカウント作成時に入力してないため。
 3. メアド情報が入っていない鍵情報が仮にアップロードされても、ユーザの特定は出来ない。
 4. 仮に鍵が流出し悪意ある第三者に渡ったところで、この鍵で復号出来る暗号化ファイルを特定不能(或いは特定の暗号化ファイルを復号出来る鍵が判別不能)の為役に立たない。
 5. 以上より、CloudFoggerというソフト自体がSpywareであるというオチでもない限り、セキュリティモデルは崩壊しない。

 まぁ要するに、自分的にはOKということで、当方はCloudFoggerを使い続けていたワケですわ。

 ◇

 さてここに来てViivoをビミョーと思った理由。結論から言うと、

 暗号化鍵・復号化鍵・ファイル履歴がしっかりとPKWARE社のサーバに保存されている

 ので。
 対するCloudFoggerは、鍵も情報も一切外に出さない(ことになっている)ので、どちらが安全かと言われると圧倒的後者。

 #というか、セキュリティ的な発想で言うと一切サーバに接続しない使い方「も」サポートするのが当然だと思うのだが、何故にそうなってないのさコレは。

 復号化キーは別名「秘密鍵」なので、コレがサーバ上にアップロードされてるってのはさすがにどうかと。
 勿論何らかの方法で、というか恐らくメアドとパスワードをキーにして暗号化されているのだろうが、それでもアップロードされていること自体どうなのさ、と。

 勿論、この方法にもメリットはある。
 複数のクライアント間で同一アカウントを使う場合(モバイルとデスクトップ等)、CloudFoggerではローカルの復号化鍵を何らかの手段でコピーする必要があるが、Viivoではアカウントさえ間違えなければシームレスに運用は可能。
 恐らく昨今ではセキュリティ的な完璧を求めた故の不便さより、ある程度脆弱になるのを覚悟してでも利便性を取った方がウケるだろうから、こういう仕様にしたのでしょうな、というのが当方の解釈。

 まぁ、登録するメアド・パスワード・ユーザIDは他では一切使用していない、連想も出来ないものにしておけば、仮にPKWARE社のサーバからアカウントや鍵情報が流出してもその鍵で復号化する暗号化ファイルを特定出来ない(逆方向も可)ので事実上役に立たず、セキュリティは保てる。

 そういう意味で、ユーザが正しく使えばViivoもかなり強い防壁となり得るのだが、それでも「ゼロナレッジセキュリティ」信奉者としては「何だかなぁ」という感覚が捨てきれない。

 ちなみに上記の鍵情報がアップロードされていることは、以下の作業で確認済。

 1. 検証用仮想マシンAの上でインストール、アカウント作成、暗号化ファイルα作成。
 2. 検証用仮想マシンBの上でインストール、アカウントログイン。
 3. この時点でBのViivoマネージャ画面には(Aで作業した)暗号化ファイルα作成履歴が表示される。
 3. AからBへ暗号化済ファイルαをコピー。
 4. Bマシン上で暗号化済ファイルαを復号、正常完了。
 5. Bマシン上で別のファイルβを暗号化。
 6. BからAへ暗号化済ファイルβをコピー。
 7. Aマシン上で暗号化済ファイルβを復号、正常完了。

 Step3で履歴情報がアップロードされていること、Step4で秘密鍵である筈の復号化鍵がアップロードされていることが確認出来る。

 ◇

 まぁここまでつらつら書いてきておいて、カッコ悪いオチを一つ。

 当方、個人メールはApps for Domains(旧称)に集約しているし、Google Calenderはフル活用しているし、ということで、今更ファイルだけ暗号化したところで既に個人情報ダダ漏れ状態ではあるんですよ、実はね。

 とはいえ、過去にはデータ流出に近いポカを実際やらかしたクラウドストレージも存在するし、個人情報というのは密度が大事なので、その密度を増強する強力な要素たり得るファイルを暗号化をしない理由にならない、というのが当方の考え方。

 何より、初期セットアップさえ済んでしまえばその後はそんなに面倒なモノでもないし。
 そりゃまぁこれが毎日イライラする程不便だったら、また別の結論になったかも知れないけど。

Share