けいおん!から始めるキーボード (その2)

 さて、昨日の続きです。
 本日の御題は

 3・キーボードは演奏し易いか。
 4・コントローラは使い易いか。

 以上2つの絶対ポイントと、以下2つの相対ポイントです。

 5・ルックスは好みで、持ち歩きは現実的か。
 6・音質は好みか。

 ということで、ちゃっちゃと始めますよ。

 ◇

 3・キーボードは演奏し易いか。

 これは、正直言います。
 弾いてみて下さい、以上。
 
 ・・・いやね、本当にこればっかりは、好みの問題なんですよ。
 是非是非、楽器店でチェックして下さい。

 またこれ困ったことに、人によって許容範囲が相当違うんですよ。
 当方は割とストライクゾーンが狭いので、あれこれ触ってはあーだこーだと文句を言いますが、世間には「どれでもいいよ」なんて人も。

 ということで、是非実機に触ってから、何でもいいので(「翼を下さい」でもチャルメラでもいいです)ちょっと「曲を」弾いてみて下さい。
 指を動かしてみて、僅かでも違和感があれば、そのキーボードはアウトだと思って構いません。
 逆に、何かイイ感じに行けたら、そのキーボードとは相性バッチリということです。

 ◇

 4・コントローラは使い易いか。

 キーボードで鍵盤の次に大切なのが、スティックやノブ、スライダーやボタンといったコントローラ類です。
 演奏中に音をリアルタイムに操って目立ちまくるというワザを、ギターとベースにだけ許すなんて有り得ません。

 ということで、コントローラの使いやすさなのですが。
 これもやっぱり、実機に触ってみるしかありません。
 この辺りも結局、好みの問題なので。

 例えば、鍵盤左側に付いているコントローラだけ見ても、KORGはスティックとボタン、Rolandはスティックのみ、YAMAHAは2ホイールと、全て違う構成になっています。

 ところが、ここで鍵盤と違うことが一つ。
 コントローラの場合は、パネル上のどこにコントローラ類が配置されているかで、そのキーボードの設計思想が分かったりするのです。

 具体的な例を挙げましょう。
 前回4機種を名指ししてしますが、この4機種のうち、1機種だけ微妙に設計思想が違うことにお気づきでしょうか。
 その1機種とは、Roland JUNO-Gです。

 では、何故その違いが分かるか。ポイントは、フロントパネルにあるノブの配置です。

 TR、M50、MO6:
 音色をコントールするノブが左側に来ています。
 これは「右手で演奏しながら左手でつまみを動かして音を変える」ためです。
 つまり、実際にステージで演奏しながらここのノブを動かして音色を変化させることを意識しているということです。

 JUNO-G:
 音色をコントロールするノブが右側に来ています。
 これは「左手でボタンやキーボードに触りつつ、右手でノブを動かして音を作る」ためです。
 つまり、作曲時にノブを動かしてベストの音を作ることを意識しているということです。

 JUNO-Gについては、他3機種とスペック面をよく見比べてみても、実機を少し触ってみても、基本的な設計思想として「曲作り」を重視した「ワークステーション」寄りだということが分かる機材です。
 但しその一方で、D-BEAMという少し珍しいコントローラを搭載しているのもこの機種の特徴です。空中で手を動かすと音が反応するということで、使いどころは難しいかも知れませんが・・・。

 ◇

 とまあ、昨日に続けてこの辺りが、キーボード選びの「絶対条件」です。
 今日はボリュームが少なめなので、このまま一気に続けちゃいます。

 ◇

 5・ルックスは好みで、持ち歩きは現実的か。

 項目1~4と比べると圧倒的に優先順位は下がりますが、やはりチェックしておきたいポイントです。

 まあ見かけは言うまでも無いとして・・・問題は持ち歩きのこと。

 まず、移動に常時クルマが使える場合は、正直意識する必要は殆ど無いと思います。10万円クラスなら最大でも10Kg超程度ですので、駐車場からステージまで運ぶ程度なら、どうにでもなるでしょう。

 問題は、本人が抱えて持ち歩く時間が長いような場合です。
 こうなると、少しでも軽い方が幸せです。
 何しろ、必要に応じてキーボード本体だけでなくスタンドやペダル等も抱える羽目になりますので。

 #実はキーボード自体、あまり軽くなると今度は演奏の衝撃を受け止められなくなるという問題も発生するのですが・・・。

 ◇

 6・音質は好みか。

 最後に、コレを。

 KORG・YAMAHA・Rolandという国内3大メーカに限らず、全てのシンセメーカはそれぞれの音のキャラクタを持っています。
 この「音のキャラクタ」が好みかどうかということです。

 まあ「最初の一台」ではあまり気にならないかも知れませんが、どうしても気になる音色があるなら予めチェックしておきましょう。
 特にオーケストラにあるような楽器、ドラム類については各社のキャラクタが鮮明に出ていますので、チェックするならその辺りを。

 個人的な印象を語るならば、以下のようになります。

 KORG:
 インパクトはあまり強くないが、芯がきっちりとある音。
 音量の割には他の音に埋もれにくいが、存在感の強さが仇になることも。

 Roland:
 インパクトの強さの割には溶け込み上手で、何でもソツなくこなす音。
 曲のまとまり感を崩さないが、若干埋もれ易く、物足りなさを感じることも。

 YAMAHA:
 得意不得意の差が強烈で、不得意分野では正直ぱっとしない。
 一方で得意分野(ピアノ・ブラス系)では、妙にクドくて自己主張の強い、コテコテ風味の音が特徴。

 以上まとめて、ヒロインキャラに例えると

 KORG → 「元気な幼馴染」
 Roland → 「優等生な委員長」
 YAMAHA → 「気分屋のお嬢様」

 こんな感じでしょうか(笑。

 ◇

 以上、ざっくり語ってしまいましたがいかがでしたでしょうか。

 兎に角「楽器屋に行く!触る!」これが最大のキーポイントです。

 そして、ギターやドラムとは違う、キーボードの魅力に是非ハマってみて下さい。

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けいおん!から始めるキーボード (その1)

 タイトルに書いた漫画>アニメ放送開始の影響と思われるのですが、当方に「今買うならシンセって何がいいの?」という話が聞こえてきたりしたので、さらっとメモしておきます。

 ◇

 ちなみにアニメで使っていたのはKORGのTRITON Extremeでしたな。KORGが真空管ブームだった頃(笑)に出た、TRITONシリーズの最終モデル。
 61Keyモデルが発売当初の2004年には¥20万ぐらい、販売完了の2006年には¥13万ぐらいで売られていた気がします。

 バンドのメインキーボードとして見ると、これは悪くないチョイスでしょう。
 TRITONシリーズの集大成というとやや方向性がズレるものの、この世代ではトップクラスのワークステーションであり、且つライブパフォーマンスでも十分使い物になる。
 敢えて欠点といえば、ガールズバンド用としてはややゴッツイ&重いことぐらいでしょうかね。

 #ちなみに、実機はあんなに明るくタマ(真空管)は光ってなかった気がします。

 あと、他の楽器についても、(シンセ畑な自分でも一通りモノは分かったぐらい)ベーシックで良いチョイスだと思います。原作者、楽器好きなんでしょうな。

 ◇

 閑話休題。

 まず、バンドキーボードの選び方について。

 「弾いて気持ち良くて、おカネが足りるモノ」

 ・・・いや、これマジですって。
 といっても、これじゃ不親切極まりないので、もう少し。

 最重要チェックポイントは、以下の4つです。
 全て重要です。この4つについては優劣はありません。

 1・バンドキーボードとして適切か。
 2・お値段は予算内か。
 3・キーボードは演奏し易いか。
 4・コントローラは使い易いか。

 3・4については「必ず実機に触って確認」が鉄則です。
 安い買い物ではないんです、間違っても「触ったことない機材を最安値の通販で買う」はやってはいけません。

 #触って納得したら、最安値の通販で買うのはアリですが。

 あと、余裕あれば以下も。これらは上4つの項目を全て満たしてから、です。

 5・ルックスは好みで、持ち歩きは現実的か。
 6・音質は好みか。

 以降、具体的にいきます。

 ◇

 1・種類。

 まず、キーボードといっても、実は世間には大きく4つのグループがあることを御存知でしょうか。
 それぞれ特徴があり、使いどころも異なります。
 このグループ選びを間違えると、ぶっちゃけ後悔しかしません。

 その4つのグループとは、以下の通りです。

 1・シンセサイザ
 2・ワークステーション
 3・キーボード
 4・アレンジャー

 ※注意!このグループ名称はあくまで便宜上であり、業界で統一されているワケではありません。
  他所では通用しなかったり誤解されたりする可能性がありますので、ご注意下さい。

 このうち、バンドキーボードとして適切なのは3の「キーボード」です。

 それぞれについては、以下に軽く。

 1・シンセサイザ

 ステージで「演奏」することを主眼においたキーボードです。
 ステージ上で音を操る・加工する機能やコントローラは満載ですが、曲作りには向いていません。
 また「飛び道具」として使える(それ以外には使えない)、低価格だが個性的な製品も各種あります。

 2・ワークステーション

 1とは逆に、スタジオで「曲作り」をすることに主眼を置いたキーボードです。
 シーケンサ等の「作曲支援」が充実している一方、その分どうしてもお値段がお高く。
 値段が高い分、最近ではステージでもメインキーボードとして使える製品が殆どです。

 3・キーボード

 1と2の合いの子「良いとこ取り」のようなものです。
 「ワークステーション」としての機能は必要最低限のものに抑えつつも搭載し、片やシンセサイザの「操作性の良さ」をも取り込んだ製品です。
 ファースト・シンセ、ファースト・キーボードならまずコレ。

 4・アレンジャー

 日本じゃ売れてなんですよね、コレ。欧米では普通にメジャーな一ジャンルです。
 簡単に言うと「一人バンド」向けのキーボードです。
 バックやドラムの自動演奏等、「曲を飾る」機能が充実しています。
 明らかにバンドキーボード向けではないですね。

 ◇

 2・予算

 種類について触れたところで、次に値段。
 キーボードの価格帯ですが、おおよそ以下の3段階になっています。

 ・¥5万前後
 ・¥10万前後
 ・¥20万以上

 それぞれに特色があり、高ければ・安ければイイというワケでもなかったりします、が。

 「キーボード」として使うなら、¥10万円前後というクラスが最安値です。
 ¥5万円クラスには「シンセサイザ」しかありません。

 勿論、おカネが余ってるなら日本の景気のために¥20万以上という「ワークステーション」を買っても構いませんが・・・。

 ◇

 以上、種類と予算の話が出てきてしまったので、一気に実機名を出してしまいましょう。

 KORG TR
 想定価格:¥7万
 個人的お薦め度:☆☆☆

 ・生産完了品のため、モノがあれば割安な処分価格で入手可能
 ・高度な演奏表現が出来るアフタータッチに対応

 既に生産完了のため何処でも売ってるワケではないですが、処分価格で入手できたらラッキーな機種です。

 TRITONの流れを汲む軽量なキーボードですが、ポイントは鍵盤。実は現行のM50より良質な鍵盤を搭載していて、高度な演奏表現が出来るアフタータッチに対応しています。

 もちろん、音質や機能といった面でも、現在でも第一線で使用するのに全く問題ありません。確かにタッチパネルこそありませんが、値段も割安で良質な鍵盤が手に入るということで、個人的なお薦め度は高いです。

 
 KORG M50
 想定価格:¥9.5万
 個人的お薦め度:☆☆

 ・タッチパネルと大きなボタンで操作し易い
 ・小型軽量

 KORGの最新モデルのウリは、タッチパネルと大きめボタン。ことシンセというのは操作性が独特で慣れないと分かり難いというのは事実なので、この価格でのタッチパネル採用はポイント高いです。

 また、音源もアップデートされた上本体も軽量化され、キーボードとしての魅力をかさ上げして来ました。
 価格・機能・性能、どれを取っても初めてのキーボードとして悪くないと思います。

 #音はやっぱりKORG色です。

 
 Roland JUNO-G Version 2.0
 想定価格:¥10万
 個人的お薦め度:☆☆

 ・サンプラ/簡易レコーダ搭載
 ・オプションで音色追加が可能

 Rolandのこちらのモデルは実売価格で微妙に高いですが、ウリはサンプリング機能。
 予め録音したり、パソコンから転送した音を使って演奏したりすることが出来ます。例えば猫の「にゃ~ん」という声を録音して、それに音階を付けて鍵盤で演奏する、なんてことも。

 こちらも初めてのキーボードとして悪くない選択だと思います。

 #音はやっぱりRoland色。

 
 YAMAHA MO6
 想定価格:¥9万
 個人的お薦め度:☆

 ・最上位機種MOTIFの機能限定版
 ・音色や機能もMOTIFから継承

 YAMAHAのプロ向け製品は良くも悪くも本当に「玄人向き」です。
 このモデルも、KORGやRolandと違い本当に「最上位機機種の廉価版」という発想で作られています。

 そのため「スジは悪くないのに、ぱっとしない」という、少し可哀相なモデルです。
 つまみやボタンが多数配置され、カラダが覚えてしまえば操作も素早く出来たりもするのですが。
 その分本体も重く大きく、キーボードとして見た場合、これといったウリも見あたりません。

 まあYAMAHAの音が好きな人には良いんじゃないでしょうか・・・としか。

 ◇

 以上、4機種程取り上げてみましたが、いかがでしょうか。

 実は「10万円前後のキーボード」というのは、価格と内容を比べてみた場合、とっても「お買い得度が高い」一品なのです。

 ちなみにこれでも「高い」という方には、おカネをもっと節約出来る「中古シンセ」というテもあるのですが、これは後で。

 ◇

 ・・・えっと、単独blog記事としては妙に長くなってしまいました。
 書いてる方の想定を越えてしまったので、続きは明日にします。

 #あと、この記事も後でもう少し整理して単独頁に切り出します。

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Posted in DTM

デュアルディスプレイの置き方について。

 最近は大型パネルの液晶ディスプレイが安くなってしまったのと、DVI DualLinkが漸くまともに普及し始めたこともあって、一時期よりむしろ減ってる気はするのだが。

 当方のPCはDualDisplay接続。SAMSUNGの19インチSVGAのPVAパネル、1000:1コントラスト品を採用したSAMSUNG純正(って言うのかね)SyncMasterと、同一パネルを採用したDynaConnectiveのディスプレイ。この2枚を並べて使用しております。

 さすがにDynaConnectiveのモノは激安品だけあって、アナログRGBでの画像ははっきり言って悲惨なのだが、DVI入力にしてしまえばもう。パネルの素の性能が出るので、横のSyncMasterと見比べても見劣りせず。
 当方、本格的に絵を描いたり画像いじったりということはしていないので、後はバックライトの明るさとスタンドの高さを上手く揃えれば、殆ど違和感は無い。

 ◇

 で、問題はこの「2枚目のディスプレイの置き場」なんですよ。
 従来ディスプレイは「右側」に置いていたのだが、部屋の家具の配置的には実は「左側」に置きたい。
 ということで、試しに左側に移動してみて一週間。耐えきれずに戻してしまいましたとさ。

 ・・・結局、現在のPCの操作系では、殆どの人が利き手の右手でマウスを持つ以上、そちらの方に2nd Displayがあった方が圧倒的に便利で、カラダにも無理が来ない、ということが良く分かりました、ええぇ。

 ってでもこれ、逆に言うと、左利きの人、キーボード入力重視のためにわざと左手でマウスを持つように慣れている人(一時期自分も挑戦してたが挫折)だと、左側にあった方が使い易いということかね。

 更に、デスクトップでもTrackPointなんかを使っちゃっているようなコアな人なら、右でも左でもドン
と来い、むしろ左右でTripleDisplayだ、なんてノリなのかしらん。

 ・・・万が一左手でマウスを持っている人でDualDisplayをやっている人がこのblogを見てしまったら、是非コメントを下さい。やっぱり2nd Displayは左側ですかね?
Continue reading “デュアルディスプレイの置き方について。”

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ASUSTeKとNorcoと。

 中国に飛び立ったNORCO-4629の続報。

 ASUSのサポート曰く。「現行のいろんなマザーに突っ込んでみたが、AMD系は全滅、Intel系列でも上がらなかったり辛うじて上がってもx1だったり」とのこと。まぁとても悲惨な状況な模様。

 で、彼らがNorco Technologiesとコンタクトを取って調査するということで、もう暫くボードは中国に居ることになりましたとさ。

 ◇

 ・・・さて、いよいよMB屋とCard屋を巻き込んでの展開となってしまいました。
 この後どうなりますことやら。

 にしても、想像以上に酷いですな、あのボードの互換性。
 Intel 3000ではまともに動いていたんだが・・・Intelの4桁チップセット以外全滅かね?

 とはいえ、同じコンポーネント構成のLycom品は実際ウチで8xで動いているワケで・・・。
 やっぱよう分からん。

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