さて、新年早々Seagateがコーポレートロゴ変えて来たり、東芝が2.5’で750Gプラッタ4枚の3TBを発表したりと、HDD周りは相変わらず微速前進といった状況ですが。
またしても訊かれたので以下略なネタ。
これ、一言で説明するのは結構難しいんですが、順序追って説明してみますか。
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まず、従来と同じようにプラッタ密度を上げようとすると、引っかかる問題が2つあるんですな。
1. 書き込みヘッドが小さくなり過ぎて、書き込みに必要な強い磁気が出せない。
2. 小さいヘッドの弱い磁力で書き込めるようにプラッタを作ると、今度はプラッタの磁気保持力が無くなってしまう。
簡単に書き込める素材は、簡単にデータが消えてしまうワケです、磁気メディアは。
逆に言うと、簡単にデータが消えない素材には、簡単に書き込めない。
この矛盾を解決する手法として、SMRが開発されたワケです。
1. 書き込みヘッドは強力な磁力を出す為に大きくしよう。
2. 強力な磁力で書き込む前提のプラッタだから、磁気保持力はそれなりに強く出来るよね。
これだけでは容量は増やせない。なので、こうする。
3. 磁気保持力が強いならば、高密度に書き込んでも大丈夫だよね。
4. ヘッドが大きいから一部カブっていても、残りの部分が読めるから大丈夫だよね。
5. 古いデータにカブるとこに書き込む時は、古いデータが壊れないように辻褄合わせしておけばいいよね。
大雑把に言うと、こうしてSMR HDDが生まれたワケです。
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ということで、SMRのポイントは実は「重ね書きで記録トラック幅が減る」ことではなく、「(相対的に)大きいヘッドを使って強力な磁力で書き込める」ことなんですな。
そしてこの前提があれば、従来の垂直磁気記録の限界と言われている1.33TBプラッタを超える密度で記録が出来る、というワケなのですよ。
そして、SMR用の特性を持つプラッタとヘッドを使って今のところ製品化が見えているのが1.66TBプラッタ、つまりHDDとしては10TB品なワケです。
将来の話をすると、プラッタだと2.5TB~3TB、HDD単体では15~18TB辺りまではメインストリームはSMRで何とか引っ張ろうとしているのが現在のHDD業界なんですな。
・・・とまぁ、こんな感じで説明になりましたね。
♯その上は熱アシストですな。
P.S.
にしても東芝の2.5′ 750GBプラッタ、同一密度で3.5’を作ると1.5TB程度になるし、恐らくプラッタ記録密度としては発表時点で世界最高の筈。何でプレスリリースに書いてないんだろ。
つか単なる垂直磁気記録ではもうこれがいよいよ密度限界なんじゃ・・・。