自作PC「だけ」且つハードウェア「だけ」の観点から2015年は・・・予想出来ませんでした。

 さて、新年一発目のエントリからこのタイトルの駄目っぷりだが、ホントに今年は当方にも予想が付かないんですわ。
 ということで、言い訳を兼ねて少しうだうだと。

 まず、今年については多分「ギョーカイ人」でもまともに予想なんて書けないのでは。
 それぐらい色々と先が見えない状況になっているんですよ、プロセス=半導体製造技術が。
 要するに、半導体製造技術の限界に完全にブチ当たってしまっていて、イチかバチかに乗れるか乗れないか、という本当にシャレにならない状態になっているんですわ。

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 どれぐらいヤバいかって、あの金満Intelですら14nmの立ち上げに悶絶しております。
 一説によると特性のバラつきが大き過ぎて歩留りがシャレにならん状態だとかで、今出ている14nm製品は超のつく選別品だそうな。
 普通そんな状態じゃ製品なんて出せないだろ、という状態にも関わらず、対ARMという錦の御旗の下にBroadwellの出荷を強行しているのが現在のIntelだったりするんですな。
 
 ♯CoreMが対ARMという意味でも競争力高い商品にも関わらず、採用製品が全然出てこないのは要するに「採用したくてもCPUがない」からなんですな。

 そもそも半導体の生産自体、プロセスを立ち上げ→ゴミを量産して失敗作を分析→改善点を見つけてプロセスを改良→次はゴミが出来るか製品が出来るか、というサイクルを回して漸く安定するものなので、立ち上げ直後なんてゴミ量産が当たり前、ここまでは前提。
 そしてIntelはカネの力でゴミの大量生産→徹底した分析→徹底したプロセス改良→素早い早期安定、という手法で最先端プロセスを維持してきたのだが、そのIntelをして14nmについてはボロボロ。業界の常識の倍近くプロセス改良しているにも関わらず未だに安定していないという話。

 そんなIntelだが、次のプロセス改良で14nmを漸く安定するのではないかという(願望も大いに混じった)話もあり、これが上手くいったらCore M大量生産が開始され、Core M採用のタブレットやらが一気に出てくるでしょうな。
 一方で、これがどうにかならない限り、デスクトップ版Broadwellは永遠に延期ということでもあったりします、はい。

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 一方で、TSMCにGFといった大手ファウンダリも同じく悶絶しております。
 但しこちらはIntelとは微妙に立ち位置も違うワケで。

 20nmのハイパフォーマンス系がすでにアウトになってしまい、現在立ち上げ中の16nmも順当に安定していないのはまぁお約束。
 とはいえIntelにこれ以上突き放されるのもキツいということで、16nmについては結構本気になっているようで。

 ・・・ここまではある意味予想内なんですよ、ここまではね。
 TSMCの更なる問題は、開発に成功している20nmローパワー系に大量の量産注文が来ていて(ARMが相当量を占める)、これをどうにかして捌かないといけないこと。
 TSMCは既に28nmでもキャパオーバーで各種チップの生産遅延という実績があるものの、20nmプロセスは更にコスト高なので生産ラインを多数揃えるワケにもいかず・・・またしても生産遅延が起こるようにしか見えないのよね、個人的には。

 ♯Appleの次世代チップがTSMCがSamsungに戻るという話があるが、Appleは本音ではSamsungは使いたくないものの、TSMCだと確実に生産遅延するから仕方なく、だと思うのよね。

 一方のGFについても、IBMのファウンダリを引き継いだり、自前で開発していた20nmに続いて16nm世代までもがポシャってしまい、挙句にはSamsungと共通のプロセスに方針転換してみたりと、去年は良く言えば「変革」悪く言えば「迷走」の一年だったのであり。

 ♯この迷走に見事に巻き込まれているのがAMDだったりするんですな。28nmは安定してるもののその先がさっぱり見えない理由はこの辺りが大きいと。

 そして残念ながらこの迷走の影響は今年も全く収まる見込みなしという。
 従来からGFで作っているAPUとCPUについては、Samsung系の16nmプロセスが安定しない限りプロセス移行出来ないだけでなく、そもそもチップの設計自体をGF系プロセス用からSamsung系プロセスに変更しなければならないのでカネも手間もかかるという。
 ・・・つまり、今年もAMDの明日はどっちだ状態が続く、と。この予想はカタいわ(ぉぃぉぃ。

 ♯あ、大手といえばUMCはPC向けを殆どやっていないので取り上げていないが、やっぱり16nmプロセス立ち上げで悶絶しているのは一緒でっせ。

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 以上、まぁこんなワケで、CPUもAPUもGPUもメモリも正直期待出来ないワケです。

 それではそれ以外は・・・と言われても、HDDもSMRが採用されてもみみっちく容量が増えていく程度だし、4Kディスプレイもパネルの価格はある程度下がっても、対応するコンテンツの無さとOSおよびPC本体側の対応に難ありという現在の状況がここ1年で劇的に改善するとは思えないので、結局2015年中には4Kが爆発的に広がることもない、というのが当方の持論。
 つまり、それ以外でも何かワクワクするような変化が出るようには思えない、と。

 まあこんなワケで、今年の自作PC業界はまぁ静かな1年になるでしょう、ということで。
 口の悪い人だと「終わりの始まり」とか言いそうだが、それもある意味当たっていると思いまっせ。

 ♯Web系・エンタープライズ系では去年口火が切られた激戦が年間通して繰り広げられる、ホットを通り越して血みどろにの1年になりそうですがね。

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