e1000とe1000eはそんなに違うか?~準備編~

 ・・・という話が。

当方:「カタログスペックから見るだけでもBuffer削られたりしてるし、やっぱり廉価版なんでない。好きな方買えば?」
A:「お前ベンチマークしたってことは両方触れるんだろ、どうなのよ」
当方:「ESX 3.5のupd3突っ込んだらNICが消えて大慌てした記憶が蘇るからe1000eキライ」
A:「それはお前がアホなだけだろが」
当方:「ホントのこと言うなコラ。冗談は兎も角、自分用にわざわざIntel買うならPTだと思うがなあ。繋がりゃいいってレベルで良ければもっと安いのいくらでもあるし」
A:「そんなもんかね。大差ないって話もあるし」
当方:「環境とかドライバにもよるんでない。前回ベンチしたのはWindsor 2.6GHzにAMD780GとXP SP3っていうAMD Orientedな環境だったけど、Intel Orientedな環境だと違うかも知れんし。あとドライバもUpdateされてるし」
A:「ま、NIC本体以外の要素も大きいからなあ」
当方:「そいやIntel Orientedな環境が丁度空いてるから、そっちでもやってみるか。ちょっと古いし2003鯖だけど」

 ということで、もう一回ベンチマークしてみた。
 比較対象として用意出来たのはBCM5721(オンボード)とYukon (88E8053) 1枚だけだけど。

♯Yukonが2枚手配出来なかったのでYukon対向が確認出来ないのと、蟹が居ないのがちょい残念。

 何か極一部には重要らしいので、環境一通り書き出してみた。

  • HP ML110 G4 + Core2Quad Q6600 + DDR2-667 8GB mem
  • HDD : HD103UJ with Onboad ICH7
  • SLOT : MCH側PCIe 8x Slot (いちいち挿し替えた)
  • Hub : Corega CG-SW24GTX
  • Windows2003Server SP2 with 09/04迄のWindowsUpdate適用済
  • レジストリ設定によるRWIN等は全て標準のまま
  • PROSet : 14.0 (PT/CT共通)
  • Broadcom : 11.7.2 + BACS 11.7.5
  • Yukon : 10.69.2.3 + Util 10.10.7.3
  • NetPref : 2.1pl1/Win

 今回はSEPは無し、2003突っ込んだままの素のパフォーマンス計測。
 PROSetは前回は13.2使って、その頃はe1000とe1000eは別ドライバになっていたのだが、14.0になって全部込になりましたな。BACSとMarvell Utilityは突っ込んだけど設定は一切無し。

 あと、PT Serverは高いからって買って貰えなかったんだいっ。
 そこ、余計なツッコミしないっ。

 ◇

 ドライバセットアップメモ。
 全部いわゆる「ベンチマーク設定」だが、今時これを常用してるトコも多いんでないだろか。

 PRO/1000 プロパティはデフォルトから以下のように変更。
 どうでもいいが英語のままの方が意味分かり易い気がするのは自分だけかね。

パフォーマンスのオプション>割り込み加減率 オフ
パフォーマンスのオプション>受信記述子 2048 (最大値)
パフォーマンスのオプション>送信記述子 2048 (最大値)

 Gigabit CT プロパティはデフォルトから以下のように変更。

パフォーマンスのオプション>割り込み加減率 オフ
パフォーマンスのオプション>受信バッファ 2048 (最大値)
パフォーマンスのオプション>送信バッファ 2048 (最大値)
受信側スケーリング キュー 2 (最大値)

 Broadcom NeXtreme プロパティはデフォルトから以下のように変更。

Number of Receive Descripers 512 (最大値)
Number of Transmit Descripers 600 (最大値)

 Yukon プロパティはデフォルトから以下のように変更。

割り込み節度 オフ
受信バッファ 512 (最大値)
送信バッファ 512 (最大値)
毎秒最大IRQ 30000 (最大値)

 ・・・長くなったので一旦切り。
 ベンチマーク数字は次へ。

NIC

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GbE NICの消費電力が知りたい。

 ・・・ということで、検索かけてみた。
 ところが、IntelとLSI logic以外はNDAなり契約しないとDatasheet見せてくれないのね。

 仕方ないのでぐるぐるしてみたけれど。

Broadcom NeXtreme GbE for Server (BCM5721) 1250mA 4W Serverでよく見るBoadcom。
Intel PRO/1000 PT (82572EI) 1000mA 3.3W 言わずと知れた鉄板。
LSI Logic ET1310 (Agere ET1310) 1000mA 3.3W 激レア品。最近復活。
Broadcom NeXtreme GbE for Desktop (BCM5751) 950mA 3.1W Desktop用のBroadcom、ちょいレア。
Marvell Yukon (88E8053) 750mA 2.5W 格安PCIe拡張カードの定番。
Realtek CardBusギ蟹 (8169SBL) 700mA 2.1W 国内CardBusなGbEは全部コレ。
Intel Gigabit CT (82574L) 650mA 1.9W IntelのDesktop向け。
Realtek PCIeギ蟹初代 (8168B) 300mA 1.0W 安い、遅い。

 どれも検索で出てきた値なのだが・・・
 BroadcomとかYukon、ここまで電気喰ってるのかいな。

 ちなみに全て最大値で数字集めています。
 それと、NICってチップ以外の部分が意外と電気喰ってます。
 82574LもET1310も、チップ自体の消費電力は1W以下だし。
 そういう意味だと8168Bの数字は少々小さ過ぎる気もするのだが、メーカがそう言ってるので仕方がない、というか。

 そして、結局出て来なかったのが、RTL8111CとVT6130。
 後のは兎も角、前のは今オンボードでメジャーな石なので気になるのよね。
 とはいえ単品PCIeボートは見あたらないし。

 ET1310って最近になって単品ボードが復活したけど、どんなモンなんだろ。
 旧AgereのGbE第一世代品で、低消費電力に振った設計なんだけど、性能は未知数。

 ・・・あ、Asusが大好きなAtheros L1忘れてた。
 兎に角評判が宜しくないが、アレどんなもんなんだろ。
 こっちも単品NIC売ってないしなあ。

 ついでに、ギ蟹はやったら種類が色々あるので比較してみた。

Model PCIe NDIS5 NDIS6 SPI CLED ASF DSM IPS
8169B 1.0a × × × × × ×
8169C 1.1 × × × ×
8111B 1.0a × × × × × ×
8111C 1.1 × × × × ×
8111CP × × ×
8111D × × ×
8111DP × ×

 SPIってのは外部EEPROM I/F、CLEDはCustomizable LED、ASFってのはAlert Standard Format、DSMってのはDeep Sleep Mode、IPSってのはIP Sec Support。
 これ見ると8111Bと8169Bの機能的な差が分かりませんですな。違いはパッケだけ?

 NDIS6(IPv6)がサポートになってるのが8111BとCの最大の違いね。
 あと、BとCでJumbo Frameサポートサイズが違う。Bは7K、CとDは9K。
 内部バッファサイズが違うのかな?DataSheet見せてくれないんで分からないですがな。

 そして8111CPとDPはサーバ向けですな。
 ・・・サーバに蟹ってどうなのよ、というのは別として、スペック的にはその辺り狙ってる筈。

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e1000 (not”e”)が来た。~考察編~

 e1000、別名PRO/1000 PTが来たので測ってみた、その続き。
 まずは、e1000eの時とe1000の時の表を合体させてみた。

From To netperf CIFS SEP OFF
Jumbo Frame Normal
e1000 e1000 640 Mbps 310 Mbps 350 Mbps
e1000 Yukon 850 Mbps 330 Mbps
e1000 r8168 870 Mbps 340 Mbps
e1000 e1000e 320 Mbps 350 Mbps
Yukon e1000 840 Mbps 300 Mbps
Yukon Yukon 700 Mbps 270 Mbps
Yukon r8168 750 Mbps 270 Mbps
Yukon e1000e 840 Mbps 250 Mbps
r8168 e1000 850 Mbps 320 Mbps
r8168 Yukon 630 Mbps 290 Mbps
r8168 e1000e 750 Mbps 280 Mbps
e1000e e1000 300 Mbps 330 Mbps
e1000e Yukon 830 Mbps 260 Mbps
e1000e r8168 800 Mbps 260 Mbps
e1000e e1000e 690 Mbps 310 Mbps

 で、色々と見える傾向をチェックしてみた。

・Intel同士を対向させるとnetperfの数字が低いのは仕様らしい。
 更にJumboFrame有無で数字がかなり変わる模様。
 e1000eの時はそこを疑いもしなかったのでベンチの数字が無いのが残念。

・一方、Intelと他のNICの組み合わせではJumboFrame有効でもnetperfで問題ない数字が出ている。
 但し、平均より上程度であって決して劇的に速いワケではない。

・e1000とe1000eを比べた場合、明確にe1000の方が性能は良い。
 成る程、e1000eがデスクトップ版しか無いワケだ。

・e1000、e1000e共に、受信部がJumboFrameの処理に弱い。
 CPU負荷がかなり下がるのと引き替えに、CIFS実効で30Mbps程度の速度低下を引き起こす。
 Intel対向のJumboFrameが速度が出ないのはこの受信部の弱さのため。

・e1000の送信部は他のNICと比べ確実に速度が出る。
 対してe1000eの送信部は他のNICと比べても並かそれ以下。

・r8168ことギ蟹とe1000は妙に相性がいい。
 これ絶対r8168側がドライバでチューンして来てるんだと思う。

 ◇

 結論。

 どうせIntel買うならPRO/1000 PT Desktop。
 Gigabit CT Desktopはちょっとは¥が安いが、引き替えに性能はだいぶ落ちる。

 確かにPTの方が消費電力は高いが、平均で1Wちょいの差程度はシステム全体の消費電力から見れば大抵は大問題にはならない。
 また、PTは大きめのヒートシンクが付いているが、これも実は大して熱くならないので、よっぽど小さい箱に詰め込んだりしなければ、まず問題にならないと思われる。

 ・・・まぁ、廉価版PCI-E GbE NIC定番のMarvell(¥3,500程度)に、もう少し(¥1,000程度)足せば安定したドライバとIntelブランドが手に入りますよ、安くてお買い得でしょ、というのがCTの位置付けなのかも知れないが。
 一度この性能差を見てしまうと、更にもう少し(¥1,000程度)足せば手が届くPTのを方を敢えて選ばない理由が、ねぇ。
 せめてMarvellと並ぶぐらいの価格が付いているなら兎も角。基板の構成からして頑張ればその値段で売れる程度のものだと思うのだけど。

 ・・・つーか知ってたらGigabit CTなんて買わなかったなぁ。失敗した・・・。
 まあドライバは安定しているし、VLANも問題なく使えてるし、実際使っていて性能問題が出ているワケじゃないから、いいと言えばいいんだけどさ・・・。

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e1000 (not”e”)が来た。~ベンチマーク編~

 世の中色々あるものでして。
 ついにと言うか、PRO/1000 PTを手にすることになってしまいましたよ。
 ということで、れっつべんち。

From To SEP OFF SEP ON
e1000 e1000 640 Mbps 230 Mbps

 な、何かの間違いじゃないの?この遅さ。
 それでは、RWIN拡大効果を見てみますか。
 netperf -H -l 30

From To SEP OFF
e1000 e1000 685 Mbps

 や、やっぱ遅い。何で・・・いわゆるベンチ向け設定になってるのに。
 ・・・って、もしかしてコレか?Jumbo Frame OFF、と。

From To SEP OFF
e1000 e1000 845 Mbps

 ビンゴ。何だこりゃ。
 速度上がってる分+パケットが小さい分、CPU負荷がドカンと上がるのがちと悲しいが、こちらが多分本来の性能だよね。

 それでは、JumoFrame ON/OFFでベンチしてみましたよ。全部SEPはOFF。

From To 9014byte OFF
Yukon e1000 840 Mbps 840 Mbps
r8168 e1000 850 Mbps 850 Mbps
e1000 Yukon 850 Mbps 840 Mbps
e1000 r8168 870 Mbps 875 Mbps

 CPU負荷にはそれなりに差があるが、速度面では誤差程度しか出ていない。う~む。
 んじゃJumbo Frame ONのままでいいや、ということで次はCIFSのベンチマーク。

From To SEP OFF SEP ON
Yukon e1000 300 Mbps 280 Mbps
r8168 e1000 320 Mbps 280 Mbps
e1000e e1000 300 Mbps 250 Mbps
e1000 Yukon 330 Mbps 280 Mbps
e1000 r8168 340 Mbps 280 Mbps
e1000 e1000e 320 Mbps 290 Mbps
e1000 e1000 310 Mbps 270 Mbps

 ありゃ、またしてもe1000対向が妙に遅い。
 JumboFrame OFFにしてみるか。

From To SEP OFF SEP ON
e1000 e1000 350 Mbps 300 Mbps
e1000e e1000 330 Mbps 280 Mbps
e1000 e1000e 350 Mbps 290 Mbps

 ・・・え~っと。netperfでは遅くともCIFSでは速いのね、Intel。
 だというのに、CIFSでもJumboFrame OFFの方が速いのか。
 e1000eとも絡めて、考察は次回へ。

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e1000eが来た。 ~考察編~

 ということで、前回のベンチマークの数字を見つつ少しうだうだしてみる編。

 ◇

 まず、信者の多いIntelだが、e1000eについては転送速度自体は大したことないな、というのが感想。
 実際、ドライバのデフォルト状態では「あの」Yukonといい感じに張り合う程度の速度しか出さないし。

 #まぁコレはドライバのパラメータがデフォでは「バランス重視」になってるから。「速度重視」に設定を直せば転送速度は上がるが、CPU負荷も上がる。

 とはいえ、さすがだと思ったのはそのCPU負荷の低さと、ドライバの安定感。同じ速度が出ている蟹やYukonよりワンランク以上CPU負荷が軽く、これは大きなアドバンテージ。

 でも、とここど踏みとどまるワケですよ。

 逆に言うと、メリットはそれだけ。NICにくれてやるCPU時間も惜しいエンタープライズのアプリケーションサーバならいざ知らず、個人ベースでそこまで気にするか?と。
 いやね、これで例えばCIFS転送速度が倍になりますとか言われたら、信念曲げてでも買ってこい、という話になるのだろうけど、そういう劇的な改善が無いのだもの。

 そうなると、オンボードでギ蟹が普通に乗ってる時代、わざわざ数千円払ってNICを増設するのは個人ベースではコストパフォーマンスが微妙過ぎると思うワケですよ、当方はね。
 あくまでも個人ベースの話なら、このカード代を他のパーツの「ワンランク」分に乗せてあげた方が幸せになれるのでは。

 #あくまでも当方個人の、ね。

 但し、NIC増設の必要に迫られた時は、やはり筆頭候補になること請け合い。
 何故か¥が高止まりしているYukonや蟹のNICカードと比べても、「価格品質比」を考えたらこの製品は決して高過ぎることはないと思われるので。

 #そりゃ単純比較すれば¥高いけどさ。

 ◇

 ということで、まとめ。

 CPU負荷が軽いこと、VLANがまともに使えること、サポートされる機能、サポート体制、ボード品質、どれを取っても、サーバ用途ではやはりどう考えてもIntelはガチ。
 AMD派の個人的感想としてはやや悔しいが、やはり帝国の実力は認めざるを得ない。

 それではクライアントor個人用途ではどうかというと、オンボードのギ蟹に文句無ければわざわざIntelを買ってくる必要も無い。
 とはいえデスクトップ版ならそんなに高いものでもないので、文句があるなら素直に買ってくればよろしいかと。

 ◇

 最後に、おまけ。

 最近のnvlanは予想以上にまとも。速度の他に負荷テストもしてみたが、怪しい挙動も特になし。出始めの頃のボロクソさと比べてみれば、ドライバもファームも熟成されたということか。
 けどまぁやはり、初期にボロクソのまま出荷しちまった以上、やはりnvlanはサーバ用途じゃ当分見向きもされないでしょうな。

 いや、個人ベースでは十分だと思うけど、さ。エンタープライズは甘くないのよ、ホントにね。

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