Windowsのドライバが何故か組み込まれなくなってしまったら。

 今回は稀に突然発症するWindowsの病気、「何故かドライバがインストールされない病」のネタでも。
 何でこんなネタを出したかというと、自分の端末が喰らってしまったから。

 ◇

 まず、この症状の解説から。

 「ある日突然、それまで使えていたUSB等の機器が認識されなくなった」

 これが病状。
 ってさらっと書いているが、これ結構致命的で、使い方次第ではこうなったらPCが役立たずになってしまうことも珍しくない。
 例えばUSBメモリなんかが、昨日まで使えていたのに今日突然使えなくなった、とか。
 まぁメモリ程度なら兎も角、データ山盛HDDなんかだとかなりシャレにならないことに。

 なので、ここからは原因切り分けを開始ということで。
 まずは、デバイスマネージャを起動。この時、

 「何故か使えないデバイスが「ほかのデバイス」というトコに繋がっているように見える」

 この状況の場合、この病気の可能性が高い。
 逆に、そもそもデバイスが見えていない場合はハードウェア故障の確率の方がかなり高い。
 次にイベントビューアをチェック。

 「「Windowsログ」「システム」の中に「情報」として「イベント20001」が「UserPnp」から出力されている」
 「「ドライバー NULL Driverをインストールするプロセス」というメッセージが見える」

 上記状況にヒットしてしまった場合、ほぼ100%今回の病気ですな。

 ◇

 さて、この病気の原因なのだが。

 一言で言うと、HDD上のドライバ情報またはドライバ本体が壊れてしまった為。

 Windowsには悪い癖があって、この「ドライバ情報」というのは意外と壊れ易い。
 そしてこの「ドライバ情報」が壊れてしまうと、ドライバ本体まで使えなくなってしまう。
 更に悪いことに、この状態でドライバ自体を修復や再インストールしようとしても「ドライバは問題ありません」とか言われて蹴飛ばされてしまったりする。

 #ちなみにドライバ情報にはキャッシュ(のようなもの)があるので、そのキャッシュが捨てられて再構成されるまではドライバ情報が壊れていても特に問題は発生しない。なので、実はとっくの昔に壊れていたものがある日突然明るみに、というパターンは少なくない。

 こんな状況を打破するには、要するに壊れたドライバ情報を修復するしかない。
 修復手法は2ステップ。

 但し以降に書くこの方法、システムが壊れかけている場合はとどめを刺すことになる可能性があるので、システムフルバックアップを必ず取ってから実行すること。
 一見治っているように見えて実は他のトコが巻き添えで壊れた、なんてことも実際あるので。

 #たまに「取り敢えずコレ打て」的な書き方を見かけるが、取り敢えずで打つ程安全なコマンドではないよ念のため。

 ◇

 まずは事前準備。

 chkdsk /f C:
 (Windows10では chkdsk /f /offlinescanandfix C:)

 システム障害が起こっている環境ではかなりの確率でシステムドライブに論理エラーが出ていることが多い。
 それを放置したまま次の作業を進めてしまうと更に傷口を広げてしまう可能性があるので、まずはそこを潰しておく。
 但しこのコマンドの時点で既に打つ手なし状態だと判明する確率も実はそこまで低くはなかったりする。

 #ちなみに物理エラーが疑われるなら/rで。環境次第ではやったら時間はかかるが、そういうモノ。

 そして軽い方から。コマンドプロンプトから以下のコマンドを打つ。

 sfc /scannow

 Windowsのシステム修復機能を起動して、壊れているコンポーネント情報を修正するコマンド。
 修復はあまり期待出来ないが、エラーが出たら基本的に何処か壊れている。
 ちなみに環境にもよるが30分とか普通にかかる。

 Windows7迄の場合はここまで。
 Windows8以降では次のdismコマンドも打っておく。
 こちらはWindowsのImageを掃除するコマンド。
 詳細は横に置いておくとして、これもそこそこ時間かかる。

 DISM /Online /Cleanup-image /Restorehealth

 で、上記2つのコマンドを実行した後、再起動。
 その結果・・・改善することもあるが、環境よっては却って悪化することも。
 その場合は諦めて次へ。

 ◇

 次に、手間のかかる方。
 まずこの手法を使う場合、

 ・正常なドライバ
 ・空きHDD
 ・WindowsのインストールDVD

 この3点が存在することが大前提。
 ではこれらで何をするかというと、

 1. 現在の問題あるHDDを取り外し、空きHDDを取り付ける。
 2. Windowsをインストールして起動出来るようにする。
 3. 問題あるHDDを接続し、問題あるWindowsパーティションを見えるようにする。
 4. パーティション内からドライバの格納先を探し、インストール直後の正常なドライバで全て上書きする。
 5. 環境を戻してデバイスを認識させる。

 こうなる。
 ちなみに5.のデバイス認識では通常より時間がかかることがあるがそれは正常。

 以下、4のステップの詳細。

 ・ドライバの保存場所は大体のマシンでC:¥Windows¥System32¥DriverStore¥FileRepository。
  この下にドライバ毎にフォルダが切られていて、このフォルダ名=ドライバのinfファイル名。

 ・このドライバ毎フォルダ内にはinfと対になるsysファイルやdllファイルが保存されている。
  何かの拍子でこの中のファイルが壊れたり不整合を起こしてしまうと、ドライバのインストール不良になってしまう。

 ・Windows標準ドライバでこの症状が出た場合、同一Windowsの正常な環境からフォルダ内ファイルまるごと全コピーで上書きしてしまうのが簡単。
  サードパーティ製ドライバならドライバディスクやインターネットからコピーして入れ直す。

 ・そのままだと上書き出来ない場合は、一旦ファイル・フォルダの所有者を自分に変えてから権限を付けると作業可能。
  ローカルの管理者権限を持っていれば所有者の変更だけは出来るので、所有者変更→権限付加、の2ステップ。
  勿論作業後は元通りにしておくこと。

 ◇

 以上、こんな作業でWindowsでの「デバイス認識しない問題」「ドライバが何故か入らない問題」の大多数は片付く。

 勿論これで全部直るワケではなく、例えばレジストリが壊れていたりするともっと大事で、そこまでいってしまうと再インストールの方が幸せになれる。
 だがレジストリ自体の不整合は最近はかなり発生しづらくなっている一方、DriverStore以下のファイル不整合は相変わらず発生し易いので、大多数はドライバの不整合だけ直せばどうにかなるのではないかと。

 とまぁこんな感じで、今回はここまで。

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Win10のKB3140768、環境修正もやっている模様。

 今回はだらだらと長いのでまず3行まとめ。

 ・Win10のKB3140768は既存環境の修正も入っている模様。
 ・今までの累積パッチが入らなかった環境でも入るかも。
 ・S.Kaz手元の1~3月累積が入らなかった複数環境には全て入った。

 ということで、以下だらだらと。

 ◇

 さて、管理人の手元にはKB3140743の当たっていないWin10環境が複数存在しております。
 揃いも揃って使い込んだWin7からのIn-Place Update環境ということでまぁ環境が汚いというのはあるとは思うが、にしても毎回当てようとして失敗するので、MS謹製ツールで取り敢えず隠してしまったり。

 ところがここで更なる累積パッチというか、内容的には事実上修正アップデート的なKB3140768なるものが来ましたよ。
 まぁこれも今まで通りの累積だから当たらないよね・・・ほらやっぱり。
 コレ以外のパッチは全て問題なく当たっているのも、ある意味予定通り。

 ということで「こりゃRedStoneが出たら腹決めてクリーンインストールでもするしかないかねぇ」とか思っていたんですよ。
 何故って、これらの累積パッチが入らない環境は揃ってここまで全てsfcでもdismでも問題は検出されていなかったのです。

 ♯にも拘わらずうち1台に修復インストールかけてみたところ、最初のリブートの後暫くして黒画面でハングし、リセットボタン押すと環境復旧が始まり「0xC1900101 – 0x3000D MIGRATE_DATA 操作中にエラーが発生したため、インストールは FIRST_BOOTフェーズで失敗しました」とか出てる始末でして。

 ・・・取り敢えず、毎回のお約束を叩いてみますか、と。
 今回も「整合性エラーは出ないのにパッチが当たりません」という状況の確認ということで。

 >sfc /scannow
 >Windows リソース保護は、整合性違反を検出しませんでした。

 問題なし。ほらやっぱり。

 >DISM.exe /Online /Cleanup-image /Scanhealth
 >復元操作は正常に完了しました。
 >操作は正常に完了しました。

 ・・・え?!
 これ何か障害があった時の表示よ?
 今までずっと無問題で来ていたのに、何故?

 それじゃ念の為、もう一度sfcかけてみるか。

 >sfc /scannow
 >Windows リソース保護は、整合性違反を検出しませんでした。

 やっぱり問題なし。だよね。
 何だったんださっきの。

 とか言っている間に、裏ではWindowsが勝手にもう一度KB3140768を当てていますよ。
 無駄な努力だというのに・・・。
 とはいえさっさと再起動しろとか言ってきているので、まぁ再起動しますか。

 ・・・(数分経過)・・・

 あれ?
 KB3140768当たってしまったよ?
 Winver見たら10586.164になってるよ?

 ◇

 ・・・ということが複数環境で発生しまして。
 どれもパターンは一緒で、

 最初にKB3140768当てると失敗する
 →その後dismかけると今まで出なかったエラーが出る
 →その後もう一度KB3140768当てると成功する

 これはもう再現性があると言っていいのでは。

 ♯どの環境もWin7からのアップデートというのは気になるけど。

 実はdismで修復メッセージが出たというトコにはついては、微妙に心当たりがあるのであり。
 というのは、エラーの出方やログから.NET Framework周りの環境不整合はありそう、というぼんやりした目途を付けていたので。

 ♯それに.NET周りがおかしくなっている可能性のある場面なんて今まで散々あったし。

 そうなると、今まで壊れていたにも関わらずエラーとされてなかった部分が今回正しくエラーとされ、dismで修復され、環境が整ったので累積パッチが当たりました、という分かり易い説明が成り立つので。

 ◇

 以上、こんなこともありました、という話でした。

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使っていない常駐系ツール一発でWindowsブートがめっちゃ遅くなっていた話。

 さて、このところWin7機を片端からWin10にアップデートしてしまったS.Kazですが。
 この中に1台、Win7の頃から「何故か起動が妙に遅い」機械がありました。

 ♯そりゃまぁ色々常駐させてるからだろという正しいツッコミは横に置いておいて。
  にしたって数分単位で時間がかかるのはおかしいでしょうよと。

 そしてコイツもWin10にアップデートしようと思ったのだが、いくら何でもこの状態でアップデートするのは気が引ける。
 仕方ないのでシステムファイルの整合性やら何やら、起動時にエラーが出ていないか等もチェックしてみたのだが、これも「Windowsだから仕方ないよね」というレベルのもの以外は特になし。

 ♯S.Kazは基本的にHDDはRAIDを組んでいるのでフツーのPCに比べてOS Bootに辿り着くまでも遅いのです。
  そんな環境で再起動しまくってチェックしたので無駄に時間のかかったことといったら。

 首を傾げながら(ついでに)ドライバ類も更新していたところ、昔繋いでいたSATAカードやRAIDカードのドライバが入りっぱなしになっていることに気付く。あ~そいや全然抜いた覚えないわコレ。
 ・・・アレ、もしかして。

 ということで、ビンゴでした。
 具体的に言ってしまうとスタートアップに居たJMicronの常駐型ツールのXinsIDE、こいつが曲者で。
 SATAカードが刺さっていなければさっさと諦めればいいのに、存在しないデバイスを探してタイムアウトを繰り返すという極悪仕様であることが判明。
 しかもその極悪仕様に引っ張られて、Windowwの起動自体がPAUSE状態になってしまうという。

 まぁ原因が分かれば対策は簡単、ドライバ共々引っこ抜いたところ、世間一般並みの起動時間に戻りましたとさ。

 ♯当たり前としか言いようが無いのだが、妙に感動してしまった。

 ということで、本日の結論。

 使い終わったドライバはきちんと掃除しよう。

 まぁ要するに、当たり前のことはきちんとやりましょうということで。
 あなたのPCの起動も早くなるかも知れませんでっせ?

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2016年PC業界の(個人的な)見所は。

 さて、2016年初と言いつつもう1月も終わりというエントリはこんな感じで。
 毎年恒例?PC業界ネタを書いてみますか。とはいっても今年も特に予想は無しで、個人的「今年の見所」的な感じで。

 まずはPC業界から。

 1◇PC離れの一段の加速、現業各社は踏み止まれるか。

 いやね、ホントにコレですよ。
 国内PCメーカーの大集約の噂は絶えないし、パーツ業界は兎も角パーツの元=デバイス業界では大激震が継続中。
 これは本当に今年(も)何があっても驚かないというか。

 ちなみにエンタープライズITの世界はコンシューマ以上に色々動きが激しいので、ここでは詳しくは書かないけれどもやっぱり見逃せないですよ。

 2◇アキバのPCパーツ屋はeスポーツの夢を見るか。

 少し前にも書いたが、昨年から急に「盛り上げてる」eスポーツことPCゲーム。
 自分はeスポーツ自体にもゲーミングPCにもケチを付ける気も否定する気もないが、ソレが今年一年で国内でそんなに広がるか、アキバ発のムーブメントと言われる程盛り上がるか、と言われると「そりゃないわ」としか思えないんですよ。

 そしてパーツ屋なんて元々薄利店舗、いくら先行投資だと頑張ってもムーブメントが来なければ息切れしてしまうのは目に見えている。
 ということで、「eスポーツショップ」が今年1年を乗り切れるのか、1年後のゲーミングPC市場はどうなっているのか、というのは結構注目して良いネタだと思いますよ。

 ここでもしS.Kazの予想が完全に明後日に外れてeスポーツ関連が大盛り上がりしようものなら、アキバのPCパーツ屋は暫くは安泰でしょう。
 でも当方の予想が的中してしまったらいよいよ、アキバのPCショップは電気&電子パーツ屋・アマ無線店・オーディオショップと同列の「あぁそういう店もあるよね」という一群に入っていくのでしょうな。

 ♯その時アキバは何の街と言われるようになるのでしょうかね。
  今まで通りの「ヲタクタウン」のままかしらん。

 3◇撃沈が先かZEN発売が先かのAMD。

 何度もネタにしているように自分はAMD派だが、その自分をしても正直こう思わざるを得ないぐらい本気で瀕死の状態のAMD。
 QualcommやらMSやらが買収に興味を持っているという噂が絶えない中、今年中ZENが出せなかったらいよいよ爆死しまっせ。

 取り敢えずAM3+のリフレッシュマザーが今更各社から出ていることを見ると、AM4のデビューは最短でも6月のCOMPUTEX TAIPEI、下手すると9月ぐらいになると思われるが、せめてアキバで財布握りしめて頭抱えられるぐらいにはなって欲しいのですよ、いやホントに。

 ♯その為にもAM4には是非ECCを。

 4◇NVMeブレイクなるか。

 Flash Memory Summitでの各社の製品の準備具合を見るに、今年は各社から一気にNVMeなSSDが登場する筈。
 フォームファクタもM2、M2にPCIe変換アダプタ、性能重視のPCIe形状のものと幅広く出揃い、R/W共に1GB/S超えが「フツー」に。

 それともう一つ、今年現物が出て来るかどうか見物なのが、性能はそこそこながら非常に低価格なNVMe SSD。
 俗に言うDRAM-Less SSDなのだが、NVMeでは最新のコントローラの仕様(1.2)としてホスト(PC)のメインメモリを作業領域として使う手法(HMB)が定義されているので、これを駆使することでSSDの部品を減らし価格を抑えるというシロモノ。
 ポイントはSATA版のDRAM-Lessと違い性能へのダメージがそこまで大きくないことで、PCIeバス速度も手伝って、実装次第では現在のSATA接続のSSDを上回る速度を出すことも難しくない。なので、これが出回り始めたら相当インパクトあるのではと。

 ちなみにSATA版のDRAM-Less SSDは現在進行形で勢力拡大の真っ最中。
 NVMeと違ってSATAではDRAM-Lessのハンデは大きいのだが、Windowsならメインメモリをキャッシュに使うソフト(RAPID CacheとかPlexTurboとかあるアレ)である程度カバー出来るし、いくら遅いとはいえHDDよりは速いし、何しろストレージに対するコスト圧力はハンパない。

 なので、このままNVMeが広がり高速SSDは順次移行し、SATAなSSDには最終的には低価格なTLC+DRAM-Lessしか残らないとも予想されていますが、さて実際はどうなりますかね。

 ♯にしてもこの勢いで行くと、SATA Expressは結局出番が無いままになるような。

 5◇Microsoftは何処へ行く。

 今年も一年、色々とトラブル起こしたりPC業界沈没に加担したりする予定のMicrosoftは目が離せません、いやマジで。

 年明け早々「SkylakeはWindows7サポートさっさと切るぜ」宣言をしてみたり、やりたい放題ですわ。
 そこまでしてWindows10に移行させたいMSの意思は理解は出来るが同意はしない、それは兎も角。

 自作PCユーザーの中でも一定数存在する、どころか大多数だという話すらある「Windows7で頑張ります」派。
 SkylakeではUSBドライバ絡みの話もありWindows7の導入がただでさえ面倒臭いことになっているところに、MSのこの発表。
 「んじゃHaswell RefreshやBroadwellで」となる群がどれだけ出るのか、エンタープライズの端末更新サイクルに影響が出るのか、はっきり言って自分には影響が全く読めません、はい。

 そいえば今年秋にRedstoneとかいう旧来表現で言うところの「R2」が出るらしいが、これもまた一悶着あるんでしょうな。

 ◇

 次、もう少し大きくIT業界で。

 6◇ファウンダリ各社は14nm量産開始出来るのか。

 Intelに突き放されまくっていたファウンダリ各社、大金を投資してきた14nmプロセス開発の成果がいよいよ今年から花開く予定ですよ。
 特にスマホ向けARMとGPUにはこの恩恵は大きく、20nmでは思った程消費電力の下がらなかったARMハイエンドプロセッサも14nmでは一段消費電力が下がる見込みだし、GPUに至っては現状の28nm比で「ワッパ」こと電力性能比が2倍程度まで上がる筈。

 ・・・というか、GFの14nmが即立ち上がってくれないとAMDの爆死が確定してしまうので、マジお願いします、はい。

 7◇IntelはIAスマホに固執するのか、IoTに賭けるのか。

 このところずっとスマホ業界に御執心なIntelだが、カネばかりかかって彼ら的に満足出来るマーケットシェアには到底達していないままズルズルと来ているのが現実。

 ♯業界標準のARMから今更x86に移行する積極的理由が無いんだもの、当たり前。

 一方でIoTという更にスモールファクタで且つ数だけは捌ける世界が一気に広がってきており、ここにIntelがどれだけ肩入れするかは正直まだ見えていない状態。
 勿論小さなSoCやらは提供しているものの、自分にはあくまでも様子見モードにしか見えない。

 とはいえもし本気でIntelがIoTにもx86を入れたいなら、もう時間的猶予はあまりない。
 遅くとも今年中には何等かのアクションを示さないと、現状のARM占有を引っくり返すことは永久に不可能になる、というのが自分の意見なのですよ。
 なので今年IntelがIoT関連でどういうアクションを取るか、個人的にちょっと興味があるのです。
 なんてったって金持ちなので、カネの力を発動させるという手もあるんだし(スマホ業界では不発続きだけど)。

 8◇今年こそ来るのかARMサーバ。

 実際の製品という意味ではもう数年前から出ていたりするのだが、昨年はARMが純正(と言うのかコレ)のサーバをお披露目したり、今年頭にOpteron A1100が漸く正式発表になったり(つかアナウンスから1年経っているし開発ボードはとっくに出回っているのだが)、少しずつ近づいてきたように錯覚してしまうのがARMサーバ。
 現実には未だ「モノはあるんだけどね」状態なのでブレイクとは程遠いという。

 そんなARMサーバ、今年その遅い歩みが一歩でも進むのか、或いはまったく進まないのか。
 生温い目で見守ってあげましょう、はい。

 9◇何度も「元年」のVR、今年こそブレイクするか。

 IT業界でこのところ毎年「元年」が繰り返されているもの何~んだ、と訊かれたら自分は間違いなく「ARとVR」って答えますよ。
 Google glassがビミョーなことになってしまった以降もHMDの類は各社から登場しているのに、特定業務で採用されたという話ぐらいしか出てこないのがAR。一方、2012年にOculus Riftが発表されて以降、こちらも掛け声ばかりで実態はヲタクのオモチャから一歩も踏み出せていないのがVR。

 そんなVRですが、今年はOculus Riftのような没入型(ゴーグル型)HMDが他の数社からも発売されて、nVIDIAもAMDもソレをターゲットにした準備をしている等、久々に大きく動きが出るのが今年。
 さて、HMDが出て来るのは良いのだが、果たして売れるのかどうか、お手並み拝見といったところ。

 ちなみに個人的な意見を言うと、自分は結局VRってコンテンツ勝負だと思います、はい。
 VHSがエロビデオで天下を取ったように、誰もが高いカネを払ってでも欲しくなるコンテンツを用意できない限り、業務用途は兎も角コンシューマ用途では広がらないのではないか、と。

 ♯そして今のところそんなコンテンツは無い。

 10◇人工知能、爆発的普及に向けて地均し拡大中。

 個人的にはそろそろ「そもそもAIの定義って何ですか」とか言いたい気分なのだが、それは兎も角。
 自動運転等、今まで絵空事だった技術がいよいよ現実になっていく中で、AIの出番はこれから爆発的に拡大する筈。

 そして現在、例えばWatsonで新しいレシピを考案してみたり、なんてのは正にAIが「あって当たり前」の世界へ地均しをしてる、と自分は解釈しているんですな。
 それはDeep Learning等の技術面と、自動運転車の為の法律等の社会面、両方の側面から。
 それらは昔のように「AI」を前面に押し出すことはせず、単なる便利なシステムの一部として、静かに勢力を広げていく、と。

 そんなワケで、AIを前提とした世の中の動きが今年は色々出て来るのではないかと。
 やや遠回りではあるがビッグデータ活用だってAIに喰わせる為の下準備という考え方もあるワケだし。

 ◇

 以上10コ程、今年ネタになりそうな代物を挙げてみましたよ。
 さてさてどうなることやら。

 ということで取り敢えず、今年もうだうだ書いていくらしいので、よろしくお願いいたします。

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2015年のPC業界を個人的に振り返る。

 さて、書いていたらまたしてもあまり面白くない感じになってしまったのが本人をしてイマイチなのだが、取り敢えず今年のPC周りを振り返ってみましょ。

 1◇Windows10の提供開始とゴタゴタ。

 今年のPC業界全体を見ると、落ち目のMicrosoftに振り回されて業界全体が更に弱った、というのが個人的印象。

 トップが変わってから色々頑張っているのは分かるのだが、多少頑張った程度でMS品質がどうにかなるワケもなく。
 しかも何故か当初予定より前倒しで展開した挙句、相変わらずのポンコツ状態で「正式」登場したWindows10。

 ♯もう少し品質を上げておけばもっとスタートダッシュが効いたと思うのだが、ここまで前倒しにした理由が個人的には全く思いつかないんよ。

 そして先日配信されたNovember Update=事実上のSP1でもバグ修正と仕様変更を一気出し、しかも配信できちんとトラブルを起こす、という相変わらずの展開。
 とはいえ漸く「SP1並」の品質になってきたので、EarlyBirdがぼちぼち移行し始めているといったところ、というのが2015年末ってトコですかね。
 次の大型アップデート=Redstoneではまた色々手を入れるという話もあるので、取り敢えずここで一旦、という人も居るのでは。

 とまぁここまでの展開が約半年。
 ユーザもPC業界もそろそろ学習しましたね。Windowsは未来永劫安定することはない、と。
 そしてトップが変わろうがアグレッシブになろうが、やはりMicrosoftは品質とタチが悪いと。

 変化することと安定しないことは違う筈なのだが、Microsoftにこの2つを区別出来るだけの能力があるワケもなく。
 Micfosoftが目指すと公言したモノと、現実とのギャップが激し過ぎて、でも業界としてはそれに付いていくしかない。

 しかも一蓮托生だと思っていたら、自社製ハードウェアのラインナップ拡張で競合範囲を広げてきたし。
 更にTH2の出来云々よりも強引なアップデート誘導という面で個人ユーザとベンダの余計な混乱と反発と顰蹙を現在進行形でかっているし。

 そんな姿勢そのものがPC業界を弱らせているということに、MSは気付いていなのでしょう、きっと。

 ちなみにWindows10 Mobileは・・・あ~そいやそんなのありましたね的な。
 個人的にはこのまま永遠の弱小勢力で終わる確率が非常に高いと思っています。
 OS提供も遅れ、Windows Bridgeも全然進んでいない、その間にもAndroidとiOSは拡大中、もうこの差はは取り返せないだろ、と。

 確かに最近のAndroidは肥大化というか品質低下が目立っているし、その辺りWindows10 Mobileと並べるとという話もあるが、OSとしてのプラットフォームが一度広まってしまったらソレがどれだけ強いかということは、Microsoft自身のWindowsが証明してきたトコなのでね。

 ♯ネタ商品的にはアリだと思う。

 2◇OneDriveを巡るゴタゴタ。

 Microsoftネタ連発だが、これも今年のデカい話として外せないと思うので。

 ミクロで見ればいつものMicrosoftというだけ。「新生」Microsoftは存在しなかった、ということを一番分かり易く知らしめたということで。
 マクロ的視点だと、クラウドサービスってこういうモノだよ、ということを広く再認識させた効能があったかと。
 一般PCユーザの視点で見てみると、Microsoft離れを加速させたとしか。

 個人的な意見だが、古臭いPCユーザといわゆるスマホネイティブユーザの大きな違いの一つに、サービスに対する忠誠度があると思っている。
 これはPC万能時代の「移行の面倒臭さ」の記憶と裏返しであり、一つのアプリなりサービスなりに腰を据えて使い続けるのがPCユーザの習性。良く言えばロイヤリティが高い。
 一方、スマホネイティブユーザはアプリを選んで入れて捨てて御仕舞が当たり前。大多数がコンテンツ消費者なので移行するデータも無く、データ移行作業なんて基本存在しないので、アプリを入れ替えても特に困らない。
 サービス提供側から見た場合、どちらを掴んでおいた方が幸せか、ということですよ。

 そんな時代に、コンテンツ消費者がPCを買ってくれるという幻想はもう通用しない。
 PCが掴んでおくべき顧客はひと昔前「プロシューマ」と呼ばれていたコンテンツ作成側のユーザであり、これは即ち古臭いPCユーザであり、取りも直さずWindowsユーザであり、Microsoft製品ユーザなのですよ。
 そんな彼らに「やっぱMicrosoftは信用ならんわ」と知らしめた今回のイベントは、確実にMSのコンシューマ向け戦略に未来永劫影響を与えると思うんですわ。Windows Mobileの展開も含めてね。

 3◇メインストリーム向けNVMe離陸開始。

 さて、いい加減MSネタばかりだと飽きるので、きちんとハードウェアの話しましょ。

 今年のハードウェア的トピックの中では、個人的にはNVMeがいよいよコンシューマ向けに来たことかと。
 OS側は実はWindows 8.1からフルサポートになっていたが、チップセット側の正式サポートが100シリーズからとなったので、DDR4移行と同時のタイミングで離陸開始と。

 そんなNVMeの価値は、世間で良く言われている「ベンチマーク値がSATAの理論速度超え」ではなく、プロトコル上のオーバーヘッドが少なくSATAよりレイテンシが低いこと。
 今は未だ出始めということでコストも拡張性も全くこなれていないが、現状CPUの足を引っ張りまくっている大容量記録装置周りが漸く一歩前進したワケで。

 個人的には是非早期の値崩れを期待したいところだが、同時にIntelにPCIeバス本数拡大も期待したいところ。
 NVMeだとPCIe x4を使ってしまうので、現行CPUのPCIe x16では拡張性が足りないよね、と。

 4◇HBMが実製品に。

 次に、今年HBM搭載製品が(ハイエンドとはいえ)一般向けに出回り始めたのは、あまり世間では話題になっていないが個人的にはポイントだと思うのですよ。

 着目点ととしてはNVMeと一緒で「高速な演算装置と、追い付いて来ない周辺回路」というPCの中の構図を一歩改善する為に、非常に広帯域なメモリが採用されたということ。
 勿論現時点では価格その他問題も色々あるが、AMDはAPUでもメモリ帯域不足で頭を抱えているということ、GPU ComputingにはPCI-Expressも相対的に低速でボトルネックとなっていること、その他諸々を考えると、まずは将来に向けての一歩を踏み出した、と言えるのでは。

 5◇HDDもSSDも揃って停滞中。

 続けて大容量記憶装置の方を見てみると、今年は正直停滞の年でした、と。

 まずSSDは順調に値下がりし、年初比で3割~4割安くなったが、正直それだけ。
 低価格品ではTLCの採用が拡大。TLC故の書込の遅さはキャッシュで誤魔化すしかなくその取り回し方法で多少個性が出るものの、基本的にはコントローラが一緒なら挙動も一緒という、正に「コモデティ」と化してきたというところ。

 HDDの方を見てみると、コンシューマ向けには年初に8TB品が出回り始め、年内で大体3割程値下がりしたものの、10TB品は未だに影も形も見えず。
 アキバの店頭では地味に4TB・5TBが下がったものの、今年1年ずっと3TBが主役のままで、このラインに至っては値動きもほぼ無し。

 以上、要するに全く面白くなかったですな。

 ちなみに、現時点でPMRの最高密度品は東芝の2.5′ 3TB HDDの750GBプラッタ。
 製品発表は年初、その時は5月出荷予定とアナウンスされ、アキバには9月に流れ始めましたな。これが最高密度。
 3.5’ではHGSTの10TB製品で、コレは1.43TBプラッタという密度。SMRでは去年この密度になっていたのだが、今年にはPMRでこの密度になりました、と。

 あとペーパーではSMRではSamsungが2.5’で1TBプラッタを開発したとPRを出ているが、現物はちっとも出てこないですな。

 6◇IntelがSkylakeでDDR4に移行開始。

 最後にIntelからSkylake登場、DDR4に移行を開始しました、と。
 ある意味定例アップデートで面白くもなんともないし、消費電力は減ってきているものの実処理性能ではあまり伸びてもいない。
 これは取りも直さず「アップデートのメリットが少ない」=「コストばかりかかる」=「コスパが悪い」ということで、こういう商法を続ければどうなるか・・・は自明の筈なんだがなぁ。

 但しプラットフォーム入れ替えというのはパーツ屋にとっては一大イベントで、これがあったからPCパーツ屋は今年が乗り切れたなんて話もあったり無かったり。

 ♯「DDR3が使えるSkylakeマザーが動かない(売れない)」なんて台詞をどっかで聞いたが、当然でしょうよ。

 ◇

 以上、今年のPC市場は自分から見たらこんな感じでした。
 今年のblog更新はこれで終了です。

 それでは皆様、良いお年を。

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