Steamroller 16Core Opteronは死んでいない?!

 ・・・マジですか。

 CESでもあんまり楽しい話は無かった上に、国内PCパーツは為替の影響で値上がり傾向、NAMMまで楽しいそうな話は聞かないかな・・・なんて思っていたところに、とんでもないニュースが飛び込んできましたよ。

 AMDが開発者向けに公開している「プロセッサの仕様と癖のまとめ」というドキュメント(Optimization Guide)が、2年ぶりに改訂されたんですが、その中にこっそりととんでもない表記が。

 >Rev 3.08 Extended coverage to Models 30h–4Fh 

 AMD Family 15hというのは要するにBulldozerで、10hが初代Zambezi、20hがPiledriver、30hがSteamroller(先日発売されたKaveriがコレ)、そして40hがExcavator(予定)なので、このドキュメントが正しいのであれば、パフォーマンス向けCPUをまだAMDは諦めていないということになる。

 但しこのテのドキュメントについては「仕様は出たけど現物は?」ということも往々にしてあるので、過度な期待は禁物なんですよ。
 世の中にはサンプルチップどころか実動する開発用ボードまで出来たのに結局お蔵入りってブツすらあるんだし。

 ・・・でも、でもね。
 こんな具体的なこと書かれてしまうと期待しちゃうじゃないですか。

 ・Steamroller、Excavator世代は1ダイで16コア
 ・1ダイに2つのHTリンク、1つのPCI-Expres 3.0リンク、2つのHT/PCIe3.0切替式リンクを装備
 ・CPUコア、メモコン、IOリンクをクロスバー接続

 ちなみにこれ、昔一瞬名前が出てすぐ消えた、Socket G2012のスペックそのものです。

 ぶっちゃけこんなサーバ用途しか考えていないCPUがAM3+に来るとは思えないが、GF 28nmが使えればSteamroller 16コアを3GHz超で回しても115Wで収まる筈なので(現行6380は2.5GHz/115W)、同一消費電力枠ならばクロック向上+コアのIPC改善で最大40%程度の処理能力向上が期待出来る筈。これ結構な違いですよ。

 ♯まぁ勿論これでもコアあたりの実行効率ではHaswellには追いついていないが、Zambeziのようにダブルスコアなんて差をつけられることは無くなるだろうし、その分物理コア数でカバーするのがBulldozerなので。

 更に希望的観測に妄想が入った状態で書き続けると、Bulldozerのコンセプトは登場当時より現在の方が「比較級で」受け容れられ易くなっている。IntelですらXeon E5でコア数を急速に増やしているように、既にそっちの方向でしか処理速度の向上は望めないという事実が漸く浸透し始めたので。

 ・・・さて、Socket G2012は日の目を見るのか。
 CPUは発売されるのか。どっか付き合ってM/B出してくれるOEMはあるのか。
 というか、こんな状況でTyanとSupermicroがAMDサーバ部門にお付き合いしてくれるのか。

 新年早々、ちょっとだけ妄想のネタが増えて嬉しい管理人でした、とさ。

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自作PC「以外」且つハードウェア「だけ」の観点から2014年を予想してみる(ARM編)。

 前々回、前回に引き続いて、自作とはやや遠いがハードウェア系で個人的に気になるネタをいくつか。
 最後にARM編。2014年はx86とARMが本気で正面衝突する元年でもあります。

 D◇nVIDIAからTegra4iとTegra5登場、この製品の居場所はあるのか?

 ARM市場、実に混沌としております。2013年の市場シェアを上から並べるとQualcomm(お馴染みSnapDragon)、Apple(まぁ何といいますか)、MediaTek(PCヲタには光学ドライブ制御チップでお馴染み)、Samsung(Exynosは自社製品搭載割合がダントツ)、Spreadtrum(中華な製品)。上位80パーセントをこの5社が占めているとはいえ、それ以下の所にもまぁ有象無象が蠢いているワケで。
 そしてPCユーザにお馴染みのnVIDIAはというと・・・まぁ、圏外です、はい。

 こんな市場で、冗談ではなく生き残りを賭けて、nVIDIAが今年2製品を投入。
 去年Intelと同じ失敗をしたnVIDIA、今年巻き返せないと結構本気で厳しいことになります、はい。
 が、どちらも「出遅れ感」が漂うというか・・・。

 ♯ちなみにIntelと同じ失敗というのは「LTEモデムが完成しなかった」。
  Tegraはポジション的にはSnapDragonと同じトコを狙っているのに、片やLTEモデム内蔵の全部入り、片やモデムは別会社製品でね、じゃ勝負は見えてるワケです。

 まず一つ目の製品はTegra 4i。
 モノ自体は2013年の早いうちに発表されていたが、現物が出るのは今年に入ってから。
 その間にこの製品のポジションもミッドハイからミッドローに落っこちてしまったが、価格さえ間違えなければチップそのものの競争力は十分に残っているかと。

 もう一つの製品はTegra 5。
 こちらがnVIDIAの本命ですな。
 高いGPU性能はRetinaディスプレイの駆動にも威力を発揮するが、何より現在x86で展開しているCUDAをARMの世界に持ち込むという意味が(nVIDIAにとっては)大きい。

 但しこのチップの立ち位置は、x86なBayTrailとモロに競合する。
 仮にWindowsRTが大成功していたりしたらこの製品の立ち位置も安泰だっただろうが、そちら方面はもう絶望的なので、そうなるとこの製品は相当微妙な感じでは。
 何しろボリュームを出さないと元が取れないのだが、現在の市場を見るとそのボリュームを出すのが難しい。

 ♯前回も書いたが当方は「高価格タブレットではWindowsが動くx86か、AppleのiPadしか生き残れない」と思っているので。

 しかもこのチップ、CPUが32bit ARMなんですよ。
 今年はハイエンドからミッドレンジまで一気に64bitに切り替わるので、32bitでハイエンドを名乗り続けるのは苦しいかと。
 nVIDIAの64bit ARM統合は次世代のTegra 6で、コレはGPUがMaxwell世代になるので早くとも2014年内ギリギリと言われていて、それまではこのチップで戦うしかない。

 ちなみにnVIDIAはチップ採用メーカへのサポート体制の悪さには定評があったので(サポート体制の良さもQualcommの一つのウリ)、コレをどうにかしない限りいくらチップが良くとも顧客は付かないのだが、この辺りがその後改善してきたのかは不明。
 また、nVIDIAはSHILDやTegra NOTEといった自社ブランド製品を出してきているが、コレも悪く言えば「誰も買ってくれないから自社でTegra採用製品を作るしかない」ということでもある。同じ自社製品採用でも世界中で怒涛の数を売りまくってるSamsungとは話が違うワケで。

 ・・・さて、Tegra4i&Tegra5採用モデルはどれくらい出てきますかね。
 個人的には相当厳しい戦いだと思いますよ。いや本気で。

 ♯最低でも相当なディスカウントが必要なのではないかと。

 E◇MediaTekから64bitARM&LTEモデム入りチップ登場、国内製品に採用されるか。

 MediaTekというとCD-Rを思い浮かべるのは年寄りで、最近は比較的高性能な中華ケータイの中身は大抵コレが入っています(先程取り上げたSperedtrumはもう少し低価格で、その下にはまた有象無象が続く)。中華ケータイは今まで3Gだけあれば良かったので、LTEが入っていなくとも十分商売になったんですな。

 ところが今年このMediaTekから、いよいよLTEモデム内蔵チップが出ます。
 このLTEモデム、実はDoCoMoとその仲間達=国内メーカ連合が開発した技術がベースになっているんですよ。

 ♯ライセンス供与したのは2010年、当時はDoCoMoも国内メーカもここまで市場が変化するとは思っていなかったんでしょうなぁ。

 しかも、Big-LittleのOctaCore構成ということで、CPU部分の性能も悪くない上に、SnapDragon等と比べて値段も比較的安くなりそう。
 今のところLTEが無いばかりに中華ケータイ以外では殆ど見かけなかったMediaTekの「世界進出戦略」チップなのです。

 で、個人的にはコレ搭載製品が国内デビューする可能性は相当高いと思っていますよ。
 少なくともDoCoMoのLTE回線との相性という意味では折り紙付きだし、最高性能ではないけれども相当コスパの高い製品が作れるし。

 同じセグメントにSnapDragon410という対抗製品を(ハイエンド&ドル箱なSnapDragon800の更新前に)速攻で投入してきた辺り、Qualcommも相当警戒している。
 それだけの完成度と言われている製品なワケです。

 F◇AMDからSeattle登場、64bit ARM Server市場立ち上げという博打に臨むも、2014年中には特に動きなし。

 最後にARMサーバの話を。

 2014年、ARMのサーバ向けチップがいよいよ登場。IntelのATOMとの勝負に挑むワケです。
 対するIntelの先制攻撃はというと、正直相当強い。Silvermontは出来が良いし、この後もAirmont、Goldmontと続いていく。
 しかもこの市場、ARMを敢えて選ぶ理由が見当たらない。
 前回のエントリでは「スマホでx86を選ぶ理由が無い」と散々書いたが、同じことですわ。

 なので、この市場はそう簡単に立ち上がらないと思いますよ、自分は。
 2014年中には、そもそもこの市場が立ち上がるかすら分からないかと。

 一方で、例えば去年「googleがARMペースの独自チップを開発する」という噂が出たように、より高い電力効率を目指して汎用品から専用品に切り替えようという動きが出始めているのも確か。
 そうなってくると、カスタマイズが簡単で既に多種多様な目的に特化したチップの実績もある、ARMの強みが活きてくるかも知れない。

 ♯AMDはx86でもカスタムチップは作れるし、現にPS4にもXBox Oneにも提供した実績があるので、別にARMでなくとも・・・という気もしなくもないけど。

 まぁ何れにしろこういう動きも本格化するのは早くとも2015年以降だと思うので、やっぱり2014年中には何も起こらないのではないか、と。

 ♯googleが本気でARMカスタムチップを作る気になった時、それをAMDが取れるかどうかは(AMDのARMビジネスにとって)相当大きなポイントになるとは思うけど。

 ◇

 さて、以上色々うだうだと書いてきましたが、皆様の予想はどんな感じでしょうか。

 ARM近辺は兎に角動きが激しいので、下手すれば1年で市場を失う可能性もあるし、逆に1年でシェア上位に躍り出てくる可能性すらある。
 そういう意味ではx86より遥かに「熱い」世界なのです。

 それでは、3回続きネタもこの辺りで終わりです、はい。

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自作PC「以外」且つハードウェア「だけ」の観点から2014年を予想してみる(x86編)。

 前回に引き続いて、自作とはやや遠いがハードウェア系で個人的に気になるネタをいくつか。
 主としてIntelの動きが目立つのだが、ARM陣営だって黙っちゃいないですよ。
 これまた長くなってしまったので、x86編とARM編に分けます。

 A◇Intelから14nmプロセスAtom、Airmont登場。

 IntelのAirmontは現在のSilvermontのシュリンク版で、タブレット向けはCherryTrailとなり、Windowsタブレットが更に省電力高性能に。
 また組み込み向けでも更に低消費電力を実現する、Intelにとって期待の星。

 ♯そして極一部(当方含む)のオモチャ好きにも期待の星。つかSupermicroのRangeley搭載マザーが欲しい・・・。

 とはいえx86組込市場でそこまで高性能なCPUが要求される場面というのは実は多くはなく、現行Avoton/Rangeley(Atom C2000)~次世代(Atom C3000?)の使命は64bit ARMが来る前にマイクロサーバ&高性能組込市場(高性能NAS等)を席巻すること。AMDのARM Serverへの先制攻撃でもあったり。

 B◇Intel怒涛のスマホ市場攻略。Merrifield、Moorefieldを立て続けに投入予定、でも成功見込は・・・。

 あのIntelが未だに攻略出来ていない「最後の聖域」、スマホ市場に向けて2014年は怒涛の製品投入が予定されていますよ。

 まぁ何しろ既にARMでガチガチに固まっている市場、何とか潜り込もうとここ数年色々手を打っているが、どれも上手くいっていないんですわ。
 理由は簡単で、業界の常識であるARMを捨ててまでIntelを取るメリットが何もないから。ぶっちゃけ製品も全く競争力無かったし。
 それに、ARM近辺のプレイヤーは一度x86に乗ってしまうとIntelに全て吸い尽くされるというのを横目で見ていたPC市場で既に学習しているので、心理的抵抗も物凄い。

 既にx86なTablet等を出荷しているメーカをよく見れば、全て昔からPC市場でお付き合いのある会社だったり。
 結局PCのチャンネルを活かして怒涛の「補助金」を流し込むしか市場攻略の方法が無かったというのが丸分かりなのだが、そこまでしててでも何としてもスマホにx86を入れない限り、x86の出荷は先細りする未来しか見えていないのでIntelも必死なんですわ。

 ♯x86サーバ市場は利率こそ高いが絶対数量を考えるとね。

 そんなIntelだが、2014年には一つのターニングポイントが。
 というのは、今年漸く製品に欠けていた要素が揃い、製品ラインナップで「スタートライン」に立つことが出来る見込みなので。

 その要素というのは、具体的には「LTEモデム」。要するにケータイとして肝心の電波周り。
 実は現在世界で一番LTEモデムの実績を持っている会社=Qualcomm、そしてこの会社はスマホでお馴染みARMな統合チップSnapDragon販売元。なので、普通に考えたら「んじゃ全部入りのSnapDragonでいいや」となりますわな。

 ♯ちなみに最新のiPhoneはQualcommのLTEモデムが入ってます。Appleは意地でも自社製CPUを使いたいので。

 これに対抗するには自社でLTEモデムを持つ必要があるワケなのだが、LTEモデムの開発ってのはカネも時間もかかります。今まで継続的に時間とカネをかけてきたことがQualcommの強さの理由なので。
 そこでIntelはどうしたか。大方の予想通り、カネにモノを言わせてLTEモデム開発部門を当時業界大手(昔のiPhoneはここのモデムを使っていた)Infineonから買収、湯水のように開発費を流し込んで漸く自社製LTEモデムを完成たワケですわ。コレが2014年いよいよ量産に入ります。

 まぁ要するに、漸く「Intel製品だけでまともなスマホ・タブレットが作れる」ようになるのが今年なワケです。
 でも、それでx86なスマホやタブレットが増えるかと言われると、個人的には「それはないな」と。

 ♯念のため、3Gで良ければモデムは既にIntelは持っていましたよ。
  でもIntelがターゲットとするハイエンドスマホ市場に今更「3Gだけです」なんて製品は出せないよね、という話。

 C◇Intel製Apple印ARM CPU登場と、外部ファウンダリ製Intel印x86統合チップSoFIAの登場。

 そして今年Intelについてはもう一つ、従来から完全に方向転換した新戦略が発動する。
 Intelの競争力の源となっているFabでの製造受託規模を拡大すること、そしてIntel自身が外部Fabを使った製品を作ること。

 この辺りは要するに、最近の半導体プロセスの開発費がトンでもない金額になってきたということですな。
 金額が跳ね上がり過ぎて、金満Intelですら自社だけでは限界が見えてきたということ。
 なので、他社製品の受託生産も受け入れて、少しでも多くの製品を作り、投資を回収する必要に迫られているというワケです。
 勿論、この先万が一自社製x86ハイエンドCPUの生産が減少することがあっても会社として利益を出し続ける為の保険という意味もあります。

 そしてもう一つ、IntelのFab(半導体工場)には泣き所があるんですわ。
 それは何しろコストが高いということ。高性能高価格を地で行ってるワケです。
 世間には「28nm以降はコストが高くなり過ぎて元が取れるかどうか疑問」なんて声もある中、この馬鹿高い生産プロセスに見合うだけの価格で製品を買ってくれる客を捕まえる必要があって、実はそういう顧客は世界中見渡してもあまり多くない。

 ♯GFやTSMCが20nmを安定させるのに四苦八苦している中、Intelが22nmのBayTrailを大量出荷出来ているのも一重にカネの力でっせ。
  プロセスというのはある程度数を作らないと安定しないので、製品にならないゴミを大量生産してでも早期にプロセスを安定させるのがIntelのやり方。
  おカネが大事なGFやTSMCはそんなにゴミを生産出来ません、はい。

 そんな自社工場で製品を作ってしまったら、性能は良いがどう頑張っても値段を下げようがない。
 ところが世間では今やハイエンド市場は極少数、圧倒的に薄利低価格のボリュームゾーンを取らないと市場で生き残っていけない。その市場では性能は二の次、まずは価格が重視される。

 そこでIntelはどうするか。
 自社設計のx86コアに、そこらのメーカが売っている低価格なIP(部品みたいなもの)を組み合わせて低価格なファウンダリで生産するという、ファブレス企業と同じことを始めるってんですよ。

 ♯なりふり構わぬってのは正にこのことだが、こういう決断が出来てしまうことがIntelの強さでもあるんだろうなぁ、と。

 勿論コレにはかなり博打要素があって、IP組み合わせやファウンダリ生産には今までIntelは持っていなかった経験やカンが必要だし、組み合わせに失敗すると本当にゴミみたいなものしか出来なかったりするし、結果的にIntelブランドに傷がつく可能性もある。
 また、今までのIntelの「高利益前提の高額投資で製品価格を維持する」という戦略も通用しない。タイムリーに低価格な製品が投入出来るか、それが全てと言っても過言ではない。
 それでもこの市場を取りに行くというのがIntelの決断なんですな。

 ♯つかIntelは昔から買収や外部購入では失敗が多いのよね。前述したInfenionのモデム部門だって3G時代はQualcommと張り合うレベルだったのにLTEでは完璧に出遅れたし。

 そしてその最初の製品が、早ければ2014年後半に登場予定。それがSoFIAというワケです。
 とはいえ個人的にはコレ・・・ぶっちゃけ売れないと思うんだよなぁ。

 ♯だって巷にごろごろしているARMの統合チップで困らないやん。
  敢えてx86取る理由が無いし。

 ◇

 とまぁ、こんなところで。
 ARM編に続きます。

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 自作PC「だけ」且つハードウェア「だけ」の観点から2014年を予想してみる。

 新年一発目のblogネタは、去年に引き続いて当方の願望や偏見のたっぷり混ざった「業界予想」をしてみましょうか。
 短くまとめると、

 「エンタープライズ・モバイル&小型PC向けには動きあり、一方でデスクトップ向けは退屈な一年」

 になりそうですな。
 ということで、始まり始まり。

 1◇CPUもついに命名規則がグチャグチャに。

 従来そこそこ分かり易く揃っていたIntelの命名規則が、今年ついに破綻する見込み。
 というのは、Haswell Refresh、Haswell-E、Broadwellと3種類のコアが同一の「Corei 5000シリーズ」を名乗る為。
 Haswell-EはDDR4を実装するため従来Haswellとは別物になるし(つかコードネーム何で変えなかったんだろねコレ)、Broadwellはプロセスが違うし。

 AMDはというとAPUは辛うじて踏み留まっているが、GPUの方はもうグチャグチャですな。
 そしてnVIDIAは・・・皆様御存知の通りで。

 ということで、グチャグチャ揃い踏みです、はい。

 2◇Haswell Refresh、Corei 5000シリーズ登場。

 Intelがデスクトップ市場を軽視しているのが分かる展開です。
 ・・・実際ここは主戦場ではないので。AMDは自滅済みだし。

 まぁBroadwellが性能向上ではなく低消費電力に振ったアーキテクチャとFabなので、実際問題としてデスクトップにBroadwellが出ても出なくとも大差ないと言えばそうなのだが。
 一方でAVX命令の拡張等は含まれているので、これがAMDに追い上げられている展開だったら間違いなくカネに物言わせて複数Fabを一気に立ち上げ、全方面展開していた筈。

 ♯そして拡張命令を駆使したベンチマークを作らせて「こんなに性能向上しました」とか言い出してた筈。

 3◇Low Power向けとXeon E3-1200 v4向けにBroadwell登場、一部はデスクトップへ。

 ARMとAPUに対抗の必要があるセグメントにはBroadwellが登場。まずは省電力向けFabで製造されます。
 一方、現行のXeon v3の後継にもBroadwellを持ってくるようだが、こちらはどうやらパフォーマンス向けの別Fabで作るのではないかと予想。理由はモバイル向けとデスクトップ向けでターゲットTDPが違い過ぎることで、兼用するのは苦しいのではないかと。
 そしてXeon v4になり損ねたチップはそのままBroadwell-Kとしてデスクトップに投入され、そのうち14nmなFabが安定してきたところで2015年、デスクトップ向もBroadwellに移行、というパターンになりそう。

 4◇Haswell-E(Core i7 5900&Xeon E5-1600 v3)登場、Haswell-EN/EP(Xeon E5-2400/2600 v3)発表。

 Haswell-E系列はDDR4に移行すると言われているので、LGA2011がついにDDR4へ移行。
 一方でHaswell-EN/EPは2014年中に発表はされるだろうが、恐らくブツは出てこないだろうと。急ぐ理由も無いので。

 5◇KaveriそしてBerlinが発売されるも、APUのポジションは現在と変わらず。

 AMDのAPUはというとぶっちゃけ今と同じポジションのままかと。
 CPUをヘビーに使うヲタ以外にはバランスの良い製品だと思うのだが、最近は少し価格盛り過ぎな気もするのですよ。
 そしてBerlinは・・・これそもそも個人で買えるのか?正直結構興味あるのだけど。

 ♯FireGL相当品として扱われると構成的にも値段的にも個人では手が届かなくなるので・・・。

 6◇DDR3メモリは高速品の流量が増加するも容量単価は大して下がらず、DIMM容量も増えることもなく。

 今年1年メモリ容量単価はあまり下がらず、個人的に超待望の16GB DIMMが登場することもない模様。
 唯一明るい話題は、ネイティブDDR3-1866の流量が増えそうってことぐらいですか。

 ちなみにDIMM容量が増えないのは、そもそもそんなに大容量のDRAMチップ自体が存在しないからです、はい。

 ♯16GB DIMMを作るには8GBit DRAMを16枚貼りつければ良いのだが、その8GBit品は未だにボリュームになっていない状況で、辛うじてサーバ用特殊用途(VLP)で偶に見かける程度という。
  え、その上(16GBit DRAM)?未だに試作段階ですが?

 7◇DDR4-2133メモリモジュール登場、でもかなり厳しい船出に。

 Haswell-Eに合わせる形でDDR4の現物が販売開始されるかと。最終的にはDDR4-3200まで行くつもりらしいが、まずはこの辺りでしょうな。

 ちなみに流通量は極少、値段も相当財布に優しくないと思われる。
 本格的に量産がかかるのはHaswell-EN/EPが発売されてからでしょう。

 ♯DDR4世代でサーバではメモリ搭載量が増えるという話があるが、これは現行のDRAMチップをLR-DIMM等の技術で多数実装し数の力で容量を稼ぐという話で、大容量DRAMチップが存在するという話ではないのです・・・。

 8◇nVIDIAからMaxwellが発表されるも量産は年半ば以降に、そしてAMDは値下げで対抗するいつものパターンに突入。

 TSMCの20nmはどれだけ頑張っても先行生産が2月辺り、量産は5月ぐらいになる筈なので、諸々を考えるとMaaxwellの本格流通は今年後半ではないかと。
 とはいえ現物が早く欲しいnVIDIAは先行生産品でカードを作ってくる可能性が高く、早ければ3月に「現物サンプルだけ」は出るかも。

 ♯今更Maxwellが28nmで出てくる可能性は無いと思ってます。

 9◇1.33TBプラッタ3枚の4TB HDDと、4枚の5TB HDD登場。そして容量単価最安値がいよいよ4TBへ移行。

 今年は3.5′ HDDの最大容量が更新されると共に、プラッタ3枚な4TBが流通開始するでしょう。
 プラッタ枚数は製造原価の最大の要素であると同時に、販売価格も決まってしまうのがここ最近の傾向なので、最終的には現在の3TBと同じ「限定特価¥9,980」まで4TB HDDの値段は下がるものと思われる。
 とはいえ2014年中にはそこまでは下がらず、容量単価で3TBと逆転する辺りまででないかと。

 一方、2.5′ HDDは・・・9.5mm 2TBがアキバで販売されるようになるぐらいかな。

 10◇SSDはM2が一通り出揃い、SATA-Expressもアーリーアダプタ向製品が登場、一方で容量あたり単価は大して下がらず。

 SATA-ExpressについてはHaswell-E/X99チップセットでサポートされる・されないという話が飛び交っているが、個人的には突っ込んでくる方に一票。
 というのは、実のところSATA-Expressに必要なハードウェア的要素要件は既に揃っていて、後はBIOS(uEFI)さえSATA-Expressに対応出来れば正直どうにでもなるので。

 ♯極論言ってしまえば990FXやX79でもSATA-Expressに対応出来ます、BIOSさえ作れれば。

 ◇

 自作に近いところではこんなところでしょうか。
 色々書いてしまいましたが、要するに自作メインストリーム領域ではあんまり動きが無さそうなんですよ。

 最後に、自作とはやや遠いがハードウェア系で個人的に気になるネタを・・・と思ったのだが、書き始めたら長くなってきてしまったので別枠にします。
 そちらは結構大きい動き多いんですよ、今年。

 とまぁ、こんな感じで。
 相変わらずのグダグタっぷりですが、今年もよろしくお願いいたします。

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今年の自作PCパーツ市場を振り返る。

 さて、今年最後のエントリは。
 今年年始の1月2日に書いた「予想」の答え合わせをしつつ、今年一年を振り返ってみましょうか。

 まずは答え合わせから。

 ◇◇◇

 当たり:1◇自作PCというジャンルの地盤沈下は加速する。

  →自作PC単独で沈んでるというより、PC全体の地盤沈下に引きずられているというのが正解かと。それでも秋葉原のパーツショップはよく踏み留まりました。

 当たり:2◇小型フォームファクタの躍進が止まらない。

  →NUCは大ヒットこそしなかったが確実に存在感を示し、一方でMini-ITXはマザーもケースも種類が増えてより扱いやすいプラットフォームに進化しました。

 ハズレ:3◇システムドライブはSSDが当たり前に。

  →思ったよりSSDが普及しなかったのは、供給逼迫によるフラッシュ価格の高止まりが原因かと。

 当たり:4◇ThunderboltはFirewireと同じ道を突き進む。

  →いやぁ、流行ってません。

 当たり:5◇Full HD超のディスプレイとFull HD程度のタッチ対応ディスプレイが値崩れ開始、でも注目されるのは前者だけ。

  →始まりましたよ、値崩れが。でも2013年は本当に「始まった」というトコまでで、続きは2014年に期待ですか。

 当たり:6◇LGA1150で今年もIntelはマザボ総入替。
 当たり:7◇Richlandこと6000シリーズAPUの登場、一方Steamrollerはスリップで年越し。
 当たり:8◇Sea Island/Radeon8000 vs Kepler refresh/GTX700 は「一回休み」的ポジションで。
 当たり:9◇DDR3-1866ネイティブメモリ、低価格4TB HDD、メジャーライン1TB SSDの登場。

  →まぁこの辺りは既定路線なので。1TB SSDの登場は個人的予想よりだいぶ早くて、逆に4TB HDDはだいぶ遅かったですけどね。

 ハズレ:10◇アーリーアダプタ向SFF-8639接続SSDの登場。

  →間に合わなかったか。

 ◇◇◇

 以上、8当たり2ハズレでした。まぁまぁのヒット率かと。

 ということで、ここからは自由記述コーナー。今年一年で「自作PC的に」印象的だったネタをいくつか。

 ◇Intel Silvermontの出来の良さ。

 いやコレは強烈ですよ。x86でこの電力効率の良さは正にIntelの底力だとしか。
 ついにIntelはARMに対抗する武器を手に入れたワケです。

 ちなみにこのチップ、中を見ると別の意味で面白いんです。
 というのはこのチップの設計思想は、従来型Intelのそれよりも、むしろCyrixやWinChipといった昔の互換CPUのソレに近いんですよ。
 何というか、時代は巡るといいますか。

 ◇AMDの(事実上の)パフォーマンスCPU市場撤退&APU特化宣言。

 少ない開発リソースをARMとx86に振り分けた結果、x86でパフォーマンスCPUコアを担当するリソースが無くなってしまったAMD。
 時折反論っぽい台詞も聞こえてきますが、事実上AM3+とC32とG34は終焉ということでしょう。
 まぁAMDファンとしては一抹の寂しさを覚えつつも、APUで頑張ると言っているのでそれを見守るしか、ね。

 ♯GFの14n FinFETプロセスでPiledriver実装したら計算上は8コア4GHzを65W以下で十分回せる筈なんだけどな・・・(寝言は寝て言え

 ◇値段の下がらないストレージ。

 今年はストレージの値段が下がらなかったなぁ、と。
 SSDの普及速度も減速こそしなかったが加速もせず、大容量HDDの値段も下がらず。

 ・・・以上、取り敢えず3つ。
 この他、「自作」に限定しない「PC的」になら、以下のような感じでしょうか。

 ・ギリギリになってXP買替特需が発生したPC端末市場、だが特需は続かない・・・地デジの悪夢再現へ

 ・「SP1の法則」が見事に発動したWindows 8.1、今回も定説通り無印8はβ版相当でした

 ・BayTrail-T登場でWindowsタブレットが漸く「ネタでない商品」に

 ・大迷走Microsoftの明日はどっちだ

 ◇◇◇

 以上、こんな記事で今年のblog更新は終了です。
 それでは皆様、よいお年を。

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