さて、nVIDIAのTegraは自動車組込向に舵を切って事実上Android界隈から撤退(折角高いカネかけてLTEモデム作ったのにね)し、こういうPCヲタ界隈ではすっかり話題に上らなくなってしまった今日この頃。
♯まぁ未練たっぷりというか、隙あらば再参戦しようとはしているけど。
同じくというか、頑張ってもミドルレンジまでしかラインナップが無い上にぱっと見ではぶっちゃけ代わり映えのしないことで、一部のファン以外にはすっかり語られなくなってしまったのがAMDのロードマップ・・・とは言い過ぎですかね。
とはいえ、個人的には取り上げないワケにはいかないと思うので。
先日のCES、そしてAnalyst Dayの発表辺りから、AMDの2015年の戦略とロードマップを少し見てみましょうか。
1◇Carizzoで低消費電力枠のシェア拡大に賭けるAMD。
まずは何を差し置いてもコレから。
IPCの向上とGPU強化という既定路線の延長線上、Carizzoは最大TDP 35W枠で、モバイルからデスクトップ代替・AIOまでの幅広いフォームファクタを狙うことに。
メーカー機では今やメインストリームとも言えるフォームファクタに真正面から挑む形で、競合するのはIntelのBroadwell(-U)というこれまたガチンコ勝負。
で、既に漏れてきているベンチマーク結果を見る限りAPU自体の出来はそんなに悪くなさそうなのだが、問題はこのフォームファクタに臨むということ自体が(今のAMDに体力的には)物凄くチャレンジングだということ。
何しろIntel CPUを採用しておけば、そこそこ性能差のあるラインナップを展開しても、メインのロジックボードはCPU以外共通に出来るワケで、作る方にとってこれは有難い。
そこにAMDが乗り込むとなると、まず全く新しいロジックボードを起こすところから話を始めないといけないワケで。それだけのコストをかけても尚AMDを売るだけのメリットが無ければ、実際の製品としては世に出ないワケですよ。
♯IntelとAMDがせめぎあっていた時代ならいざ知らず、今ではAMDを採用しなくともぶっちゃけ売上が目立って減ることも無いワケで。
というワケで、Carizzo最大の挑戦そして問題は、いかにしてメーカー(OEM)に採用してもらうか、Design Winが取れるかだと思われるんですな。Salesに頑張ってもらわないと。
2◇DesktopがKaveri Refreshで引っ張る理由。
自作派としてはExcavatorがデスクトップに来ないのは非常に淋しいのだが、AMDの戦略としては理解出来るというかなんというか。
まぁ要するに、Carizzoをデスクトップに持ってこれるだけの開発リソースが無い、ということ。
逆に言うと、Project Skybridgeがそれだけ開発リソース喰っているかということでもある。
そして、AMDのプランとしては2016年、Project Skybridge世代でDDR4メモリ&ソケット変更予定。
つまり、CarizzoがDDR3メモリのメインストリーム最終形となる。
で、その辺りを織り込んで、モバイル専用として割り切ってしまうことで、SoC化やPCIeレーンの削減、低消費電力向けプロセス採用等が可能になり、Carizzoがより競争力のある商品になった、ということかと。
とはいえデスクトップでも多少新味を出しておかないとマズいので、Kaveri Refresh=Godavariが登場するという話。
但しKaveri RefreshもどうRefreshするかというのが大問題で、28nmプロセス向けの最適化についてはKaveriでも既にカツカツ、あとはプロセスの熟成に頼るしかない上に、何度も書いているようにAPUの構造的弱点であるメモリ速度に足を引っ張られるせいでクロックを上げても性能の伸びは正直鈍い。
そうなると後は価格勝負ということにもなりかねず・・・ん~、辛い年になりそう。
あぁ勿論、オンボード貼付けではCarizzoマザーが出る可能性はあるし(まぁ出るとしたらMini-ITXでしょうな)、値付けさえ間違えなければ出たらそこそこ売れる気はするが、仮に出たところでメインストリームではないですな。
一方、一応デスクトップのSocketAM1がCarizzo-Lに対応してくるかどうかは非常に怪しいのでは。
何しろ、AM1の販売開始時期を考えると未だ1年も経っていないのに、CPU&APUラインナップをアップデートするのは早いと思うので。
♯確かに世代だけ見れば現行品は古臭いが、プロセスも変わっていないし。
◇
以上、ここまでが2015年中の戦略かと。
良く言えば「充電の年」、悪く言えば「我慢の年」になりそう、というのが個人的な印象。
♯・・・ってか、何かこのところ毎年こんなんな気が。
イケイケなAMDもそろそろ見たいんですがねぇ、個人的には。
ちなみに長くなってきたんでここで一旦切りますが、次エントリでは2016年以降のトコを少し見てみようかと。