WDの意地キター。

 Seagateが375GBプラッタ4枚をSAS仕様14.7mmケースに詰め込んで「世界初の1.5TB 2.5′ HDD」なんて言ってから暫く、WDから意趣返しというか意地の張り合いというか、そんな製品が出てきましたよ。

 その「世界初の2TB 2.5′ HDD」は500GBプラッタ4枚をSAS仕様14.7mmケースに詰め込み、更にメーカー曰く専用制御基板搭載で外付のUSB-SATA変換ブリッジはナシとのこと。

 しっかしついに、2.5インチで2TBの壁にブチ当たる時代になってきたのね。
 こうなってくると、3.5インチHDDの立場って・・・

 昔「BigFoot」ってあったよね、って思ってしまうのはオッサンの証拠ですな。
 あの製品自体は割とあっさり撃沈したけど、思想が時代が追い付いていなかったってことなのかも。

 でも冗談抜きに、これからの時代のHDDがどうなるかは見ものだと思う。

 ◇

 データストッカーというかストレージ向というか、兎に角「容量が正義」な製品は最後まで残るでしょう。
 個人向け・組込向け・エンタープライズ向け問わず。

 個人向けだと、SeagateはBarracuda LP/Greenを止めて7200rpmのBarracuda 1本に絞ったのでコレしかない。
 WDはもちろん、容量が正義のGreen。というか「容量は正義」というコンセプト自体、このWD Greenが元祖なんだよなぁ。

 エンタープライズ・組込系ならいわゆる「ニアライン」、SeagateならConstellation ES、WDならRE。
 同じ組込でもAV向けはセミカスタムなのでシリーズ名なんてあって無いようなものだが、SeagateならPipeline他、WDならAV。

 ◇

 次に、エンタープライズSASの15Krpm系の製品もそれなりに続くと思われる。
 もちろん2.5インチフォームファクタ限定だが、エンタープライズの信頼性をSSDで求めるとまだ価格容量比がシャレにならないのと、エンタープライズでも常にSSDクラスのIOが必要ってワケでもないので。

 というか、エンタープライズHDDのうち少なくない割合が「信頼性だけを求めて」採用されていると個人的には思っているのよね。
 もちろんその中には、より安価なニアラインHDDとか、ヘタするとデスクトップ用で代用する動きもあるのだけど、ニアラインとエンタープライズの間の線引は今のところ結構かっちりしている(当然デスクトップとは雲泥の差)ので、これは本流にはならないと見ていまっせ。

 もちろん、この辺りも最終的には時間の問題でしょうな。
 SSDの怒涛の進化と、デスクトップ用途やI/O特化用途で導入されたモノの運用実績やノウハウが溜まってくれば、ジワジワとSSDがシェアをあげてくる筈。エンタープライズHDDの容量単価と高速IOのメリットを考えれば、「一線を超えれば」デスクトップよりも浸透は早いかも知れない。

 ただ、この「一線を超える」まではもう暫くあるんでないかな~、と。
 エンタープライズ甘く見るなよ、と。
 今のところ、エンタープライズ用途に耐えられるのは最初からそれ前提で作られた極一部の製品だけ、当然値段もぶっとび価格。

 ♯実際使ってみるとIOの強さにこれまたぶっとんだりするんだけどね。特にVMとDB。

 ◇

 そして最後に、デスクトップ向け3.5インチはそのうち無くなるんでないかな、と予想。
 だって3.5インチにこだわる理由が無いんだもの。

 私自身も一部の(デスクトップ)PCには2.5インチHDDを使っていたりするが、既に小容量では2.5インチと3.5インチの価格差も無ければ、パフォーマンスの差異も(問題になる程には)存在しない。

 HDDメーカの方を見ても、3.5インチの小容量品を生産し続ける動機が見当たらないし、実際に小容量品はどんどん無くなってる。
 まあ、PCメーカーのオーダー品なんかでは時折製品ラインナップに無い筈の小容量品が出てきたりするので、市販PCのフタ開けてびっくり、なんてこともあるんだけど。

 で、このまま順調に3.5インチの容量が伸びていくと、そのうち「普通の人が取り敢えず欲しい容量」と「3.5インチHDDの最低容量」が乖離していって、必然的に2.5インチに移行すると思うのですよ。
 だってほら、今時のPC部品で、小さくて省電力で、おまけに発熱低くて静音で、困ることなんて何もないし。

 それに、もしメーカーが既存の筺体をどうしても使いたいという場合でも、変換マウンタ一つ噛ましてあげれば良いだけだし。
 その際に筺体のHDD固定方法が特殊で・・・という話があっても、コネクタ位置&ネジ位置が3.5インチHDDとぴったり合うマウンタ類も実際存在するので、別に困りやしない。つかその場合、WDのRaptorみたいにHDD屋がマウンタとセットで供給すれば話は更に簡単。

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 とま、こんなところで。

 とはいえ、現在の垂直記録技術では3.5インチで1.6TBプラッタ、2.5インチで800GBプラッタぐらいが密度限界と言われているので、さてどうなることやら。
 この密度だと3.5インチではプラッタ5枚の8TB、9.5m厚の2.5インチでは1.5TB、12.5mm厚の2.5インチで2.4TB、SAS互換の14.7mmでは3TBとなりますな。
 ・・・今3.5インチの最高密度が4TBだから、ざっとその倍ぐらいですな。

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