エンタープライズの常識、デスクトップの非常識。

 久し振りのHDDネタ連投。
 
 エンタープライズRAIDでは常識だが、個人で手が届くRAIDカードにも是非搭載して欲しい機能がある。
 というか、個人的にはRAIDを名乗っているのに何でこの機能が無いのか不思議だし、別にRAIDでなくとも効果はあるのでOSレイヤで搭載してくれたっていいと思っているのだが、とにかく搭載して欲しい機能。
 
 それが、セクタリフレッシュとかセクタオーバーライトとか言われる機能。
 
 これは何かというと、読み出したデータをそのまんま同一セクタ上に上書きする機能。同一データを上書きすることで、データ内容を壊さずに且つ磁性体がリフレッシュされるので、データの保存性が高まるというワケ。
 
 HDDのプラッタなんて、スケールこそ違えどもやってることは磁気テープと一緒。磁性体の向きを変えて記録しているので、時間が経てばどんどん磁性体は弱くなってくるんですよ。対策としては、定期的に同一データを上書きしてやって、ヘタった磁性体をリフレッシュさせるしかない。
 
 このデータの確実な保持のためのリフレッシュ機能、エンタープライズストレージでは常識で、同一の物理ディスク上で実行するものだけでなく、定期的に別の物理ディスクにデータを移動し続けることで磁性体の鮮度を維持し続ける、なんてタイプもある。

 ◇ 
 
 で・・・何で突然こんなことを言い出したかというと。
 最近時々、非エンタープライズのデスクトップ用HDDでこんな事例を聞くようになったので。
 
 1) 久し振りに昔のデータを読み出そうとしたらエラーになった。
 2) 慌ててHDDを交換して、救えるだけのデータは救出した。
 3) 壊れている?元のHDDのデータ消去をやったら、エラーが消えてしまった。
 4) そのHDDを検査しても、エラーなんか出てこない。どうなってるのさ?

 まあ単純に不良セクタが発生して、データ消去で代替が割り当てられただけかも知れないのだが。
 この「久し振り」ってのが年単位だったらどうでしょう、と。

 非PCヲタのパソコンの中には、年単位でアクセスされていないセクタなんて別に珍しいものではない。
 とはいえ、1年も放ったらかしにされたら、ウィークセクタ(不良とまでは言えないが比較的磁性体の弱い場所)からデータが崩れ始めていても別におかしくはない。
 その状態ではリードエラーにはなってしまうが、再度データを書き込んであげればまた暫くは大丈夫なので、エラーは消えてしまうということ。

 まあ兎にも角にも、プラッタ密度がガンガン上がってどんどん繊細になっていくHDDに、もう少し優しくというか「そういうもの」として取り扱うって発想は無いのかな、と思うワケですよ、自分はね。

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