さて、先日のXpand!2の¥100ぐらいセールに続き、勢い余ってAIEP3(AIR Instrument Expansion Pack 3 Complete)アップグレードまで¥9Kセールで買ってしまっていたので、レビューという程丁寧ではないが、ざっくり感想をば。
まずは全体の傾向として。一言だと「あぁWizooだな」と。
・物量勝負ではなく出音勝負
・シンセの出音が良い割にCPU負荷が軽い
・生音もソツなくこなし破綻は無い
最近の高音質且つリソースバカ喰いなソフトシンセやサンプラーと真っ向勝負ということにはならないが、小回りきいてコスパ優秀といった感じ。
但しここで言うコスパの前提は完全新規購入の$499ではなく、AIR製ソフトシンセの正規品を1本でも持っていたら使えるアップグレード価格の$149ということにはご留意。
AIRはアップグレード価格の値付けがおかしいので、最初に何か1本を正規で買って、そこからアップグレードした方が完全新規購入よりトータルでも安くなる。
例えばDB-33(オルガン音源)辺りだと定価$79なので、これを最初に購入して次に$149でアップグレードすると合計支払額は$239と、完全新規の半額以下で全く同じものが手に入る。
しかもPlugin boutique辺りではしょっちゅう値引やオマケ付のセールをしているので、それを上手く使えばもっと安く買えることも珍しくない。
♯例えばこの記事を書いている時点(2016/10/13)ではAIEP3 Completeのアップグレードを定価の半額セール中で、¥8K以下。自分が買ったときより安いし。
これだけ先には買えないのでアップグレードの元になる1本を探すと、丁度DB-33が7割引セール中で、¥2.5K。両方買って合計で¥11K以下。ほらコスパ優秀。
勿論、以前ネタにしたXpand!2も付いて来まっせ。
一方で例えばXpand!2だけ「単品で」買うと・・・只今定価販売中なので¥11Kぐらいですな。ね、値付けおかしいでしょ。
或いは、M-AudioやAKAI Pro等のハードウェアにバンドルされたタイトルからも割引価格でアップグレードが出来・・・た筈、確か。自分はそういうハードウェアを持っていないので詳細は不明なのだが。
但し最近のソフト盛り盛りバンドルなハードウェアだと、アップグレードしてもコスパ微妙になってしまう可能性もあるので、欲しいタイトルがどれだけあるか指折り数えていただければと。
閑話休題。
以下、個別タイトルをば。独断と偏見に基づき、☆の数で3段階評価。
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・Hybrid 3 – ☆☆☆
音の太さ、音色の幅広さ、操作の分かり易さ、処理の軽さ、全てが高度にバランスしているWavetableシンセ音源。
これは良いですよ。他人にもお薦め出来る。
Wavetableシンセとして見てみれば、各モジュールの機能が特に凝っているということもなく、モジュール数が多いとかいうことも無い。が、そこは組み合わせの妙というヤツなんでしょう。
分かり易いパラメータと操作が視覚的に確認出来るGUIの組み合わせで、プリセットから引っ張り出した音の調整も、自分で最初からの音作りも、どちらも捗りまっせ。
ということで、お気に入りのシンセ音源が未だ見つかってない、手持ちのシンセ音源にピンと来ないなら、是非お試しあれ、と。
♯個人的にはここまでいい感じの音源だとは思っていなかったので嬉しい誤算。
・Loom – ☆☆
Additive音源の扱いにくさをどうにかしようとして明後日の方向に走ってしまった感が・・・どうしてこうなった。
確かにAdditiveならではのキラキラした音が出せるし、独特のモジュール構造で色々な処理が出来るので音作りの幅も広いのだが、引き換えに失ったのは音作りの分かり易さ。狙った音を出すどころか、どういう風に音が変化するのかすら追いかけるのは相当難しい。
一応パラメータマクロ等でユーザビリティを高めようとしてはいるものの、これまた中途半端な出来で、プリセット音の調整程度にしか使えないなぁという感じ。
要するに、トラックメイク向きではなく、音作りに凝れる、シンセと戯れてると幸せな人向けの音源。
個人的にはこういうのも嫌いではないのだが、他人に勧められるかと言われるとムリとしか。
・Vacuum Pro – ☆☆☆
シンプルな造りのアナログエミュシンセだが、その分見た目も出音も分かり易い。その上音も太いので十分使い物になる、触っていて楽しい音源。
この「触っていて楽しい」ってのは結構重要な要素だと思うんですよ。
ちなみに真空管全力推しみたいな製品紹介だったりUIだったりするが、基本音はクリーンで、目いっぱいドライブしてもそこまでサチらないのが唯一の不満といえば不満。
もっとヴンヴンしてくれて良かったんだがなぁ。
・Structure – ☆
Wizooが珍しく物量作戦を繰り出してきたサンプラー。
いわゆるサンプラーに必要な機能一式はまぁ装備している一方で、37GBもある肝心のサンプルの方に悪い意味でWizooの「ソツない音」力が発揮されてしまっており、これがどうにも。
悪い言い方すると「つまらない音」なんですわ。
某社の看板商品のように得意不得意が強烈ということもなく、破綻していることもないのだが、かといって得意な音があったりもしない模様。
サンプラーに初めて触るとか、音ネタだけは既に大量に持っているというならまぁ触ってみるのも、とは思うが、他にお気に入りや馴染みのサンプラーがあるなら乗り換える必要性はまぁありませんな。
・Strike2 – ☆☆
これまた物量作戦を繰り出してきたサンプリングドラムマシン。
リズムパターンが一通り入っており、調整出来るパラメータもあるのは良いのだが、19GBもある肝心のドラム音の方がこれまた「ソツない音」力が悪い方向に発揮されてしまっているという。
最近のドラム音は一昔前の感覚よりもライブ寄りになってきている気がするが、コレは一昔前の感覚のものなので、余計そう感じるというのはあるかも知れない。ポジティブな表現をしても「大人しい」音、ということで。
まぁこういうものなので過剰な期待は禁物だが、BFDとかADとかの本格的なドラム音源を持っていなければ取り敢えず悪く無いのではないかと。
・・・つかStructureもコレもって、要するにWizooってサンプルの扱いは下手ってことだよね。
・Velvet – ☆☆
この出音がこの軽さ、Wizooの持ち味が良い方向に存分に出ているエレピ音源。
個人的にはエレピの音にはあまり拘りが無いので、もうこれで十分としか思えないという。
というか、個人的にはコレのおかげで以前から持っていた(有償だがお手軽級の)他のエレピ音源が引退することになりそうなぐらい。だってこっちの音の方が好みなんだもの。
但しいわゆる「物量作戦サンプリング音源」と比べるとやっぱりというレベルなので、エレピの実機の音に拘りのある人は他を当たって下さいな、と。
◆
・・・とここまで書いたところで思ったより長くなってしまったので一旦切り。
続きは次のpostで。