何故自分がECCメモリを信仰しているのか、或いは信仰を継続出来るのか。

 本文は長ったらしいので、まずまとめ。

 メリット
 ・メモリチップ故障他トラブル発生時に検出出来る可能性が高い
 ・ソフトエラーに対する耐性が向上する

 デメリット=維持コスト
 ・十分高品質なnonECCメモリと同等品質のECCメモリの値段差はそこまで大きくない
 ・低価格なマザーボードとCPUという選択肢も未だ残っている

 結論
 メリット>デメリット、よって信仰は継続する

 以下、うだうだ。
 長文駄文注意。

 ◇

 まず、メモリチップ故障検出について。

 実は当方がECCに一番期待しているのはコレだったりする。メモリ故障や相性トラブル等が発生した際、それが検出出来るということ。

 個人的な感覚かも知れないが、PCを使っていて一番イヤな状況は「データが無くなる」ではなく「データが化ける」ということなんですな。
 というのは、一般的に「データが無くなる」ってのは明確な故障やトラブルで、実際にデータがロストした場合そのことを直ちに認識する確率が非常に高く、慌ててリカバリをかけることが出来る。
 ところが「データが化ける」というのは一般的にその状況がその場では認識できず、ヘタするとずっと気づかず、いざ気づいた時には既に手遅れ、という状況に陥る可能性が決して低くない。俗に「サイレントクラッシュ」と言われる状況、これはホント勘弁して欲しいです、はい。

 #他にもパリティを使うRAID(RAID-5/6)では管理or運が悪いと発生する可能性がある。ので、個人的にはRAID-5/6はあんまり好きではなく、単純ミラーのRAID-1が好きなのよ>自分。

 ◇

 次に、ソフトエラーの確率について。

 現在のDRAMは一時期の製品よりソフトエラーの発生確率が抑えられている模様。というか、プロセス微細化に伴いソフトエラーの影響を受け易くなり過ぎたため、メーカが慌てて対策を取った結果として一昔前のレベルに戻せた、というのが実際のところらしい。
 それでは、現在のDRAMではどうなんだろう・・・ということで、色々と資料を当たってみたところ、一応こんな感じの数字が出てきた。

 海抜0m地点で、1年間に1つのチップでソフトエラーが発生する確率は2%程度

 ところで、DRAMモジュールには大抵16個(両面実装)のチップが貼り付いている。最近の大容量メモリ搭載傾向に合わせて、両面実装のDRAMモジュールを4枚=64チップ実装した状態を想定すると

 海抜0m時点にあるPCを1年間稼働しっぱなしにした場合、ほぼ確実に1ビット以上のデータ化けが発生する

 ちなみに宇宙線の影響ということは海抜が影響するということで、例えば富士山の頂上ではこの確率は10~15倍に跳ね上がるし、そこまで行かなくとも海抜の高い土地、例えば富士吉田や清里といった場所でも東京の3~5倍程度にはなる。

 さて、この確率を高いと見るか、低いと見るか。
 個人的には正直「気分的にイヤだな」程度。連続稼働を前提にしないなら特別気にする必要もないが、連続稼働する前提だと対策が出来るならしたいよな、とかそんな感じで。

 ◇

 最後に、上納金?御布施?について

 現在のところ、このECCメモリ信仰を継続するコストは、大したことは無いんですな。

 というのは、唯一ASUSだけとはいえ通常のデスクトップ向けAMDプラットフォームでECCメモリをサポートしている上に、きちっとしたメーカーブランド品であればnon-ECCとECCのメモリの値段差、実は大したことが無いんですよ。

 #但し、それなりに賢い買い方をした場合に限る。ECCメモリは一般的には「特殊品」なので流量も少なく、何も考えずにそこらのパーツ屋の店頭で買おうとするとトンでもない値段を吹っ掛けられることも少なくないので、念のため。

 更に、ECC信者には最近嬉しい傾向が一つ。
 というのは、SupermicroやTyanといったメーカの1P Xeon/1P Opteron対応マザーの値段が以前と比べればだいぶ下がってきている上に、本家Intelですら1P XeonのCPUの「プレミア」価格をだいぶ下げてきたということ。
 おかげで、使用している部品の品質や装備している管理機能等を考えれば、個人ベースでここら辺のマザーを導入しても十分に元が取れる状況が増えてきたのであり。

 例えばTyanやSupermicroではオンボードLANはIntelかBroadcomが普通だし、SASといえばLSIのチップが載っているのが定番。ここら辺のモノを単品の拡張カードとして普通のデスクトップ用マザーに追加するコストを考えると、これらのチップが最初から載っているTyanやSupermicoのマザーを買うのと殆と変わらなかったりする。しかもその上、特にSASなんてのはデスクトップ用マザーでは相性問題を起こし易いので、組み合わせはある程度慎重にならざるを得ないが、最初からオンボードなら少なくとも最低限の相性問題はクリアしている。

 #とはいえ2P以上は相変わらずウホウホなお値段。1Pだけ下がってるのは各社の意図というか戦略だとしか思えん。

 ◇

 とまぁ、そんなところで。

Share