今回もうだうだ長いので、まずはまとめ3行。
・MQAって最近何だか微妙に流行りつつあるらしい。
・MQAの高音質化のアプローチ自体は結構悪くない気がする。
・フォーマットと高音質化アプローチを一緒くたにしている現在のマーケティング手法はダメ過ぎ。
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さて、巷ではほぼ話題になっていないが、俗にいう「おーでぃおふぁいる」なる人々の間で話題になっているらしい「MQA」というフォーマット。
ハイレゾについていろいろ調べたり考えたりしている過程で引っかかってきた単語なのだが、個人的には「理屈に納得」した部分と「え゛ー」という部分と両極端だったので、取り敢えず触れてみる。
但し、現在のMQAのマーケティング手法が正直あまりにも分かりづらく、かえって混乱を招いているだけな気しかしないので、
・MQAの高音質化アプローチ=「時間軸で音を正確にする」
・MQAフォーマットの原理と特徴=「高域を低域に埋め込む」
の2パートに分割して、取り敢えず以下に書いてみる。
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以下、「時間軸で音を正確にする」とはどういう意味かについて。
これ以前自分が書いたネタ。というか、前回書いた元ネタの方がコレ、というネタバレ。
詳細は前回のエントリ読んで下さいな。ざっくり言うと、時間軸での音のズレや変化に人間は結構敏感っぽい、という。
振り返って、近年のオーディオ制作環境を見てみると、という話ですよ。
最近の制作現場では基本的にデジタルの世界で音を捏ね回す。デジタルの素晴らしいことは伝送時にノイズが入らないことで、おかげでノイズフロア(無音時の雑音)が下がり、ダイナミックレンジが稼げるようになったと。
更に、様々に音を加工しても劣化が少ないため、音源に対してアナログ時代には信じられない程の手を加えているというのが現代のオーディオパッケージ。
が、デジタルの世界ではこの時間軸の変化が忘れ去られてきたのではないか、というのがMQAの主張。
時間軸での変化が発生した結果、再生した音は当初の音とはかけ離れてしまう、と。
実際問題として、デジタル世界でもフィルタを使ったりすると時間軸の変化は避けられない。これは数式ではじき出せる「原理」「理屈」そのもので、避けようがない。
一番分かり易いところでは「リニアフェイズ」アルゴリズム。
実際に処理した結果を見ると、実際の音の波形の前後に追加の波形が発生してしまう=時間軸では明らかに変化している。名前の通り位相こそはズレないのだが、逆に位相をズラさない為にはこれは不可避という。
他にも、変換で使われるディザリング等、この時間軸での変化を発生させるポイントは、デジタル世界で処理していても相当に多い。
しかも実際に処理に使われているアルゴリズム=数式を解いてみても、原理的に発生するもの。
つまり、時間軸で見ると音はどんどん「正確」ではなくなっている、というワケですな。
これが音質にとって致命的によろしくない、という主張ですよ。
それに対して、MQAではどうするか。
肝心のこの部分は、残念ながらきちっと書かれている文章は見つからず。
とはいえここまでの流れを考えれば「ざっくりした」方向性は明確で、意図的に逆方向の時間軸変化を加え、結果的に時間軸のズレや変化が少ない音源を作る、ということではないかと。
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以上、MQAの高音質へのアプローチ、でしたとさ。
えっと・・・何となくBBEが思い浮かんでしまったのは自分だけですかね。アレはマイクやスピーカーという物理的な制約によって発生する群遅延特性を改善する為に電気的に補正をかけるというアプローチだが、「時間軸で補正」というのが共通点なので。
さて、ここまでで予定よりだいぶ長くなってしまったので、「MQAフォーマットの原理と特徴」は次エントリにて。