6Gbps対応SATA PortMultiplierが勢力を広げてる件、或いはSATAストレージ関連チップが今やMarvell無双な件について。

 いやね、まさか出まいと思っていたのだが、ホントに製品が出てきちゃいましたよ。
 HighPointからゲテモノ2世が。型番はRocket 750、「40ポート」を名乗るHBAです。

 という訳で、こんなモノを見つけてしまったので勢いでエントリを書いてしまったり。

 ぱっと見では40ポートというインパクトが強烈だが、実態はこれ、8ポートSASコントローラの88SE94858の各ポートに1:5のPMPである88SM9705を繋いでいるという代物。
 力業ってか何というか・・・ねぇ。

 ところがこれが本当に凄いのは「2世」ということ。
 それではゲテモノ初代はというと、のHighPoint DC7280という「32ポート」HBA。
 コレはPMPが1:4構成だったので8ポートを分けて合計32ポートとなっていたが、更にPMP自体が3Gbpsチップというオチがついていたという代物。
 パフォーマンスという意味ではとうてい期待出来ないが、その分ポート数の割には安いという値段を全面に押し出していましたな。
 そんな代物の後継モデルが出たってことは・・・売れたってことなんだろうなぁコレ。

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 いやはや、SiliconImageはもう既に市場撤退済、JMicronもすっかりやる気の無い、6GbpsSATAの世界。
 ASmediaという新規参入もあったが未だ殆ど誤差の範囲で、事実上Marvellの天下。

 そんなMarvell、6Gbps 4ポートをPCIe 2.0 2xで束ねるというあんまりやる気のない(実効では全ポート合計700MB/sぐらいしか出ない)88SE923xというチップを販売していて、しかも他に選択肢が無いのでそこそこ売れているという状況であり。誰がどう見ても本気の新製品なんか出しようがない状況ですよ、これ。

 が、Marvellには別の計算と野望があったんでしょうな。
 んで、その野望の為にリリースされたのが6Gbpsに対応したSATA Port Multiplier、88SM9715/9705/9713/9703、ポート数とバックプレーン管理機能の有無で4種類。このうち末尾が「5」のモデルは5ポートを持つフル機能PMPチップ、と。

 で、この「別の計算と野望」というのは、低価格且つ大容量なニアライン系SATAドライブを大量に束ねる「安価な多ポートのDAS用コントローラ」ジャンルの市場制圧。
 このところの「オンラインストレージ」や「小中規模事務所向けNAS」の大流行で、コスト圧力が高いこのジャンルで商機があると見込んでいるんでしょうな。
 そしてそんな市場向けに高価なSAS Expanderでなく安価なSATA PMPを投入するために作れられたのがこの88SM9715シリーズ、と。

 ♯このチップのお陰で、帯域幅の有効活用という意味で初代と比べ大幅にゲテモノ度が下がってるのよね>Rocket 750。
  使い方にハマれば(ZFSとか)意外と使いでがありそうな気がする。

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 ちなみにMarvell、実は世界初のNVMHCI対応チップの発売元でもあります。
 これ、以前にもネタにしたSATA-Expressで使用されるSSD側の統一規格ですよ。
 チップの発表は2012年1月で、この88NV9145チップをベースにしたSSDも既に試作され、MSもNVMHCIのドライバ作ってます。
 PCIe2.0 x1というのが今となってはやや残念にも見えなくもないが、所詮PCI-ExpressなんでいざとなりゃPCIe-Switchとか使えばその辺りはどうにでも、という話。

 ♯実際にMarvellもPLXのスイッチを使って8chをパラ(=RAID-0)で使うリファレンスカードを作っているし。

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