さて、2016年初と言いつつもう1月も終わりというエントリはこんな感じで。
毎年恒例?PC業界ネタを書いてみますか。とはいっても今年も特に予想は無しで、個人的「今年の見所」的な感じで。
まずはPC業界から。
1◇PC離れの一段の加速、現業各社は踏み止まれるか。
いやね、ホントにコレですよ。
国内PCメーカーの大集約の噂は絶えないし、パーツ業界は兎も角パーツの元=デバイス業界では大激震が継続中。
これは本当に今年(も)何があっても驚かないというか。
ちなみにエンタープライズITの世界はコンシューマ以上に色々動きが激しいので、ここでは詳しくは書かないけれどもやっぱり見逃せないですよ。
2◇アキバのPCパーツ屋はeスポーツの夢を見るか。
少し前にも書いたが、昨年から急に「盛り上げてる」eスポーツことPCゲーム。
自分はeスポーツ自体にもゲーミングPCにもケチを付ける気も否定する気もないが、ソレが今年一年で国内でそんなに広がるか、アキバ発のムーブメントと言われる程盛り上がるか、と言われると「そりゃないわ」としか思えないんですよ。
そしてパーツ屋なんて元々薄利店舗、いくら先行投資だと頑張ってもムーブメントが来なければ息切れしてしまうのは目に見えている。
ということで、「eスポーツショップ」が今年1年を乗り切れるのか、1年後のゲーミングPC市場はどうなっているのか、というのは結構注目して良いネタだと思いますよ。
ここでもしS.Kazの予想が完全に明後日に外れてeスポーツ関連が大盛り上がりしようものなら、アキバのPCパーツ屋は暫くは安泰でしょう。
でも当方の予想が的中してしまったらいよいよ、アキバのPCショップは電気&電子パーツ屋・アマ無線店・オーディオショップと同列の「あぁそういう店もあるよね」という一群に入っていくのでしょうな。
♯その時アキバは何の街と言われるようになるのでしょうかね。
今まで通りの「ヲタクタウン」のままかしらん。
3◇撃沈が先かZEN発売が先かのAMD。
何度もネタにしているように自分はAMD派だが、その自分をしても正直こう思わざるを得ないぐらい本気で瀕死の状態のAMD。
QualcommやらMSやらが買収に興味を持っているという噂が絶えない中、今年中ZENが出せなかったらいよいよ爆死しまっせ。
取り敢えずAM3+のリフレッシュマザーが今更各社から出ていることを見ると、AM4のデビューは最短でも6月のCOMPUTEX TAIPEI、下手すると9月ぐらいになると思われるが、せめてアキバで財布握りしめて頭抱えられるぐらいにはなって欲しいのですよ、いやホントに。
♯その為にもAM4には是非ECCを。
4◇NVMeブレイクなるか。
Flash Memory Summitでの各社の製品の準備具合を見るに、今年は各社から一気にNVMeなSSDが登場する筈。
フォームファクタもM2、M2にPCIe変換アダプタ、性能重視のPCIe形状のものと幅広く出揃い、R/W共に1GB/S超えが「フツー」に。
それともう一つ、今年現物が出て来るかどうか見物なのが、性能はそこそこながら非常に低価格なNVMe SSD。
俗に言うDRAM-Less SSDなのだが、NVMeでは最新のコントローラの仕様(1.2)としてホスト(PC)のメインメモリを作業領域として使う手法(HMB)が定義されているので、これを駆使することでSSDの部品を減らし価格を抑えるというシロモノ。
ポイントはSATA版のDRAM-Lessと違い性能へのダメージがそこまで大きくないことで、PCIeバス速度も手伝って、実装次第では現在のSATA接続のSSDを上回る速度を出すことも難しくない。なので、これが出回り始めたら相当インパクトあるのではと。
ちなみにSATA版のDRAM-Less SSDは現在進行形で勢力拡大の真っ最中。
NVMeと違ってSATAではDRAM-Lessのハンデは大きいのだが、Windowsならメインメモリをキャッシュに使うソフト(RAPID CacheとかPlexTurboとかあるアレ)である程度カバー出来るし、いくら遅いとはいえHDDよりは速いし、何しろストレージに対するコスト圧力はハンパない。
なので、このままNVMeが広がり高速SSDは順次移行し、SATAなSSDには最終的には低価格なTLC+DRAM-Lessしか残らないとも予想されていますが、さて実際はどうなりますかね。
♯にしてもこの勢いで行くと、SATA Expressは結局出番が無いままになるような。
5◇Microsoftは何処へ行く。
今年も一年、色々とトラブル起こしたりPC業界沈没に加担したりする予定のMicrosoftは目が離せません、いやマジで。
年明け早々「SkylakeはWindows7サポートさっさと切るぜ」宣言をしてみたり、やりたい放題ですわ。
そこまでしてWindows10に移行させたいMSの意思は理解は出来るが同意はしない、それは兎も角。
自作PCユーザーの中でも一定数存在する、どころか大多数だという話すらある「Windows7で頑張ります」派。
SkylakeではUSBドライバ絡みの話もありWindows7の導入がただでさえ面倒臭いことになっているところに、MSのこの発表。
「んじゃHaswell RefreshやBroadwellで」となる群がどれだけ出るのか、エンタープライズの端末更新サイクルに影響が出るのか、はっきり言って自分には影響が全く読めません、はい。
そいえば今年秋にRedstoneとかいう旧来表現で言うところの「R2」が出るらしいが、これもまた一悶着あるんでしょうな。
◇
次、もう少し大きくIT業界で。
6◇ファウンダリ各社は14nm量産開始出来るのか。
Intelに突き放されまくっていたファウンダリ各社、大金を投資してきた14nmプロセス開発の成果がいよいよ今年から花開く予定ですよ。
特にスマホ向けARMとGPUにはこの恩恵は大きく、20nmでは思った程消費電力の下がらなかったARMハイエンドプロセッサも14nmでは一段消費電力が下がる見込みだし、GPUに至っては現状の28nm比で「ワッパ」こと電力性能比が2倍程度まで上がる筈。
・・・というか、GFの14nmが即立ち上がってくれないとAMDの爆死が確定してしまうので、マジお願いします、はい。
7◇IntelはIAスマホに固執するのか、IoTに賭けるのか。
このところずっとスマホ業界に御執心なIntelだが、カネばかりかかって彼ら的に満足出来るマーケットシェアには到底達していないままズルズルと来ているのが現実。
♯業界標準のARMから今更x86に移行する積極的理由が無いんだもの、当たり前。
一方でIoTという更にスモールファクタで且つ数だけは捌ける世界が一気に広がってきており、ここにIntelがどれだけ肩入れするかは正直まだ見えていない状態。
勿論小さなSoCやらは提供しているものの、自分にはあくまでも様子見モードにしか見えない。
とはいえもし本気でIntelがIoTにもx86を入れたいなら、もう時間的猶予はあまりない。
遅くとも今年中には何等かのアクションを示さないと、現状のARM占有を引っくり返すことは永久に不可能になる、というのが自分の意見なのですよ。
なので今年IntelがIoT関連でどういうアクションを取るか、個人的にちょっと興味があるのです。
なんてったって金持ちなので、カネの力を発動させるという手もあるんだし(スマホ業界では不発続きだけど)。
8◇今年こそ来るのかARMサーバ。
実際の製品という意味ではもう数年前から出ていたりするのだが、昨年はARMが純正(と言うのかコレ)のサーバをお披露目したり、今年頭にOpteron A1100が漸く正式発表になったり(つかアナウンスから1年経っているし開発ボードはとっくに出回っているのだが)、少しずつ近づいてきたように錯覚してしまうのがARMサーバ。
現実には未だ「モノはあるんだけどね」状態なのでブレイクとは程遠いという。
そんなARMサーバ、今年その遅い歩みが一歩でも進むのか、或いはまったく進まないのか。
生温い目で見守ってあげましょう、はい。
9◇何度も「元年」のVR、今年こそブレイクするか。
IT業界でこのところ毎年「元年」が繰り返されているもの何~んだ、と訊かれたら自分は間違いなく「ARとVR」って答えますよ。
Google glassがビミョーなことになってしまった以降もHMDの類は各社から登場しているのに、特定業務で採用されたという話ぐらいしか出てこないのがAR。一方、2012年にOculus Riftが発表されて以降、こちらも掛け声ばかりで実態はヲタクのオモチャから一歩も踏み出せていないのがVR。
そんなVRですが、今年はOculus Riftのような没入型(ゴーグル型)HMDが他の数社からも発売されて、nVIDIAもAMDもソレをターゲットにした準備をしている等、久々に大きく動きが出るのが今年。
さて、HMDが出て来るのは良いのだが、果たして売れるのかどうか、お手並み拝見といったところ。
ちなみに個人的な意見を言うと、自分は結局VRってコンテンツ勝負だと思います、はい。
VHSがエロビデオで天下を取ったように、誰もが高いカネを払ってでも欲しくなるコンテンツを用意できない限り、業務用途は兎も角コンシューマ用途では広がらないのではないか、と。
♯そして今のところそんなコンテンツは無い。
10◇人工知能、爆発的普及に向けて地均し拡大中。
個人的にはそろそろ「そもそもAIの定義って何ですか」とか言いたい気分なのだが、それは兎も角。
自動運転等、今まで絵空事だった技術がいよいよ現実になっていく中で、AIの出番はこれから爆発的に拡大する筈。
そして現在、例えばWatsonで新しいレシピを考案してみたり、なんてのは正にAIが「あって当たり前」の世界へ地均しをしてる、と自分は解釈しているんですな。
それはDeep Learning等の技術面と、自動運転車の為の法律等の社会面、両方の側面から。
それらは昔のように「AI」を前面に押し出すことはせず、単なる便利なシステムの一部として、静かに勢力を広げていく、と。
そんなワケで、AIを前提とした世の中の動きが今年は色々出て来るのではないかと。
やや遠回りではあるがビッグデータ活用だってAIに喰わせる為の下準備という考え方もあるワケだし。
◇
以上10コ程、今年ネタになりそうな代物を挙げてみましたよ。
さてさてどうなることやら。
ということで取り敢えず、今年もうだうだ書いていくらしいので、よろしくお願いいたします。