新生アーキテクチャの・・・嵐の中の出航。

 ついに出てきましたよBulldozer。
 巷ではすっかり葬式気分のようで。

 巷のベンチを見ると・・・という感じだが、イロイロ見る限りではまあ想像される範囲というか、むしろ頑張ったというか、そんな感じでないかね。正直なところ。
 あとはま、AMDだからね。まあこの一言ですわ。

 それにしても、整数演算だけが8スレッド全力で回るベンチがあれば、多分もう少しカッコイイ数字が出たと思うけど。
 マルチスレッドぶん回すベンチで有名なのはCHINEBENCHだけ、ってのがちょいと厳しいかな。

 ◇

 にしても・・・なんつ~か。
 AMD版の「Pentium Pro」ですな、初代Bulldozerは。

 Pentium Proを知らないヤング(笑)のためにちょいと説明すると、Intelがx86で初めて本気で作った「32bit」 CPU。
 386以来Pentiumまで、Intelの32bit対応ってのは16bitの上に建て増ししました、的な構造になっていたのだが、PentiumProで初めて32bit命令に最適化されたCPUが作られたんですな。
 ところがこいつ、32bitに本気になった分?16bit命令の実装がヘボくて遅いという、当時のx86を取り巻く状況では致命的とも言える問題を抱えていたため、まあこれが売れなかったこと。
 で、このヘボい16bit命令の実装を中心に手直ししたのがPentium IIとなり、更にその改良版がPentium IIIとなって・・・結局NetBurstなP4が出るまで、このPentium Proの血統がIntel帝国を支えてたワケですよ。

 個人的な意見としては、Bulldozerのアーキテクチャ自体の筋は悪くないと思うんですよ。「働き者の小人」の数を並べて、トータルの仕事量で勝負しようという発想。NetBurstのような「壮大な空回り」とは対照的。
 仮想マシンを大量に並べるようなサーバファームでなら即戦力になると思われる。

 ◇

 但し・・・取り敢えず直近の大問題だけでも五つも。

 まずは何といっても、思想に実装が伴っていないこと。初物とはいえこの効率は・・・う~ん。「働き者の小人」作ろうとしたら「並の仕事しか出来ない小人」が出来てしまった、というところか。それじゃあ数集めても、ねぇ。

 次に、対するIntelがどんどんIPCを上げてきているということ。頭数(コア数)は少なくとも、ひとつのコアの仕事量が圧倒的に違うとなるとコレまた総量でも勝負にならないワケで・・・。

 三つ目、デスクトップPC分野でのPCの使われ方に「小物を数並べる」という思想がマッチするかということ。Windows 7ですら効率よくタスクを回せるのは4コア程度までと言われているし、このあたりはOSカーネルの構造が絡んでくるので何ともといった感じ。Windows 8ではマルチコア最適化を推進するって言っているけど、さてどうなることやら。

 四つ目、これからどんどん改良していく必要があるのだが、それだけの開発費の負担に耐えられるかということ。要するに金目の問題で、GFを切り離す、みたいなウルトラCはもうAMDには残っていない。地道に稼ぐしかないのだが・・・稼げるか?

 そして最後、供給数。不人気でそもそも数が出そうにないような状況でも、それにすら供給が追いつかないという超絶技巧を見せてくれるのがAMD。まあ初期ロットは仕方ないにしても、遅くとも年明けには店頭に在庫が積み上がるぐらいに供給しないと、人気勝負以前の問題でしかない。

 ◇

 ・・・いかん、自分まで何か葬式気分になってきた・・・。
 まあ兎に角、RADEONで稼いだ金が底をつく前に、何とか「市場で一定のシェア」を取れる状態にまで回復することを期待するしかないですな、えぇ。

Share