「モバイル界のADSL」へひた走るイーモバイル。

 個人的にはeMobileには(あの社長も含めて)ネガティブな印象しかないのだが、さすがにこれはヒドイと思ったのでちょっとメモしておく。

 >3.5世代最速、HSPA+を国内で初めて導入 受信最大21Mbpsデータ通信サービスを8月上旬より提供開始
 >http://www.emobile.jp/cgi-bin/press.cgi?id=661

 要約してみよう。

 「もしこの世界に基地局と端末が1台ずつしか無ければ、この速度が出ます」

 はい、こんな発表に意味があると思ってしまった人、人生やり直して来て下さいね。

 もう少し説明すると、「みんなが使える総量は変わらないけど、一人が取れる取り分の上限を増やしました」となります。
 ポイントは「みんなが使える総量は変わらない」という点。
 これはユーザが近くに居れば訊くのが一番早いのですが、イーモバイル、都市部では既に電波の取り合い状態になっていて、さっぱり速度が出なくなっています。

 こんな状態で「上限を増やしました」といったところで、どうしろと?

 ちなみに技術面から言うと、実はDoCoMoだって速攻で出来ます、21M接続。
 それを何故にやらないかという話。
 そんなことしたところで実効速度は上がらないし、回線遅いって苦情は殺到するだろうし、いいことが一つも無いからやらない、それだけです。

 あ、誤解の無いように。
 「みんなが使えるようにすると一人当たりの量が減る」という話、別にHSDPAだけでなく、普通にCDMAだって3GだってPHSだってXGPだってLTEだってみんな一緒。電波を使うモノの宿命です。

 但し、「みんなが使える総量を増やす」というところでは、PHSとXGPについては圧倒的なアドバンテージがあるんですな。
 何故なら、PHSとXGPについてはその生い立ちから「基地局をやたらいっぱい敷き詰める」マイクロセル方式が取れるため。基地局がいっぱいあれば、みんなが使える総量も圧倒的に増える。

 ♯厳密にはそう簡単な話でもないのだが、メンドクサイ話なので詳細は割愛。

 逆に、HSDPAなどではこの方式が取れないため、「みんなが使える総量を増やす」のはとても難しい。どうしても「一人当たり量を制限してみんなに行き渡る」ようにせざるを得ない。
 それが、現在のイーモバイルで起こっていること。
 「都会では遅い、田舎では繋がらない」

 ・・・とはいえ、HSDPAの最小単位はPHSの32(56)Kbpsよりは遥かに大きいのは事実。なので、今のところ何とかなっている、というところかな。

 まあ、要するに、イーモバイルを買う時は熟考せよ、ということ。
 50M ADSLに申し込んだのに2Mbpsも出ない、というのと同じ話が、今まさにモバイル世界で起こっているので。

 ♯XGPなんて日本人の細やかさがモロに反映された規格なのだが、日本人らしく器用貧乏になっている気もする。
  個人的には一押しなのだが、XGPがきちっと展開出来るまでWillcomが会社として持つかどうかについては、ぶっちゃけ賭けだと思う(爆。

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