Roland Cakewalk Production Plus Pack

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/ DTM機材メモ / その1 – 08.02.10

何か凄いぞ。

どっちがおまけだ。

 ライバルYAMAHAがCuBASEを押さえたからその対抗上だと思うのですが、Rolandが自社製ハードウェアにやたら豪華なおまけを付け始めてしまいました。それがこの「Cakewalk Production Plus Pack」という1枚のCDです。

 ということで、このやたら豪華なおまけの中身を、早速確認してみることにします。
 つかここまで来ると、ハードとソフトとどっちがおまけなんだか。

Sonar 6 LE

 製品で買うと¥7,000ぐらい(但しソフトシンセのTTS-1付)で売っている「MusicCreator」と殆ど同一内容のDAWソフトウェアです。

 Sonarというのは米国Cakewalk社(現在はRolandの100%子会社)が開発したDAWソフトウェアで、「音楽と言えばMac」な時代からWindows一筋。
 貪欲な多機能化とRolandによる低価格なLE版バンドル攻勢で、一説には世界で一番使われているDAW、と言われるまでに成長したソフトウェアです。
 一時期は「音質がね・・・」という話もありましたが既に改善されています。
 ちなみに管理人が最初に触ったのはまだ「Cakewalk」と名乗っていた頃でした。

 そしてSonar6 LEですが、最新はSonar7なので一つ古いですが、その分安定度は高く、また以前「Sonar LE」として流通していたSonar4 LE相当品に比べるとだいぶ機能もアップしています。

 さてその機能ですが。
 基本的にDAWに期待される、必要とされる機能はほぼ全て搭載していると思って問題ありません。
 MIDI、オーディオ、この2つを区別せずに扱え、録音、加工、編集、ミックスダウンという全ての行程をこの1本のソフトで完結出来ます。

 また、音量等のパラメータをリアルタイムで動かすオートメーション、VSTやRewireといった規格にも対応し、各種音源やエフェクタも後から追加したり、他のソフトと同期しながら録音・再生することも出来ます。

 ついでに、画面構成もDAWとして非常にスタンダードに、クセが無く出来ています。標準の暗めな色遣いは兎も角。
 なのでDAWとして特に難しいこともなく(但し簡単ということもなく)、初めて触れるDAWとしても悪くない製品です。

 但し、このソフトはSonar6のいわゆる完全版、フル版でなくライト版、つまりいくつか機能が制限されているバージョンです。
 それでは具体的にどこが大きく違うのは何処かというと、「同時に使用できるオーディオ・MIDIのトラック数が少ない」「同時に使用出来る音源・エフェクトの数が少ない」「添付の音源・エフェクトの種類が少ない」の3点。

 具体的に、確認してみましょうか。
 まず最初の2つ。実際問題としては、これはまぁ当分制限になりません。
 というのは、このソフトウェアでの最大32オーディオ・128MIDIトラック・8音源・24エフェクトまでという制限、普通はこんなにトラックや音源を使う前にまずPCの方が処理能力やメモリ不足で悲鳴を上げます。

 #まぁ、もしかしたら「8音源」には引っかかるかも知れませんが。

 そうなると、一番大きな違いとして現れるのは最後の「添付の音源・エフェクトの種類」です。確かに、上位ソフトと比べると少し、いや結構寂しいかな・・・。

 とはいえ、致命的な欠点もないDAWソフトがオマケに付くなんて、いい時代になりました。

D-Pro LE

 Sonar 6 LEにはソフトシンセとしてDropZone(サンプラー)とTriangleII(アナログ)という2種類のものが付いてきます。また後述する Project5 LEをインストールすると、PSYNII(アナログ)・nPulse(アナログドラム)・Velocity(ドラムサンプラー)といったシンセも使えるよ うになります。

 ところがこれらのシンセ、音色の偏りと少なさもさることながら、何しろ初心者にあんまり優しくありません。まあVelocityとnPulseはそんな に苦労しなくとも、頑張ればDropZoneも使えるかも知れませんが、TriangleIIとPSYNIIは正直無理だと思います。
 アナログシンセの構造が一度飲み込めさえすれば結構遊べるんですけどね。

 多分Rolandもこの辺りの事情を考慮したのでしょう、シンプルに音を選ぶだけでいいソフトシンセを追加してきました。
 それがこのD-Pro LEです。LE版とはいえそこそこ音は揃って・・・と言いたいトコなのですが、正直この音色ラインナップは微妙としかいいようがありません。

 その1・管楽器および弦楽器の音がありません。
 その2・シンセ音系がDropZoneと被りまくり。

 元々DropZone自体標準で付いてくる音色は結構少ないんですよ。そこに被せてどうするんだか。

 正直な話、Rolandの企画担当者にはこの辺りもっと考えて欲しかったですね。Garritan Pocket Orchestraの全部付けるのが無理ってなら、せめてその中からのより抜きでも付けてくれてれば・・・シンセ系の音はそんなにいりませんから。

 ということで、そりゃ有ると無いとでは全然違いますが、それでも何だか残念感が、というのが正直な感想です。

Project5 LE

 えと、別項でDAWとループシーケンサという話を取り上げましたが、SonarがDAWに対してこちらはループシーケンサのソフトウェアです。パターンを作って、それらを組み合わせて曲にします。

 ・・・なのですが、Project5って日本だと割とマイナーなんですよね。海外じゃVer2.5になってるのに、日本だと未だに2.0のままだったりとか。

 とはいえこちらもSonarに負けず劣らずの大出血ぶりです(マイナーなんでヤケ起こした?)。付属するソフトシンセや音ネタの数が少ないというのが正規 版のProject 5に対する最大の違いになりますが、取り敢えず「ループシーケンサ触ってみたいんだけど」という人にはお勧めです。

 そしてこちらもSonarに負けじとVSTやReWireに対応しています。ということはSonar付属のソフトシンセやD-Pro LEも使えるし、更に世界中からVSTiやサンプリングを拾ってくれば音ネタはもう無限大、ということで。もちろんミクとの同期も出来ます。

 その考え方と使い方が独特のため、一度拒絶反応が出ると二度と触れなくなるソフトですが、一度ハマってしまうと抜けられなくなるというのもまた事実。
 特にループ・シーケンス・アルペジオを多用するダンス・トランス・テクノ系ではハマり率が高いです。パターン作って貼り付けてくこのソフトの作法と、実際の曲作りの流れがほぼ一致するというのがポイントかと。

 まぁ悪いことは言わない、一度触ってみませんか、ということで。

結論:オールインワンとは言えないけれど。

 何が凄いって、このCD1枚があれば、取り敢えず曲作りを始めるには困らないんですよね。

 勿論、音色がとても偏っている、特にオーケストラ系の音が無いという致命的な問題はあるのですが。
 「全部をイチから揃える」と「足りない音だけを集める」では、その労力は天地の差です。

 結論。
 やっぱりコレがオマケって、あり得ない。

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