[→メーカーサイト] 実売¥12,000(通常版)¥8,000(乗換版)
/ DTM機材メモ / その5 – 08.02.10
オールインワン for Fun。
中身は一緒ですから。
このソフト、「Jamバンド」という名前とイラストの入ったパッケージが発表された当初は「うわぁ・・・」というなんとも言えない雰囲気が漂ったものですが。
実際に発売されてみると、多機能・扱い易い・値段も(このテの商品としては)安い、と3拍子揃っていたことでバカ売れに。瞬く間に一定の地位を築いてしまいました。
ちなみにパッケージの見かけが普通の音楽ソフトウェアっぽいのが「MusicMaker Producer Edition」で、ヲタクっぽいのが「Jamバンド」です。
中身は一緒なので、普通の人は「MusicMaker Producer Edition」を買いましょう。
アマチュア向けの充実パッケージ。
さて国内では衝撃のデビューを果たしたこのソフトウェアですが、モノを知っていた人にとっては当たり前の結果というか。
というのはこれ実は、ドイツにあるマルチメディア系のソフトを作っているMagixという会社の製品の日本語版で、欧米では既に10年以上の歴史がある「定番ソフト」なんですね。
今まで日本では発売されていなかったので、殆ど知られていなかっただけで。「遅れてきた巨人」といったところでしょうか。
そしてこのソフトの最大の特徴は、実はその基本思想にあります。
その思想とはズバリ「アマチュアがいかにラクに楽しくカッコイイ曲を作れるか」ということで、実際にソフトの操作性や機能といった部分にそれは現れています。
ちなみに大多数のDTM向けソフトウェアは「プロ用が本命」とか「プロが使うものを機能削ったりして安くした」ものです。最初からアマチュアの方を向いてる製品なんてホントに希少なんです。
それでは、機能の方もアマチュア向けに削られているかというとさにあらず。
プロでも最近使われ始めたばかりのエラスティックオーディオを使用した音程補正機能を使えば音痴な歌声やハズしたギターもピンポイントで直せますし、その他にも使える機能はてんこ盛り。
更に、内蔵されたパターンを自動的に組み合わせてそれっぽい曲を作ってしまう自動作曲機能なんてものまで付いてます。
しかも、操作系もよく考えられています。よく使う機能が目立つところにある一方で、細かい操作はまとめて普段見えないメニューに収まっていたりして、使用者のレベルに合わせて使えるようになっている。
初心者にはまず分かり易く、上級者は色々出来るという構造ですね。
♯逆にCubaseやSonarに慣れてしまっている人が触ると、最初はやや違和感があります、正直。
音源も機能も充実。
音源だってこの値段では考えられないぐらいのモノが付いてきます。
まず、高音質なサウンドライブラリで定評のあるYellow Tools社が開発に協力したVITAは、ピアノやギターといった弦モノが結構いい音を出してくれます。値段を考えたら、正直反則だと思うぐらい。
一方、いわゆるシンセっぽい音ならRevolta2というアナログモデリングシンセがあります。これもデザインが良く、アナログシンセならではのダイナミックな音作りが簡単に出来るよう配慮されていますし、ステップシーケンサ付で、グリグリと動きのある音作りも出来ます。
そして更に、そこらのビデオ編集専用ソフトよりも使い易いと評判の映像編集まで付いてきます。
勿論音声と映像は一緒に扱えるので、カッコイイ曲が出来たらついでにカッコイイ映像まで付けるとこまで、このソフト1本で出来てしまいます。
・・・なんか深夜の通販番組みたいになってしまったけど、実際機能大盛りなんですよ。
もちろん完璧ではないが。
とまぁここまで宣伝みたいになってしまいましたが、もちろん妥協されている部分、気になる部分も結構あります。
その中で目に付いたものをいくつか。
その1、環境によってはハングし易い。
突然ソフトが終了してしまうんですよ。なので、作りかけの曲を保存していないととても悲しいことに。
何しろCubaseやSonarが安定して動く某環境で数時間試しただけでも数回はコレ喰らったので、環境によっては相当深刻な可能性が。
もしかしたらこのソフト一番の欠点かも。個人的にはそれぐらい「印象が悪い」部分です。
♯まぁアップデートパッチでその後解消しているかも知れないですけど、ね。
その2、Rewireに対応していない。
「初音ミク」をはじめ、別のソフトウェアと組み合わせた場合には気になるかも。
但しソフトウェアのターゲット層を考えるに、VST/VSTiの対応だけでも十分な気もします。
大きなところはこれぐらいですかね。
まあ勿論、Sonar等と比べてしまえば細かなパラメータ制御が出来ないですが、その辺りはもう割り切りの範囲内です。
そういう割り切りがを許せないなら、このソフトは使っていけません。
ファーストステップに最適。
まぁそれなりに欠点もありますが、値段を考えたら間違いなく充実のパッケージです。
取り敢えずDTMを始めるならばコレ、という定番ソフトの名に恥じない製品だと思いますよ。