キーワードが飛び交います。
/ DTM入門 / その5 – 09.01.05
言葉を知ってれば怖くない。
前頁でオーディオインターフェイスが必要かどうかのチェックをしましたが、この頁では実際にオーディオインターフェイスを選ぶ時に知っておきたいキーワードと、実際の製品を紹介しています。
これだけは。
さて、DTM用としてオーディオインターフェイスを買うならば、何はともあれこれだけは絶対に押さえておきたいキーワードがあります。それがタイトルの
「ASIO」。
アルファベット4文字ですが「あじお」と発音し、DTM関連の店では普通に通用する単語です。
で、このASIOとは何か。
簡単に言うと、DTM向けのオーディオインターフェイスが持っている共通規格のことです。
この規格に対応したインターフェイスは、DTMで使用する時には普通のオーディオインターフェイスと比べて高性能を発揮することが出来ます。
更にASIOには「ASIO 2.0」(「あじおつー」若しくは「あじおにーてんぜろ」)と呼ばれる上位規格があります。
こちらはタダの「ASIO」より更に高度な機能が盛り込まれております。
特に「マイクやギターを繋いで録音する」予定があるならば、「ASIO2.0」にはそういう録音に便利な機能が盛り込まれているので、ポイントが高くなります。
逆に「録音はしない」というならば実は「ASIO 2.0」と「ASIO」ではあまり大きな差は無かったりします。
◇
こういうワケですので、お店でモノを選ぶ際には「ASIO」対応を目安にするとよろしいかと。
録音するなら「ASIO 2.0」対応だと嬉しいですね。
中に入れるか、外に出すか。
オーディオインターフェイスを選ぶ場合、もう一つ大きな分類として「パソコンの中に組み込むタイプ」と「USBに繋ぐタイプ」があります。
#他にもFireWireとかLANとか他の接続方法もあるにはありますが、Windows環境ではマイナーだし取扱にもコツが要るので割愛します。
この2つ、厳密に比べればパソコンの中に組み込むタイプのものは性能は良いです。プロが使用する高性能(&高価格)製品ではパソコンの中に組み込むものばかりですが、その分組み込むのに知識が必要だったりします。
一方、USBに繋ぐタイプならば、USBコネクタに「ぽちっ」と繋ぐだけのお手軽さ。しかも製品のバリエーションは多く、性能だって(普通の使い方では)実はそんな極端に差があるものでもない。
更に、USBに繋ぐタイプなら簡単に持ち歩いたりも出来ます。ノートパソコンと組み合わせれば、移動式のDTM環境が一丁上がり。音楽好きの知り合いが居るならコラボする、なんて楽しみ方も。
なので、S.Kazはまずは「USBに繋ぐタイプ」をお奨めします。
♯まあ、パソコンの知識があるならば中に組み込むタイプ(拡張カード)でも構わないとは思いますが。
性能を見るための数字。
オーディオインターフェイスには、他にも性能を確認するための数字があります。
それが「ビット数」「サンプリングレート」「ダイナミックレンジ」「SN比」です。
細かい説明は省くとして、どれも「数字が大きければ性能は良い」です。
最近のオーディオインターフェイスでは、「24ビット」「96KHz」「100db(←これは「デシベル」と読みます)以上」「100db以上」というのが一つのスタンダードになっていますね。これ、実はCDより音質(性能)が良いのですよ。
要注意リスト。
DTM用のオーディオインターフェイスでは、音の良さを守るためにシンプルであることが大切です。
つまり、余計な機能が付いてる製品は敬遠すべき、ということですね。
また、カタログスペックは悪くないのに実物は「・・・」というモノもあったりします。
以下、そんな「要注意物品」をまとめてみました。
その1・Creative SoundBlasterシリーズ
ゲーム用として人気があるサウンドカードで、上位機種はASIO対応を謳っているものの、純粋にDTM用として見てしまうと価格の割に性能のイマイチなオーディオインターフェイスとなってしまいます。
既に手元にあるなら良いのですが、純粋にDTM用としては新規に購入するのはあまりお奨め出来ません。
ゲーム用として使うアテがあって、値段のうち何割かはゲーム分、と割り切れるなら、両方で使える製品として悪くない選択肢になると思います。
その2・Roland UA-4FX
エフェクタを内蔵していて、録音する音声を予め加工することも出来るのがウリのオーディオインターフェイスです。
この機能が付いてる分、値段も張るのですが・・・
普通にオーディオインターフェイスとして使おうとした場合、単純に値段相応の品質ではありません。
そりゃそうですね、エフェクタ部分に費用がかかっているのです。
私感では、これを買うぐらいなら実売価格が同程度のTASCAM US-122Lの方が余程性能も音質も良いと思います。
エフェクトなんて、本当に必要になったらソフトウェアでどうにでもなるのですから。
その3・Roland UA-25/UA-25EX
マイク入力対応、光デジタル入出力付、カタログには「音質にこだわり」と、一見何も問題ない製品なのですが。この2機種には、設計上の欠陥とも呼ぶべき問題があります。
それは、マイク入力にノイズが乗る「ことがある」ということ。
確かに症状が出なければ音質的にも悪くない製品なのですが、別にこの価格帯ならRoland製品以外にいくらでも選択肢はあるのですから、わざわざ「地雷入り」製品を買う必要もないと思います。
#接続方法や機材によるみたいですが、初代UA-25についてはファントム電源周辺の作りがチャチなのが根本原因っぽいです。現行機種のUA-25EXでは複数の症状報告がありますが根本原因は良く分かりません。
実際どんなものがあるの?
さて、色々とオーディオインターフェイスについて語ってみましたが、それじゃ具体的にどんなものがあるの?ということで。
以下、いくつか具体的な製品名をあげてみることにします。
但し、あくまで参考程度の情報として取り扱って下さい。以下の製品は唯一の選択肢ではではありませんし、他にも多数の製品があります。
また、以下の製品では「まともに使い物になる最低ライン」を基準にしています。
悲しいかな、数万円という価格帯では音質と値段の相関関係は非常に高いですので・・・えぇ。
その1:録音をしないなら
Roland UA-1EX 実売¥10,000程度
そこそこの品質のヘッドホン出力、という前提のオーディオインターフェイスです。
価格の割には悪くない音質で、特別問題になるような癖もありません。
マイク入力もコネクタは付いてはいますが、プラグインパワー端子とかいうふざけた仕様なので事実上は存在しません。
但し、ライン入力についてはそれなりに使い物になります。
その2:ギター録音をするなら
Line6 POD Studio GX 実売¥12,000程度
ギター専用※1系統の入力端子を持つオーディオインターフェイスです。
ギターに特化していて余計な機能は一切持っていませんが、音質には定評あり。
そして更に、POD Farmというギタリスト専用ソフトがバンドルされてきます。
このソフト、各種ストンプボックスやキャビネットを画面に呼び出して好きな順序に並べて繋ぎ、音作りが出来るというモノ。
これを使えばギタートラックにエフェクトをかけてカッコ良く録音するだけでなく、まずはクリーンなまま録音しておいて後からエフェクトをあれこれ試すなんてことも出来ます。
このハードとソフトの組み合わせで、ギタリスト限定ですがとてもコストパフォーマンスの高い一品となっています。
#ちなみにこのPOD Farmというソフト、直販サイト(英語のみ!)でライセンスを購入すると使えるストンプボックスやキャビネットの種類を増やせます。但し全てのライセンスを購入すると本体より高くなるのがポイント(笑。
※実は自分で変換ケーブルを用意すればファントム電源無のマイク入力としても使えなくもないです。
その3:マイク録音をするなら
TASCAM US-122L 実売¥15,000程度
2系統のマイク入力が付いたオーディオインターフェイスです。TASCAMというのはオーディオメーカーTEACの業務/プロ用ブランドですよ。
特別目立つ特徴もありませんが、音質も悪くなく、癖もない製品です。
唯一問題があるとすると、何故かあまり店頭で見かけないことですかね・・・。
あと、デジタル(同軸)入出力が必須ならば、+¥6,000でUS-144という上位機種になります。
M-Audio FastTrack Pro 実売¥22,000程度
US-144のライバル機種です。端子類が微妙に多くて、値段は微妙に高いという。
マイク入力、デジタル入出力といった基本部分は一緒です。
入力アンプについてはこちらの機種ではウリの一つのようにカタログに書いてありますが、当方にはTASCAMとそんなに違うとは思えませんでした。
また、こちらはInsert端子が付いています。手元に既にエフェクタ類がある場合には便利に使えるかも知れません。
ついでに、TASCAM製品よりM-Audio製品の方が店頭で見かける確率が高い気がします。
おまけ:
個人輸入に慣れまくっているという方は、E-MUのTracker Preという製品(定価$149.99)という製品がコストパフォーマンスが良いとの評判です。
チャレンジしてみます?
その4:色々録音したりしてみるなら
YAMAHA MW10C 実売¥22,000程度
YAMAHA AUDIOGRAM 6 実売¥18,000程度
最後に一発、ちょっと変り種を入れておきます。
これ、モノはミキサーとオーディオインターフェイスが一体化されていて、ミキシングした後の音をパソコンに送ったり、パソコンからの音をこちらで受けたりすることが出来る製品です。
#上記2製品の値段差はミキサーとしての性能の違いです。具体的には入力チャンネル数とEQ。
こういうミキサー一体型が便利なのは、複数の音源から録音したいような場合です。
例えばの使い方として、歌もギターリフもシンセパッドも入れるぞ、なんて場合。いちいちケーブルやハーネスを繋ぎなおしたりするのは不便ですよね。
そういう時、このようなミキサーが役に立ちます。全部繋ぎっぱなしにしておいて、録音に必要なものだけボリュームを上げればいいのです。必要とあらば全部ボリュームを上げても構いません。
もちろん、単体のオーディオインターフェイスと比べるとどうしても割高になります。上に紹介した製品の場合、どちらも純粋にオーディオインターフェイスの性能だけ見れば、前の方で紹介したUA-1EX以下です。値段にして半分の製品にも負ける。
ただ、そこは使い方次第。複数の機材を繋ぎっぱなしに出来ることは、実際に作業する上で非常にラクになります。
個人的には、3つ以上の音声入力を使う予定があるならばこういうミキサー一体型という選択も「アリ」だと思います。